戦姫絶唱シンフォギア~I'm thinker~ 作:トライグルー
この小説は作者が「XD面白いなぁ!でもこの人が主役の作品ってないなぁ?なら書くかぁ!」と謎の衝動に刈られ書いた作品となります。正直優秀な傭兵であるあなた方へのお目汚しになる可能性もあり、それが無理と言うかたにはブラウザバックを推奨しますが、それでも読む覚悟がある場合は…。そうですね有名な言葉を送りましょう。
歓迎しよう盛大にな
黒い烏と白い孤児院
『緊急事態発生!緊急事態発生!実験中の聖遺物が暴走中!職員は至急避難されたし!繰り返す!…』
「ハハハッ……だから言っただろ?失敗するって…」
非常警報が鳴り響き、辺りに散らばる瓦礫と燃え盛る炎のなかで白いはずの白衣を所々真っ赤に染めた男は皮肉たっぷりに呟き、薄れる意識の中前方で暴れるアルビノ色のバケモノを見据える。
「上層部のクソッタレ共が…未だに謎が多い聖遺物でさえマトモに解析出来ないくせに……ゴフッ…!完全聖遺物なんて代物に手を出すからこうなるんだよ…なぁ?ネフィリム?」
そして今も尚施設を破壊し続けているネフィリムと呼ばれるバケモノに対し愚痴るが、ソイツは返事を返すはずもなく、意識を遠退かせていったのだが。
『Seilien coffin airget-lamh tron』
「ッ!?」
本来なら聞こえるはずもない歌に驚き意識を覚醒させた。
★★★★★
F.I.S.。フィーネと呼ばれる人物が米国と協力し自分の為に作り上げた組織。
目的はフィーネが米国と共に秘密裏に聖遺物の研究を進めている言わば裏組織であるのだが、この中にレセプターチルドレンという存在がおり、その用途は“フィーネの魂を受け止める器”というオカルトチックな目的の為に非合法に集められた子供の総称である。
そしてある一人の少女はその日の訓練を終え同じレセプターチルドレンの自分の姉や年下の二人の少女、自分達に厳しくも母親のように接してくれる研究員と共に部屋に戻るはずだったのだが。
『緊急事態発生!緊急事態発生!現在実験中の聖遺物が暴走!職員は至急避難されたし!繰り返す!…』
「マム!?」
「皆、落ち着きなさい。緊急時のシェルターの場所は覚えていますね?まずはそこへ向かいましょう」
緊急警報が発令され突然のことに少女達がおびえる。しかしマムと呼ばれた研究員は少女達を一言で落ち着かせトレーニングルームからシェルターのある場所へと避難させる途中事件は起こった。
「マム!マリア姉さん!危ない!?」
最後尾を走る研究員とマリアと呼ばれた姉の上へ崩れた天井の瓦礫が落ちてきたのだ。そして咄嗟に研究員はマリアだけでも助かるようにと彼女を庇うように抱き寄せ衝撃に備えるが。
「糞が、最悪だぜ。ツイてねえ!ツイてねえよ!」
そんな言葉が聞こえ瓦礫が激突するよりも前に上ではなく体の横から少し鈍い衝撃と共に二人とも前方へと吹き飛ばされた。
★★★★★
「マム!?姉さん!」
「マム!?」
「マリア無事デスか!」
少女達が今まさに瓦礫に押し潰されそうだった二人へと駆け寄りその無事を確かめると安堵する。
「マリア大丈夫ですか?」
「えぇ、私は大丈夫よマム…それより何が……っ!?」
そして潰されそうだった二人も互いに無事なのを確認したのだが、その答えは自分達が居た場所を見たときに理解した。
「そんな…」
一人の男性研究員が咄嗟に突飛ばし身代わりになってくれたのだ。
だからこそ彼女達はその研究員を助ける為にの元へと駆け寄る。
「な゙に゙やってるんだ、早ぐ行げ…!時間の無駄だ!」
しかし研究員は彼女達を突き放した。彼にはもう一つの理由があるにしろ、それ以前に瓦礫が頭に当たり血を大量に流し両足は瓦礫に挟まれ誰から見てももう助からないからである。
「いいえ!助けます!」
しかし彼女達も諦めなかった。たとえ彼が助かる可能性が少なくても。
★★★★★
幸い男は生きていた。生存者は居ないかなどの最終確認のための警備兵達が合流したからだ。
そして、男は近くの壁へともたれ掛かり警備兵にレセプターチルドレンの子供と自分以外の研究員を避難させろと指示を出す。
「何を言うのですか、貴方の方が重症なのですよ?先に避難するのは貴方です!」
だが、その研究員は無傷である自分達よりも重症の彼を優先したがったが男は研究員の襟をつかみ叫ぶ。
「バカ野郎が…違うんだよ…ここの近くにはヤツが…アンタ等が…アガートラームをもってる嬢ちゃんが一番危ねぇんだよ!」
「どういうです!…まさか!?」
マムと呼ばれる研究員が男の言葉を聞いた直後だった。
男が懸念していたヤツが壁を突き破り出て来たのだ。
そして、ソイツは目のない顔をヒクヒクと匂いを嗅ぐように動かし辺りを見渡すとそれを見た少女達や警備兵は男の逃げろという言葉を聞きやむを得ず走り出した。
★★★★★
彼女、セレナ・カデンツァヴナ・イヴはそのままシェルターへと逃げてしまうことも出来た。
『嬢ちゃん…こんな所でなにをやってるんだ?』
『えっと…その…』
『なるほど上層部のバカ共またか…。仕方ない…ホラ、飴玉やるから泣き止め。皆のところへ戻るぞ。…何やってる案内してやるから着いてこい』
それはほんの些細な切っ掛けだった。
『今度はどうした?確か今日はレセプターチルドレンのパッチテストの日のはずだぞ?あぁ、嬢ちゃんが一人目の…なるほどね』
それでもあの日の出来事以来、自分の姉とマムを助けてくれた研究員の所はどこか落ち着き。
『嬢ちゃんはお姉さんやお友達の所へ行かなくていいのか?確か担当はあのナスターシャ教授だろ?』
他の研究員と違いマムのように自分達を人としてみてくれる。
『落ち着くといわれてもさぁ?ここには面白いもなんてないんだけどねぇ…。ほら、オジさんも忙しいんだ、それに君をたぶらかしたとか言われてもアレだしね?』
だから絶対に見捨てることができなくて。
『糞が…!お前ら走れェ!』
気づいたときはマム達の制止を振り切り、白いバケモノの目の前に立ち。
『Seilien coffin airget-lamh tron』
守りたい人のために歌っていた。
★★★★★
「F.I.Sの
男の目の前で一人の少女がギアを纏いネフィリムと戦う。
懐に入り込み切つけながらも、ネフィリムの剛腕を避けさらに牽制といわんばかりにダガーを投擲する。
しかし戦況は決して良いものとは言えなかった。確かに手数だけなら少女の方が上であり機動力共にネフィリムを上回っていただろう。
だが、戦闘経験がない男にも見てわかるほど決定打に欠けていたのだ。例えるなら戦車にライフルを撃っても効果がないほどに。
だからこそ男は、この際賭けと言わんばかりに避難の際鞄の中へ入れておいたモノと赤色に光る薬品に手を伸ばした。
本来シンフォギアシステムの提唱者、櫻井了子が開発したLiNKERと呼ばれる薬は緑色をしており、用途は奏者と聖遺物の力を繋ぐための薬品である。
だがF.I.S.の一部の研究員は思ってしまったのだ。個人の才に左右される「歌による起動」では例えLINKERを使用しても十分な数値を得られないと。
だからこそ研究員たちは頭を悩ませた。櫻井理論を元に適合者でなくても可能な尚且つ安定したギア起動方法を。
意外にもその答えはすぐに出た。簡単な話だったのだ、適合値が満たないのなら上げてやれば良い、ギアと繋がることが難しいのなら…。
無理矢理繋げてしまえばいいと。
結果生まれたのが男の持っていた赤色のLINKER通称LINKER.typeΩであるのだが、後に研究員達がこの間違い気づくまでに数名のレセプターチルドレンが犠牲になるのだがそれはまた別の話である。
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男は取り出したLINKERの入ったアンプルをピストル型の注射器へとセットし自身の首へと突き立てる。
「っ…!?クソッタレが…」
しかし注射器を構える手が震え一向に男の指は動こうとしなかった。
それもそうだこの薬の副作用は確実に人を殺す、男は知っているのだ失敗すれば死ぬと。
思い出したのだ。ある日、非合法に拉致した女軍人に改良に改良を重ね負荷を軽減した三番目のtype.αを投薬した際、ギアを起動するまでもなく血を吹き出して死んだことを。
しかし時間はそんな男を許してくれなかった。
「今度は何だ…!?」
自分の真横の壁へナニカが叩きつけられた。
男は最初ネフィリムが自分を狙い瓦礫を投げたかと思った。しかしあの怪物が道具をつかう知能を、ましてやわざと外す知能を持っているか?否である。なら何を吹き飛ばしたか…。
「コフッ……」
今まで戦っていたセレナである。
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「嬢ちゃん!?何で逃げなかった!」
「すいません…どうしても見捨てることができなくて」
「だからって…嬢ちゃんは大事な正規適合者なんだぞ!?お前を失えばどれだけの損害が…!」
男はセレナが戻ってきたことを咎める。
「だって……お兄さんは私達を人として見てくれた。この施設にやって来て不安しかない私達に優しくしてくれた」
だがそんな男の建前は彼女前では通じず、ボロボロの体を奮い立たせたセレナは。
「あの怪物は目が覚めたばかりなんですよね?なら私が止めますから…もし私が死んじゃったらマリア姉さんに謝っておいてください」
「おい待てっ…!」
男に微笑み再びネフィリムへと向かっていった。
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『いいですかセレナ。あなたの纏うギアの絶唱特性は恐らくベクトルの操作を可能とします。そしてベクトルというのは…』
セレナは自分がギアを纏えるようになった後ナスターシャから自らの絶唱の特性を説明されたことを思い出す。
(マムのいった通りなら私の絶唱でこの怪物や火事を止められるってことだよね…)
そしてセレナは深く息を吸い込み絶唱を放とうとするが…。
「GrraAaaaAAAaaaaaa!」
「あっ…!」
ネフィリムがそれを許すはずもなくその剛腕がセレナに襲いかかろうとしたとき。
「ギャハハハハハハ!アッーハッハッハッハ!」
鉄の巨人がネフィリムを吹き飛ばした。
冒頭ぶりです傭兵の皆様。まさかこの作者の作品をここまで読みきる方がいるとは私は思いませんでした。しかし私のこの声を聞いているということはこの物語に多少なりとも興味を持ったという事実が含まれます。因ってもし次があればそのときもこの作品をよろしくお願いいたします。それでは。
ちなみにですが私はフラグを乱立するヴェニデのオペレーターではありませんのであしからず。
追伸。2/13.誤字を修正しました。傭兵の皆様誤字報告誠に感謝致します。