戦姫絶唱シンフォギア~I'm thinker~   作:トライグルー

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このままではマズいですね……何か手を打たねば…

――その必要はない

っ!

――久しいなどうした疲れた顔をして?

……はぁ…なるほど彼女があのような行動に出ると思い講じた策でしたが……やはりアナタの仕業でしたか…

――なんのことかな?それよりも茶の一杯でもだしてくれないのか?得意だろ■■■■は

……アナタに名前を呼ばれると全てを見透かしていそうで本当に不愉快ですね…


再会

『翼さんッ!目を開けてください翼さんッ!』

 

(誰だ……)

 

見覚えのある誰かが赤く染まった風景の中自分を抱え名前を呼んでいる気がする。

 

『チッ!バイタルが低下してやがる!翼ちゃんしっかりしろ!』

 

白衣を着た誰かが自分を運び懸命に名前を呼び掛けてくれている気がする。

 

(私は……)

 

『櫻井女史はどうしたッ!!到着するまで俺が持たせるから早く呼び戻せ!』

 

(…………)

 

彼女は朦朧とする意識の中、何度も自分の名前が呼ばれた気がしたのかゆっくりと目を開ける。

 

(ここは…どこだ…確か私は……)

 

しかしそこに声の主は居らず視線の先にはどこまでも真っ白な世界が広がっていた。

翼は目の前の空間をある程度見渡すと先程まで自分が何をしていたのかを思い出そうとする。

 

(ダメだ思い出せない…)

 

しかし彼女がどんなに頑張ろうとも思い出すことができず悩んでいたのだが。

 

「翼ッ!」

 

「え?」

 

ふと声をかけられ振り向いた際いきなり抱きついてきた人物を見たとき翼の悩みは彼方へと飛んでいた。

 

★★★★★

 

「これは…ッ!?翼ちゃん!」

 

翼が絶唱を唱っている事に気付き響を安全な場所へと避難させた主任は大急ぎで翼が戦っている場所へと駆け戻る。

するとそこにはギアを破損させ至る所から血を流し倒れている翼を発見し主任は慌てて駆け寄る。

 

「マズイな脈が弱い…ッ!?おい、聞こえるかノイズ研究課の主任だ!」

 

彼は翼の手首に指を押し当て脈を計ると彼女まだ生きているのだと確信する。

しかし翼の鼓動は刻一刻と弱くなっているのがわかり慌てて二課本部へと通信を飛ばした。

 

『主任!聞こえますか!先程、響さんを助けに風鳴司令が出動したすぐ後に強大なフォニックゲイン反応が!』

 

「わかってる!だけど今はそれどころじゃないんだセナ!」

 

『ッ!?どういうことですか主任!』

 

「翼ちゃんが絶唱を唱った!脈も弱ってるし意識もない!至急医療チームの手配と櫻井女史を呼んでくれ!」

 

『絶唱をッ!?わかりました早急に手配します!』

 

主任は無線に出た相手がセナだとわかり先程起きたことを説明される。

しかしそれどころではない主任はセナに事情を説明し通信を切った。

 

「……お前も早く親玉の所へ帰ったらどうだネフシュタンのガキ」

 

「ッ!?」

 

無線を切ってから数分、主任は必要最低限の措置を翼に施しながらも背後に迫っていた少女に声をかける。

そして絶唱をくらい満身創痍だった彼女は気づかれた事に驚いたのか主任ごと翼を狙おうと振り上げていた手を止めた。

 

「そこをどけオッサン…死にたくなかったらな!」

 

「アハハハッ!死ぬ?満身創痍のキミでなく無傷の俺が?」

 

 

主任は翼の処置を終えたのか少女の方へと振り向く、そこには鎧の所々にヒビが入りなんとか形を残している鞭を振り上げている少女がおりその様子を見た彼は余裕を見せる。

 

「もう一度言うぞッ!そこをどきやがれ!でないと…ッ!?」

 

だがその態度が気にくわなかったのか少女は脅しのために鞭を振り下ろそうとするが。

 

「でないとどうなるんだクソガキ。お前の目的は貴重な融合症例である立花響を連れ去ることだろ…」

 

彼の腕から伸びる青黒い手のようなものに首元を掴まれる。

 

「ガッ…!?グッ…何なん……だよ…テメェ…」

 

「只の人間をやめたオッサンであり……―――だよ」

 

「ッ!?だったらなんでこんなこと…!」

 

少女は残り少ない体力をつま先に集め必死にバランスを取りつつも彼の放った言葉に驚愕する。

しかし主任はそんなことはどうでもよいのか少女の耳元へと口を近づけ呟く。

 

「自分で考えろ。それに早く戻らないと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネフシュタンに食い殺されるぞ」

 

 

★★★★★

 

「翼ッ!!」

 

「え……?かな…で…?」

 

不意に声をかけられ抱き締められた翼はその人物を見たとき声を失った。

 

「良かった……生きていてくれて…本当に良かったッ…!」

 

それは二年前あのライブ会場で命を落とした親友天羽奏だったからだ。

 

「うそ…なんで……だってあの時奏は……奏は……っ!」

 

「ごめん翼…辛い思いをさせて…本当にごめん…」

 

奏は抱きついたまま何度も謝り彼女を強く抱き締める。そして翼もまた緊張の糸が切れたのか親友の肩に顔を埋め泣き始めるのだった。

 

「落ち着いたか翼?」

 

「うん…ありがとう奏」

 

翼が泣き止んでから少し経ち奏と翼は何もない白い空間に座り込み他愛のない会話を弾ませる。

 

「全く…無茶ばっかりして、本当に昔っから翼はあぶなっかしいよな~」

 

「奏だって最初の頃は同じだったじゃないか」

 

「はははっ!確かに!」

 

その内容はありきたりなもので二人で力を会わせてノイズと戦ってきたことや互いの欠点、時には大切なことを言い合うようなことだったが奏や特に翼はこの時間が永遠に続けばいいと思うくらい楽しい時間だった。

 

「さてと、そろそろだな」

 

「奏?」

 

奏は何かを感じ取ったのか翼に向き直り彼女の手を握るが翼は奏の行動の意味がわからなかったのか不思議に思う。

 

「ごめんな翼そろそろ時間みたいだ」

 

「時間?それはどういう…ッ!?」

 

翼は自分と奏の足が少しずつ透けていることに気付き彼女の顔を見る。

 

「今回はいきなり飛び出してきちゃったからさ…あんまり時間がなかったんだよね」

 

「また…奏とは会えなくなるのか…私は…」

 

「ごめん…でもまた会えるよ翼」

 

奏は申し訳なさそうに翼に微笑み彼女をやさしく抱き締める。

 

「奏…」

 

「大丈夫、翼がおばあちゃんになってこっちにくるその日まで待ってるから…だからさ」

 

そして奏は翼と向き合うとにっこりと笑いながらに言う。

 

「『もう少し気楽に生きなよ翼(ちゃん)』」

 

しかし翼にはあの日の男と奏が重なって見え、最後にはそう聞こえたのであった。





それで?今回の騒動もアナタの視たと言う未来の一つなのですか?

――さぁね?ただあの時の私はキミが言ったことを実行に移してみただけで他意はなかったと思うよ?恐らくね

私が?

――そうさ、『人間の人生や童話などの物語には必ずレールというものが引かれています。ですがそのレールから外れるのはなかなか難しい。ならばどうすればいいか…答えは一つイレギュラーを作り出す事です』と…だから私も真似したんだよ色々と…この結末が気に入らなかったからね。

そうでしたか。それで、人間一人分の存在を消してまで得た結果に満足されましたか?

――存在を消す?はて、誰のことやら…

天羽奏をこの空間から出した時点で対抗策の無い彼女の消滅は決まっています。解りきっていることでしょう

――ふむ、確かにね…でも彼女に誰かがリソースを割けば別だ

アナタが?あり得ませんね

――それはあと三十秒ほどで帰ってくる彼女をみてから言うといい。それでは私はお暇するよ?

ただいまー!オペ子さーん!どこだー?

まさか本当に……っと、もういませんか…相変わらずデタラメな方ですねアナタは

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