戦姫絶唱シンフォギア~I'm thinker~   作:トライグルー

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お久しぶりです傭兵の皆様、これより前回のおさらいもといブリーフィングを開始します。
前回、物語の冒頭でいきなりですが完全聖遺物であるネフィリムが暴走。そしてとある男性研究員が
逃げ遅れた子供及び職員へと避難勧告を出しますが一人の少女セレナはこれを無視。
さらにはネフィリムに対し反抗を開始しましたが重症を負いプランDへ以降(所謂ピンチです)。
よって、彼の今後行動に期待しましょう。





ハングドマン

それはセレナがボロボロの体を奮い立たせ、ネフィリムへと向かって行った後の出来事だった。

 

「何でなんだろうな…まったく…」

 

自分の事を情けないと思いながらもポツリと呟く。

 

なぜなら男は一人の正義感が強い少女には酷だが自分の事を考えず、その辺の一研究員など見捨てて逃げてくれればと思った。

 

例え数秒、数十秒であってもこの身に残された力を振り絞って少女の逃げる時間を確保できればどれだけ気楽だったかと。

 

だが現実は違う、男は体に力が入らず少女は自らの命を燃やし自分を救おうとしている。

 

『あなたは自らの人生をどのように生きたいですか?』

 

だからこそ…。

 

「好きなように生きて理不尽に死んでやるさァ!」

 

男は迷い無く赤いLINKERを自らに打ち込み翼の形をした完全聖遺物を自分の胸へと突き刺した。

 

★★★★★

 

深海。一言で言えばそう表現するのが正しいほどに真っ暗で何もない空間に男いる。

 

「俺は…失敗したのか?」

 

男は疑問に思う、それは先程までLINKERの副作用に苦しめられ全身を激痛が掻き毟っている中、突如視界が暗転し、気がついたらここにいたからだ。

 

「いいや新入り失敗じゃない。ましてや成功でもないがな」

 

「誰だ?」

 

そしてふと声をかけられ振り向くとそこには顔は見えないが自分意外にもう一人男が立っており自分の事を新入りと呼ぶ。

 

「よぉ新入り俺がだれかって?俺は■■■■だ」

 

「なんだと?今なんて言った?」

 

だが彼の名前を聞き取ろうとするがまるで水中で喋っているかのごとくぼやける。

 

「ふむ?聞こえなかった……という訳じゃなさそうだ…寧ろぼやけたか?」

 

「どういうことだ?」

 

「言葉通りだよ新入り。多分お前にはまだ俺の名前が聞こえないそうだな…」

 

 

だからこそ彼は男のために自らの事をこう名乗った古王(オールドキング)と。

 

★★★★★

 

古王(オールドキング)だと?つまりアンタは王様なのか?」

 

「いいや、別に俺が王様をしていた訳じゃない古い友人がやっていたのさ」

 

「古い友人ね…それよりここは何処なんだ?」

 

「ここか?名前は色々あるが…俺はビッグボックスと呼んでいる。まぁ、説明しても理解できないと思うが…」

 

男は興味ないと言わんばかりに話題をそらす。そして今自分の置かれている状況に対しオールドキングは呆れた様に答えた。

 

「とりあえずは、お前の精神世界とでも思っとけばいいさ」

 

「精神世界だと?」

 

「あぁ、そうさ。現実と切り離された架空の世界。お前の精神の底さ」

 

「じゃあ外はどうなってる?俺はさっきまで…」

 

「そうだな、新入りの考えてる通りだよ。今お前からは見えてないだけだが、あの小娘は絶唱とかいうのを放とうとしてる。更に言えばあの小娘は死ぬ…絶対にな」

 

 

だが未だ解決に至っていない現実に男は焦り俯くが。

 

「なんだと…!じゃあ俺は間に合わなかっ「最後まで話を聞けよ新入り」っ!?」

 

「いいか?今の結果は俺が予測した未来の一つにすぎない。だが、お前はそれを覆す力を持ってる…解るか新入り?つまりは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ間に合うんだよ」

 

男はその言葉に俯いた顔をあげ勿体ぶってるオールドキングを睨む。

 

「守りたいんだろう?色々と、だったら聞かせてくれ新入り」

 

しかし彼はそんなのお構い無しと話を続け。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソノチカラデキサマハナニヲマモル?」

 

彼はそう告げた。

 

★★★★★

 

 

 

「ガハッ…!?っ…!戻って…きたのか?」

 

男はアビスから現実に引き戻され、まだ彼が言った未来が訪れていないことを確認する。そして、現実世界へ戻る際オールドキングとの会話を思い出す。

 

『いいか?新入り。今のお前に貸せるはほんの一握りの力だ…しかしその力はシンフォギアシステムとか言う訳のわからない紛い物とは違う』

 

『どういうことだ?』

 

『解らないのか新入り?お前が手を出したモノはお前らが言う完全聖遺物だ。つまりお前たち研究員の考える聖遺物の欠片がそよ風程度のエネルギーならコレはエネルギーの暴風に近いんだよ。言っただろ失敗でもないましてや成功でもないと』

 

『じゃあどうすればいいんだ?』

 

『さぁな?ソコは自分で考えろ。まぁ、自分の胸にてを当ててみろよ新入り(ハングドマン)あと、呑まれるなよ?』

 

 

「やってみるか…?」

 

そして、言われるがまま先程聖遺物を突き刺したであろう場所に触れ意識を集中すると異変は起きた。

 

それは淡い光と共に胸の辺りを中心に黒い突起物のような結晶が生えはじめるたのだ。

そして突然のことに男は焦ったがすでに遅く結晶は全身を覆い尽くし、男が反射的に閉じた目を開くと視点は高くなり自分は五メートル近くの巨人になっていたのだが。

 

「ハハハハッ…!」

 

同時に男の精神を黒いナニカが飲み込んだ。

 

 

★★★★★

 

「なに…あれ…」

 

セレナはギアの変身が解け無茶をしたせいで来るバックファイアの負荷があるにも関わらず目の前で起こる化け物同士の戦いから目を離せないでいた。

 

それは彼女が絶唱を放つ前にネフィリムの攻撃がセレナを葬ろうとした直後のこと。

 

突如乱入してきた鉄の巨人はネフィリムを蹴り飛ばし、ネフィリムもいきなりの事に驚きつつもセレナから巨人へとターゲットを変え襲いかかる。

 

だがそれが命取りだった。

 

ネフィリムが巨人の体をどれだけ殴り、切り裂こうとしてもその体は傷つかず、逆に巨人の持つ淡い青色の光を放つ鉄筋コンクリートの柱は確実にネフィリムの体を抉る。

 

だからこそ巨人はセレナがあんなにも苦戦させられたネフィリムを文字通り蹂躙している。

 

「ギャハハハハハハッ!!潰れろよ…ゴミ虫が…」

 

――MASS BLADE

 

「GraAaaaAr…!」

 

「凄い…」

 

そして巨人の最後の一振りがネフィリムの頭を吹き飛ばし頭部を失ったアルビノ色の巨体が音をたてて倒れ動かなくなる。

 

 

だがそれと見たセレナは緊張感が解けたのかはたまた戦闘後の疲労からなのか…。

 

「セレナァァァアァァ!」

 

頭上へと降り注ぐ瓦礫に気づかず、自分の姉の叫びを聞きながらも意識を落としてしまった。

 

「………ここは?」

 

次にセレナが目を覚ますとそこは見覚えの無い場所だった。

 

「確か…私…そうだマリア姉さん!…!?」

 

 

そして意識が覚醒するにつれ様々な事を思い出し、不安になる。だが自分の意思とは裏腹何故かに体に力は入らずセレナは起き上がることすらできなかった。

 

★★★★★

(私の体…どうなっちゃったんだろ…)

 

彼女が起き上がることができないままどれだけの時間がたっただろう。セレナは部屋の中をある程度見渡しながら自らの体の自由が利かない事を考える。

 

(多分無理しちゃったからだよね…マムやマリア姉さんに怒られちゃうかな…)

 

そしてセレナがそんな事を思っていると。

 

「やぁ、嬢ちゃん目が覚めたかい?」

 

「あっ…お兄さん!無事だったんですね!」

 

「あぁ、嬢ちゃんのお陰でね!この通り元気さ」

 

部屋の扉をノックし見慣れた男が入ってくる、そしてセレナは目覚めてからずっと安否が気になっていた彼が無事なことに気づきホッとしたのだった。

 

男はセレナの体を起こしてやり、ベッドの脇にある椅子へと腰掛けると真剣な表情しクリップボードに付けてある紙に何かを書き込み始め、セレナとボードを交互に見ながら質問を行っていく。

 

「ところで嬢ちゃんにとって辛い質問なんだが…目が覚めてから何か体に違和感とか無かったかな?例えば~…感覚が無いとか、目が見えないとか?」。

 

「えっと…お兄さんが言った通り特にありません…」

 

「そりゃよかった!じゃあ、特に問題はないね」

 

そして何気ない会話をしながらも一通り質問が終わると男はボードを脇に置き、彼女の体へ特に異常がないことを伝え部屋を出ようとすると。

 

「あのっ!」

 

「どしたの?」

 

「えっと…私が気を失った後…の事を教えてもらってもいいですか?」

 

セレナには気になる事があるのか男を呼び止め自分が気を失った後の事を聞く、すると男は少し考え込む素振りをすると片手の指を三本立てながら言った。

 

「………三つだけ」

 

「えっ?」

 

「キミにとってとても辛いと思うが…受け入れて欲しい現実が三つだけあるんだ…。」

 

「辛い事…ですか?」

 

「あぁ、だが返事は今じゃなくていい…気持ちの整理がついたら教えてくれ」

 

そして男はセレナが答えるのを待つのであった。

 

 




冒頭ぶりてす傭兵の皆様。
さて、またもや最後まで読んでいただいたことにクライアント(作者)はきっと喜んでいることでしょう。

更には一話を投稿してから少なからずお気に入り登録者が数名居たことによりクライアントも安心したと思います。

最後に私はこのあらすじにしか登場しませんが微力ながら傭兵の皆様の誤字報告や評価などの援護がクライアントのモチベーションアップへとつながることでしょう。
それては失礼いたします。

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