戦姫絶唱シンフォギア~I'm thinker~   作:トライグルー

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全く、誰が死んだというのです作者は…。
失礼しました傭兵の皆様。さて、ブリーフィングを開始したいところなのですが……何をしているのです早く自己紹介したらどうですか?

えっと…。本当にこれやらないとダメなのか?

当然です。

天羽奏だ…その…気づいたらここにいておぺれーたー?って言うのをやれって言われてるから今後ともよろしくたのむ!ってもう時間ないじゃないか!?

はぁ、またですか…。


大人の役目

「あいむしんか~とぅ~とぅ~とぅ~とぅとぅ~」

 

「主任その歌なんですか?」

 

「さぁね~。なんとなくだよセナりん」

 

ライブ会場の惨劇から約一年近くが経った。主任とセナの二人はとある学園の地下に建造された特異災害対策機動部二課本部の廊下を歩いていた。

 

「そうだ。セナりんたしか俺ってどっかの中学校に講義をしに行くはずなんだけど何時だっけ?」

 

「明日ですよ主任、それがどうかしたんですか?まさかとは思いますけど一応主任はノイズの研究者としてここにいるんですからサボるとか言いませんよね?」

 

主任は仮とはいえノイズの研究者としてこの組織に入っているためかセナに時々行うの講義の予定を確認する。

セナは主任に当日の日にちを教えるがその顔はどこか呆れており、薄目で主任を睨んだ。

 

「アハハッ!あれ、もしかしてバレちゃった?」

 

「もしかしなくてもバレますよ!?それで何回他校の講義をキャンセルしたと思ってるんですか!?」

 

「だってそのキャンセルした学校ってライブの被害者の人たち居ないじゃん」

 

「だからって……真面目に仕事しましょうよ…」

 

「うふふ、朝からこ熱いわね二人とも」

 

セナは自分の予想が当たったのか肩を落とすがふと後から声をかけられ二人は振り向く。

 

「了子さん!聞いてくださいよ。また主任が講義をサボろうとしてるんです了子さんからも何か言ってあげてください!」

 

「ダメよ主任女の子を困らせちゃ?それに今回で最後なんでしょライブ被害者のケア作業」

 

そこには柔らかな笑みを浮かべた櫻井了子が立っており主任に対しセナのために彼女なりの活を入れる。

 

 

「まぁね~。それに司令官殿に『学問に励む子達に正しいことを教えてやってくれ』なんて言われたらやるしかないじゃない?というわけでセナりんまた明日。現地の中学校出会おうね~!」

 

 

「えっ、主任まだ午前中ですよ!?仕事」

 

そして主任は話し終えるとまだ午前中にも関わらず二人に手を振りセナの制止を無視し出口の方へと歩いていくのであった。

 

 

★★★★★

 

『人殺しー!』

 

『金泥棒!』

 

とある一軒の民家の外で数人の人々がプラカードを掲げ様々な罵倒を浴びせる。

その家の中では一人の少女が布団をかぶり必死に聞こえない振りをしていた。

 

彼女はあのライブ会場で重症を負うも奇跡的に助かり、再びいつもの日常に帰れると思い入院生活を過ごすが現実は違った。 

まず彼女が学校へと登校した際クラスメイトから浴びせられたのは暴言だった。

『なぜアンタが生き残ったの!?』生き残った彼女には決してそんなつもりはなかった。だが将来を有望されていた男子生徒が死んだこと、そしてその男子生徒を慕っていた女子生徒がそう叫んでしまったことで彼女は全校生徒からのターゲットになってしまう。

 

しかし彼女の不幸はそれだけではなかった。

彼女の生還を喜んでいた父の会社でもトラブルがあり父親はプロジェクトから外されそのせいで社内でも彼を持て余すことが多くなる。

そしてプライドを引き裂かれた父親は酒量が増えある日を境に姿を消した。

 

以降彼女は自分と家に残された祖母や母親と暮らしているのだが、世間では所謂魔女狩りの風習のように被害者が世間から避難され例え休日であろうともこの様に罵倒を受けているのだが。

 

 

『なんだよアンタ!邪魔するのか!?』

 

『そこどけよ!』

 

今日はいつもと違い人々の様子が変であった。彼女は気になったのか布団から這い出て玄関の隙間から外を覗く、するとそこには白衣に笑顔のホラーマスクという奇抜な格好をした男が立っておりその男は人々の注目を集めると話始めた。

 

『ねぇねぇ、お兄さんたち何してるの?なんかこの家に結構な恨みを持ってるみたいだけどサァ!もしかして此処って犯罪者の住む家?』

 

『知らないのか?犯罪者みたいなもんだよ!あのライブで生き残ってのうのうと暮らしてるんだからさ!』

 

『『そうだ!そうだ!』』

 

彼女はただ仮面の男は理由を知らず通りかかっただけなのだと思い玄関の扉を閉めようとする。だが。

 

『へぇ~あのライブねぇ!じゃあこの家の人は()()()()()()()()わけだ!』

 

男はまるで生き残ってくれて良かったかのように喋りそれを聞いた彼女は手を止め再度隙間から覗きこむ。

 

 

『なんだよ!アンタもしかしてここのやつの味方をするの『ところで君さぁノイズから逃げたことある?』は?』

 

男は一番怒鳴っている若者にぬっ、と近寄り言葉を遮ると逆に質問する。

 

『だからノイズから逃げたことがあるかって聞いてるんだよ。この辺でも何回か警報位は鳴っただろ?』

 

『なんだよ……そ、それくらいあるに決まってるだろ?』

 

若者は怖じ気づいたのか数歩下がるが仮面の男はそんなのはお構い無しと白衣の内側をまさぐりだしお目当てのモノを見つけ男は何を思ったのかゆっくりと若者に顔を向ける。

 

『いやぁ、俺も実は家族をノイズに殺されてさぁ~!要は君も生き残ったと同じだよねぇ?』

 

『だからなにが言いた……ッ!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いやいや、ちょっとお手伝いをね!』

 

 

そして若者が反論する前に男は懐から黒い物体を取り出し彼に向けると乾いた音を一つ響かせた。

 

 

★★★★★

 

(うそ……!あの人…殺したの!?)

 

扉の隙間から覗き込んでいた少女は自分の目を疑った。

最初は仮装をした通りすがりの人が間違えて自分の家の前に来てしまったのかと思った。

しかし彼女の予想は男外れ男が脅されすぐに逃げていくかと思ったが彼はまるで映画の中のように懐から拳銃を取りだし人を撃ったのだった。

 

『ひ、人殺し!?』

 

『コイツ銃をもってるぞ!?』

 

当然そんな光景を見た外の人達はパニックになり逃げ出す。しかし中には腰を抜かす人や唖然とし逃げ遅れたものまでいる、だからこそその人達は自分が殺されないように言葉を捻り出していた。

 

 

『な、なんで俺達を撃つんだ!殺すならアッチだろ!?』

 

『アハハハッ!そうだっけ!?ま、いいんじゃないのどうでも、あっちが残ったほうが面白いよ!』

 

“狂気的”、“狂っている”仮面の男の言葉に誰もがそう思わざるを得なかった。

そして限界が来たのか一人の男が声をあげ思った事を口に出す。

 

『は、ハァ!?どうでもいい?面白い!?そんな理由で殺したのか!?なんなんだよお前い、イカれてるぞ!』

 

 

 

『イカれてる……俺が?クククッ。いいや、イカれてるのは全部だ!知っているだろ?ノイズはこの国では十三年前に災害として認定されてる。なのにアンタらは魔女狩りのようにグジグジと……ってアレ?』

 

男は額を手で覆い話し始めるがふと振り向くとそこには誰も居らず唖然とした。そして。

 

『はぁ~。人がせっかく大事な話しようとしてるのに居なくなるのはよくないなぁ~ホント……。緒川くんもういいよ~挑発役ご苦労様~』

 

仮面の男は拳銃を懐にしまい撃たれて死んだと思っていた若者に声をかけるとその男はむくりと起き上がり何事もなかったかのように仮面の彼と話始める。

 

『さて、この家の人にも迷惑かけちゃったし謝らないとね』

 

「ひっッ!?」

 

そして仮面の男はクルリと振り向き少女のいる玄関へと歩きはじめ彼女は小さく悲鳴をあげる。

 

(も、もしかして私殺されちゃうのかな…)

 

「あれっ、大丈夫この子?気を失ってない?もしかして俺やっちゃった?」

 

結果少女が最後に見たのは仮面を外し慌てはじめる男の姿だった。

 

★★★★★

 

「響~起きてる?今日学校どうする~?」

 

響と呼ばれる少女が次に目を覚ますと何故か自分の布団で寝ており彼女の母親から今日学校へと登校するか否かを問われる。

 

「えっ。あ、うん…行くよ。それよりお母さん昨日のことなんだけど…」

 

「昨日?響ったらずっと寝てたじゃない。どうしたの?悪い夢でも見た?」

 

「ふぇ…夢…?」

 

「響ったらまだ寝ぼけてるのね?ほら、遅刻するわよ」

 

「ホントだッ!?急がなきゃ!」

 

響は母親に昨日の出来事を尋ねるが母親からは自分は一日中寝ていたと言われる。そして響は今一ピンと来ないまま学校へと登校した。

 

『今日はお昼休みの後全校生徒は体育館へ集合してください』

 

「なにがあるんだろ?」

 

「先生から聞いたけどなんかノイズを研究している学者さんが来て色々教えてくれるらしいよ?」

 

(ノイズかぁ……いやだな…私呪われてるのかも…)

 

その日の休み時間。校内放送にて午後の授業はせず体育館にて学者の講義があると発表される。

響は他の子達が話している内容が聞こえ、ノイズという言葉に対してライブ会場の光景が甦る。

 

「よーし!お前ら廊下にならんで体育館に向かうぞ~!」

 

そしてあっという間に時間は過ぎ、響はクラスの生徒と共に教員指導のもと体育館へと向かった。

 

『えー、それでは。これより皆さんにはある学者さんかるお話を聞いてもらいたいと思います。えー、近年とあるライブ会場にて悲惨な事件があり。

わが校の生徒も少なからず被害に遭いました。よって、ノイズ研究所からお忙しい中来てくださった学者さんにその危険性、対処法などを教えていただくため午後の授業を使いこの様に全校集会を開いたわけです。それでは先生お願いします』

 

「あっ…」

 

響は全校生徒の前で長々と話す校長の言葉を聞き流し、校長が学校に来た学者を紹介し終わると周りに合わせるように拍手をする。

しかしその学者はまるで昨日見た仮面の男のような気がしており彼女がその学者の声や喋り方を聞くと予感は的中した。

 

 

『やぁ、どうも。先ほど校長先生から紹介された学者さんだ。こちらの事情で本名は言えないがそうだな~…ノイズの学者だからノイズさんと呼んでくれればいい!』

 

ノイズさんは冗談を交えながらもプロジェクターを使いノイズに関する様々な事を教えていく。

そして彼は一通り喋り終わると全校生徒に対し質問の時間を作った。

 

 

『さて、他に何か聞きたいことはあるかな?機密情報外でなら時間が許す限りお話しよう!』

 

「はい!」

 

そして幾つかの質問のあと同じクラスであろう一人の女子が元気良く手を挙げる。

 

『はい、元気がいいそこのお嬢さん!お名前は?』

 

小日向未来(こひなたみく)です!」

 

『ん~、いい名前だ。それで小日向ちゃんはどんなことを聞きたいのかな?』

 

「その……こんなこと言うのは間違っているとは思います!でもあのライブで生き残ってしまった人は本当に悪いんでしょうか!」

 

響は彼女の言葉に肩をビクリと揺らし周りからの視線を気にしないよう顔を伏せる。

 

『いい質問だ。それじゃあ少し難しいけど皆はノイズが特異災害に認定されていることは知っているかな?』

 

男は用意していたのかスクリーンの画面を変えると生徒

が頷いたのを確認し話を続ける。

 

『というわけで小日向ちゃん悪いが続きだ。もし君が地震などの自然災害に遭い家がつぶれたとしよう。その場合国からの支援金やらが出るわけだが……それは悪だと思うかい?』

 

「いいえ!思いません!」

 

『だろう?何せ災害だからね……いつ起こるかもわからない上通り魔に会う位の確率。自然消滅するまで此方はなにもすることが出来ず一瞬でも触れたら即アウト……生き残っただけでも奇跡だ』

 

「……っ!」

 

だが話の内容は響の考えと違った。むしろ昨日聞いた内容とほぼ同じだったのだ。

 

『だけどお金欲しさや何故自分だけという喪失感が相まってあのライブの被害者は悪だなんで世の中は決めつけてる。これっておかしいと思わない?本当ならなぜ生き残ったではなく生き残ってくれて良かったなのにさぁ?』

 

そして男の言葉に生徒全員が黙り混むがそのなかで一人だけ否と告げる生徒が現れた。

 

「納得できません!だって彼は頑張っていました!コイツなんかよりも頑張っていました!なのになんでコイツが生き残って彼はダメだったんですか!」

 

彼女は響を指差しながら涙ながらに彼に抗議する。

響は当初の虐めを思い出してしまい塞ぎ込むように膝に顔をつけ早くこの時間が終わってくれないかと思ったが。

 

『キミ誰?』

 

「関係ありません!だって『黙れよ…』ッ!?」

 

『あー、先生方?もうスクリーンいらないから片付けちゃって今すぐ』  

 

男は女子生徒の言葉をドスの利いた声で遮る。

男は時計を確認すると今までのおちゃらけた態度とは一変しまるで脅迫でもするかのように喋り始めた。

 

『じゃあもう時間もないから良く聞け()()()()()今の話を聞くとお前らは一部を除き全校生徒全員でその被害者を虐めてることになる。メディアの影響だかなんだか知らないがお前らのやっていることは間違えてるいいか?お前らゴmぃ!?』

 

 

男はさらに追い討ちをかけようと言葉の使い方を荒くしていくだが突如後ろからパイプ椅子を持った女性が思い切り男の後頭部をひっぱたき気絶させると引きずっていきその日の授業は終了した。

 

 




この主任って男スゴい奴だな!?もしかして弦十郎の旦那を救ってくれたのもコイツじゃないのか!

貴女はこう言うときだけ口が達者になりますね。その才能をブリーフィング時にも出してもらいたいものです。

悪かったよオペ子さん。次は頑張るからさ

……期待はしないでおきましょう…とりあえずオペ子は止めてくださいバカにされている気がするので。

それでは傭兵の皆様また次の機会に

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