異界に昇る太陽と鷲   作:鎌森

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タイトルは機械翻訳を使ってるので間違ってたらごめんなさい
あと、本話は2本更新したうちの2話目です


挿話:One day in the modern-day

 えー今日は前回の続き。転移後の混乱期を終えた頃、具体的には地球諸国と新世界2カ国(公国とクイラ王国)との交流が開かれた頃の歴史をやっていこうと思う。ああ、期末テストに出るからマジメに聞いておくように。

 

 えー、おほん。うん。えー、まずは教科書123ページ。中央歴1639年の1月23日に行われた日独首脳会談だな。

 東京で行なわれたこの会談では日本とドイツの時間軸のズレが正式に確認されたことで有名だ。確か、2年と…えーっと、8ヶ月くらいだったかな。今じゃどっちも中央歴を使っているからあまり意識されないがな。

 因みに、陣営の東西を問わず世界中の学者がこの現象を熱心に研究しているが、今でも何故我が国とドイツがこの世界にやってきたのか、そして何故時間軸がズレていたのかは分かっていない。ネット上では『天照大御神に昭和天皇陛下がこの世界を救うように命じられたから』なんて話が出回っているが…まあ、眉唾物だよな。

 ああそうそう、これはテストに出ないからそんなに必死にノートに取らなくてもいいぞ。ん?話が違う?ハッハッハ。ぶっちゃけ、この会談は『今後とも仲良くする方向でいこう』ということを互いに確認しあった程度だから覚えてなくてもいい。

 

 重要なのは二回目、二月三日にベルリンで行われた第二次会談だな。

 この会談ではかの有名な新世界技術流出防止条約が締結されたんだ。この条約は色んなところで聞かれるから、いつ、どこで、どんな目的で締結されたどんな名前のどのような条約なのかは絶対に言えるようにしておきなさい。ノートの準備はいいな?

 よし、えーこの条約はその名の通り『新世界各国へ地球の技術が際限なく流失するのを防ぐ』目的で締結された。これにより新世界国家への輸出が制限された物は非常に多い。

 主な物は自動車、航空機、戦車、潜水艦などなどだ。最低でも3つは挙げられるようにしておきなさい。

 …まあ、この条約の目的はさっき言った通りなんだが、先生は本当は違うと思ってるんだよな。

 教科書をよく見てみたら分かるんだが、この条約では『30mm以上の口径の対戦車砲』やら『排水量5000トン以上の艦艇』やらやけに数字が具体的に決められているものがあるんだ。

 

 もちろん、技術流出を防ぐという意図もあるんだろうが…先生は真の目的は『相手の優秀な兵器が新世界に流れる』のを防ぐことだったんじゃないかと思うんだよな。

 日本はドイツ製の優秀な大砲が、ドイツは日本製の優秀な軍艦が新世界国家に輸出されたら困るだろう?

 ドイツからしたら型落ち品でも、当時の日本の最新鋭の戦車を簡単に撃破できたんだ。何せ二年以上もの差があったんだから。

 一方で海軍がほぼ壊滅していたドイツにしてみれば、日本製の軍艦を敵対する新世界国家に輸出されたらたまったもんじゃない。

 だから互いに輸出制限をかけようとした結果がこの条約なんじゃないかなと先生は思う。…あ、すまん。余計な話だったな。

 

 ごほん。えー、次のページ。次は転移太平と新世界特需の話だな。

 転移以前、要は地球にまだ日本があった頃だ。友邦満州帝国の成立から転移する西暦1941年の終わりまで日本は断続的に戦争を繰り返していた、というのは少し前にやったよな?有名どころじゃあ上海事変やノモンハン紛争、あとは日支(日中)戦争なんかだな。

 それが転移して平和になったからお前らのひいお爺ちゃんひいお婆ちゃんなんかは転移太平って呼んでたんだ。

 

 まあ、これに関してはこれ以上言うことないから次。次は新世界特需だ。

 転移後、初期の極短期間を除いて日本は好景気に湧く。主な要因はドイツの戦災復興だ。

 当時のドイツ国は地球での戦争の果てに国土がズタズタにされていた。写真21・22なんかを見ればわかるが、ケルンやハンブルクなんかのドイツ主要都市は文字通り瓦礫の山だったんだな。

 そんな状態だから、当然復興に必要な資材を全部自分で作るなんてことは出来ない。だが、公国やクイラ王国ではドイツの求める品を作ることが出来ない。だから日本に注文が殺到したんだ。

 かつての大戦景気の再来とまで言われた活況に日本中が沸いた。同時期三菱なんかを筆頭にした企業群や投資家達がクイラ王国領への大規模投資を行うことが出来たのもこの好景気あってこその話だろう。

 また、代金代わりにとドイツ製の種々雑多な兵器群が日本に輸出されたのも非常に大きかった。

 特に戦車・火砲・ラーダー(レーダー)ラキータ(ロケット)の技術は数年を飛ばして進んだなんて言われている。こういうのに興味がある人は堺市の陸軍博物館に行ってみるといいぞ。あ号飛行爆弾みたいな珍しい兵器も展示されてるから。

 話がズレたな。ごめんごめん。そう睨むなって。癖なんだよ。…おほん。次は124ページの四行目から。

 えークイラ王国の急速な開発が始まったのもこの辺りからだ。何せ王国の無尽蔵な資源が無ければ日本の産業は終わる。

 好景気に喜ぶ国民に反して、政治家や資本家達の焦りは相当なものだったそうだ。パイプラインを敷く時間も勿体ないからタンクを備え付けた自動車を使って海岸に直付けした油送船に石油を運ぶなんて冗談みたいな話も真剣に協議されていたらしい。

 

 次のページ。

 さて、数ヶ月時間が飛んで次はドイツ国臨時党大会、通称『戦勝大会』だ。開催日なんかはよく聞かれるから覚えておけよ。先生おすすめの覚え方は再試の日(三月十四日)だ。

 えー、おほん。これは西暦1938年以来ドイツの暦では6年ぶりに開催された大会で、その名の通りドイツの対連合国戦勝を祝う大会だ。あ、連合国は分かるな?イギリス・フランス・ソビエト・アメリカを核とした多国間同盟の事だ。

 ん?なんだ。安藤。何か言いたげだな。言ってみなさい。ああ、怒っているわけじゃないから安心しろ。

 

 ………あー…それは絶対にドイツ人には言うなよ。まあ負けた訳では無いからな。それにそういう事を言い出したら日支(日中)戦争もややこしい話になるから。

 

 おほん。えー、この大会は公国軍や日本陸軍も参加したそれなりに規模の大きなものだった。

 ドイツ国第二代総統によるヒトラー批判の影響で『ドイツの復興が遅れた』と批判されがちだが、近年ではドイツ国民の鼓舞や周辺諸国、特に我が国への示威という点でかなりの効果があったとして再評価される傾向にある。

 それに事実上の敗せ…芳しくない戦況を見て沈んでいたドイツ人はこの大会を契機に、数度に渡る新世界における戦争を経て完全に自信を取り戻したと言われている。長らく人種差別主義者の気狂いとされてきたヒトラーも、何にかしらの神算鬼謀を巡らせていたのかもな。

 実際に国賓として参加した東條首相や私費・公費で向かった様々な日本陸海軍武官は『衰微してなおドイツ軍恐るべし』と書き記しているし、当時のクワ・トイネ公国首相カナタは『転移国家の軍事力は隔絶している』と諸手を挙げて賞賛し、畏怖している。効果は非常に大きかったと言えるだろう。興味がある人は彼の書いた回顧録を読んでみるといい。党大会のみならず、新世界人から見た我々の印象なんかも知れて面白いぞ。尤も、耳の痛い話も多いがな。

 

 …と、今日はここまでか。えー次回はルーチオ事件とロデニウス戦争についてやっていこうと思う。教科書、資料集を忘れないようにな。はい、日直、号令。




皆さんは日本国召喚二次創作に何を求めていますか(多分これによって本作の内容が変わることは無いです)

  • 日本軍(ないしは召喚国家等)による無双
  • 異世界文明と地球文明の接触・交流
  • 政治的駆け引きや国際情勢の描写
  • その他
  • 全部

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