爪の勇者の生き残り   作:赤山大和

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14話

盾の勇者との接触を決めてから二週間。

仲間達を十名程連れていよいよメルロマルクに赴く事に。

 

時期としては一度めの波を乗り越えた所になる。

四聖の勇者の情報集めと少し前に治めた波の処理と次回の波における対策等を行った結果ここまでかかってしまった。

 

自国を優先だから仕方ないが原作の幾つかのシーンを見逃してしまったな。

 

それと勇者達だが多分原作通りだ。槍の勇者が飢饉の村を救ったとか剣の勇者が竜を倒したとか、弓の勇者が何処かの革命軍だか反乱軍に協力しているらしいという話しもある。

それと奇妙な鳥の引く馬車の話し。

これは盾の勇者だろう。

既に行商を始めているようだ。

 

とりあえずの俺の目的はバイオプラントの種の入手と盾の勇者への接触。

バイオプラントの方は槍の勇者の偉業として一度流布されていたらしくおおよその場所はわかったが盾の勇者の居場所は残念ながら特定出来ない。

 

 

なのでバイオプラントのある村に冒険者として赴き、盾の勇者の到着を待つという事に。

 

現場を見た感想としてはうわーという感じだったが。

道を埋め尽くすように蔓のような植物が蠢いて村を呑み込んでいるのは普通に気色悪い。

 

「カズマ様、これはどうしますか?」

 

仲間達にはこれの対処に来る勇者と接触すると伝えてはあるが放置するのはどうかと思っているのだろ。

 

「植物をある程度は倒しておこう。それと村人の退避と保護はしておこう」

 

「「「はい」」」

 

そんな訳で植物を倒して武器に吸わせていく。

対処自体は楽に出来るし先に種を入手しておいてもいいかもな。

 

連れて来た奴隷達と共に村と村人達の避難場所の間で植物の排除を進める。

 

 

村人を守りながらバイオプラントを吸収し新しく出てきた爪の解放を行ってから三日ほど立つと奇妙な鳥の引く馬車がこの村へと訪れる。

 

 

おお、ついに原作の主人公との対面か。

 

とはいえ、今は村人達との話し会いをしている最中。

彼らの話し会いが終わるのを待つとしよう。

 

 

「うわぁああああああああ!」

 

 

村の方向から聞こえる叫び声。

またか。Lv上げをするとバイオプラントに向かう冒険者達はこの三日で何人も見たが懲りないな。

 

 

いくぞ。

救出に向かうとボロボロの冒険者とフィロリアルに遭遇。この子がフィーロか。

 

「んードラゴン!」

 

セシリアに向けて敵意を放つ。

そういえばドラゴンとフィロリアルは仲が悪いのだっけ。

 

「下等な鳥風情が生意気な」

 

フィーロに向けて殺気を放つセシリア。

それに気圧されるフィーロ。敵意を向けるにしろ相手を選べよ。

 

 

「止めろセシリア。」

 

セシリアを止め、冒険者達を担いで盾の勇者の元に。

 

「はい。カズマ様」

 

仲間を引き連れて盾の勇者との対面だがこちらに向けられる視線は訝しげなものだ。

目付きが悪いな。こちらを警戒するような視線。

側にいる亜人の少女、ラフタリアも盾の勇者を護るように前に出る。

 

 

「………あんたが神鳥の聖人か?」

 

 

「なんだお前は」

 

俺を見て、次に俺の後ろにいる仲間を見て警戒の色を強くしている。

 

「一応、冒険者だよ。本来の拠点はこの国じゃなくて他の国だけどな」

 

原作で言えば盾の勇者は騙されて酷い目に合った人間だからな。嘘は厳禁で出来るだけ誠実に対応した方がいいだろう。

 

 

「へぇー、まぁどうでもいいが何のようだ」

 

 

「この村の異常をどうにかする為に協力を頼みたい」

 

 

原作では盾の勇者の作った除草剤で倒してたしな。

俺達が下手にやって種ごと消滅とかさせたら笑えない。

 

 

「断る」

 

「理由を聞いても?」

 

「俺にこいつらを助ける義理はねぇ。それに国の勇者に頼んでるそうだしな」

 

「なるほど」

 

むしろ国の勇者が来る前にさっさといなくなるつもりか。それだと少し困る。俺も盾の勇者以外とは接触するつもりないし。

 

この頃の勇者達は会話にならないみたいだからな。

 

「あの………聖人様、どうかこの村を救って頂けないでしょうか?お金ならどうにか工面いたしますので」

 

話を聞いていた村人達が集まって懇願している。

 

「………先払いだぞ。あと…………何があっても後から苦情は聞かないからな。他に槍の勇者が解いた封印の概要とかを、知ってる範囲で答えろ」

 

盾の勇者の返答に村人達は寄付を呼びかけ、その間に情報を提供していた。

 

大昔の錬金術師が作った傑作の一つでなぜか封印された物であること。記述によれば一時期この近辺が植物によって支配されたと。この辺りは俺も知ってる範囲だな。

 

 

「そんな伝承があるなら封印を解くなよ!誰も気付かなかったのか?」

 

ごもっとも。

 

それからしばらくすると寄付が集まり要求額に届いたようだ。

 

「わかった。じゃあやってみるとするか」

 

そう言って盾のを変化させた事で村人達も目の前にいるのが盾の勇者だと気付いたみたいだ。

 

ラフタリアをフィーロを連れて蔓の中へと進むその後ろに俺も歩いて行く。

 

「………なんだよ」

 

後ろに付いて来た俺を不信な目で見てくるな。

 

「最初にこの村を救う為に協力して欲しいって言っただろ。俺達も協力する」

 

 

「……分け前は出さないぞ」

 

 

村人からの報酬の入った袋に手をやっている。

 

「ああ。構わない。俺の目的は錬金術師が封印した種の方だからね」

 

 

そう言うと呆れたような顔を向けて来る。

 

 

「…………お前、これが欲しいのかよ」

 

村を覆う蔓が指差される。

 

 

「もちろん。このまま使えるとは思ってはいないよ。だけど変異しないように改造できれば食糧難に対する対策となる。世界各地で起きている波の影響で食糧の供給は滞るだろうからね」

 

原作でも食糧の問題は話されていたからな。

対策は必要。それに既に解放しているバイオプラントクローで植物改造が出来る事もわかっている。

 

 

「………勝手にしろ。言っとくがお前達を助けたりはしないぞ」

 

 

「大丈夫だよ。これでも俺は爪の勇者だからね」

 

 

そう言って腕にある爪の形状を変化させる。

 

それをみた盾の勇者の顔が驚愕へと変わった。




盾の勇者ってこの頃は七星の勇者の存在を知らない。
だけどラフタリアは何で教えなかったのだろうか。
三勇教の事を含めて教えても良かったと思うのだが。
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