爪の勇者と俺が名乗った瞬間に盾の勇者は驚愕の表情に変えて俺と距離をとった。
「爪の勇者だと?お前は何者だ?」
「うん?何者って言われてもな。この世界に召喚された七星勇者の一人である爪の勇者・神原一馬としか言えないが。七星勇者の事くらいは知ってるだろ?」
多分、知らないだろうけど少し調べれば分かるはずの事だからな。知ってる可能性もある。
「いや、知らん。ラフタリアは知っているか」
……………少しくらいこの世界の事を調べた方が良いと思うぞ。
「はい。四聖の勇者と深い関わりのある勇者でこの世界の者でもなれる冒険者の憧れの職種です」
「その認識で間違いではないよ。正確には七星の武器は四聖の眷属器と考えて良い。四聖の下だから勇者同士で起こる反発もないしね」
実際、今の現状でも蔓や魔物を倒した経験値は入って来ている。
「………なるほど。それで、その七星の勇者が何で俺に会いに来たんだ」
あからさまに警戒しているな。まぁ、仕方ない事だが。
「俺の召喚された国では爪の勇者が信仰されている。その繋がりで盾の勇者を信仰しているシルトヴェルトと同盟を結んでいるんだ。そのシルトヴェルトと長年敵対しているメルロマルクに盾の勇者が召喚されたうえで不遇な扱いを受けている。………最悪の場合は戦争になりかねない状態なんだよね」
原作通り女王が頑張ってるよ。
フォーブレイで苦労しているだけでなくて幾つかの国にも飛び回っているらしいけど。
「戦争だと?それに盾の勇者を信仰?」
初めて聞いた事なのか戸惑った表情をしているが直ぐに何かを考える顔に変わった。
「その場合には盾の勇者が三勇教やこの国に襲われる可能性が高いと考えている。その時の為に盾の勇者に支援をするなりこちらに取り込むなりをする為に接触しておきたかったんだよ。後は敵対する可能性のある三勇者の実力を知りたいってのもあるね」
「…………どうやら、色々と聞く必要があるようだな」
「そうだね。まぁ、俺自身が教えられるのはこの世界に来てからの数ヶ月の間での事だからあまり多くはないけど」
勇者の強化方を全て教えるのは避けた方がいいよな。
でも、後々を考えると強化方を教えないというのは悪手か。
「そうか。三勇教ってのがなんなのか聞きたいが。それと、お前の仲間達だか」
周りをみると俺と盾の勇者を囲う様に円陣をつくり魔物を狩っている。
魔物達は俺達に近付く事も出来ないで彼女達に凪ぎ払われる。
魔物に囲まれた場所でのんびりと話しながら歩けるのは彼女達のおかげだ。
「強いでしょ。奴隷使いの爪や魔物使いの爪なんかを解放しているからその補正を受けて彼女達のステータスはLvよりも20は高いよ」
実際は資質向上をしているのでそれ以上だけど。
「奴隷と魔物か」
竜帝であるセシリア以外にも何人か魔物を仲間にしている。
「盾の勇者、ナオフミで良かったかな。戦力を整える為にももう何人か奴隷を増やす事を進めるよ。特にこの国だと奴隷とかでもない限り信用出来ないだろうしね」
原作では霊亀を倒す辺りまでは奴隷がラフタリアだけだったがもう何人かいれば戦いは楽になったはずだ。
「お前は他の勇者のように奴隷を使う事を咎めないのか?」
「ん?俺自身が何人もの奴隷を従えているし。波でも彼女達の優秀さは証明できた。それに、この世界にいる転生者や憑依者に対する対策となるからね」
何処に転生者や憑依者がいるかわからないけど奴隷達なら信用出来る。
「転生者?それに憑依者だと?」
訝しげな視線を向けてくるな。
「異世界転生物って小説とかで読んだことないか?この世界にはその転生者が何人もいて七星武器の奪い合いをしている奴らがいるんだよ。俺の七星武器の前の所有者はそいつに殺されたみたいだしね」
「なんだと。勇者の武器は奪える物なのか」
俺から距離を取ったのは仕方ない事だよな。
「安心してくれ。俺には出来ないから。ただ、勇者の武器を全部集めて俺が最強の勇者だとか言う奴がいるのは確かだよ。更に言えば複数の勇者の武器を所有出来るそいつを神の子だとか選ばれた存在なんて崇めてる奴がいるのもね」
俺にはただの強盗にしか思えないんだけどね。
「大丈夫なのかそれ?」
「ダメじゃないかな?俺も襲われてるし。まぁ、返り討ちにしたけど。とりあえず、ナオフミも七星勇者には気をつけた方が良いのは確かだね」
「お前は例外だとでも?」
「……信用しろとは言わないよ。ただ、俺が戦った奴らには勇者の加護が無くてあまり強くなかった。Lvが高いから脅威ではあるし波での戦いで障害になる可能性が高い。四聖と七星で十一人の勇者がいるはずなのに勇者の加護を得られない奴が武器を集めてる上に四聖の勇者の実力に不安があるとなるとね」
うん。
この世界を救うとか無理だと思っても仕方ない。
俺の疲れた表情に何かを察したのか一瞬、気遣うような表情を浮かべる。
「大丈夫じゃねえのか?あの勇者どもはゲーム知識とやらで強くなるだろうし」
「この世界がゲームだと勘違いしている馬鹿に何を期待しろと?そもそも、ゲーム知識を参考にしてある程度は強くなれても並みの冒険者よりも少し強い程度にしかなれないよ。多分、次かその次の波辺りで対応できなくなるんじゃないかな?」
原作だと次の波でグラスに負けて次の波ではたいした活躍出来なくなるんだよな。
それで霊亀に手を出してボロボロになるんだったな。
こちらの言葉に唖然とした顔をしている。
自信満々な勇者達の実力を酷評している訳だしな。
「………それは本当か?」
「強くなれない理由は幾つかあるけどステータスが上がっても戦い方、例えば武器の扱いや仲間との連携が上達する訳じゃないよ。それに、勇者の専用魔法何かはこの世界の文字の勉強をする必要があるしね。武器の修練や勉強をあの三人がすると思う?」
「それは」
「しなそうですね」
原作でも盾の勇者が勉強して覚えた事を否定していたよな。
「ステータスが高くてもプレイヤー自身のスキルが高くないとダメなゲームって幾つもあるよね。それに波を大規模なレイドバトルと考えた場合、彼らに戦う能力があると思う?彼らはそこそこステータスが高いだけだよ?」
「確かにあいつらに出来るとは思えん」
「そのステータスだって、長年この世界で戦ってLvを上げていた冒険者の方が上だったりするし。更に言えば、長年の間戦っていた冒険者の方が武器の扱いも上。ステータスが同じくらいだとしても武器の扱いが上手い冒険者の方が強いだろうね」
うちの奴隷達はもちろんとして国の騎士団の中に彼らよりも強い奴はざらにいる。
「…………勇者の存在意義がないな」
「勇者がまともならちゃんと強くなれるし、勇者の加護で仲間も強くなるしで波に対する頼もしい戦力なんだけどね」
現状じゃあ役立たずになりかねないよな。
因みに、主人公が村の中心に向かいながら話しているのはナオフミとラフタリアを監視している相手を警戒しての事です。
周りのバイオプラントは主人公達の敵ではありませんのでのんびり話していますも