謁見を終えた後は爪の勇者として来客部屋へと案内された。
王様が以外と好い人そうだった。
それと此処はシルトヴェルトの隣国で仲は悪くないらしい。
これは収穫。
此方の武器庫をみたいとか鉱石や魔物の素材が欲しいという要望に応えて貰えた。
武器庫はウエポンコピーを試すため。鉱石や魔物の素材は武器を解放する為にで要望したのだがあっさりと応じて貰えるとは思えなかった。
お陰で爪の武器が既に十を越える。
武器の強化には時間や手間がかかるからまだまだ弱いけど。
明日は旅の仲間を紹介して貰えるそうだが警戒するのは転生者と憑依者だな。
それと爪の勇者としてシルトヴェルトにも行く必要があるとのことなのでその時にタクトの仲間の襲撃を警戒する必要がありそうだ。
幸いにも俺が得ている転生特典の一つであるワンピースの覇気。その内の見聞色で悪意や敵意を少しは感知出来るからそういうのがいれば仲間からは外してもらおう。
それよりも今はだ。
現状で俺の腕は武装色により黒く変化している。
これで爪を強化出来ないかを試しているのだけれど結果は成功。
武器が黒く変化している。
それだけでなく自分の防御力と攻撃力も上昇した。
予想外なのは『武装強化が解放されました』という声が聞こえたことだな。
これは武器に武装色の覇気を与えているとゲージが貯まっていく。そしてゲージがMAXになると武器のステータスに武装硬化済みという表記がされた上で武器の性能と装備ボーナスが上昇する仕組みのようだ。
ただ、これの為に武器を変えて覇気を流す手間がかかる。覇気は有限なのでコツコツとやっていくしかないな。それと俺以外の勇者では不可能な強化方だな……不可能だよな?俺の他に覇気とか覚えて転生した奴はいないよな?
後の問題は俺の所有するもう一つの転生特典。
『ネオ・デカログス』。レイヴという漫画で最後のボスが持っていた剣だ。ファンタジー世界に転生すると思って強い武器が欲しかったんだよね。俺はこれを収納している異空間から自由にとり出せていたのだが。
今は装備できませんと表記されて弾かれます。
……………俺って、爪の武器がないほうが強いんですけど。
何とかならないか?
ならない?
いやいや、頑張ろうよ。
伝説の武器と神様の特典だよ。
……………………………………。
…………………………………………。
………………………………………………。
『デカログスクローが解放されました』
何とかなったよ。
爪がデカログスを吸収しようとしたら弾かれたから神様の特典のが上位なんだなとか思ったけど爪の武器が解放された。
デカログスの力を持った爪か。強いね。
だけどさ。俺ってばデカログスを手に今まで剣の鍛練してたのに爪の武器。
一応、無手での戦い方は学んでいたから何とかなると思うけど。
うーん。レベル制の世界に転生した事で今の能力がどうなるかだよな。
とりあえずは明日だな。
先ずは仲間の事を考えよ。
そんな訳で次の日に謁見の間で仲間を紹介された。
紹介されたのは五人の男女。
騎士団に所属する将来有望な青年騎士オズマ。
視線に此方を見下すようなものがある。悪意も感知。要警戒。
同じく騎士団に所属する女騎士カミラ。
此方を探るような視線を感じたが悪意は感じない。
爪の勇者を信仰するする爪教の女性神官リアス。
視線には敬意を。勇者ということで敬っていると考えるべきかな。悪意や敵意は無し。ただ、宗教というのは怖いので警戒はするべき。
この王宮のメイドでユリア。
何でメイド?と思ったが要人の護衛等もこなすバトルメイドという存在らしい。特に敬意等も感じないが悪意や敵意もない。王様にこれからは俺に仕えるようにと言われたようだ。
最後は若手の成長株の冒険者の少女でマリア。
冒険者ギルドとオズマからの推薦。こちらには笑顔で近づいているが目が笑ってない。敵意と悪意を感じる。警戒対象。ってか俺が警戒したオズマの推薦って時点で問題外。
………………王様は自信満々で推薦してきているのだから有能な事は確かだろうな。
けど、仲間として連れて行くのはゴメンだな。
「王様。旅に連れて行くメンバーからオズマってのとマリアを外してくれ。代わりがいれば他の人を頼む」
「…ッ」
「えっ?」
「…………カズマ殿。私の用意した者に何か不満があるのかね?」
まぁ、王様としては俺のために考えて用意してくれた人間何だろうけどね。
「不満というかオズマからは悪意を感じた。そんなオズマの紹介で来たマリアってのからも悪意を感じる。俺に悪意を持っている人間が繋がっているとなると仲間として連れて行くのは遠慮したい」
悪意を感じたと言うとこの場の視線が二人に集中する。
オズマは苦虫を潰したような顔をしたしマリアの方も一瞬顔を歪めたのが見えた。
「誤解ですよ爪の勇者様。悪意などと……」
「そうですよ。会ったばかりの勇者様に悪意なんて持つはずがないじゃないですか」
二人の弁明に周りは困惑した視線を俺の方に向ける。
「……二人が勇者様を見る目に敬意がなかったのは確かだと思います」
神官のリアスさんからもそう見えたか。
「勇者様の指摘を受けて顔を歪めたのは事実ですね。また、お二人の視線に勇者様を見下すようなものがあったのは確かかと」
これはメイドのユリアさん。
偉い人の護衛なんかをやる訳だしそういう視線に敏感なのかね?
二人がこちらを擁護した事でオズマ達を見る目が厳しくなる。
「待て。オズマは私の同僚で共に戦ってきた仲間だが人を無闇に見下すような男ではない」
これはカミラさん。
同僚として戦ってきたか。って事は憑依者の可能性が高いのか。
「…………俺の勇者としての知識では勇者の武器を奪い、勇者に成り代わろうする者もいるとある。俺は二人がその類いの相手に思えるし、カミラさんが二人を味方する人であるいじょうは仲間にはできない。王様、悪いが現状で仲間として連れて行けるのはリアスさんとユリアさんだけになる」
「な、そんな不届き者がいるのか」
周りが驚いてるし二人に対する視線も厳しくなった。勇者の武器を奪う輩がいるという情報はなかったのか。
勇者パーティー結成前に崩壊か。
レベル1の時点で敵をつくったのは失敗だけどな。
寝首かかれるとわかって連れて行くのは無理だよな。
「………ぬぅ」
王様も唸っている。
「…………王様、悪いのだが支度金を少し多目に貰えないか。不本意だが残りの仲間候補がいないのならば奴隷等から探す必要がある」
支度金を多目に貰って奴隷を手にする良い口実を得た。
奴隷使いの爪とか解放できれば奴隷も強くなれるからな。下手したら普通に仲間を探すよりも効率が良い。
「それは…………いや、仕方ないか」
悩んでいるな。やっぱ勇者の仲間が奴隷とか反発があるか。それに俺が信用しないというだけでオズマ達は周りには信頼されていたのだろうし。
ただ、こちらを睨み付けているのはどうかと思うが俺の言った事を後押しするようなものだぞ。ほら、リアスとユリアもそうだが周りにいるメイドさんや騎士の人が俺が睨み付けられている事に気付いて眉をひそめている。
ん、王様も気付いたか。
「オズマ達の勇者様を見る目を考えれば否定はできんな。…………承知した。支度金は多目に渡そう。すまんな勇者殿」
「気にしないでください。それに俺が悪意を感じたというだけで本当に害意があったという証拠は無いのですから」
そんな訳で銀貨1000を片手に俺は旅立つ事になった。
うん。むしろ俺的にはラッキーな展開だったかな?