爪の勇者の生き残り   作:赤山大和

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6話

目の前にする鞭の勇者であるタクト一行。

数は十人前後か。数もレベルもこちらは劣る。

レベル300を越えるこの世界の強者。

それを前にする俺の感想は正直、期待外れというものだった。

 

 

なんというか強さを感じない。

レベルが高いせいか身体能力が高いのはわかるのだが。

爪を現時点で最強のデカログスクローに変え見聞色の覇気で警戒もしている訳だがタクト達を脅威だとは思えないのだ。

 

そもそも、厄介な武器の剥奪能力だって爪が無くなればネオ・デカログスを振るえるので強くはなっても弱くはならない訳だ。

 

ただ、仲間達はまだまだ戦えないか。

さて、どうする?

 

「へー冒険者ね。」

 

タクトの奴が此方をじろじろと見る。とくにユリアのメイド服とリィンの顔に目をやっているな。

 

まぁ、メイド服を着ている人間がいる冒険者とかね。普通に変だよな。

 

 

「タクト様。あの男の武器ですが」

 

即ばれか。

皆に勇者である事を黙ってもらった意味がないな。

 

 

 

「そうだな。それに黒髪で黒目。召喚された勇者って奴だろ」

 

 

「タクトの爪を奪った盗っ人だな」

「わらわ達のタクトが下劣な勇者から伝説の武器を救いだしたというのにそれを盗むとは最低な男じゃ」

 

 

うわ、なんて身勝手な。

原作でもそうだったが頭がおかしいよなこいつら。

 

「爪を奪ったですか?これはカズマ様が召喚された時に授かった物ですが」

 

リアスが戸惑った声を上げるがカノンなんかも同じように戸惑っている。ユリアとリィンは表情が変わらないからわからんな。

 

「………下劣な勇者から救いだすね。つまり、あんた達が爪の勇者を殺して武器を奪ったって訳か。でもって、奪った爪の武器は俺が召喚された時に此方に来たと」

 

これは戦闘を避けられないか。

それに、他の勇者を殺したということばでリアス達もあちらに敵意を向けている。

 

「爪の勇者を殺した。……本当ですか鞭の勇者!」

 

 

「まぁ本当だ。あいつは性格がネジ曲がっててな。俺を称賛して力を貸せって言ってるのに話を聞かない奴だったよ」

 

「まったくです。タクト様に逆らうとは愚かな」

 

「そうそう。世界はタクト様が救うのですから勇者達は全員武器を渡すべきなのです」

 

 

「いや、無理だろ。自分の持ってる鞭にすら嫌われて主としては認められていない様だしな。それにお前みたいな下劣な勇者が幾ら武器を集めても勇者として強くはなれないぞ」

 

 

タクトを下劣と言った時点でタクトの女達が敵意を向けて来たか。

 

 

「カズマ様。勇者として認められていないとは?」

 

 

「多分だがあの鞭も奪った物なんだろな。鞭がタクトが強くなる為の力を貸さないようにしている様だ。勇者とその仲間は武器の力によって普通よりも強くなれるのは理解しているだろ」

 

「はい。それは体感しております」

 

 

「でもあいつは武器に嫌われてる。だから俺達ほど強くはなれないというか勇者の加護を得られない。少なくとも同じレベルの場合は確実に俺達の方が強くなれる。とはいえ、レベルの差が大分ありそうだけどな」

 

 

 

「は、俺は選ばれた人間なんだよ。お前みたいな低レベルな奴が生意気な事を言ってんじゃねえ。350レベルの俺にお前ごときが勝てると思ってんのか」

 

 

350ね。ただレベルが高いだけでプレイヤースキルとかは無さそうだけどな。それにレベル差を覆す力が此方にはあるわけだし。

 

 

「勇者として俺がやるから少し下がってくれ」

 

 

「……………無理。勝てない」

 

 

リィンが不安げに此方を見てる。

うん。リィンのこの表情はレアだな。おまけに俺を心配してるようなのがポイント高い。

 

「ん?レベルを聞いて勝てないと思ったのか?大丈夫だ。本物の勇者が偽物の勇者には負けないさ。レベル差だって七倍程度だしな」

 

普通に考えると七倍のレベル差を覆すなんて出来ないけど俺にはデカログスと覇気がある。

 

 

「レベル50程度って事かよ。ふざけやがって。雑魚が生意気な口を聞いてんじゃねぇ!ヴァーンズィ「真空の爪(メルフォース)」ぐぇーーーー!」

 

「「「「キャーーーアーーーー!」」」」

 

鞭を構えた瞬間にデカログスで取り巻きと一緒に吹き飛ばす。

 

メルフォースでこれか~。

 

女達と一緒に吹っ飛んで岩肌に叩き付けられている。

一人くらい耐えても良かったんじゃないかな。レベル高いのでしょ?

 

 

「一応、言っとくけど逃げるなら追うつもりない。力の差を考えると謝って大人しく帰る事を進めるぞ」

 

 

「ふざけんな。俺は最強の勇者なんだよ。不意打ちしといて偉そうな事を言ってんじゃねえ」

 

 

「音速の爪」

 

「ふぎゃ」

 

とりあえず殴り飛ばしたが反応できてないな。

うん。弱い。

 

「タクト!」

「タクト様!」

 

向かってくる羽の生えた女とトカゲのような女。

 

「爆発の爪」

 

切り付けた二人の体が爆発。

致命的なダメージを与えた感覚がある。

 

「レールディア!アシェル!」

 

この二人はドラゴンとグリフォンか。

後で素材は回収だな。

 

「てめぇえええええええええええええ!」

 

 

タクトが激怒してこちらに向かってくる訳だが遅いな。

そもそも、見聞色でその動きは捉えている。

 

カウンターで殴り付ける。

 

魔法を放とうとする。

 

顔面を蹴り上げる。

 

鞭を掴みスキルを撃とうとする。

 

鞭を持つ腕を砕く。

 

仲間の女達が向かってくる。

 

まとめて爆破。

 

 

「デスペラード・ボム(弱)」

 

 

 

………………タクト達は気絶したか。

ちょっと焦げ臭い。

それに何人かは死んでいる。

 

 

 

レベルがかなり高くなったな。

流石はレベル200越え。経験値が美味しいです。

 

ドラゴンとグリフォン、それに死んでいる何人かの人間も爪に吸収。

 

 

タクトを含めて何人かは生きてるみたいだが。

 

俺を見るリアス達の目には強い尊敬の念を感じる。

勇者としての圧倒的な力をみたからか。

 

 

「お見事です」

 

「相手が偽勇者だからこれくらいはね。…………実際の話、タクトを殺すと戦争になるかな?」

 

これには全員が押し黙る。

俺がタクトにトドメを刺さない理由でもある。

 

「そう………ですね。先代の爪の勇者を鞭の勇者が殺していたという事も表沙汰になれば戦争の原因となりえます」

 

シルトヴェルトの唯一の勇者が殺されたのだ。

それを実行した勇者がいる国とは敵対するだろう。

 

 

「その場合ですがフォーブレイとシルトヴェルトだけでなく我が国やメルロマルクも参戦することになるかと」

 

 

「メルロマルクってシルトヴェルトと争っていた国だよな」

 

 

四聖を召喚する国が戦争状態になればどうなるか。

タクトが関わるのは玄武との戦いの後でだから今潰しても良いかと思ったが戦争が起こりえる事を考えるとな。

 

「はい。今は休戦中ですが互いに仲が悪く、シルトヴェルトとフォーブレイの間で戦争が起これば確実にフォーブレイの側に着いて争うでしょう」

 

「戦争の原因になりかねないし先代の爪の勇者の事については秘匿すべきか。更に言えばタクトを殺すのもまずいと」

 

タクトの信者が襲ってきたら面倒だろうな。

 

「………それはそうですが。しかし、他の勇者の武器を奪うような輩を放置する訳にもいかないかと」

 

「………………どうするかな」

 

殺すのはまずい。

かといって放置するのもな。

他国の勇者を牢屋に入れるのも外交的に不味いか?

 

「………………砂時計。Lvリセット」

 

 

…………それがあったか。

高レベルであるコイツらをこのまま放置出来ないのがLvリセットでLv1にしてしまえば安全だ。

 

それに何か問題を起こしたり他の勇者を襲うにしてもLvが低ければ暫くは動けないだろう。

 

「他国の勇者のLvをリセットするのは問題かも知れないがタクト達から襲って来た事は確かだよな」

 

「はい。それに他国の勇者が何故ここにいたのかという事も問題視できますね」

 

「さっそく、王様に事情を話して対処するか」

 

 

「はい」

 

 

「それと、タクト達が戦っていたモンスターはドラゴンみたいだからな。素材等を採取したら国に戻るとしよう」

 

 

こうして、俺達はタクト一行を撃破して王都へと帰還することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




戦争を回避するためにタクトの命は取りませんでした。
外伝である槍の勇者の知識があるせいでタクトの女達が暴走した場合を警戒したためです。

ちなみに、タクトは今回の事で主人公を恨んでいますがLvが下がった為に暫くは大人しくする事になりますね。



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