災厄の波まで後二日。
その始まりを前にして俺達は王宮へと戻っている。
レベル上げにクラスアップ。
装備の強化とやれる事は出来るだけやったつもりだ。
今は波に対する打ち合わせを行う為に王宮内の会議室に王様や騎士団、冒険者ギルドの人間が集まっている。
「では会議を始めるとしましょう」
宰相がこの場を纏める司会として動くと皆の顔が引き締まる。
「まずは波の襲来に関してですがこちらは勇者様と共に転位した後の混乱を防ぐため措置やその後の動きですね。勇者様と波の根元に向かう騎士団と周囲の街を守るために動く騎士団とその割合。波から溢れるモンスターを見ての動きになりますがその規模や戦力によって動きを変える必要があり幾つものパターンを考え、行動することとなります。こちらは騎士団と冒険者ギルドの方達で話し合いをしているとは思いますが」
「もちろんだ。現状では騎士団の方から200人。冒険者ギルドの方から50人程度が勇者様と共に転位する予定となる。更に言えば信号弾が上がると共に追加の人員を送る用意がある。」
「教会の方でも波が終息されしだい支援物資を所持した神官団が騎士団の護衛の元に現地に向かう予定です」
俺と共に転位する250人。これを多いととるか少ないととるかは微妙だな。話を聞くと騎士団の精鋭と高ランク冒険者の所属するクランらしい。精鋭が勇者と共に先発しその後に一般の騎士達が向かうという形らしい。
「それと勇者様に関わる幾つかの案件から。………騎士団長。それにギルド長。あなた方勇者様の仲間として推薦したオズマ殿とマリア殿、それにカミラ殿の話しですが」
これは騎士団長もギルド長も苦い顔をしている。
「まずは謝罪させてもらいたい。あの後にオズマの聞き取り調査をしたが勇者様に成り代わろとしていた節がある。数日の間で騎士団で軟禁して話を聞いたが自分が特別な人間である事。自分こそが勇者になるべきだという考えがあったように思えた。…………カミラの奴もショックを受けていたがな。俺もあんな男だとは思えたなかった。俺には人を見る目がなかったようだ」
「私の方もだ。マリアは評判の良い冒険者だったが詳しく調べるとそれは男の冒険者や男の職員だけでな。受付嬢の何人かや女冒険者から話を聞くと問題のある冒険者であったようだ。調べれば貴族でもあったオズマと手を組んでよからぬ事をしていた事も発覚したよ。本当に済まない」
騎士団長とギルド長が揃って頭を下げて来るとか本当に何をしていたんだあいつらは。
「勇者様。こちらでも事実を確認。オズマとマリアは罪人として捕らえました。また、オズマの実家である貴族家でもオズマの廃嫡を決定しています」
「…………そうか。思ったよりも大事になってしまったか。…………王様、タクトの件はどうなりましたか?」
俺としてはこちらが本題だよな。
原作崩壊な訳だし。
「鞭の勇者であったタクトやその仲間からは彼らが爪の勇者を殺害しその武器を奪ったととれる証言を得た。もしかすればあの鞭も他の勇者から奪ったものなのかもしれぬ。こちらに来た目的も勇者様の爪を奪う事が目的であった可能性が高い」
会議室がざわつく。当然か。
他の勇者の武器を奪う偽勇者。
国としても宗教的にもアウトだ。
「タクト一行ですがLvリセットを行った後にフォーブレイと連絡をとりましたが反応は芳しくありません。タクトはフォーブレイを発展させた天才として有名でその権威も高くむしろLvリセットを行ったこちらを責めるような言動もみられました。ただし、他国に侵入しての勇者殺害と殺害未遂ですのでそれなりの賠償は得られるでしょう。現在はタクト一行をフォーブレイの方が引き取りに来るのを待っている所ですね。タクト引き渡しの際には万が一を考えて勇者様にも控えておいていただきたいのですが」
賠償ってよりも口止め料って感じか。
それなりの金銭が得られるならば武器の強化が捗るか。
「それは構わない。正直、タクトの信者とでも言えそうな奴等がこの国で暴れたら厄介だからな。国はもちろんだがタクト個人からも絞れるだけ絞ってくれ。何を仕出かすかわからない奴等が力を持っているというのは怖いからな。なんならタクト達が開発したという飛行機なんかも要求したらどうだ?」
原因をつくったのは俺だし、仮に戦争になったとしたら本気でフォーブレイを落とす覚悟をしないとな。
羅刹になるのも辞さない。
「………。タクトは天才と言われて様々な発明をしているそれにより得ている利益は膨大。それを使って悪事を働かれては困るのは確かであるな」
本当に面倒。タクトが転生してからつくった人脈が丸ごと敵な訳だし。幸いなのは性根が腐っているから勇者としての加護がない事か。
これで人格がまともで勇者の加護を得ていたら……その場合はそもそも戦いにはならないか。
その後も波やタクト一行に対する話し合いが行われた後に解散となった。
後は、いよいよ最初の波か。
油断せずに行くとしょう。
まぁ、波よりもタクト一行の方が面倒だとは思っているのだが。
フォーブレイとしては自国の勇者に対して配慮する必要がありました。
更に言えば国の中枢にタクトの配下が存在します。
それとタクトの配下のレベルは国の騎士団を凌駕。
下手に手を出すことの出来ない相手となっています。
利益こそ出しているがフォーブレイでもタクトの扱いは慎重になっていました。