ゼルダbotw既プレイヤーもそうじゃなくても読むととっても面白E(死語)
やったことない人は画像検索機能を使うのじゃ。
あぁでもfate/meltoutもすこなのだ。
赤い月が沈もうとしている。
来た馬は一頭。
負担が大きくなる事を承知で女と私の二人で跨がった。
騎乗出来ることは黙り、女に馬の操縦を任せていた。
『――――地味な女だ』
『――与えられたもので威張り散らし、努力せず、何も知らず』
私には与えられた体、与えられた心しかない。造物主に逆らったとは言え、私に元々あった心がそうしようと判断したもの。
他に、私に何があるのだろう。手入れ要らずの、一本の枝毛もなく、滑らかで、濡れたようで軽やかな長髪。引き締めるための努力も要らない、
だから、クラシックバレエに傾倒し、様々な要因が重なってフィギュア蒐集が趣味になったのかもしれない。最初は退屈しのぎであったかもしれない、BBとは違う存在になりたいと意気込んで取り組み始めたかもしれない。
人の形を取ったのは、エゴらしく化物然としていたくなかったからかもしれない。BBの思い通りが気に食わなかったからかもしれない。その女に与えられた美しさを損ないたくなかったからかもしれない。ある時からは、恐がられたくなかったからかもしれない。距離を置かれたくなかったからかもしれない。好ましく見て欲しかったからかもしれない。近付きたかったからかもしれない。一つになりたかったからかもしれない。
BBとは違う。私を見て。私に恋して。私を愛して。私を好きになって。もっと、もっと、お話しして――――
そして、どうなったか。
『お前は一人ぼっちの女の子だ』
『その恋は、報われない――』
「恋した人に直接言われるなんてね」
呟きが景色と共に空気に乗って流れていく。聞こえなかったらしい。
思えば、あの人に執心だったあの女から生まれた私だから、あの人にときめいて。あの恋を、愛を、誰でもない私から出づるモノだと主張し、死の間際まで執着したのかもしれない。ムキになって、認められなかったのかもしれない。
彼/彼女に迫るにあたって、振りかざした、獲得した自己は、化物から生まれた化物の感情、趣向。結局は、本当の思う私ではなかったのかもしれない。
あの男が言った様に、私も、私自身で何かを得ようとすれば――――
(どうかしてる。あんなに毛嫌いしてるのに)
でも、あのヒトも人間だった。
(ホント、どうかしてくれたわね・・・)
「ふっ」
沿って進んできた川の左手に曲がる所を越える為の石煉瓦橋。
其処を前にして女が手綱を軽く引いて馬を止める。
「此処を越えればハイラル平原が広がっています。今の私達の右手、つまりは北の方角に城があります。」
「これから向かう場所は、そこじゃない。違うかしら」
「えぇ、その通りですが」
言葉を切り、視線をさ迷わせる女。言いたいなら言えば良いのに。
「何よ。怖じ気付いたの」
「そうではなく・・・」
「じゃあ、何なの」
口を薄く開いて、閉じる。
間怠っこしいたらありゃしないわ。
「私はね、あなたが為さんとすることに興味も執着の欠片も無いの。やる事変えるならさっさとなさい」
「・・・それが、人を救うこと、だとしても、ですか」
人間に気遣われて何を感じたか。産まれる感情に蓋をする。理解してしまっても認めてはならない。アルターエゴとしての道徳観、倫理観がソレを捩じ伏せる。嫌悪に近いものが、或いはプライドが理解しようと、私の側から歩み寄ろうとするのを忌避する。
「・・・生意気。対等だなんて思わないことね」
違う。私は何を言っているのだろう。
見当違いの甚だしさに恥が顔を火照らせる。
「・・・好きになさい。貴女が何をするも私のすることは変わらない。全て蹴り伏せるだけよ」
――――――――――――――
平原を横切ると円盤に逆さまの湯飲みを乗せた、蜘蛛の様な兵器が地平線から顔を出す。
「お願いします」
女の言葉を合図に馬から飛び下りて駆け出す。
先行して私が囮になる。馬の機動力で出来た網の穴に彼女が突貫、相手の腸から食い尽くす。力はあるが、戦場の経験のない私達の苦肉の策だ。
単眼から発せられるレーザーポインターが私ではなく後ろの女を向く。
「生意気な間抜け面、ねッ」
駆ける勢いそのままに発射口目掛け跳び、両踵を合わせて一つの穂先にし、膝の棘を溶かして仕舞う。
ぶち貫いて上げる――――!
くり貫かれたヘンテコ機械が沈むのを後ろ目に確認すると、前方を見る。
同じ様に地平線から蜘蛛がひょこと現れる。一台、四台、九台、十六台、二十五台・・・
「ちょっと・・・」
五十、百・・・いっぱい。
念話を飛ばす。
『作戦変更よ。貴女は逃げて。私が出来るだけ数を減らすわ』
一面の緑を不毛の大地に変える稲子の群れ。その災害を知らせる羽音の如く、個々の狙いを定める音が、不気味な一群体の雄叫びとなって草原にさざめく。
『・・・応えて、返事をしなさい』
苛立って女の方を見る。馬に乗った醜い小人――ホブゴブリンとう言うらしい――に射掛けられる矢から逃げ回っていた所に、けたたましいノイズと体を染める赤い光で女は漸く気付いた。
私も気付く。嵌められた。
女を騎乗して追い掛けるホブゴブリン、それ等の前方に移動、此方からも全速で迫り、片端から対応される前に切り捨てていく。
「はぁッ」
一秒にも満たぬ間に、通り過ぎた馬の全てが背を軽くして逃げ去っていく。
女を振り向く最中、朝焼けの地平線に天の川が瞬いて見えた。
星々が頭上に、やや偏り、捩れた、砂時計状に括れた流れを作り上げる。
過ぎ去ったその先でもう一つの日が昇り、大地が悲鳴を上げ、吹き飛ばされて来た大気が体躯に叩き付けられる。
「――ぁっ」
爆音と轟風に紛れて微かに聞こえる悲鳴。
今度こそ視線を戻すと薙ぎ倒される馬ごと落馬しかける女の姿。
「――――っ」
上手くいって。
手を人並みに扱えない代わりに、滑り込ませた下半身を下敷きに、上半身で上から押さえ付けるように精一杯抱え込む。
暴れぐらつく体の舵をとる。この勢いで倒れてしまえば女の命が危うい。
「く、ぅぅ〝う〝――――」
勢いが収まった。
見下ろすと女が目を白黒させていた。
良かった。
泥塗れになっちゃったじゃないの。
「出して、着いてきて下さい」
周りを咄嗟に見渡した彼女は私の体を叩いて催促する。
彼女は倒れて痙攣する大柄な――私達の乗ってきた――馬の下に潜り込もうとして
「・・・何やってるのよ」
半身だけ、出来た。
努めて平静を装う女が言葉を挟むことは許さぬと語りかけて来る。
「敵を一網打尽にします。隠れる私の後ろに回ろうとする者がいれば、対処を」
極めて理知的な目に言われた事を実行する。
とち狂った訳じゃないみたい。
思い付いた事を聞き漏らしのない様に念話で伝える。
『私の視覚を貴女と共有する。後は貴女に任せるわ。考えがあるのでしょう』
彼女が力に目覚めた瞬間の事が浮かぶ。恐らくはあれだろう。
『は、はい。ありがとうございます』
傍から見れば阿呆の所業にしか見えない。
蜘蛛達は不思議と場所が分かっているかの如く目線を逸らさず、けれどレーザーポインターを起動して射撃準備のフェーズに移らない。
正面から一点へと馬鹿正直に群がり、倒れた馬からはみ出す女を視界に入れる事の出来そうな個体、その目を潰して首を跳ねていく。
まだ。
微細だった地響きが大きくなっていく。
まだ。
無防備とは言え、余りの数に韋駄天の速さでも処理が追い付かなくなっていく。
まだ。
先頭の一台が勢い余った背後の同型機に押され、女を馬ごと踏まんとする。
「せぇッ」
機械の足を切り跳ばし、自身の霊力の密度を下げ、体積を大きくし、
計算はAIの得意技。誤差も含めて何とか良い塩梅に収まった。
けれど、この膠着も長くは続かない。霊力の消費が激しすぎる。敵に包囲されつつある。
瞬間、目が眩んだ。
焼き付いた光に慣れていく目を細め、辺りを警戒していると―――
「やったの・・・」
目から、全身から光を失い、沈んだ機械の群れが鎮座するだけだった。
「そう、みたいですね。ガノンの気配は、もう・・・」
――――――――――――――
何がしかの弾ける音、固い物質同士の衝突、擦れ、砕ける音。
「――――――」
足を振り抜いた姿勢から痙攣し、姿勢を崩すメルトリリス。
「メルト――――」
「邪魔よ」
聞いたことのない怒声を響かせる彼女に足が止まる。
一体何が起こっているのか。
彼女の足元に折れた矢、電光を放つ石の欠片。
ソレが何を意味するか、気付けば、私の体は浮いていた。
体を点々とひりつかせて鈍痛が走り、嘔吐感を伴って、重く頭の揺れていた私は認識した。吹き飛ばされたのだ。
メルトリリスの姿を探す。
いた――
「――――ぁっ」
何時からいたのか。槍を携えた白髪のライネルが、その長大な武器で彼女を強かに打ち付けていた。
強力な一振りに、私のすぐ傍を、横に飛んだ彼女の元へ走る。
横目で見たライネルは、此方に迫っていた。
「っく」
解消仕切れなかった、積もった疲労など知らぬと動く体で、先にメルトリリスの元に辿り着く。
彼女を後ろ手に、此方を槍の射程に収めきれなかったライネルを前方に、掌を翳す。
「立ち去りなさい。然もなければ祓います」
霊気を漏らし、力を示す。
槍を持ち、ゆっくりと下がるライネルの背中から僅かに見える弓。
あれか。
血のせいか、思い描いた弓を手元に霊力で構成し、霊力を束ねて光の矢を生成出来た。矢をつがえ、構える。
「再度勧告します。立ち去りなさい」
鼻柱と目蓋を跨ぎ、人間であれば耳の所まで一本の傷を走らせる、獅子の頭部を持つライネル。黒い体毛を主に、白い縞を走らせている。
彼はメルトリリスをちらと見る。その後に、輝く鋼の金具を用いた武具を仕舞うと、背を向けることなく、一足に跳躍して遠くへ去った。
「・・・何て跳躍力」
「っ・・・流石鈍まね、バカ力だわ」
「メルト・・・」
「気安く呼ばないで・・・霊力を注いでくれればッ・・・平気よ」
息をして、声を出す度に痛みがあるのだろう。絶え絶えに喋る彼女の、服越しの手を取って霊力を流し込む。
「ちょっと。これ、必要なの」
「こっちの方が集中的、かつ効率的です」
たぶん。勢いで取ってしまったが 。
「・・・なら胸の辺りにして、そっちの方がきっと重症」
「・・・はい」
手を肋骨の分岐点、肺と横隔膜の辺りに置く。私の見えなかった脇腹の方から、分厚いクレバスが走っていた。溢れる血の多さに地面がみるみる赤く染まっていく。
「・・・ぐっ、かっ」
メルトリリスが吐血する。
これが喀血だと更に、至極マズい。折れた肋骨の刺さった肺が出血、溜まった自前の血で窒息死なんて事が普通に起こり得てしまう。
学んだシーカー族の解剖学を元に、彼女の体内を再形成していく。
「間に合って・・・」
「・・・下手ね。ディテールがなってないわ」
「えっ」
メルトリリスが呟くと、彼女の体内のイメージが精巧なものになる。骨の細かい歪みが正され、切り裂かれた筋繊維が不思議にもらしいと感じられる所に置かれ、血管が通り、壊された臓器特有の組織が修繕されていき、滑らかな皮膚が赤い底を見せる谷を塞いでいく。
「・・・治せたんですか」
「言ったでしょ。注いでくれれば、って」
「・・・はぁ」
息を吐いていると、ポーズを取って静止したメルトリリスが、イメージとして浮かんでくる。
やたらと鮮明で、妙な質感のソレは、私の頭の内では既存に入らない。
メルトリリスの顔を見る。
「・・・何ですか、これ」
「私のフィギュアよ。ねぇ、貴女、手先は器用な方かしら」
フィギュア?
「えぇ、まぁ」
機械いじりはするし、裁縫だってする。楽器は弾かないけれど、もの作りという意味では先ず先ずだと思う。
「人間の骨は、筋肉は、おおよその人体構造は把握してるのね」
「・・・えぇ、一通りは」
更なる質問に困惑する。同行する護衛の騎士ないしリンク含めた英傑や、ガーディアンの機動性の為に、医療や解剖学等を参考にした事はある。
「・・・ふぅん。良いわね、貴女。私の人形師になりなさいな」
先程のイメージを思い浮かべる。
「・・・メルトリリスの為に先程の人形を作れと」
「馬鹿ね。あれも含めて、よ」
いや無理でしょう。今はそんな場合じゃないでしょう。
顔に出ていたのか、彼女がニヤリと笑う。
「大丈夫。私が貴女を確かなフィギュア職人として教育するわ」
違う。せめて全部終わってから、とかだろうに。
「ですがまだ助けを求める民草が、王国が・・・」
「あんなの諸共滅んだも同然よ。見たでしょう、あの機動兵器の群れ。誰も助かる筈無いわ」
あんまりな言い草に頭に血が上るが彼女に肩を貸して立たせた。
足元の見えていなさそうなメルトリリスを見上げて言う。
「貴女が深い造詣と強い情熱で私を貴女の人形師に仕立てたいというのは分かりました」
「・・・何か不満そうね」
その容姿で不安げな表情をしないでほしい。やりづらくなる。
「何事にも不足の事態は起こり得ます。それにどう対処されるつもりですか」
材料を入手する方法は。人形の材料が特殊な化学物質であったら、その資料は。人形を作るための場所は。資金は。
一体どうするつもりか。
「願望器を作るわ」
「はい・・・はい」
歩き始めていた足を止める。
「今、なんと」
「だから、作るのよ。何でも願いを叶えてくれる物を」
手の甲を見る。古代のトライフォース、の様なものだろうか。
もし、もしそんなものが作れたら
「王国の復興は、出来ますか」
「嫌よ、そんなこと」
「どうして、ですか」
「見返りがないもの」
「見返り・・・」
メルトリリスが不敵に微笑んだ。
「そう。それで、話は見えてきたかしら」
自分の一生の労働を対価に、亡き祖国を蘇らす事が出来る。破格だ、破格に過ぎる。
「嘘では、ありませんか」
「いいえ。でも時間は掛かるわ」
「それは如何程になりますか」
「そうね・・・この段階の文明だと、一般的な庶民が一度世代交代するぐらいかしら」
「今すぐは」
「少なくともこの大陸全土は枯れ果てるわ」
「・・・そう、ですか」
もし使うのだとしても、移り行く時代の変遷を追わなければならない。甦ったとしても環境に適応できず、取り残されてしまえば、祖国は二度目の死を早々に迎えることになる。ガノンの完全な封印を待たずしても同じ結果を辿るかもしれない。
急に消えた国が死んだ人間と、朽ちた筈の建造物を伴ってある時を境に、何事も無かったかのように復活する。不自然にすぎる。他国との間に必ず何かしらの問題が起こるだろう。それに、ハイラル貴族も一枚岩ではない。自国に万能の願望器なんて代物があると発覚すれば手段を選ばないかもしれない。それを手に出来ればどんな苦境も覆せるのだから。
聞いた限りだと、何でも叶える事は出来ても、その願望器に蓄えられた――恐らくは大地を巡る星の生命力かソレに準ずる――ものの量にその規模は左右される。祖国を思えば、願いは幾つも叶えられないだろう。完全な復元とは行かず、取り零すものがあるかもしれない。
「・・・少し、考えさせてください・・・」
ふ、と思った。
「何でも叶えられるのなら、人形を・・・」
「それはダメね」
「どうしてですか」
「私の創造性、想像力には限界があるからよ。タダで取り寄せる、精巧な贋物を作るのはソコに生きる原型師達にとって論外。下手な金の操作は彼等にどう飛び火するか分からない。なら、自分で作る様にするのもアリ・・・けれど、それだと・・・それとも、貴女の心を支配してしまおうかしら」
背筋が冷たくなる。思い付かなかった訳ではない。私が出来たのだから、彼女も、と当然考えたが。
「それも、その願望器で、ですか」
「知りもしない誰かさん達なんてどうでも良いもの。そっちの方が手間は少ないし、そもそもそれなら願望器も必要ないわ」
体を堅くする私を見て、メルトリリスが『でも』薄く自嘲した。
「今度は、色好い返事を期待しましょうか」
これは提案なんだぜ(銃をちらつかせる)
ディテールはdetailだからディーテイルの方がまだ正しい筈なのに・・・(もどかしい)
脳内の意識高い系ないしはろくろCEOが俺の邪魔をするんだ。
名誉馬殿は丁重に弔われました。