一話のみ上げます。
IS学園。本来ならば女性しかいないクラスに一人の男性がペラリ、ペラリと本を読んでいた。
周りの生徒達は話しかけようと、同じクラスの女子生徒にヒソヒソと話し合っていた。
すると一人の緑髪の童顔の女性が入って来た。
「はぁ~い。今日から皆さんのクラスの副担任になりました、山田真耶と言いまう。どうか3年間宜しくお願いしますね!」
元気よく真耶は挨拶するも
「「「「……」」」」
誰もが反応を示さなかった。しばしの沈黙が教室を包み込んだ後、真耶はしょぼんとした表情を浮かべた。
「で、では端の方から自己紹介等をお願いしますぅ」
落ち込みながらそう伝えると、端の生徒から自己紹介が述べられていった。そして順番は男性生徒の前になった。
だが、本を読んでいる為か全く順番が来ている事に気付いていなかった。
「あ、あの織斑君? 織斑君!」
真耶がそう声を掛けると少年、織斑一夏は本から顔を上げた。
「はい? …あぁ、順番ですか。はいはい、ちょっと待って下さいね」
そう言いながら本を
「えぇ~、世界で初めての男性操縦者の織斑一夏です。特技は家事炊事。好きなことはお菓子作り。嫌いなものは自分は正しいと思い込んでる馬鹿と、人の行動を邪魔する糞です」
そう言うと前半の自己紹介に生徒達は好感を持てていたが、後半の説明にはほぼ唖然と言った表情を浮かべていた。
「あ、それと嫁が居るんでハニトラとかしてきたら表に歩けないくらいぐちゃぐちゃにするからやらないでください。以上」
最後の言葉に全員一瞬息を吸うのを忘れてしまうような感覚に陥ってしまった。それは教師でもある真耶も同様だった。
「すまない、山田先生。職員会議が長引いてしまい……どうした? やけに静かだな?」
そう言いながら教室に入って来たのは黒髪の女性教師であった。
「ん? あ、織斑先生。ちぃ~す」
「ちぃ~す、ではない! ちゃんとあいさつをせんか! それよりこの静けさは何だ? 何か言ったのか?」
織斑と呼ばれた女性。そうこの人物こそブリュンヒルデと言われた人物、織斑千冬なのである。
「別に。ただ嫁が居る俺にハニトラしたら容赦しないぞって言っただけ」
「……はぁ。十分言っとるではないか、この馬鹿者!」
呆れた様な息を吐きながら千冬は自身の弟、一夏に出席簿を墜とすも簡単に右手で防がれた。
「危ないじゃん」
「全然そう思っておらんだろう」
そう言いながら出席簿を持ち上げ肩に叩きながら、教壇に立つ。そして
「シャキッとしろ‼」
そう叫ぶと固まっていた生徒達、そして真耶は我に返り教壇に居る千冬に顔を向けた。
「よろしい。では、自己紹介の続きを行う」
そう言い千冬は自身の自己紹介を行い、他の生徒達の自己紹介をさせ朝のSHRを終えた。
SHR終了後、一夏はまた何処からともなく本を取り出すと本の続きを読み始めた。周りの生徒達は質問をしに行こうかどうか話し合っているが、自己紹介の時の言葉が頭に過り行こうとしなかった。
だが一人の女子生徒が一夏の元に近付いて行く。
「い、一夏」
「ん? あぁ、箒か。なんか用か?」
一度目線を向けた後また本の方に戻した一夏はそう言いながらページをめくった。
「その、話がある。屋上に「そんな時間ねぇから。此処で言え」……」
淡々と言った感じに言う一夏に箒はしかめっ面になりながら用件を伝えた。
「朝言っていた、その、嫁とは一体誰の事だ!」
そう叫ぶ箒に一夏は顔を合わせずに
「お前が知ってる人」
とだけ言った。その言葉だけで箒は誰なのか予想がついたのか、震える唇をかみしめた。
「な、なんであんな人を嫁と呼ぶ! あんな人とお前とでは釣り合わ「お前が決める事じゃない。本人同士が決める事だから」だが、おまえと、その釣り合うのは「あぁ、自分って言うならお門違い。てか、俺お前のこと嫌いだし」ッ!?」
本から目線を話さず、突き付ける様に出た言葉に箒は茫然と言った顔つきになった。
「…な、何故だ?」
「はぁ? そりゃあ決まってるじゃん。ターちゃんの夢を全く理解しようとしない奴は俺にとっては
そう答えた瞬間、箒は目の前に居る一夏が自分の知っている一夏ではなくなっている事に絶望し崩れ落ちた。
その後千冬たちが教室に入って来て、呆然と言った表情で崩れ落ちている箒に気付き自力では立てそうではなかった為真耶が手伝いながら席へと座らせ、授業が行われた。
その後授業は問題なく行われたが、皆箒の姿に見ていられず勇気を振り絞り一夏の元に向かう。
「あの、織斑君。ちょっといい?」
「ん~? 何?」
「篠ノ之さんの事なんだけど。その、ちょっと言い過ぎじゃないのかなと思って」
「あぁ、そう。…で?」
「だから、その、「言っとくけどアイツの過去の行動が原因で、今の状況になってるだけだから、いちいち気にしてると気が滅入るよ」ど、どう言う事?」
女子生徒は一夏の言葉に首を傾げ、周りの生徒達も聞き耳を立てていた。
「アイツは小学生の頃から剣道を習わされていたんだけど、そのやり方が余りに暴力的で他の門下生たちから嫌われていたんだ。で、何度注意しても聞き耳を持たなかった。因みにあいつに怪我された門下生は10人以上いたと思うよ。因みに俺もその被害者」
そう言った瞬間、一夏に話を聞きに行った生徒はそ、そうなんだ。と答え席へと戻って行った。
周りの生徒達は箒を慰めに行こうかと考えていたが、一夏の言葉に行くのを止め距離をとった。
そんなことがありながらも3時間目の授業が行わられた。無論教室内の空気が悪いのは千冬や真耶も感じ取っておりその原因を千冬は感じ取っていた。
だが、どうしてやる事も出来ず結局そのままと言った感じとなった。
そして3時間目の授業が終わり一夏はまた本を読もうとした瞬間
「ちょっとよろしくて?」
そう高圧的な感じで声を掛けてきたのは金髪の女性が立っていた。
一夏はそんな女子生徒に対しても一度目線を向けた後、また本に目線を向けた。
「何? 用件は短めに」
「なんですのその態度は! 私セシリア・オルコットに対する態度として全く持って失礼でしてよ!」
キーキー怒鳴るセシリアと名乗った生徒に一夏は興味の無さげな顔を向ける。
「ふぅ~ん、あっそ」
そう言って本にまた顔を戻し本を読み続ける一夏。その態度にセシリアは更に怒りの形相を浮かべ怒鳴ろうとした所でチャイムが鳴り、セシリアは足音を立てながら一夏の元から去って行った。
4限目が始まり千冬がチョークを持って授業を説明しようとした瞬間、何かを思い出したような顔を浮かべ生徒達の方に顔を向けた。
「そうだった、実はクラス代表を決めるのを忘れていた。誰かやりたいものは居らんか? 推薦でも構わんぞ」
そう千冬が言うと生徒達はがやがやと相談し合う中、一人どや顔を浮かべるセシリアが居た。
そして一人の生徒がおずおずと手を挙げた。
「えっと私、織斑君を推薦したいです」
「あの、私もです」
「わ、私も同意見です」
多くの生徒達は一夏を推薦する。当の本人は無関心と言った表情だった。
「えっと、織斑君。皆が織斑君を推薦しているんだけど…」
「ん? 別にどうでも。てか、織斑先生。そのクラス代表、5時までには帰れますか?」
「5時までにか? そりゃあ生徒達の自由時間などもある為、4時までには帰らせるよう言われている。何か問題でもあるのか?」
「いえ、ただ帰りが遅くなるようなら断ろうと思っていたんですが、5時までに終わるなら別に良いですよ」
一夏の返答に千冬は、そう言う事か。と何処か納得のいった顔を浮かべた。
「よろしい。では代表は「ちょっとお待ちください!」…なんだオルコット?」
代表が決まる。そう思ったとたんにセシリアが机を叩き立ち上がって抗議を上げた。
「何故私ではなく、其処の極東の猿なんぞに任されるのですか! そんな者よりもイギリスの代表候補生であるこの私、セシリア・オルコットこそが相応しいのです。そもそもこのような極東の様な島国にIS学園など作るなど、私につまらないサーカスを見ていろと言うのですか!」
自分勝手な発言を続けるセシリアに、周りの日本人生徒達は睨むような目線をセシリアに送る中、セシリアは先程から全く反論も何もしてこない一夏に怒りの表情を見せる。
「先程から黙っていないで何か言ったらどうなんですの!」
「…別に。ただ、
「はぁ?」
一夏のこの言葉にセシリアのみならず、他の生徒達も首を傾げていた。すると千冬はセシリアの背後に注視していた。そしてその違和感に気付きセシリアに声を掛けようとする前に
「一体何を言っていあぁぁあああぁぁ!!!????!!」
突然悲鳴を上げるセシリア。その姿は足は地面から離れており、頭を何かで掴まれているのか跡が出てきているが、姿が見えていなかった。
「あああぁぁ、頭が、頭がぁあぁぁあ!!!???!!」
セシリアの痛みの悲鳴は教室内に響き生徒達は皆、顔を青く染めていた。
「た、束それ以上は止めろ‼」
千冬はそう叫ぶと、突然セシリアの頭を掴んだ機械のうさ耳と奇抜なアリス服を着た女性が突如現れた。
「ちーちゃん。束さん言ったよねぇ? こう言う屑をいっくんの教室には入れないでってさぁ」
「う、上の決定だ。わ、私自身どうする事も出来ん!」
ハイライトの消えた目で淡々と言った口調で千冬に問う束。周りの生徒達は束の登場に驚いていた。だがその中一夏は笑みを浮かべていた。
「やっほ~、ターちゃん」
「お、いっくん。やっほ~! ちょっと待っててねぇ。今からこの屑処分するから」
「いぎぃいいいい、痛い痛い痛いぃ!!?!?」
力を更に入れられたのかセシリアは更に大きな声で泣き叫び、其処に淑女と言った表情は無かった。
「ターちゃん、ターちゃん。其処まででいいよ」
一夏はそう言いながら束を止めに入った。周りの生徒達はセシリアを助ける為だと思った。だが
「なんでさぁ?」
「万が一そいつの頭を潰した場合、そいつの血とか色々な物がターちゃんに被るかもしれないじゃん。俺そんな姿のターちゃん見たくない」
そう言うと、束はそっかぁ!と笑顔を浮かべ掴んでいたセシリアの頭をパッと放す。
頭を強く掴まれていたセシリアは漸く開放され、頭の痛みに悶えていると
「おい、屑」
そう束に話しかけられ、恐る恐る顔を上げるとハイライトの消えた目をした無表情の束が見下ろしていた。
「束さんの大事なダーリンであるいっくんにまた喧嘩売ったら、お前消すよ? 分かったぁ?」
殺気全開の状態で伝えられたセシリアは震える体の中、激しく首を縦に振った。
「さて、それじゃあいっくん束さん帰るね。今日は束さん特製のカレーだから遅くなっちゃダメだよぉ!」
「はぁ~~~い!」
先程とは打って変わって頬を染めながら超甘い空気を出しながら一夏に夕飯のメニューを伝え束は帰って行った。
クラス内はさっきまでの光景に驚き余り固まっていた。
「……山田先生。オルコットを医務室に運んでください」
「え? あっ! はい!」
千冬の声に我に返り真耶は速足でセシリアの元に駆け寄り医務室へと運んで行った。
「……はぁ、全員注目!」
号令に生徒達も我に返り、千冬の方に顔を向ける。
「クラス代表は1週間後、試合を行う。オルコットには後で私が伝える。織斑、ISは「知ってるのに聞くんすか?」あくまで確認だ。では授業を『キーンコーンカーンコーン』…此処までとする」
そう言って千冬は教材を持って教室から出て行った。
千冬が出て行った後、教室の生徒達は挙って一夏の元に駆け寄った。
「お、織斑君のお嫁さんって、まさか篠ノ之博士なの!?」
「あのISの生みの親がお嫁さんって本当なの?」
と、質問のほとんどが一夏と束の関係関連だった。
それらの質問に対して一夏はにっこり笑顔で
「おう、ターちゃん事束さんは俺のお嫁さんだよ。ほら、証拠写真」
そう言って何処かの教会で撮ったのかウエディングドレスを見に着けた束と、白のタキシードを着た一夏が写っていた。
「う、うそぉ!? だ、だ、だって結婚できるのは「18歳って言いたいんだろ? 残念、俺は自由国籍だからそんな法律守らなくても平気」な、なるほど」
「その、織斑君は篠ノ之博士の事どれくらい好きなの?」
「どれくらい? うぅ~ん、簡単に言えば彼女の為なら世界を敵に回すほどかな」
躊躇いなく言う彼の顔は素晴らしい程の笑顔だった。
~人物紹介~
・織斑一夏
束の旦那。小さい頃に束に一目惚れして子供なりにアプローチし続け、中学に上がってからも束にアプローチし続けたら、中学2年でゴールイン。
互いに愛し合っており、共に家事をし合うほど仲が良い。
束の真の夢を理解しようとしない奴は屑と思っている。
・篠ノ之束
一夏の嫁。一夏が小さい頃に一目惚れ。色々アプローチしてくる一夏に顔を頬けさせながら、もう少し大きくなったら自分の気持ちを伝えようと考えていた。そして中学2年の頃に思いを伝え相思相愛の甘々カップルになった。
その頃に恋人を飛び越して夫婦になった。(写真の教会は廃教会を束が一からリフォームして直した。現地では一日で変化したことから、奇跡の教会として噂されている)
一夏と家事をしたいがために、苦手な家事炊事を克服し一緒にやる事を楽しんでいる。
一夏の事を愛し過ぎているが故にヤンデレな顔付になる事があるが、一夏には向けた事が無い。(一夏自身束以外に女性に興味が無いから)