【ドルフロ】夜の司令室にて   作:なぁのいも

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『昼の基地にて』よくわかるUMPシリーズの特徴講座 特別講座 後編

 え、えぇー……。十分ぶり……。

 

 そ、そうか、これ、二限続けてだったのか……。えっと、メモ帳には……。

 

 あっ、二限続けてって書いてあった。40の文字で埋もれててわからなかった……。

 

 うん?今も40に予定を書かれてるのかって?

 

 あーっと……。ちょっとこの前、40を不安にさせるようなことをしてしまって……。まぁ、一限目に話したようなことをしてしまってね。それで消化してる最中なんだ。

 

 でも、別に嫌な気分にはなってないんだ。自然と三人との時間がとれるからこちらとしてはありがたい。

 

 うん?教官大丈夫ですか?無茶してませんか?って?

 

 無茶はしてないさ。どこぞの仕事をしても終わらないストレスが溜まりガチなカントレとは違うんだ。

 

 知ってるだろう?カントレ。仕事をしても終わらないことで有名な。なんで彼はあんなに仕事が溜まる上に増えていくんだろうね……。あそこ、そんなに激戦区だって聞かないんだけど……。

 

 っと、話が逸れてしまったな。

 

 ……何について話そうか?

 

 ん?話す内容はきまってますよって?

 

 何を―?

 

 ……!?

 

 それか……。さっき煽ってしまったしな……。

 

 ……話さないと、ダメ?

 

 可愛らしく聞いても無駄?ですよねー……。

 

 いや、ちょっとまぁ、トラウマになりかけてるのと、煽った割にはそんなに凄くないと今考えたら思えてきて……。

 

 ……もったいぶらずに早く話してくれって?

 

 ちょっと思ってたけど、君達割と横暴じゃない?私、教官なんですけど。特別講師なんですけど!?

 

 ……はぁ。わかった。話すよ。

 

 という訳で、この二限目でお話するのは、『三人が嫉妬したとき』についてです!!

 

 はーい!拍手しなーい!!騒がない―い!!ヒューヒュー言わない!!

 

 はぁはぁ……。という訳で始めます。

 

 講師はレン・ハ―?もういいでしょう。今日の講師名を見てください。

 

 今回も質問タイムは多めに設けます。ただし、変な質問をして来たら講義の点数を教官特権で0にするから覚悟するように!

 

 特にそこの君!夜が激しいのは誰ですか?とか、思春期の子供みたいな質問してきた君だよ!!

 

 ちゃんと覚えてるよ私は!あの日の点数宣言通りゼロにしたからな!!点数取り戻したいならば、補填テストで満点とるんだぞ!!わかったな!!

 

 という訳で講義を始めます!!!!

 

 

 

 え~と……嫉妬はその、ちょっと寂しくなった時、後誓約の破棄を迫った時と色々と似ている所があります。

 

 ……取りあえずは『UMP45』です。はい、毎度おなじみ『UMPの依存させてくる方』です。

 

 えーと映像は……、なんであるんだ……。

 

 いいか、これ使おう……。

 

 映像は……おっと、これは司令室かな。司令室となると……あぁ、あれか。

 

 私が何やらパネルに腰かけて書類を持ってペラペラと捲ってますね。キチンと書類のモザイク処理までされてるな……。これ、重要な作戦の時のやつなんだが……。

 

 取りあえずお仕事している最中ということです。

 

 おっと司令室の扉が開きました。誰が入ってくるのかというと、45ですね。

 

 俯き加減の45が入ってきました。

 

「おっ、45か。お疲れさま」

 

 45は遠征から帰って来たので労いの言葉をかけてますね私は。かけられた45はと言うと。

 

「指揮官……」

 

 一気に私との距離を詰めて、

 

「私のことなんてどうでもよくなっちゃった?」

 

 私の肩を押して押し倒してきました。

 

「45!?」

 

 訳が分かりません。台詞の意味も行動の意味も。

 

 恐る恐る彼女の顔を伺ってみると、彼女は敵を目の前に、それも、自分の事を追いつめた敵を睨む様に眉を寄せていました。

 

「よ、45……?」

 

 本当になんでこうなっているのか、どうしてこうなったのか見当もつきません。

 

「指揮官……スプリングフィールドの料理は美味しかった?」

 

 相も変わらず私を睨みつけながら語る45。

 

「料理……?」

 

 突然の追及に言葉を詰まらせる私。

 

「お昼、スプリングフィールドの所で食べてたんでしょ?ちゃんと『見てた』からわかるわよ。あんなに美味しそうに食べてたじゃない」

 

 『見てた』。まぁ、その45は心配性だから、遠征とか出撃で私に長らく会えない時は、監視カメラを掌握してあるのでそれを使って私の様子を見てくるんですよ。

 

 意外と心配性でしょう?ははっ。……あら?笑い処なんだが……。

 

 映像の私は頷いてますね。

 

「で、美味しかったんでしょ?」

 

 コクコクと脂汗を流しながら頷いてますね。45に嘘をつくのは得策ではありません。45に嘘をついた捕虜の末路、皆さんは知りたいですかね?

 

「そうよね、私が料理を作った時よりもいい笑顔を浮かべていたものね」

 

 私のことを糾弾するように低い声を出す45。

 

 確かに顔が綻んでいた気がしますが、45にとっては同じ顔の綻び方でも違うように思えたようですね。

 

 ……実際、45はまだ色々と料理を覚えている最中で、スプリングフィールド程の領域には立っていません。

 

 彼女の成長っぷりも彼女の料理を食べてて楽しみではあるのですがね。

 

「私がマッサージした時だってそう、私がやった時よりもMP5がやってた時の方が喜んでいた気がするし」

 

 この映像ことからちょっと前に彼女から整体を受けた事がありました。勿論彼女の施術は素晴らしかったですよ。というかMP5の時より気持ち良かったのですが、MP5からは何というか妹みたいな子が頑張ってやってくれる良さがあって……。

 

 そんな事を言ったら、45と40から「妹は9で十分でしょ?」と言われてしまいそうですがね……。

 

「ねぇ、指揮官」

 

 私のことを詰問するような重圧感の中にある不安さ、迫る彼女の揺れる瞳。

 

「私のことなんてどうでもよくなっちゃった?」

 

 彼女は羨んでるのでしょう。嫉妬しているんでしょう。それで不安に思ったのでしょう。

 

 長い付き合いだからわかりますよ。そのくらいは。

 

 彼女は長い間虐げられる立場に居ました。ずっと同じ人形にすら煙たがれる立場に居ました。

 

 私の基地に来て、私が良くも悪くも虐げられる立場を甘んじて受け入れていた彼女を変えてしまった。

 

 自分を変えた原因に拒絶されるのが怖くて仕方なかったのでしょう。

 

 彼女の顔をよく見てみます。ははっ、何てことはありません。彼女は睨んで無かったのです。いや、睨んでますが、これは睨みには入りません。捨てられないか不安になってる猫のような表情だったんですよ。

 

 じゃあ、やることは決まってますね?

 

「そんな訳ないだろう」

 

 腕を彼女の背に回して抱きしめてあげます。

 

「あっ……」

 

 こういう時は、彼女を肯定してあげるのです。

 

「君の事をないがしろにしたことがあったか?」

 

「……」

 

「いやその、私がそう思ってるだけで、そういう事があったのなら申し訳ないのだが……」

 

 格好尽きませんね。

 

「ううん……」

 

 45が抱きしめ返してくれました。何とか格好つきましたね。うん?ついてない?……はい。

 

「私の方が不安だよ。君が私に呆れていつか去ってしまうんじゃないかって」

 

 彼女は特殊な立場にある部隊の隊長です。誓約までした仲ですが、利用価値が無くなれば、彼女は感情より意義を優先して私の元から――

 

「ふふ、不安なの?」

 

 彼女が小さく笑い声を漏らします。ちょっとだけ、いつもの彼女が戻ってきた気がしますね。

 

「不安だよ……。君は私より優秀な存在で――」

 

 まだまだ不安なことはありました。でも、それは口にする事が出来ませんでした。

 

 45は意外と大胆なんですよ。でも、口付けしてくるのは流石に予想外でした。

 

「んっ、これでお相子よ」

 

 そんな風にいいながら悪戯に笑う彼女。すっかり元に戻った様です。

 

 人の不安な姿を見て元に戻るのもどうかと思いますが、何とも彼女らしいと言うか。

 

「私は指揮官の前から去ったりはしない。そう簡単に。それこそ、指揮官が必要だって言ってくれる間はずっと居る」

 

「……だったら、ずっと居て貰うよ。私には君はずっと必要だから」

 

「もう、ちょっとは頼りになる人になってよ」

 

「頼りになったら君は去ることになっても?」

 

「へぇ~指揮官も意地悪なこと言えたんだ」

 

 視線を交えて笑い合う私達。

 

 これが45が嫉妬した時の姿。

 

 彼女は私が他の人形によくしている所を見ると、特にいい表情を浮かべていると嫉妬しやすいんです。

 

 ただ、誓約を破棄すると言った時の方が怖かったですね。

 

 これはまだ、お互いを信頼しあってるからです。

 

 あれは特に理由もなく信頼を裏切る行為だったからな……。

 

 あーもー!!アレは本当にやりたくない!!

 

 三人と違って、私は三人分のトラウマを背負う羽目になったし!!

 

 

 

 

 ……お次は9ですね。はい、『UMPの依存してくる方』です。

 

 えっと9の丁度良い奴は……。あれ?なんであるんだ?

 

 まぁ、いいか。

 

 この動画を使って説明します。と言っても、私もどんなのかよく覚えて……。

 

 えっと、映像にあるのは……また司令室ですね。

 

 さっきと同じように司令室でペラペラと書類を捲る私が。

 

 おっと、扉が開きましたね。入ってきたのは9。45の時と同じような俯き加減です。

 

 ……あっ。思い出した……。

 

 これは、あの時か……。

 

「お疲れさま、9」

 

 書類から目を離して彼女に微笑みかけます。先ほどまで、書類に目をやっていたので、彼女の様子には気づいてません。

 

 だからでしょうね。私は彼女にあっさりと押し倒されてパネルに磔にされてしまいました。

 

 手に持った書類をまき散らしながら倒れる私。そんな私を逃がさないようにパネルに手を突きながら

 

「ねぇ、指揮官?」

 

 彼女が私に問い詰めてきます。低い声で。

 

「うん、なんだ?」

 

 私は、ちょっと表情が引きつってますね。9の異常に気付いたみたいです。

 

「指揮官、指揮官は、私と45姉、40姉と家族だよね?」

 

「あぁ、そうだ。君達とは誓約をした家族だ」

 

 私の腹の中に収まる内臓を冷やすような低い声、それに気圧されながらも私は肯定の返事をします。

 

「私達が居れば十分だよね?」

 

 そこに私の父母と祖父も含んで欲しいのですが、ここは是が非でも肯定しないと行けないと私の大脳が訴えていたのでコクコクと玩具みたいに大げさに頷いていますね。

 

「いひひひっ!嬉しいよ指揮官!」

 

 口許を緩めて微笑む9。映像で見るととても可愛らしいですね。実際の私は映像にも出てる通り、脂汗を流して焦りの極みですが。

 

「じゃあ、指揮官」

 

 笑顔のままの9。

 

 9は真顔が危険と言いましたね。はい、確かに真顔は危険です。

 

 ですが、もっと危険な時があります。それは――

 

「この人、誰?」

 

 低い声を出しながら浮かべている、狩りを始める肉食動物のような攻撃的な意味です。

 

 本来笑顔は攻撃的な意味とか、そう言われてる方の笑顔ですね。

 

 9が手に持った端末に映るのは、私と女性が街で歩いている姿。

 

「そ、それはっ!?」

 

 9もまた電子・情報戦に強いモデル。街のセキュリティにバックドアを仕込んでいたのでしょうね。

 

 9も心配性なんですよ。

 

 ん?心配性の領域を超えている?いや、そうか……?

 

「んー?何か都合が悪い事でもあるんですかー?」

 

 口を歪な三日月の様に歪めて追及する9。

 

 9はある程度仲良くなると敬語が取れるのですが、敬語に戻ったと言うのは不機嫌な証拠です。

 

「その人はペル――さんに頼まれて!!」

 

 私の隣にいる女性は、16LABに新しく配属された研究員なんです。戦術人形の実態に関してよりよく知りたいから話してあげてくれって、マッドサ――研究主任に頼まれまして……。

 

 ただ、その時、誰にも彼女と会うとは伝えるなと言われたんです。

 

 今思えば、主任の警告を無視して伝えれば良かったなーとか思います。

 

 話してあげてくれというのも確かに真実でしょうけど、多分、私が他の女性にあった時の三人の様子を伺う意味もあったのでしょうね。

 

 45と40は釣れませんでしたが、9は釣れましたね。

 

「ねぇ、指揮官」

 

 私の弁明は、冷たい刃の様な9の言葉にばっさりと切られます。切られると言うか、断たれましたね。

 

 私の頬を撫でる9の手つきがなんとも優しい……。その手が冷え切ってなければ尚良かったのですがね……。

 

「家族は増えることは、いいことだと思うよ?」

 

 相変わらず冷ややかな笑みの9。

 

 その笑みを浮かべたまま、9は顔を寄せてきます。彼女から吐き出される、熱のこもった吐息が唇に当たる位に。

 

「でも駄目だよ指揮官」

 

 私はこの時点で自分の運命を理解しました。

 

「家族は私達と作らなきゃ!!!」

 

 獲物を捕食するように9が大きく口を開いて八重歯を覗かせます。

 

 次いで、9が司令室の扉にロックをかけました。

 

 はい。確定です。

 

「ひ、ひぇ……!」

 

 おっと私が情けない声をあげた時点で映像が止まりましたね。

 

 後に起こった事は、皆が察する通りだと思います……。

 

 彼女はその……肉体的な被害を出す子なので……。

 

 これが、嫉妬した時の9です。極度の笑顔には要注意です。

 

 嫉妬と言えるのかなこれは……。彼女は自分の家族と言うのが聖域の様な物で、それを土足で踏み入れられるような真似を極度に嫌うんです。

 

 特に404と自分と同じシリーズでは無い存在には……ね……。

 

 そう考えると、彼女は余り嫉妬しないのかな?

 

 でも、まぁ、9はよくも悪くもいつも通りだな。うん……。

 

 因みにこの時話した研究員は数日後に自己都合で退職したそうです。実家の方で何かあったんですかね?

 

 

 

 

 

 最後はUMP40。皆ご存じ『UMPの依存したくなる方』です。

 

 えっと……やっぱり映像があるし……。取りあえず、これを観ましょう。

 

 これは……また司令室……。で、私と……今度は40が背後にいる……。

 

 となるとこれは……。わかった。なるほど……。

 

 この時の状況を説明しましょう。40と一緒に食堂でご飯を食べたんです。で、その時、他の戦術人形と相席しましてね、その戦術人形と昔話で盛り上がったんです。

 

「ん~、美味しかったな40」

 

 上機嫌の私が40に話しかけますね。昔話と言うのは、存外楽しい物なので。

 

「うん。美味しかったね……」

 

 いつもならもっと元気よく言ってくるものなのですが、この時の40の声は小さい。

 

「40……?」

 

 だから、心配になって40に大丈夫か伺おうとした所で、

 

「指揮官……」

 

 40が私のことを呼びます。

 

 そして、私の肩を掴んで二人の時と同じようにパネルに磔にしてきました。

 

「!!??」

 

 押し倒された私はまたもや恐慌状態です。だって、こうなる心当たりが思い浮かばないのですから、

 

 みんなも驚いてますね。それもそうでしょう。今までの40は二人と比べてかなり大人しい反応ばかりでしたから。

 

 私もこの時ばかりは驚きました。

 

「指揮官、良いよねあの子は……。あたいの知らない指揮官との思い出が沢山あって……」

 

 私の肩に手を置いて、声を震わせながら語る40。

 

 彼女は、この基地に置いては最近配備された部類にある人形です。

 

 彼女との仲こそ長年の付き合いがあるかのように深いですが、思い出の数だけは覆すことは出来ません。

 

「あたいは、新しいから、指揮官との思い出も全然少ないし……」

 

 それが40の、ニュージェネレーションを自称する彼女のコンプレックス。

 

 新しく来た、最近来たからこそ、私との過去の繋がりが薄いこと。それが彼女が強く抱いてる劣等感なのです。

 

 今思うと、彼女は昔話を始めると最初は『何々!?』や『詳しく!』といった感じで掘り下げて聞くのですが、段々と話のペースを崩すことが申し訳ないのか、口を挟まなくなってましたね。腕を枕代わりに寝たふりをして、干渉しないように。

 

 彼女は……自由で奔放な所はありますが、思いやりが強い子なんですよ。

 

 そうやって我慢してくれたのですけど、それが限界になってしまったのでしょうね。

 

「だから、指揮官、今から沢山思いで作ろう!」

 

 この言葉を聞くだけですと可愛らしいですよね。私のことを全力で押さえつけているような状況を顧みなければ、ですが。

 

「ここから出て行っちゃおうよ!指揮官とあたい、45と9、四人で一緒に!!」

 

 そして、とんでもないことを言い出しましたね。45ですら、基地内の監禁生活をしようとしただけなのに。

 

 でも、そんな事をしようとしてる時でも、二人の事は大事にしているのが何とも彼女らしいと言うか。

 

「それは――」

 

 流石に出来ない。指揮官としても、自分を信頼してくれている者達の為にも、ようやく居場所を、確固たる帰る場所を望んでいる45や9、404小隊のメンバーの為にも。

 

 確かに、とっても魅力的な提案です。好きな人達と一緒にずっと思い出を作れる場所に行く。誰だって望むことでしょう。

 

 でも、自分には責任があるんです。信頼してくれた者達に応えると言う責任が。

 

 その言葉を口にしようとした瞬間、40の方から口づけをされました。

 

 ただ、ただ唇を重ねてるだけ。陽だまりの様に温かい唇が私に重なっているだけ。

 

 でも、それが長い時間続きます。しかも、私の鼻を摘みながら。

 

 勿論、呼吸が困難になります。意識が奪われて、視界が点滅してきます。

 

 戦術人形も呼吸はしますが、人間の様に呼吸困難になることはまずありません。つまり、この勝負は私の完全な負け試合です。

 

 呼吸が少なくなり私の抵抗が弱くなったことを確認して、

 

「んっ……」

 

 40が満足したように唇を離します。そして、私の顔を布で覆います。今思うと独特の匂いがしたので、多分薬品を染み込ませてあったのでしょう。

 

 何というか、優しいですね。40は。

 

 45は……意外と強引にやらなそうではあるのですが、9だったらスイッチが入ったら強引にでもやって来そうですから。

 

「大丈夫……今度は上手くやるから……」

 

 私の頭を撫でながらの囁き声。それで安心を覚えるのは場違いかもしれませんが、心の奥底ではこうも思ってました。

 

 四人でどっかに行ってしまうのも良いかもしれない、と。

 

 そうして、私は意識を失いました。

 

 映像もそこで途切れてますね。

 

 この後ですか?

 

 私がここに居ることから、失敗したのはわかるでしょう?

 

 40、45と9を説得しようとしたみたいですけど、二人はこの基地に居たいみたいで失敗。

 

 それで1vs2の喧嘩。40のサポート技能のせいで45と9に強化が入ってしまって、結局負けたんですって。

 

 私が目覚めた時は、ボロボロの45と9に促されて、二人以上にボロボロな40に謝られましたね。

 

「あたいたちだけじゃ作れない思い出も沢山ありそう。それに、指揮官の意志を無視してまで連れて行くのはよくないよね」

 

 って。

 

 二人から珍しくこっぴどく叱られたみたいですね。二人が睨むと情けない声をあげてました。いつも、何やかんや二人を叱る立場にあるので、とても珍しい光景でした。

 

 その日は、四人の思い出作りの為に皆で晩御飯を作りました。とても、美味しかったです。

 

 ………と、まぁ、これが嫉妬した時の40の反応ですね。

 

 40は自分に無い思い出を持ち出されると嫉妬しやすいみたいです。新しい事を誇りに思ってる彼女らしいコンプレックスと言いますか……。

 

 取りあえず次からは、自分から昔話を彼女に聞かせてあげようと思いました。二人っきりであれば、彼女も永遠と掘り下げられますからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、まぁ、こんな感じが三人が嫉妬した時の反応だな。

 

 皆それぞれ嫉妬する理由は違うが、押し倒すと言うところが共通してるな。ははっ。

 

 うん?よく笑っていられますねって?

 

 今となってはいい思い出さ。……月に一回くらいの頻度であるけど。

 

 そこ!ここは笑うところだ!引かないでくれ!頼むよ!

 

 まぁ、その……三人とも可愛らしい反応するだろう?

 

 いや、青ざめた顔で無理矢理笑みを作らないでくれないか!?うん!私が悪かったから!!

 

 ぜー……はぁ……。よし、とにかく、これで今回の講義は終わりとする。

 

 今回の講義、いや、今までの講義で君達はUMPシリーズについてよく理解したと思う。彼女達は確かに気難しいOS(性格)の戦術人形だ。

 

 だけど、とても魅力に溢れた存在であることに違いないんだ。

 

 だから、彼女達が君達の基地に着任したら深く心を通わせてあげて欲しい。それが、私からの願いだ。

 

 さて、講義も、補講も、特別講義も終わったし、君達に会うことは当分ないと思う。

 

 その間にも色んな戦術人形の事を沢山学ぶと思うが、魅力的なUMPシリーズたちの事を忘れないで欲しい。それが、講師からのお願いだ。

 

 以上で、本講義を終わりとする!

 

 ありがとう、皆!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 講義を終え、教室から出た指揮官。

 

「「「お疲れさま!!」」」

 

 扉の前に居たのは、先程まで講義の対象であり、彼と誓約を交わしたUMP45、UMP9、UMP40の三人だった。

 

「あー……もしかして聞いてたのか?」

 

 気恥ずかしそうに鼻先を書く指揮官に、三人は残念そうに首を振る。

 

「ううん」

 

「私達は指揮官に必要な物を」

 

「編集して指揮官のPCにアップロードしてたから」

 

 三人の言葉で、二限目の存在を忘れて困っていたところに、何故か動画がPCの中にあった理由がやっとわかった指揮官。

 

 そのお礼を兼ねて、指揮官は三人の事を大きく手を広げて抱きしめた。

 

「ありがとう……本当に助かった……」

 

「ううん。いいのよ」

 

「これで、悪い虫に寄られる事もすくなくなるかなーって」

 

「そうそう。心配事は減らさないと」

 

 9と40の言う言葉の意味はよくわからなかったが、それでも、三人が自分に尽くしてくれたことは変わりない。

 

「ありがとう、45、9、40」

 

「ふふっ、おうちょっと頼りになってね?」

 

「でも、40姉が指揮官の手帳にいっぱい書いたたのも悪いと思うよ」

 

「ちょっと、それは言わないでって!」

 

 9に追及されて、顔を赤くして反論する二人。そんな二人を見て、指揮官と45は微笑み、それにつられて9と40も顔を合わせて笑いあう。

 

 一通り微笑みあって、治まった四人。45、9、40は指揮官の手や腕をとって歩き出す。

 

「行こう指揮官」

 

「今日の予定」

 

「まだまだあるもんね?」

 

「ははっ、だな」

 

 そうだ。40が手帳に書きこんだ予定は沢山ある。なんせ講義の日は、講義を終えたら殆どが自由の時間。その時間を有効に活用しないこと無い。

 

 三人と一緒のこれからの予定。手帳に書かれた内容を思い出し、胸を高鳴らせた指揮官は、三人に導かれるまま、歩みだした。

 

 

 

 

 

 

「指揮官」

 

「うん?」

 

「私達、指揮官が望むなら」

 

「いつでもどこでも」

 

「あたいたち四人だけになれる場所に連れて行ってあげるからね」

 

「ははっ、考えとくよ。……でも、四人だけの場所か、そんな場所に居るのもいいかも知れないな」




 ご愛顧ありがとうございます。

 今回でUMPシリーズの特徴講座は一旦区切る予定です。

 アドバイスに背いて悪いのですが、次に三人同時に取り扱う作品をやる場合は、新作品『UMPライフ』とかそんな名前にして別の作品にして区切ろうかと思っております。

 夜司令から逸脱してきてますからね。今更ですが。

 まだまだ、三人のお話は書く予定です。私のTwitterをみればわかりますが、ネタはありますからね!
 
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