【ドルフロ】夜の司令室にて   作:なぁのいも

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※一人称です
無理だと判断したら、スオミの文化遺産級のケツを崇める作業にお戻りください


【番外編】灯火を抱くレースヒェン 追加パッチ

 45が『指揮官の死』と言うモノを語った日から数日後、45は何故かすごく上機嫌だった。

 

 45の足取りはパーツに使用されてる素材が変わったみたいに軽かったし、よく鼻歌を歌っていた。

 

 その日は、45に誘われてカフェスペースに行った。メンバーは45、9、HK416。オリジナルからの腐れ縁たち。

 

 なんでそこまで機嫌がいいのか、少しばかり気になったけど、何となく45について来たあたしには関係の無い事だから寝込もうとした。

 

 でも、目ざとい45には視線を向けてたことがバレバレだった見たいで、45は口に手を当ててくすっと悪だくみでもするかのように口を吊り上げて笑うと、あたしの顔を覗きこんだ。

 

「G11、知りたい?」

 

 45には何もかもお見通しなんだろう。あたしが何を疑問に思っているかも、あたしが何を知りたいのかも。45の金色の目は全てを見抜いているのだろう。

 

 あたしは顔を机に伏せながらも確かに頷く。何が面白かったのかわからないけど、三人は少しだけ笑われた気がした。

 

 45は席を立つと、あたしの手を引いて別の席に移動する。なんで席を移動したのだろう?9と416は知らない方がいいことなのかな?でも、それならなんであたしだけに?

 

 考えれば考える程45が席を移動したことへの疑問が次々へとわくけど、これ以上45に考えを読まれるの癪なので、テーブルの上に顎を乗っけて半開きの視界に45を収める事にした。

 

 だけれど、こんなちょっとした反抗的な態度すらお見通しなんだろう。栄えある第二部隊隊長様は、悪だくみを思いついた時の様に口を歪ませる。

 

「私ね――」

 

 最近まで第一部隊隊長のスオミと一触即発になるくらい機嫌が悪かった第二部隊隊長の45。そんな45の機嫌が機嫌をよくした『ワケ』を聞いてくうちに、あたしの半開きだった瞼は段々と持ち上がっていって、顔から放熱し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の晩、あたしは執務室に居た。それは45が指揮官としたことをあたしもする為。

 

 確かに知識として夜伽の知識はあるけど……、本当にやらないとだめ……?

 

 でも、確かに指揮官のことを考えてると、最近は凄く不調とか排熱が間に合わなくなることが結構あって、指揮官に対して変な反応を返しちゃうことがあるし、そんな調子なのに再起動するのは何故か嫌だし……。

 

 自分で処理しきれない何かの答えが出るなら、それに越したことは無い。

 

 45が司令室のドアセキュリティに仕込んだバッグドアを使って、司令室に侵入した。

 

 あたしは指揮官がいつも作ってくれる椅子を並べてタオルを置いただけの簡易ベッドを作って、指揮官を待ってみる。45が、今日の指揮官は司令室で飲みに来る筈だって言うから。

 

 簡易ベッドは完成、この簡易ベッド、416に『イバラ姫のベッド(ベッド フォン ドルンレースヒェン)みたいね』と皮肉られたことがあるけど、あたしはずっと寝てるわけじゃ無いからイバラ姫とは違うと言い返したら、どっちも変らないわと更に言い返されたっけ。

 

 寝転ぶ。……うん。何か足りない。ちょっと寝心地悪い気がする。指揮官の用意してくれるベッドはもっと寝心地がいい気がする。何かコツとかあるのかな?

 

 でも、直す気は起きない。あたしの身体を包む眠気はいつだってあたしを眠らせようと必死。

 

 指揮官が来るまでは時間があるから、ちょっとだけ寝て待ってよう。

 

 瞳を閉じ、スリープモードに移行するように命令する。指揮官が来るのは2200らしいから、それくらいにタイマーを設定。

 

 タオルケットを体に巻いて……さて寝よっと……。

 

 …………………………………。

 

 寝れない……。なんで?

 

 確かにスリープモードに移る様に命令を出した筈なのに、意識は堕ちないし、頭はずっと処理を行ってる。

 

 指揮官があたしのことに気づいてくれるか、とか、指揮官と飲むお酒ってどんな味なんだろうとか、あたしなんかを相手にしてくれるかな?とか、色んな心配の予測ばっかりして、処理が遅延して、スリープモードへ移れと言う命令がどんどん後回しにされている。

 

 この処理達を中断させれば、スリープモードの命令を最優先事項とさせることは出来るけど、今はこの疑似感情ユニットが生みだす波打つような莫大な処理に身を任せるのも不思議と悪く無かった。

 

 跳ねるように鼓動を打つ機関部、排熱が間に合わなくて火照る頬の人工皮膚。その全てに不快感は全く無くかったけど、普段殆ど覚えることの無い緊張感を覚えていた。

 

 あたしの中の体内時計は指揮官が訪れる予定時刻まで残り二十分だと告げる。

 

 二十分……。長いなぁ……。いつも約束の時間のギリギリに来ちゃうのに。今日は何故か一時間前に来ちゃった。

 

 そんなのG11と言うモデル(あたし)らしくないのに。

 

 二十分なんて、寝てればすぐの筈なのに……。サーバーを冷やす為のファンだけの音が響く司令室は、とても物寂しい。指揮官はこの空間が好きらしいけど、あたしにはちょっとわからないや。寝るなら静かで、出来れば指揮官が傍に居てくれる場所が――

 

 そこまで考えたら、さっきまで排熱が間に合って無くて熱かったのに、急に冷え込んできた。あたしは体を丸める。指揮官がいつもかけてくれるタオルケットを握りしめて。

 

 ……寂しいな

 

 自分でもそんな感情が湧くのが不思議だった。取りあえず言えるのは、すぐにでも指揮官に会いたかった。

 

 

 ―――――

 

 あれから何分か経った。ずっと目を瞑ってたけど、相変わらずスリープモードに移行できない。体内時計を呼び出しても、処理の遅延で後回しにされてて正確な時間がわからない。

 

 もしかしたら、22時を過ぎてるのかも。いくら45の予測の精度が高いと言っても、正確とは言い切れない。

 

 今日は来ないのかな?

 

 機関部の活動が一回り弱くなったのを感じながら起き上がろうとすると――司令室のドアが開かれた。

 

「~♪」

 

 鼻歌を歌い、片手に袋を携えて呑気に入室してきたのは指揮官――あたしの待ち人。

 

 あたしは寝たふりを再開しつつ、薄らと目を開いて視界を確保する。

 

 指揮官はまだ気づいていない。呑気に鼻歌を奏でながらバックドアを設置されたセキュリティドアにロックをかける。

 

 指揮官、あたしに気付くかな?あ、でも、気づいてくれなくても……

 

 自分でもよくわからない葛藤をしながら指揮官の様子を伺ってると、気分よく細められてた指揮官の目が、一気に大きく開かれた。

 

 あっ……指揮官があそこまでびっくりしてる顔って初めて見たかも。

 

 ちょっとした新鮮味に浸りつつ、指揮官の動向を伺う。

 

 指揮官は荷物をパネルにそっと置くと、わたしの方に近づいてくる。

 

 距離が近いと少しだけ目を開いてる事が指揮官にもわかっちゃうかもしれないから目は完全に瞑って置く。

 

 足音が段々と近づいてくる。

 

 うぅ……なんかすっごく緊張する……。顔の火照りだけは表に出ない様にしないと……。あっ、ちょっと鼻息が荒いかな?

 

 指揮官はあたしの事を起こそうとする筈。何時の間に忍び込んだんだって言いながら。

 

 それが、あたしと45の予測であり計画。そこから、あたしと指揮官の飲みを始める。

 

 そんな計画だったんだけど、指揮官はあたしの前で少しだけバツが悪そうに頬を掻くと、寝たふりをするあたしの顔の高さと水平になるように顔を合わせる。

 

 うっ、近い……!顔が赤くなりそう……!

 

 あたしの中を埋め尽くす緊張感の処理が追いつかなくて寝たふりをやめようと思ったあたし。瞼を持ち上げようとしたその時

 

 指揮官の手があたしの頭に触れた。

 

「ふぅ……」

 

 何故かよくわからないけどあたしは変な息を出して、その息にあたしを窒息させようとした緊張感も持ってかれて。温かくて大きな指揮官の手。その手の優しさはいつだってあたしを安心させてくれる――

 

「お疲れさま」

 

 指揮官は全く起こそうとしなかった。それに、頭を撫でたままあたしから離れようともしない。

 

 指揮官は待ってるつもりなのかな。あたしが起きるまで。

 

 優しいな……。なんでも問題児だって疎まれる事の多いあたしにこんなに優しくしてくれるんだろう。なんで、こんなに指揮官は優しいんだろう。大事な場所に侵入されてたら怒るのが当然だと思うのに。

 

 朝まで寝てたらどういうつもり、って寝たふりをやめて言いたくなるけど、今は寝たふりをやめるのすら憚られる。それくらい、あたしにとって指揮官の手の温かさは重要な物だから。

 

 でも、このままだと、指揮官と飲む機会は無くなっちゃう。一体どうすればいいのだろう。頭脳部がオーバーヒートを起こさない様に低速処理状態で考えてると、

 

「イクュッ!!」

 

 あたしのタオルケットをかけ直そうとして持ち上げて埃が舞ったからか、指揮官がくしゃみをした。

 

「ふふっ……」

 

 あっ、ちょっと笑って声が出ちゃったかな?バレて無い?

 

 ……でも、今がチャンス。ここで起きないと、次のタイミングがいつくるかわからない。

 

「うるさいよ……」

 

 いつもの様に気だるげな声を出して、目を擦りながら起きあがる。……ちょっと声が緊張で発声がおかしかった気がするけど平気だよね?

 

「うぉおおおおおおお!?」

 

 あたしが起きたことにびっくりしたみたいで指揮官は大きく飛び上がる。

 

 なんだか、また笑っちゃいそうになったけど、指揮官からすればあたしは寝起きで鈍くないと怪しく思われるから何とか堪える。

 

「なに……指揮官……?あたしの部屋に来て……」

 

 用意していた台詞はスラスラと言えた。本心を言えば、こんな不愛想な言葉を口にしないといけないのがちょっと痛むんだけど……。

 

「いや……ここは司令室なんだが……?」

 

「んー……?」

 

 指揮官に促されてぐるりと周囲を見渡す。

 

 うん、知ってる。ここはあたしの部屋なんかじゃ無くて司令室。違反行為までして入った指揮官と二人っきりになる為の場所。

 

「ほんとだ……。おやすみぃ……」

 

「おーい寝るなー!」

 

 指揮官から背を向けて再び寝入った振りをするあたし。指揮官がいつもの様な小芝居に付き合ってくれるのが何だか凄く嬉しかった。

 

 でも、今は寝るわけには行かない。あたしの目的は指揮官の事を考えると発生するオーバーヒートを直すこと。その為に45から教えて貰った事をやってみる事だから。

 

「冗談……。じゃあ、あたしは部屋で寝るね~……」

 

 ベッドから降りて入口へ向かう振りをする。

 

「一人で大丈夫か?」

 

 そんな心配をしてくれる指揮官の言葉を一旦無視して、あたしはパネルの方に視線を向ける。

 

 そこにあるのは何かわかってる。指揮官が持ってきた、アルコールと化学調味料達。

 

「なにそれ」

 

 あたしはそ知らぬふりでパネルの上にある者を指差す。

 

「あー……アルコールだよ。その……ほら……噂になってるだろ。私が夜遅くの司令室でアルコールを嗜んでるって。つまりその……そういう事だ!」

 

 決まりが悪そうに頬を掻きながら説明する指揮官。なんだか、悪戯がバレた子供みたいで可愛らしい。

 

 指揮官は隠してるつもりなのかもしれないけど、戦術人形たちは指揮官が夜の司令室でアルコールを嗜んでいるのが真実だって知ってる。最近は水面下での、お酌権(?)の争いが激化しつつあるみたいだよ…?

 

「ふ~ん……」

 

 あたしは素っ気ない返事をすると、アルコールの入った瓶を手に取る。

 

 苦笑を浮べてた指揮官の顔が引きつってる。

 

 うん。確か指揮官は4、5体のアルコールが入った人形たちから襲われてる筈。

 

 顔が引きつるのは何となくわかる。でも、あたしは、指揮官と――――

 

「あたしも飲んでいい……?アルコールを飲んだら気持ちよく寝られるって言うし……」

 

 指揮官は腕を組んだ後、何回か唸って頭を困らせて――

 

「ダメ……?」

 

 上目遣いで頼んだあたしに

 

「……いいぞ」

 

 苦笑を浮べながらも頷いてくれた。

 

 それから、あたしと指揮官はお酒を飲みながらの会話に興じた。

 

 会話と言っても、指揮官が調味してくれたアルコールの感想に『おいしい』とか『酸っぱいね』とか、あたしが簡単に感想を言うだけだったけど。

 

 でも、それだけでも、指揮官にとっては十分だったみたいで「そうか」って短い返事をすると、優しく頭を撫でてくれて、ちょっとポワポワってした。

 

 時折、指揮官から『調子はどうだ?』とか『上手くやれてるか?』とか、当たり障りのない事を聞いて来たり。それについてもあたしは短く『問題ないよ』って返すと、指揮官はまた笑いながら「よかった」って頭を撫でてくれた。

 

 そうしてくれる度に、あたしの顔の排熱は間に合わなくなって熱くなる。冷やす為にアルコールを飲んでも、アルコールはあたしの身体の熱さを感じさせるだけだったけど、あたしの疑似感情モジュールは幸せという答えを導出した。

 

 短い会話を繰り返して、一つのグラスでアルコールを飲みあってると、指揮官が腕時計を確認し始めた。あたしも内蔵時計を確認する。時刻は間もなく明日が訪れる時間帯。

 

 短い会話だけを続けた短い時間かと思ってたけど、本当はもっと多くの時間が流れてた。

 

 時間も時間。そろそろお開きにしないといけない。

 

 でも、そう思うと、あたしの疑似感情モジュールは寂しさと心細さを訴えてきて、それが伝播したCPUは指揮官を押し倒すと言う結果を行動で示した。

 

 指揮官は凄くビックリしたみたいで目を丸くしている。

 

 ごめん、ごめんね指揮官……。でも、あたしの全部が、指揮官とまだ離れたくないって、もっと接続したいって訴えてる……。

 

 アルコールが入ったせいなのかもわからないけど、いつもより指揮官のことを考えると機関部の活動が激しくなるし、指揮官と離れると考えると融けそうな位に身体が熱くなる。

 

 それは、疑似涙液があたしの瞳から零れ落ちて顔を冷やそうとしてくるくらいに。

 

 人間は感情の処理が追いつかなくなると、喚いたり泣いてしまうモノらしい。今のあたしもそれと同じなんだろう。感情の処理が追いつかなくて涙を流しているから。

 

「いやだ……!まだ離れたくないよ指揮官……!」

 

 あたしは外見相応に子供みたいに喚く。

 

 指揮官は「はぁ…」と困った様に息をつくと、何かを察したのか、あたしに委ねるように力を抜いてくれた。

 

「G11は」

 

「……うん」

 

「その先のことをしたいのか?」

 

「……うん」

 

「はぁ……そうか……。仕方ないよな……。うん。私で良いなら――」

 

「……指揮官がいい」

 

指揮官はあたしに微笑みかけてくれる。

 

「……あぁ、わかった」

 

 あぁ、聞いてた通り……。指揮官は優しすぎる。

 

 指揮官は拒否しない。求められたら必死に応えようって、自分で言いのかって――。

 

 だから、45は心配したんだ。『指揮官はいつか一人で死んでしまう』って。

 

 嫌だなぁ……。本当に嫌だ。指揮官が居なくなったらあたし――

 

「……始め方はわかるか?」

 

 ネガティブな思考に飲まれそうになったあたしに指揮官は不意に聞く。

 

 指揮官は暗に引き返す最後のチャンスを与えようとしてくれてる。

 

 あたしは必死に頷く。詳しい事は45からある程度聞いた。今のあたしには指揮官の温かさが必要だから。

 

「うん、わかった。任せるよ」

 

「……うん」

 

 あたしは流れ出る疑似涙液を拭ってから、指揮官の胸に手を置いて位置を調整して――涙液で潤いを取り戻した唇で指揮官の唇の温かさを感じ取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 行為が終わって微睡むあたしを指揮官はずっと抱きしめてくれていた。

 

 途中で『幸せ』、『温かい』、『嬉しい』っていろんな感情が渦巻いて処理が間に合わなくなってまた涙が出ちゃったけど、やっとあたしは気づくことが出来た。

 

 あたしは……指揮官のことが好き、って。

 

「よしよし、頑張ったな」

 

 あたしの涙がつらさから出たものだと思ってるのか、指揮官はポンポンと背中を叩きながら優しく褒めてくれた。

 

 そんな的外れな優しはでも、いまの満たされたあたしの器を溢れさせるには十分だった。

 

「ううっ……ひっぐ……」

 

 ありがとう、わがままに付き合わせてごめん……。そう言いたいのに、今のあたしの頭脳部と疑似感情モジュールは幸福感から齎される排熱処理に間に合わなくて涙ばかり流すだけで……。

 

 指揮官のかけてくれる言葉、直接触れ合って包み込む彼の身体、自分の中を満たす温かさ。

 

 その全部から、幸せだって、指揮官が好きだって引数を与え続けるから処理が追いつかなくて涙ばっかり出ちゃって……。

 

 散々泣いて泣いて、嬉しくて泣いて、やっと収まると、普段からあたしの身を包む眠気が急激に襲って来た。

 

 人間は泣き疲れたら寝てしまうものだって聞いた事がある。今度はそれを再現しようとしてるらしい。

 

 あたしの意識はスリープモードのフェーズへと進もうとしている。

 

 その前にあたしは指揮官の手を握りしめる。より多くの面積で指揮官の温かさを抱いて眠る為に。

 

 段々とあたしの瞼が重くなってく。身体は再起動を望んでる。

 

 あたしの身体の機能が少しずつ止まって意識が暗闇に包まれる中でも、

 

「おやすみG11」

 

 いつもと変わらない優しい指揮官の言葉は確かにメインメモリの中に記録した―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の指揮官はとても眠そうにあくびを出していた。

 

 指揮官はあたしが再起動からスリープへと移った後、司令室の後処理をしたんだろう。あたしは司令室に放置されることは無く、人形たちの宿舎より司令室に近い指揮官の部屋のふかふかのベッドで寝かされていた。

 

 スリープから目覚めたら指揮官は居なかったから指揮官は朝早く出て行ったんだろう。迷惑かけてばっかりで後悔しか無かったから、今日のお仕事はちょっとだけ頑張ろうと思った。

 

 あたしはと言うと、類を見ない位絶好調だった。

 

 それは指揮官に対する想いを自覚したからか、指揮官の温かさを抱きしめて寝れたからかはわかないけど、今日は古参の戦術人形たちが目を張る活躍が出来た。

 

 眠たげに欠伸をする指揮官がインカム越しに作戦終了を伝えてくれた。

 

 今日の指揮官は疲れてるだろうから、一緒にお昼寝をしよう……。

 

 そう思い立ったあたしは、指揮官の手の感触を思い出しながら手を握りしめて、迎えのヘリに乗り込む。

 

 指揮官が眠たげな理由、あたしが好調な理由。それはあたし達しか知らない事なのだ。




番外編としたのは、指揮官よりの三人称ではなく、人形寄りの視点だから、ですね。
人形視点で書きたくなったら、また番外編とさせていただきますね。

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