ソードアート・オンライン ~時幻の体現者~ 作:☆さくらもち♪
ユウキと両想いになってから数日。
階層攻略は着実に進んでいたようではや七十層を突破していた。
だけど一層一層の道中攻略が厳しくなって、モンスターのアルゴリズムも変化していく。
この辺りの変化の仕方は決まったものではなく、運営がいなくてもSAOを動かしていけるプログラムによって自動的に決められてる。
SAOのプログラムは大きく二つに分かれていて、その両方がお互いがお互いをアップデートし、エラー修正を行う。
だから人の手が必要じゃない。
無論起動するときと停止するときは人の手で止めるのだけれどね。
その大部分というかそのプログラムを作り上げたのは僕だ。
伊達に長い間生きてるわけじゃない。
蓄えられた知識に基づいて構築している。
このプログラムがあるからSAOは不具合がないし、美味しい狩り場が固定されない。
「キョウ~」
「ん・・・?」
「これからどうしよう?」
「どうする、って」
僕はともかくユウキは異名持ちでありながらも元々の容姿が良い。
それだけで男性プレイヤーからは勧誘や交際を求められてたらしい。
性格も良いか余計に奪い合いみたいになっちゃうんだろうね。
「もし、これからボクに知らない男の人がどうする?」
なんだか試されてる感あるなあ。
この数日過ごしていて分かったことは、ユウキと僕はお互いに独占欲が強いっていうのが分かった。
それと寂しがりってのも。
案外似てるのかもね。
「ん、やだ」
「ふふっ・・・可愛い」
僕を可愛いというのはどうなんだろう。
男なんだけどなあ・・・。
彼女からすると彼氏は可愛いと思うらしい。
それは僕から見てもユウキは可愛いけどね。
「それでねっ、SAOには
「・・・うん」
知ってるよ。
それ実装したの、あの腹立つ科学者だもの。
現実性を求めるがあまり、結婚システムも入れるとは思わなかったけれどね。
「その~・・・ボクとキョウは現実世界でも一緒って交わしたからさ・・・」
「ん・・・」
女の子にここまで言わせて分からないのはかなりの鈍感だろう。
まだ確かめ合ってから短いけれど、ユウキがそうなりたいというなら応えてあげよう。
ストレージには少し前に自作した指輪が入ってる。
結婚・・・までいったらいいなと思って作った物だけど。
「ユウキ。これ」
ユウキに渡したのは淡い緑色の宝石が輝く銀輪。
見た目装備として作ったけれどしっかりと凝っている。
宝石の方が入手が難しかったりするけれど・・・それは言わなくて良い。
「へっ?」
「結婚、指輪。僕が作ったものだけど・・・」
SAOでの結婚システムは結婚に繋がる言葉を発すると自動的にウィンドウが出てくる。
そこに承認と拒否があり、承認を押せばSAOで婚姻が為される仕組みだ。
結婚指輪なんて用意しなくても出来るけれど、ユウキは女の子だから夢を見せてあげたい。
「その・・・僕と結婚・・・して、ずっと一緒に居よう?」
「っ・・・はい!」
ユウキには結婚するかのウィンドウが出ていて。
泣きながらも承認を押した。
これでSAO内では僕とユウキは夫婦。
お互いの左手の薬指には指輪がついてる。
「お互い、分からないことだらけだから。一緒に見よう?」
「うん・・・」
僕の方が背が低いから姉と弟のように思われるかもしれないけれど。
分かってる人がいればそれでいい。
もう二度とユウキ無しで暮らすのは出来ないから。
「お家・・・買わなきゃだね」
「四十八層、あそこが良い」
家は元々買おうと思案はしてた。
使うことは少ないだろうけれど持っていて損じゃない。
今はユウキと暮らす為にも持っていないとだ。
四十八層は僕が好きな階層。
平和な場所で、モンスターポップも殆どない。
「四十八層・・・いいね。よしっ、今から買いに行こう?」
「あっ・・・い、今から?」
「キョウがまだここに居たいなら、ボクは幾らでも待つよ」
「ん・・・夜のが良いけど・・・頑張る」
今の時間は昼間。
プレイヤーが多いのとユウキの姿を知る者も多い。
そしてぽっと出のように一緒にいる僕。
注目の的にされかねない。
人目というか視線があまり好きじゃない。
だけどこれからユウキと一緒に居る以上は僕が頑張るしかない。
「ローブ着なくても良いの?」
「・・・着た方がいいなら」
「う~・・・外でキョウの姿が見えない・・・でも、見せたくない・・・」
僕の見た目なんてそこまでだと思うけれどな。
ユウキの方が可愛いし綺麗だと思う。
好きな人だからってのもあるけど、客観的に見てもユウキは美少女の部類だろうから。
「キョウって、独占欲の強い女の子・・・嫌い・・・?」
自覚はしてるらしいユウキさん。
別にそれで嫌いにはならないけれど、極端になるとヤンデレってのになるんだろうな。
「別に・・・気にならない、けど。個性、だし」
「うう・・・ボクよりキョウのが大人だあ・・・」
身長じゃなくて中身がかな。
確かにユウキより長生きしてるけど。
それを指摘はしない。
時間操作の事は・・・まだ言わない。
墓まで持っていくつもりだけれど、いつかは話したいな。
「ふふっ・・・」
頭を抱えながら悩んでるユウキの姿が可愛くてつい笑っちゃう。
姿なんてこれからいつでも見れるんだから。
装備の見た目にあのローブを着とく。
頭もすっぽり被る深めのだけど、ずらしたら僕の顔見れるからね。
「これでいい?ユウキ」
「うん・・・ごめんね、こんなボクで」
「可愛い、から。見たければ、ずらしたらいい」
実際にユウキの前で見せてあげる。
僕の目立つ白髪はしっかり中に入ってるから風に吹かれてぼさぼさにならない。
それを知ったユウキはご満悦なのか、ぎゅうっと抱きしめて来る。
「現実の姿が出るときからローブ着てるのは、姿を見られるのが嫌だっただろうから・・・。でもボクが見たいからって着させないのが嫌だったんだ」
「いつでもどこでも見れる。見たい時はずらせば良いから」
「うんっ・・・」
我が儘だけどそれを律する理性はあるから悩んじゃったんだろうね。
長くない間一緒にいても独占欲が強いって分かっちゃう。
こういうのは僕が気付いてあげないと。
ユウキって悩んで溜め込んじゃいそう。
「行こ、ユウキ」
「分かった!」
さっきまで悩んでたのにもう元気よくなってる。
変わり身が早いというか、思考を変えるのが早いのか。
宿屋を出るとSAOの有名人でもあるユウキの姿が見え少しざわめいていた。
「お、おい、《絶剣》だぞ」
「可愛いなあ・・・」
「誰かと歩いてるぞ。誰だ?」
普通に聞こえてしまうから居心地が悪く感じる。
ちらりとユウキを見ると僕と同じなのか苦笑してた。
「こういうとき、
攻略組でありながら異名を持つほどの実力。
それでいてSAOでは数少ない女性プレイヤー。
美少女で性格も悪くない。
引く手数多だけれど、何故か居場所がないように思える。
虚しさというか。
押し付けられる期待と羨望。
まるで社交界みたいだ。
「・・・分かる、かも」
「えっ?」
「時々。捨てたくなる」
釘宮響として居て、その家を持っているけれど。
僕自身じゃなくて家目当てだ。
ドロドロとした居場所で楽しくもない。
「キョウ・・・?」
「ん、ごめん。行こう?」
そんな場所にユウキをそこに連れてはいかない。
慰め者として扱われる可能性すらある。
金持ちは庶民をそんな風に見てるんだから。
令息、令嬢限らず。
生まればかりの頃からそういう風に教え込まれて道具にされる。
見ていて気持ち悪い。
産みの親なのに、子供を使って上へと昇ろうとする汚さ。
上流階級は見た目は綺麗でも、その背後は汚れているだけ。
「転移、四十八層」
少し思考に耽っていたらいつの間にか四十八層に着いていた。
周囲にプレイヤーはいない。
遠目に見えても片手で数えれるほど。
「キョウ。凄く怖い顔してる」
「・・・ごめん」
「なんかあったら言ってね?ボクはキョウのお嫁さんなんだから」
「ん・・・」
こういうとき、ユウキの優しさが嬉しい。
冷たい思考がどんどん溶かされて、ふにゃふにゃになってく。
「んにゃ・・・」
「色々見ていこうね」
頷くとユウキの手を握る。
理想的というか。
ずっと欲しかった人はユウキなんだなって。