転生先はスカさん一家   作:行雲流水

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第四話:六課での一ヶ月間あれこれ。

 さてさてっと。機動六課にて一ヶ月間お世話になる事になった私は忙しさに追われております。

 

 なにせ私はスカさんのクローン体って事で管理局や聖王教会から目を付けられている様で、伝説の三提督やリンディさんクロノさん、さらにはギル・グレアム氏とも面会したり。なんだろうね主人公サイドの関係者で、高い階級を持っている人たちとの面会は気が休まるものじゃなかったし、聖王教会側もカリムさんを始めとして、更に上で雲の上の存在直前の枢機卿みたいな立ち位置の人とも会ってご挨拶する羽目になったし。正直疲れたんだよね。どうにも品定めされているような視線はやっぱり苦手。でも、見返りは十分にあったと思う。

 

 厚生施設で私が色々とやらかして金銭を得ていた事は彼等に当然筒抜け状態だったらしく、管理局や聖王教会にも技術提供や協力をしてくれるのなら、無償奉仕の期間短縮や捕まってしまったスカさんを始めナンバーズの皆の恩赦も考えてくれるって。

 その言葉を額面通りに鵜呑みにする事は出来ないけれど、何も言ってくれないよりも十分に進歩したんじゃないのかな。利用されている気がするけれど、私だってスカさんたちの事で彼等を利用しているのだから文句は言えないもんね。

 

 さっそく交渉の余地ありとみた私は『スカリエッティ基金』について話を持ちかけてみれば、快く引き受けてくれたんだ。引き受けてくれたんだけれど、一筋縄でいかないのが面白い世界というか、なんというか。それは管理局と聖王教会どちらがその手綱を取るのか、だった。

 私的には被害者の人たちに正しく資金が分配されるなら文句なんてないから、どっちが手綱を握ろうがどうでもいいんだけれども。双方の面子やら市民の皆様からの評価を得る為にどっちの組織も私の気を引こうとしているのがバレバレでして。お金に関する喧嘩ほど人間は地が出ちゃうのかお互い一歩も引かず。面倒極まりないので管理局と聖王教会どちらにも利益があるように均等に資金を分配して運営資金の使い方はどうぞご自由にって事にしておいた。

 もちろん間違った使い方をすれば即送金は停止するし、関わる事を止めるとの約束を交わしたから大丈夫かなーって。何分、こういう事は日本ではあまり馴染みがないから私も詳しく解んないんだよね。お金だけ渡して後は人任せにしちゃったけれど、不満はないかな。自分で運営するには大変だろうし公的機関にきっちり管理してもらった方が良いだろうしね。発足の準備がちょっとずつ進んでるよ。

 

 他にもレジアスさんとゼストさんの裁判に顔をだして、ゼストさんの証言人として出廷したり。傍聴人の人たちがびっくりしてたんだけれど、悲しいかなその反応にはもう慣れてしまった。早く大人になれないかなーと思いつつ、法廷の外でレジアスさんとゼストさんが言葉少なに会話をしている所を目撃しちゃったんだよね。雰囲気は全然悪くなかったし、和解出来てたら嬉しい限りだしロゼさんに無茶をお願いして地上本部にまで出張ってもらった甲斐があるってもん。

 レジアスさんは管理局を辞めちゃうらしいんだけれど、その影響力は陸に限定すると十分に発言力が残っているから、もしかすればJS事件が切っ掛けで起こった地上本部の混乱は早く収まるかもしれないんだ。

 レジアスさんの後任に就いた現中将さんは風の噂だと"ゲイズ派"らしいので。ゼストさんも病気は快方に向かっているみたいで、その後に無償奉仕期間が終われば管理局に再就職できるそうだ。ベルカ式のSランク魔導師って貴重な存在だから、教導隊に所属する話も浮上してるってさ。本人は何も言ってなかったけれど、嬉しそうな顔をしているので本当に良かった。無口で不器用な人だから誰かに言いくるめられたりしないかなって心配してたから。

 

 フェイトさんから聞いた話になるんだけれど、スカさんや年長組のナンバーズの皆はまだ黙秘を続けてて裁判は難航中らしい。面会とか差し入れが出来るか聞いてみると、素気無く断られちゃった。面会とかで何か起きたら大事になっちゃうからだからってさ。そんな事なので裁判が全部終わって落ち着いてからスカさんたちに会いに行こうかなって。きっと退屈で暇だろうしね。厚生施設組の皆とは時々会ってた。

 スバルさんやティアナさん、エリオさんにキャロさんが皆の事を気にかけてくれてて『面会に行くから一緒に行く?』って聞いてくれるから、御厚意に甘えて一緒に着いて行って皆とお喋りしたり、差し入れた物を食べたり、遊ばれたり。アジトに居る頃よりも皆は明るい表情をしてるから良い傾向だよね。出所して生活が安定したら、皆で遠出とか楽しそうだから、皆で遊ぶお金を一杯貯めておかなきゃね。嗚呼、そうだ。六課のフォワードメンバーも一緒だともっと楽しいだろうなぁ。更正施設組の皆とは打ち解けてきてるし。うん、気合が入った。頑張ってお金貯めよう。

 

 今日はそんな忙しい日の合間みたいでのんびりと六課で過ごしてた。

 

 日中の時間帯はなのはさんやフェイトさんはお仕事になるのでヴィヴィオさんとヴィヴィオさんの番犬、違った、護衛役のザフィーラさんと一緒に遊んだり、シャーリーさんのラボにお邪魔して要らない部品を貰って機械いじりをしたり。ヴィヴィオさんのお陰で引き篭もりにはならなくて済んでいて、アジトで生活してた頃よりも健康的に過ごしている気がする。すこし文句を言ってもいいのなら、ここでは料理が出来ない事かな。

 私にとって料理はストレス解消みたいなものなので、ちょっとだけ不満なんだよね。でも食堂で働く人たちに迷惑を掛ける訳にもいかないので、もう少しの辛抱だ。それに六課の食堂のご飯は美味しいし、スカさんのアジトみたいな環境だったら文句を付けちゃうけれどそれも無いから。

 

 「ゼロ、ちょっといいかな?」

 

 「はい?」

 

 なのはさんが珍しく自分の部屋へと仕事中に戻ってきてヴィヴィオさんと遊んでいた私を呼んだ。何だろうと思って要件を聞いてみれば私のリンカーコアの数値に興味があるから測定してみたいってさ。そういえばスカさんの所に居た時は魔法そっちのけで研究とか開発ばっかりしてたから、私の魔力量がどれだけあるのかなんて知ろうともしなかったから。

 せっかく誘ってもらったし興味もわいてきたのでお願いしますと頭を下げると、にこにこ顔のなのはさんが。私の魔力量なんて知っても面白くもなんともないような気がしながら、様子を横で見てたヴィヴィオさんが『私もゼロと一緒に受けるー!』って言い始めて、私の後でリンカーコアの魔力測定を行う事になった。

 

 ひろーい演習場のど真ん中に私は一人取り残されて、空中に浮かんでるモニターにはなのはさんの姿と明るい声が。てっきりシャーリーさんのラボでやるのだと思っていたら海側の演習場まで出張ってた。 

 しかも皆忙しい筈なのに六課の主要メンバー全員居る。なんで居るのさと心の中で愚痴りながらも別の場所へ行ってくれだなんて言える権利はないから我慢してるんだけれど、皆仕事を放って見学なんていいのだろうか。給料泥棒だって言われても仕方ないと思うんだけれど、部隊長であるはやてさんまで居るのだから、多分きっと六課の皆さんは暇なんだろう。

 

 取り敢えず、なのはさんから『魔法を使った事はあるかな?』と聞かれたのでYESと答える。スカさんに延髄打ちを決めた時や倒れたスカさんを搬送する時にも魔法を使ったし、簡単な物なら自分で一から構築して組み上げた事もある。その事を伝え終えると皆びっくりしてたんだけれど、六課の皆の方がスゴイと思うんだよね。私は戦闘系の魔法は使えないし、鍛えても無いから身体が持たないだろうし。使えても簡単な魔法だけだし。

 一番魔力を消費したのがなのはさんのディバインバスターを防いだ時なんだけれど、あの時はロゼさんが防御魔法を張ってくれてたんだし、私はロゼさんに魔力を譲渡してただけだったのでノーカウント。なので、マトモに魔法を使った事なんて無いに等しい気がするんだよねぇ。

 

 そんな事だったのでちょっと欲が出て訓練の様子を見学してた時に、なのはさんやフェイトさんの魔法術式をこっそり解析しようとしたら、頭痛が酷くて直ぐに諦めた。

 独自に組んで限界まで術者に適応させてあるから、解析が難しすぎて脳に負担が掛かったのが原因かな。本人に直接教えて貰えばいい事だし、無理して隠れて使えるようなっても仕方ないから、今度正直に教えて下さいって伝えよう。

 

 『それじゃぁ、始めるよー! リンカーコアに集中して魔力を集めてねー』

 

 なのはさんの言葉の通りに私はリンカーコアを発動させて、自身の体内に巡っている魔力を活性化させて心臓に近い場所を意識する。

 

 『うん、いい感じだよー。少し余裕がありそうだから、もう少し頑張ってみようかー』

 

 なんだかなのはさんの台詞がイメージビデオの導入部みたいな感じだったから、想像しちゃって吹きそうになった。声は女の人だからいやらしい感じはしないけれど、台詞だけ聴いちゃうと、なんだかね。言葉通りにリンカーコアをさらに活性化させて、魔力を放出させる。魔法術式を組んでいないから、体内に内包されていた魔力が外に漏れているだけなので誰かが怪我をする心配もないから気楽で良い。

 この世界の魔法は、非殺傷にも設定出来て文字通り死にはしないけれどダメージは残っちゃうから、痛いモノは痛いし怪我人なんて出したくないよね。もしもの時の為に演習場に出張ったのだろうけれど、何事もないまま無事に終わりそう。

 

 『もうちょっと上げられるカナー?』

 

 その言葉に返事はせず、さらにリンカーコアの回転を上げてそれを持って返事とした。そろそろ限界みたいで結構しんどくなってきたんだけれど、ストップが掛かる様子はない。私の限界値ぎりぎりまでがんばるのかなーと思ってキツイけれど、もう少しだけ頑張ってリンカーコアを更に活性化させた時だった。

 

 『ゼロ、ゼロっ! もういいよっ!!』

 

 「…………っ!」

 

 なのはさんのその台詞の直後だった。眩暈を起こして身体の力が抜けて膝から崩れ落ちる。

 

 「マスターっ! 大丈夫ですか!?」

 

 「ろぜ……さん……」

 

 私の影からしゅばっと出て来てロゼさんが受け止めてくれたから地面にぶつかる事はなかった。寸での所で受け止めてくれたロゼさんにお礼を言って、どうにか立ち上がる。単純にガス欠状態になっただけだから、気合を入れれば動くことは出来る。ふぅ、びっくりしたぁー。

 

 「ゼロっ! 大丈夫っ!?」

 

 「だいじょうぶです」

 

 うん、本当に。ロゼさんのお陰で地面に激突は回避されたし、ちょっと自分の限界を見誤っただけで、魔法自体は使っていないからダメージの反動は軽いものだから直ぐに回復できるだろうし。心配そうに私を覗き込むなのはさんは、眉をハの字にさせてる。なのはさんが居た場所からここまで結構な距離があったはずなんだけれど、瞬間移動でもしたのかなぁ。うーん。私が悪いからそんなに思いつめないで欲しいんだけれど、まぁ言いだしっぺだし責任感が強い人だから仕方ないのか。

 

 「だいじょうぶ? ゼロ」

 

 「無茶しちゃ駄目だよ、ゼロ」

 

 おやおや、心配だったのかフェイトさんに抱っこされてこっちにヴィヴィオさんまでやって来て、ヴィヴィオさんもなのはさんと同じ様に眉をハノ字にさせてる。流石似た者親子(仮)だな、思考が良く似てるみたいだった。フェイトさんもフェイトさんで、お小言じゃないけれど、それに近いモノを貰ってしまいました。

 

 『ゼロ~、念の為や。シャマルに診てもらおうなぁー』

 

 そんな三人を余所に余裕綽々な感じで遠目から様子を眺めてたはやてさんから通信が入って、医務室に行けと言われ渋々向かう事になった。歩き始めた途端にロゼさんが後ろから私の両脇に手を通して自然と抱きかかえられてたし。そろそろロゼさんのこの過保護っぷりをどうにかしなきゃねと思い始めた今日この頃、忙しいけれど穏やかな日々が続いてた。

 

 因みに測定結果は"ニアS"と言われて腰を抜かすところでした。でもそうじゃなきゃ、なのはさんのバスターをロゼさんが防いだ理由が説明できなくなっちゃうから、取り敢えず納得しておいたんだ。

 結果を教えてもらった時になのはさんとフェイトさんから、魔力量が多いからといって無茶をしない事を約束した。んー無茶を一番してしまう人たちに言われたくないと微妙な心境になりながら、その言葉自体には頷いておいた。成長してない体で魔力行使しても碌な事にならないもんね。

 

 うーん。管理局に目を付けられそうだなぁ。無償奉仕期間があるから陸か本局に顔をださなきゃならなくなるんだし。あれ、これって過労死決定かも。いや、でも、大丈夫なはず。

 ブラックだ、ブラックだって言われている管理局だけれど目の前に居るなのはさんやフェイトさん、はやてさん達は忙しい身だけれど、前世の日本でブラック企業で働く死んだ目をした社会人みたいな感じじゃないからそんな事にはならないはずだ。と言うかそうなりそうになったら、全力で逃げよう、そうしよう。

 

 次元世界の果てまで何処までも、世界旅行でも兼ねて。

 

 そうなれば必死に管理局が追いかけてきそうで怖くなってきた。うん、逃げるのは止めて頭で勝負しよう。規模だけは無駄にデカイし、管理世界内なら影響力が凄いしね、管理局。

 

 ――ま、そんな未来はないだろうけれど。

 

 ◇

 

 シャーリーさんのラボでレイジングハートさんとバルディシュさんのメンテナンスをしてたので、その様子を見学させてもらってた。インテリジェントデバイスの存在自体は知ってたんだけれど、ストレージデバイスしか見た事がなくて実物を見るのは初めてだったしデバイスマイスターの資格をいつか取りたいって考えていたから、有意義な時間だったよ。六課でお世話になって暫く、シャーリーさんから色々と教わって新しく身についた事が一杯あるし、資格取得のアドバイスを貰ったし良い事尽くめ。

 

 廃棄品だった管理局所属の魔導師さんたちに支給されるストレージデバイスを譲り受けて、中身をバラして修理して設計図を書き起こしてたり。書き起こした図面を見てると本当によく考えられた設計だなーって。六課の隊長陣やフォワードの皆のデバイスは使用者の特性を生かして設計されたものなんだけれど、この官給品は万人が使うもので。そんな事だから用途は多岐に渡るし、使う人も様々。浅く広く、誰にでも適応する機械って感じかな。汎用品で構成されており、なるべく安価に仕上がるように部品も世間一般に普及している物が使用されてて。開発した人たちの執念がうかがえるんだよねぇ。どこまで安価に作成でき、かつどこまで用途を広く使えるように保てるか、を。

 私にはない考え方だったし、面白いコンセプトだよね。参考にすべき事も沢山あるんだけれど、やっぱりあくまで汎用品だから限界がある。なのでちょこちょこーっと最近暇を見つけては弄ってたんだけれど、ようやく完成した。能力的にはレイジングハートさんやバルディッシュさんの足元にも及ばない品だし、弄ったって言ってもそんなに劇的には変わってないはず。ヘタってた部品を取り換えたのと、図面をみて改めるべきところは改めただけだし。

 

 で、完成を記念してデバイスを起動させてみようかってなったんだ。

 

 デバイスマイスター資格を持ってるシャーリーさんに点検をして貰ったから暴走とか爆発する心配はないし、官給品デバイスに登録した魔法も容量が大きくなっちゃって一個しか魔法を使えなくなっちゃったし、魔法自体が攻撃魔法じゃないから平気。

 

 「それじゃぁ……」

 

 かけている眼鏡をきらりと反射させてシャーリーさんがいてみよーやってみよーって某国営放送の子供向け番組のMCさんみたいな声を上げた。その声を合図にリンカーコアを起動させて魔力を流し込む。ミッドチルダ式の丸い魔法陣が浮かんで組んだ術式に魔力を込めて発動させたんだけれど、取り敢えず発動させるだけであとは様子見だ。

 

 「ね、ねぇ。何をしたのかなぁー? コレ……」

 

 顔を引き攣らせながら私に問いかけるシャーリーさん。んー。何をって言っても、あったら便利だよねって考えて魔法術式を組んだものだからなぁ。まぁコレは自分の手足の代わりといえばいいかな。

 四歳児だから色々と不便な事が多いんだよね。高い位置に置いてある部品とか本とか調理器具とか取れないから。わざわざ誰かを呼んでまで取ってもらうのは気が引ける。それならスカさんを簀巻きにしていた魔法をもう少し細かい事が出来るように術式を組み直して、再構築させて出来る事の幅を広げたんだよね。そうしたらこうなっちゃった……。

 

 ――部屋一面に埋まる触手の群れ。

 

 いやぁ。ちょっと欲張り過ぎたのかな、とこの光景をみて少しばかり反省する。にょろーんとかうにょーんとかの擬音が似合いそうな、不可思議な動きで揺れているだけの魔力の糸が千本近くあるんだもんねぇ。何も知らない人が見ればそりゃびっくりするか。イメージしたものはフィンランドの人が書いたカバの妖精で出てくるうにょうにょというかにょろにょろしてるアレなんだけれど、魔法構築が甘かったのか思ってたよりもまったく可愛くない。

 自分の想像力の無さにげんなりしながら、見てくれを良くするにはどうすれば良いだろうと考えているその時だった。多分メンテナンスに出したデバイスの様子を見に来たのか、エアーが抜ける音と共に扉が開いてなのはさんとフェイトさん、二人の姿が。後ろには何故かはやてさんとヴィヴィオさんも一緒に来てて、部屋の惨状を見るなり目を丸くしてフリーズして、ピタリと進んでいた足が止まる。数秒後にようやく思考が動き始めたみたいで。

 

 「な、な、な…………っ!」

 

 なのはさん、語彙力喪失。

 

 「……き、気持ち悪い」

 

 フェイトさんは、青い顔をしながらこの光景にドン引き。

 

 「な、なんやのっ、コレッ! 気持ち悪ぅっ!!! 一体なにしたんや、シャーリー!!」

 

 はやてさんは、部隊長という立場の責任からか気持ち悪いのを我慢して何が起こったのかシャーリーさんに説明を求め。

 

 「きもちわるーーい!」

 

 気持ち悪い、と言いながら楽しそうにヴィヴィオさんは触手の群れと戯れ始めているし。反応は人それぞれ。

 

 「ち、違いますよっ! はやてさんっ! 私じゃありませんっ! ゼロの魔法ですっ!!」

 

 ヴィヴィオさんが触手と戯れてくれているので、飽きない様にとほっぺを突っついてみたり、くるくると触手で確りと巻き上げてタカイタカイをしてみたり。他にも出来る事はあるので、ちょっとヴィヴィオさんを借りて実験してみよう。

 

 「なんや、原因はゼロかいな……」

 

 え、なんでソコで納得して呆れた視線を向けて私を見るんですか、皆さんは。酷くないですか。ちょっと周りの人たちよりかわった魔法をくんじゃっただけなんですよ。それだけなのに……それだけだというのに。えーーい畜生、こうなったら触手で戯れているヴィヴィオさんで遊んじゃるぅーー。

 

 「きゃー。ぜろ~。コレ、おもしろーい!」

 

 触手の絨毯の上を器用に両手を広げて、ヴィヴィオさんは歩いてる。今日のヴィヴィオさんの服装はワンピースだったのでパンツが見えてしまわないか心配になったけれど、ヒロイン補正が効いているのか絶対領域を発動させているようで中身は見えない。

 

 「ちょっ! これ、ナ○シカのラストシーンやんけっ!! なんでゼロが知ってるんやっ!!」

 

 流石ははやてさん、勘が良い。ちょっと涙目になっているけれどよく気が付いたなぁ。げへへ。ついでにBGMも流してるよ。無理して裏声を出した私が真似したヤツなんだけれどね。

 著作権の無い無料音声を探して合成するつもりだったけれど、見つからなかったから自作したんだな、これが。んーでも私の魔力光はスカさん譲りの赤黒い色だから、ちょっと、いや、大分悲惨な光景になっているかも。これじゃぁ金色の野を歩く少女じゃなくて、血の海を渡る少女になっちゃてるよ……。

 

 「あ、本当だ。懐かしいね」

 

 地球組、そして日本出身者のなのはさんも気づいてくれたみたい。

 

 「な○しか?」

 

 「……フェイトさん判りますか?」

 

 ミッドチルダ出身のフェイトさんとシャーリーさんは知らないみたいで、一緒に首を傾げてる。よし、今度フェイトさんに映像を見てもらってからデバイスを渡して、ヴィヴィオさんにもう一度コレを再現してもらおう。魔力光が金色の人が居てよかったぁ。あ、フェイトさんに断られたら、エリオさんも候補だな。

 

 「ねぇ、なのはママ、フェイトママ。な○しかって何?」

 

 触手の絨毯から下りたヴィヴィオさんは、そんな事を言ってるし。

 

 「うん? 私とはやてちゃんの故郷のアニメ映画だよ、ヴィヴィオ。でもどうして、ゼロが知ってるのかな?」

 

 そりゃ元日本人でオタクだから知ってますとも、なんて言えるはずもなく。地球に長距離通信でアクセスしてた事を伝えて、偶然見て環境問題に強く関心を持ったって事にしておいた。本当は管理外世界にこっちの世界の一般人が不用意にアクセスする事は禁止されてる。仮にアクセスをするなら管理局からの許可が必要なんだけれど、そんな事は露知らずだったから裁判でも問題になっちゃったんだけど、知らなかったで押し通した……フェイトさんが、ね。

 だから今はそうそう簡単にデータを手に入れられないから、私の楽しみが減っちゃってるんだ。その分時間が出来たから開発とかできるんだけれど、ちょっと寂しい。

 

 「もう勝手にアクセスしたら駄目だからね。もし、そうしたい時はちゃんと言ってね?」

 

 フェイトさんが私の両方のほっぺを軽く握って伸ばす。その言葉に『ひゃい』と返事を返すと、フェイトさんは満足してくれたのか手を離してくれて頭を撫でてくれるんだけれど、恥ずかしい。

 

 「ねぇママ。な○しか、観てみたいっ!」

 

 「え? うーーん、どうだろう?」 

 

 そう言ってなのはさんが私を見るけれど、私も全部のデータを持っていないので無理だった。だから今度地球に行ったときに一緒に見ようかってなってて、ヴィヴィオさんはすごく嬉しそうに笑ってた。

 あ、そっか。ヴィヴィオさんはなのはさんの養子になるんだから、高町家の皆様に挨拶もかねて地球に行かなくちゃならないのか。じゃなきゃ、なのはさんがあやふやな約束事を結ぶわけはないし。親子になるのはもう少し先だろうけれど、良い親子になれそうでよかったよ、本当。二人には強い絆があるみたいだし。私は部外者だから口を出す事は無粋だけれど、スカさんがやらかしちゃった事もあって、ヴィヴィオさんには幸せになって欲しいんだよね。

 

 ――SLBをヴィヴィオさんに撃ってないから、ちょっと心配してたんだけれどこれなら安心。

 

 こんな日々を過ごしながら、一ヶ月って期間はあっという間で。四月を迎えて機動六課は無事に解散。それぞれの道へと歩み始めました、とさ。

 




9190字

 時折、この作品のオリ主の性別が逆だった場合どうなってたかなーと思う。話は同じで。
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