転生先はスカさん一家   作:行雲流水

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第五話:機動六課解散後の私。

 機動六課が解散しました。解散したんだけれど、どうしましょうか。住むお家がありません、あはっ。取り敢えず今は安いホテルに仮住まいをしてるのだけれど何時までもこのままって訳にはいかないから、どうにか一軒家を借りるか買うかしたい所。え、ホテルもどうやって四歳の身で借りられたのかって、そりゃ勿論私の保護責任者と後見人の面々を見てもらってホテルの人たちの信頼を得たからだ、無理矢理だけれどネ。

 

 管理局や聖王教会にとって私って面倒な存在な訳である。スカさんのクローンってだけでも問題なんだけれど、半年間の更正施設生活中にさまざまな分野に論文や特許を出して提唱してたから有名になってたらしい。そんな事だから色んな人たちに目を付けられてて、親が居ない事や素性が漏れてて私を養子に迎えたいって話がたくさん管理局と聖王教会に来てたんだって。

 犯罪歴がある人間と親子関係を結ぶなんて酔狂な人たちだなって思うんだけれど、ミッドチルダや管理局ではそう珍しい事でもないみたいで文化として根付いているんだってさ。コネを使って強硬な手段に出ようとした人も居たらしくて、私の扱いをどうしようかって悩んでたそうだ。でもその養子になる本人の私がその気はなくて全て固辞しちゃったものだから、さぁ大変。

 今度は保護責任者は誰がなるんだって話が私の知らない所で進んでいて、これまた候補者が沢山手を挙げてたらしい。もう一人で暮らせるお金は十分にあるから困ってないから大丈夫って伝えたら、世間的に問題があるから体裁を整えないと、だってさ。それでも私が渋っちゃったんだけれど、無理な物は無理で、法律上親の居ない子供には責任者が必要だからそれは無理だし駄目だってなって。

 

 じゃぁどうするのさーってなるんだけれど、これが頭の痛い問題だった。

 

 まずは私の保護責任者になる事に元機動六課の隊長陣は三人とも立候補してくれた。すごく嬉しくて有り難い事だったけれど、私がそれに首を横に振る。私を引き取った事で昇進とか査定に影響があるといけないものね。そしてそんな事を気にする人達じゃないのも知っていたからこそ、余計に首を縦に振る事なんて私は出来なかった。でもこの三人の時点で受けていたのならば、こんなややこしい事にならなかったんだろうと、今なら言える。

 

 頑なに断り続ける私を見て、じゃぁ誰なら良いのって話になっちゃって、私の後見人になる事でその人の人生に悪影響が出ない人が良いって伝えたら、管理局からリンディさん、聖王教会からカリムさんの上司さんが名乗り出てきた。六課でお世話になった時に挨拶をした事があるし、六課で一ヶ月間お世話になっていたあいだに何度か会った人たちなんだけれど、リンディさんだってお孫さんとか居るし、カリムさんの上司さんだって家庭があるんだから。

 

 それならば私を利用しようと考えて名乗り出てきた人たちから適当に選びますって口が滑ったもんだから、怒られた。そんな人は碌な人じゃないし、ちゃんと私の面倒を見てくれるかどうかも解らない、最悪お金だけ取られる可能性も有るんだから絶対に駄目だって。平行線のまま何時までも話が終わらないと考えたのか、私の意見はいつのまにか封殺されててあれよあれよという間に保護責任者と後見人が決まってた。解せぬ。

 でだ、全然知らない人じゃないからまだ良いとして、保護責任者と後見人の名前が書かれた書類を見て私が思った事は管理局と聖王教会の息が掛かってて、しかも私が悪い事を出来ない人選にちゃっかりとなってる。

 

 結局、管理局からはリンディさん、聖王教会からはカリムさんの上司さんが保護責任者に。後見人には伝説の三提督と聖王教会のカリムさんの上司さんよりさらに上の三人の名前が書かれていた。この豪華すぎるメンバーに文句なんて言えるはずもないし、多分出世とかはもう望んでない、もしくは最上位に居る人たちなので何も言えなくなってしまって。そんな面子だったのでホテルの人からの信頼を一応得られたって訳だ。

 

 ――これってさ、首輪だよねぇ。

 

 何処からどう見ても、誰が見ても。さっきも言ったけれど私が悪さをしない為の人選である事は言われなくてもわかるし。でも、そのネームバリューのお陰でホテル住まいが出来てるし、一軒家も購入出来そう。

 

 もう私は開き直って、この豪華なメンバーを頼る事にした。一軒家が買いたいので何処かいい不動産屋さんは知りませんか、と。あれよあれよという間にクラナガンにある不動産屋さんに連絡をしてくれて、物件を紹介してくれた。管理局と聖王教会の威光すげーと感心しながら物件を漁ったんだ。私の希望としては、マンションとかじゃなくて一軒家。この条件は譲れない。建屋自体はロゼさんと私が住むだけなので狭くても良いけれど、土地は広い方が嬉しいんだ。小さくても良いから研究室とか欲しくて、実験も行うつもりだから爆発とか被害が出た場合に住宅密集地じゃ問題がある。

 条件としては難しいだろうなーと微妙な顔をしながら私は物件情報を隅々まで見てたんだけれど、不動産屋さんが良い人たちで私の要望に応えてくれるモノを、一生懸命探してくれたんだよね。さっそく見学とかにも行って、立地条件も良くて普通に生活するには困らない場所だったので即決したよ。

 

 ――ゼロ・S・フリーランダー

 

 新しくなった自分の名前を必要書類にサインして。初めてミッドチルダ語で自分の名前を書くから緊張して少し手が震えたけれど。保護責任者と後見人の人たちが決まって、戸籍登録をしようって決まった時に自分で考えた名前。"S"はもちろん"スカリエッティ"のS。"フリーランダー"はリリカルなのはのキャラクターは車の名前が付いているって知ってたから其処にあやかってみた。

 ファミリーネームってどうやって付けるんだろうって難しく考えていたら結構適当で。次元世界って戸籍のない人も多いらしくて、登録の時は勢いで変な名前を登録する人とかいるみたい。種族や人種でも特色があるし、ルールはなくて結構自由。倫理や良俗に反する言葉だけは駄目だよーって言われたくらいだったかな。

 

 サインをした後、購入した物件はちょっとばかり築年数が経ってたからリフォームもお願いして、修繕と耐震補強と新しく一部屋、ようするに研究室を作ってもらったよ。

 稼いだお金が飛んでいっちゃうんだけれど、また論文とか書いてそれから特許とかも取れば良いから先行投資だって思えば安い、安い。

 

 そうして時間が過ぎるのは早いモノで、自分のお城が完成してホテル住まいともおさらばとなった。私の荷物なんて鞄一個だしロゼさんも私物は服以外ないに等しいから引っ越しなんて大げさな事はしなくて済んだし、必要な家具とかはリフォームが終わると同時に新たに購入して業者さんに運び込んでもらってる。

 

 「マスター。これはこちらで良いですか?」

 

 大体の荷物は業者さんに運び入れてもらったけれど、細かいところまではキチンと出来てないからロゼさん男性ver.と一緒に最後の仕上げに入ってた。

 二人で住むだけだから荷物自体も少ないので、あと数時間もかからないと思う。ロゼさんには大きな荷物をお願いして、私は細々としたものを運んだり箱から出して並べたりしてるんだ。ちなみにロゼさんは普段女性の姿を模しているんだけれども、力仕事なら男性の姿になった方がより重いモノを運べるからって言って珍しく男の人の姿になってる。筋肉量の絶対値が違うから、その方が良いそうで。そういえばロゼさんが女性の姿になってたのはスカさんが原因だったなぁ。そんな懐かしい事を思い出しながら、ロゼさんはどんな姿でもロゼさんだから問題はない。

 

 ――ピンポーン。

 

 あや、来客だ。私がここに引っ越した事は、保護責任者二人と後見人の六人しか知らないんだけれど皆今日は用事があって来れなくて申し訳ないって言葉をもらってるから誰だろう。ちょっと距離があるけれど、ご近所さんにはこの後挨拶をしに行かなきゃねってロゼさんと話してたんだけれど、もしかすれば先を越されちゃったのかなぁ。

 

 『こんにちはー!』

 

 『こんにちは、突然悪いわね』

 

 誰だろうとモニターを覗き込んでみれば、スバルさんとティアナさんだった。機動六課解散後も仲睦まじいようでなによりだ。でもなんでこの場所がわかったんだろう。知っているのは限られた人たちだけで彼女達には伝えてないはずなんだけれどなーと不思議に思いながら、玄関でお待たせするわけにはいかないので元の姿に戻ってもらったロゼさんと一緒にお迎えしなきゃ。ちょっと散らかっている事を伝えてお二人をリビングに通して、珈琲を淹れたんだけれどやっぱり二人が私の家に来たのは疑問だったので、理由を聞いてみた。

 

 「アンタの事を心配してた、なのはさんやフェイトさんの代わりよ」

 

 「そだよー。仕事で来れないから代わりに様子を見に行ってくれないかって頼まれちゃったんだー」

 

 うわ。折角の貴重な休みをこんな事に使わせて申し訳ない。

 

 「気にしなくていいよ。私もゼロの事気になってたし。それにね、ヴィヴィオがなのはさんの養子になる予定でしょ? ゼロはどうするのかなーって気になってて。おせっかいだって言われちゃうかもしれないけど、エリオやキャロも気にしてたしねー」

 

 「そうね。四歳らしくないアンタだけれど、保護者は必要でしょ? けれどアンタは養子の話を全部蹴ったって聞いたし。いくらなんでも無理がある。それに学校とかはどうするつもりなのかしら?」

 

 『いかなきゃダメでしょ』と言いたげな視線で私を見つめる二人は本当に心配してくれているんだろう。それじゃなきゃわざわざお休みを潰してまで私の家に様子を伺いに来るなんて思えないし。いくらなんでも元上司のお願いとは言えど、ね。でも学校に通うつもりはないんだ。スカさんたちと一緒に生活してた頃に、偽名だったけれど大学を卒業してるし。その事を後見人の人たちに伝えたら、それじゃちゃんとした卒業資格を交付しましょってなってて。

 

 それでも流石にまったく大学に通わないまま卒業資格を交付する事は出来ないから、前みたいに短期間の通信教育を受ける事になった。あと一週間もすれば大学の通信教育講座を受け始める事になる。その旨を伝えると二人は驚いた顔をして頭を抱えてるんだけれど、まぁなんだろう、慣れて欲しいと思う。私自身、自分のスペックの高さに驚く事があるけれど、大体はスカさんのクローンだからで納得出来ちゃうから。

 裁判でも聞いた話になるけれど、どうも私はスカさんから魔改造を受けてたみたいだし、前世の記憶も合わさって自分の能力の高さは恐ろしいって感じる事があるもんねぇ。でもまぁ、その力は自分がやりたい事に使ってるし、魔改造を受けた事を恨んでなんかないし、むしろ感謝してるくらいだから。だって世界が広がって楽しいんだよね。研究も実験も魔法も、そしてこの世界の事も。

 

 「はぁ……。そりゃアンタはそれで良いかも知れないけど。友達とかどうするのよ? まぁ、アンタなら必要ないって言いそうだけれど、それでも一緒に遊びに行ったりする人は必要でしょ?」

 

 「そうだぞー。あたしとティアみたいに仲良くなれば、楽しい事一杯出来るんだよー!」

 

 あまり考えてなかった事に、きょとんとしてしまう私。そういえば考えた事はなかったなぁ。それに知り合いなら一杯出来たし、旅行とかならロゼさんが居るからなぁ。必要がないとまでは言わないけれど、現状維持が精一杯。

 

 「アンタねぇ……。ま、いいわ。五月蠅く小言なんて言うつもりはなかったんだし。それよりも片付けは順調なのかしら?」

 

 やれやれと眉間に寄せた皺を戻してティアナさんは話題を変えた。小言よりも、引っ越しのお手伝いが本来の目的だったみたい。有り難いけれどそんなに荷物はないし、もう終わりそうなんだよね。細々した物や足りない物は後日に買い足すつもりだし。取り敢えずはご飯とお風呂とベッドがあれば最低限の暮らしは出来るんだし。

 

 「何か手伝う事ある? 力仕事なら任せてよっ!」

 

 スバルさんが腕まくりをして力こぶを作るけれど、残念ながらほとんどの作業は終わってしまってる。荷解きした段ボールとか散らかってるだけだから、ゴミの回収日に出すだけだ。それを伝えると、しょぼーんって顔をしたスバルさんが。なんだか二人に申し訳ない事をしてしまったし、せっかくここまで来てくれたのだからお昼ご飯を食べませんかって誘ってみた。

 

 「え? いいのっ!?」

 

 「……スバルっ! このばかっ!」

 

 気にしないで欲しいけれど、ね。

 

 「悪いわね、忙しい時になんだかご馳走になって」

 

 「いえ。だれかといっしょにたべたほうがおいしいですし、にぎやかなほうがうれしいしたのしいですから」

 

 うん。騒がしすぎる食卓は苦手だけれど、寂しすぎる食卓はもっと苦手だから。それにせっかくここまで来てもらったんだから手ぶらで帰ってもらう訳にもいかないし。嗚呼、ぐしゃぐしゃと力任せに頭を撫でないでくださいな。髪は別に乱れても良いんだけれど、ちょと痛いんだな。こっそりティアナさんの顔を見上げてみれば、なんだか微妙な顔をしてたから、彼女の琴線に触っちゃったかぁ。ふ、と短くため息を吐いて仕切り直しと言わんばかりに口を開いたティアナさんは、数瞬前の表情を全く変えてて。

 

 「……というか、アンタ御飯作れたのね」

 

 料理は私の趣味の一つですよ、と答えながら冷蔵庫に詰めておいたここ暫くの食材を取り出す。お二人のリクエストを聞いてティアナさんと私でお昼ご飯を作った。その間にスバルさんとロゼさんで散らばってた段ボールとか纏めてもらってたんだ。スバルさんの大食は知ってたからだいぶん多めに用意したつもりだったけれど、腹八分目と言われてショックを受けてしまった。

 食べていってくださいと言った手前、お腹を空かせて帰ってしまわれるだなんて、料理人としてのプライドが崩れてしまう。なのでちょっと意地を張っちゃってお二人には時間をもらってデザートを作る事にした。引っ越して来たばかりだから、ケーキとか凝った物は無理だったのでドーナツだ。

 

 「うー……。お腹いっぱい……」

 

 「はぁ……。スバル、アンタねぇ……」

 

 ふふふ。お二人にご馳走した甲斐があった台詞をやっと聞けた気がする。ティアナさんはご飯の時点で満腹だったみたいで、ドーナツは少しだけ口にしただけだけれどちゃんと美味しいって笑ってたし。スバルさんにも満足して頂けたようで、作って良かったなぁ。そうしてそろそろお暇すると言った二人を見送り、ロゼさんとまたぼちぼちと家の片づけを始めた。

 

 そんなこんなで新生活一日目はこうして幕を閉じた。

 

 ◇

 

 時間が過ぎるのは早いもので、新しいお家に引っ越ししてから一ヶ月が経とうとしている。

 

 「マスター、そろそろお時間ですが……」

 

 朝。眠い目をどうにか無理矢理に開けて、のそりのそりと寝ていたベッドの上に座り込む。一応目覚まし時計を仕込んではいるんだけれど四歳児の身にそんなものは通用しないので、ロゼさんに強制的に起こしてもらう日々が続いてて、起きなきゃいけないと思いつつも暫くうとうとしているのが気持ち良いんだよね。そんな私の横でロゼさんが微笑ましそうに私の様子を眺めているんだけれど、ロゼさんにちょっとした問題がある。まぁ、私は慣れちゃったし別に困ってもないから良いのだけれど。

 

 ――ロゼさんは裸族でした。

 

 元々は黒いスライムさんと言えばいいのか液体金属とでも言えばいいのか。そんなロゼさんなので"服"って概念がないのも仕方ない。一番最初にスカさんを模倣した時はちゃんと服を着ていたのだけれど、ロゼさんがアジトにあった書物や文献を読み漁った時に人体の構造に興味を持ったようで完璧に模写する事をロゼさんは望んで、努力によってそれを成す事が出来た。

 どうもその参考にしていた書物や文献が医療系のモノだった為に、擬態をする時は何故か服を着用せずに全裸だった。ロゼさんに服を着て欲しいとお願いしてみれば、あまり好きではない様子で困った顔をしてたんだ。理由を聞いてみれば、身体に擦れるから微妙な感じがするそうで、服を着てもらった時も複雑そうな表情を続けてるから無理強いするのは止めにした。

 それでも流石に人前に出る時は倫理的に大問題になっちゃうので、裸で居ることを許可出来るのは私と二人っきりの時のみ。私以外の人前に出る時は嫌でも服を着てもらっている。無理強いをしているけれど、人の世界で生きる為のマナーだしルールだから我慢してもらってるんだ。

 

 「おはようございます。ろぜさん」

 

 「マスター。おはようございます」

 

 そんな裸のロゼさんをぼんやりと眺めていたら段々と眼が冴えてきてベッドからもそもそと降りて挨拶を交わし、着替えて身だしなみを整え朝御飯の準備に取り掛かる。ロゼさんと一緒に暮らしてはいるけれど、ロゼさんに食事は必要ないから一人分の食事を作るのは凄く面倒臭い。面倒臭いんだけれど、これを怠るとロゼさんと私がこの家で生活を送れなくなってしまうから仕方ない。

 と言うのも、一人暮らし……正確にはロゼさんが一緒なので違うけれど、保護責任者と後見人の人たちと交わした約束に"食事はちゃんと取ること"を強いられたんだ。家事全般問題なくできると伝えたんだけれど、信用されなかったようで暫く様子見をするとの事。

 なのでこの一年くらいの間は保護司の人が週に一度、私の様子を伺いに来て、日常の様子を報告されるようになってるからちゃんとした暮らしをしないと。これを怠れば保護責任者のリンディさんかカリムさんの上司さんの所へ赴かなくてはならないから、サボるなんて出来ない。いざとなればサプリメントや栄養剤で済ませようと目論んでいた私の考えは看破されてたのかも。

 

 通信教育での大学も始まり、順調に単位を取得してるよ。でもただ以前みたいに焦る気持ちはないからゆっくりと時間を掛けて色んな事を学んでいくつもりだ。あの時は遺伝子工学と機械工学だったから、他の分野にも手を伸ばして視野をもっと広げたいな。そんな事を考えながら、自分の研究室の一角で今日の講義を通信越しに受け終えた。そうして課題やら提出物なんて物を纏め、データを大学に送信。

 

 その後は私の趣味に没頭する。機械いじりだったり魔法についての文献を読み漁って、デバイスマイスターの資格を取る為に勉強をしたりと有意義な時間が過ぎていく。あっという間にお昼になってまた自分のご飯を手抜きで作って食べて、それからまた趣味に没頭。最近ではスカジアさんの評価が地上本部内で上がっていっている様で、増台したいとお願いされた。

 この研究室の設備だと大量生産は無理なのでライセンス契約でもして管理局に設計図を渡そうと考えてる、私が作れたのだから設計図さえあれば管理局の技術者でも作れるだろうし、無理なら企業にお願いするだけだしね。改良を施したければどうぞご自由にと伝えてある。ただあの時引き渡したスカジアさんは初期ロットなので、後発で作ったスカジアさんType-Rをさらに改良を加えた設計図を渡すつもりだ。

 

 改良を施そうと決意しても、何が良いのか思いつかない。だから地上本部にとって備えていれば便利な機能を調べなきゃねぇ。地上本部に勤務する人たちにアンケートでも取れれば良いけれど、難しいかなぁ。取り敢えずは警備用だから、不審者侵入対策と捕縛が出来るように作ったんだけれどさらに改良を加えるならば何を施すべきか。いずれはAIを搭載してスカジアさん達の意思で自立した行動を取ってくれるようになれば嬉しいけれど、まだまだ先の話だろうし。

 現実を考えるのなら、もう少し攻撃力を付与させるべきなのか。あんまり過剰戦力になっても駄目だし、この辺りは本部の人たちの要望を集約するべきかも。良いモノを作るって難しいね。海と陸じゃ、戦術ドクトリンとかその辺りが微妙に違ってそうだし。んー考えるべき事は山ほどある。

 

 そんな事で忙しい毎日を送ってる。日中を忙しく過ごしている所為なのか、眠くなっちゃうのが早いんだよね。ご飯を食べてお風呂に入ればもう眠くなってて。リビングのソファーでうとうとしてるなんて事がザラにある。

 そういう時はロゼさんが寝室まで運んでくれてベッドに寝かしつけてくれるんだよね。そうして今日も無事にソファーでうとうとして寝落ちしてたみたいで、気付くとロゼさんがベッドに運んでくれてた。

 

 ――おやすみなさい。

 

 本当に日々が過ぎるのは早くて、また一日が終わろうとしていた。

 

 ◇

 

 「バルディッシュ……!」

 

 《――……Yes, sir》

 

 「雷光一閃……」

 

 《――………………Plasma Zamber Breaker》

 

 突然聞こえてきた何処かで聞いた事のある声に飛び起きて、何が何だかわからないまま私の視界は金色に覆われた。

 




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