転生先はスカさん一家   作:行雲流水

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第七話:やらかした後のツケ。

 

 先日実験を行った"拳銃型魔法射出装置"の爆発事件は思わぬ所へと余波を呼んでいた。

 

 私の目の前にはナカジマ三佐とはやてさんが難しそうな顔をして座ってる。爆発事件の翌日、はやてさんから連絡を受けて陸上警備隊第一○八部隊に来てくれと通信があったんだ。一体何の用だろうと思いつつも、言われた事には逆らえない身なので理由も聞かずに陸士一○八部隊へとやってきたのだけれど……。

 

 「事情は大体理解しとったんやけど、ゼロ、ぷっ! その髪どないしたん? 見た目まんま男の子やんかっ!」

 

 事情を知っているのなら聞かなくてもはやてさんなら解るでしょうに。意地悪な人だなぁ。あと指を指して笑わないで下さい、もぅ。笑われてしまうのは仕方ない事だ、だってどうせ伸びるからと思って美容師さんに遠慮なく思いっきり短くしてくださいって伝えたからね。けれど、指を指してまで笑わなくても良いじゃない。似合わないのは仕方ないけれど。

 

 「子狸から噂は聞いていたが、本当にとんでもねぇ子供が居たもんだなぁ」

 

 しみじみと目を細めて私を見ながら紫煙を吐き出すゲンヤさんは堂に入っているなぁと思いつつ、煙草の臭いが部屋に充満し始めていて、片眉が跳ね上がる。正直、煙草の匂いは苦手で、周りに誰も吸う人が居なかったってのもあるけれど。

 

 「ちょ、子狸言わんで下さい。ゼロが真似したらどうするんですかっ。その時はちゃんと責任とってくれるんでしょうね、三佐殿」

 

 「おいおい、脅かさんでくれ、ヤガミ。それにこんな子供が理解出来ると思えんが」

 

 あーうん。子狸の意味は理解出来るし、冗談でゲンヤさんが言っているのも理解出来るし。

 

 「ゼロは例外中の例外ですよ。多分意味をちゃんと理解出来ているはずですし……」

 

 そう言ってジト目でこちらを見るはやてさん。うん、意味はちゃんと理解出来ているけれどここで"子狸"なんて私が言っちゃた日には一生はやてさんから恨まれそうなので黙っておこう。

 

 「まぁ、それは置いといて、だ。嬢ちゃん、管理局の許可を取らず無断で魔法を使っただろう?」

 

 あれれ、私有地で魔法を使う事も駄目だったけかな。ミッドチルダの法律には疎いから、知らない事があるんだよねぇ。

 

 「嬢ちゃん家の御近所さんからの通報でな。爆発音がしたと連絡が入ったんだ。現場に向かってみりゃ家主は留守。どうにもならなくて戻ってきてこうしてヤガミに頼んで、嬢ちゃんを呼び出した訳なんだが……知らなかったのか……」

 

 嗚呼、はい、知りませんでした。てっきり私有地の中なら迷惑が掛からない限りOKだと思い込んでいたのですが、駄目だったんだ。ご迷惑をお掛けした事は謝りますし、何か罰があるのなら甘んじて受けよう。ごめんなさい、そう言ってゲンヤさんに頭を下げた。

 

 「な、ん。お、おぅ……」

 

 咥えていた煙草を口から落としそうになりながら、驚いた顔をするゲンヤさん。そんなに驚くことなのかな。知らなかったから仕方ないし、罰金とかで済めばめっけもんなんだけれどなぁ。

 

 「ほらな、ナカジマ三佐。この子のことを子供やって侮ってるとこうして不意打ちを貰いますよ」

 

 「ま、まぁ、今回は爆発も小規模。被害も嬢ちゃんの髪だけだと報告は受けてる。今回は厳重注意っつー形を取るつもりだが、次に同じことを仕出かしたらちゃんと罪を償ってもらうからな。あと魔法を使いたいのなら公共魔法練習場を使うこった」

 

 「まほうれんしゅうじょう……?」

 

 そんなものがあるんだ。

 

 「む、知らなかったのか、嬢ちゃんは。一般市民の皆さんが魔法を使いたい時にはソコを利用するのが大前提だ。許可なく魔法を使えばこうして管理局から怒られる。例え悪意がなくとも、な」

 

 「そうやで~。知らんかったら仕方ないんやけど、次から気ぃつけーな。またこうやってこわーいオジサンに怒られるのは嫌やろ?」

 

 「おい、ヤガミ。余計な事を言うな。何気に傷つくぞ……」

 

 二人のやり取りには苦笑するしかないけれど、そこにはちゃんと信頼関係があるからこそこの憎まれ口なんだろう。けれど家の近くに公式練習所はなかったはずだから、遠出しなくちゃならないんだよね。それならいっその事、作ってしまった方が早いんじゃないだろうか。

 

 「かりのはなしなのですが、もしじまえでこうしきれんしゅうじょうをつくるとしたら、どうすればいいのですか?」

 

 「ん? 管理局に届け出してから業者と話をして作ってもらうのがセオリーだろうなぁ。嬢ちゃん、もしかして作るつもりなのか……?」

 

 どのくらいの資金が必要になるかが一番の問題になると思うけれど、遠出しなくちゃならないのは面倒極まりないし、テストしたい時にすぐに出来ないのは不便すぎるし、それなら自分の家の敷地内でも大丈夫ならいっその事作っちゃった方が早いもん。

 

 「ゼロ、あんま無茶せんといてぇな。それに手続きが結構煩雑やし、被害が周囲に及ばないように結界魔法とか結構面倒なシステムを組み込まなアカンのやけど……ゼロなら大丈夫そうやな……」

 

 はぁ、と深い溜息を吐いて額に手を当てるはやてさんは呆れてた。それでもやっぱりやり通すと決めたなら、最後まで突き進むのが私クオリティー。という事で、公共魔法練習場設置関連の必要書類を丸々貰ってお家で熟読する事にしたよ。取り敢えず着工手続の届け出と必要書類をあきれつつも揃えてくれたゲンヤさんには感謝、感謝である。これで魔法練習場を作った事のある業者さんを探して、見積もりを取って納得できるようなら契約して建造に取り掛かって貰わなきゃね。

 

 話が終わる頃、ひょっこりとギンガさんが顔を出した。

 

 「あ……ゼロ、私の事解るかな?」

 

 もちろん分かるし、少し遠慮がちに問いかけてきたギンガさんに疑問を覚えつつ、問いに頷いて言葉を返す。

 

 「あのときは、ちちがごめいわくをおかけして ほんとうにもうしわけありませんでした」

 

 「い、いいんだよっ! 悪いのはスカリエッティで貴女自身が悪い訳じゃないでしょう。それにフェイトさんから聞いたけれど、私の洗脳を時限式で解いてくれるようにしてくれてたって。大事な妹を傷つけなくて済んだもの、本当にありがとう」

 

 うぐ。色々と仕込んでた事が明るみに出てて恥ずかしいなぁ。フェイトさんには正直に事件の事を全部話してたんだけれど、周囲に吹聴してたのねん。なにか私他にもやらかしてたっけかなーと考えるけれど色々と手を付けてたので思い出せない。それから少しギンガさんと話し込んでた。戦闘機人について纏めたデータも役に立ってるらしくて、以前よりも調子が良いって言ってくれてちょっと嬉しかったり。抱っこしてもいいかなーって言われて、断る理由もないので頷けばはやてさんまで便乗してくるし。でもまぁいいか。皆が楽しそうならそれでいい。

 

 そうして暫く陸士一○八部隊を後にして家には直帰せずに、業者さんに立ち寄る。子供の姿で説明するのは驚かれるし、その事についての説明も面倒なので私と一緒に来てくれたロゼさんに頼んで念話越しに着工を依頼。

 ロゼさんは完璧に出来る女性を演出してくれたし、いちおう金払いの良いお客としてうっはうはな顔を業者さんはしてた。それに丁度手隙だったみたいで、管理局の許可が下り次第直ぐに着工してくれるって。工事の説明を受けて気付いたんだけれど、魔法練習場にもいろんなタイプがあって。唯のグラウンドとか最近流行のディメイジョン・スポーツ・アクティヴィティ・アソシエイション、通称DSAAのリングを模したヤツも需要があるんだって。

 

 ヴィヴィオさんは何年か先に選手としてDSAAに出場するんだっけか。それならついでにリングも併設すれば練習場には困らないかなぁ。たしか総合とか立ち技オンリーとかにクラスが分けられてて色々とあったはずだ。vividの知識はおぼろげにしかないけれど、確かそんな感じだった気がする。それに魔法練習場は私には必要な物なので、リングの有る無しに関わらず作る事は決定事項。

 業者さんに後からリングを併設する事が出来るか聞いてみると、可能だけれど手続きが更に面倒になっちゃうから、出来ることなら最初に一緒に申請しておいた方が楽なんだってさ。そういう事なら、お金が掛かっちゃうけれどもリングも一緒に作ってもらいますか。無駄に広い土地を買ったから余ってるし、設置する場所には困らないもんね。

 

 後の問題は結界維持の為に魔力の消費が大きいとの事なので、一般家庭の出力では間に合わないと言われた。その辺りは小型の魔導炉があるのだし、問題はないかな。もろもろの確認した業者さんは、建設現場を見てみたいという事だったのでお家に案内する事になった。わかれて移動するのも無駄なので、ついでに一緒に車で送ってくれるって。ラッキーと思いながら、業者さんの車に乗り込んで家に戻り、測量とか必要な事を行て帰って行った業者さん。

 

 ――これが完成すれば、大手を振って魔法実験が出来るなぁ。

 

 お家で色々と出来る事が増えるのは有り難い限りで。ミッドチルダの常識に疎くて、時々こうして怒られながらも過ごしているけれど楽しい日々が続いてる。

 

 ……大金が保護責任者の知らない所で動いていたのでリンディさんとカリムさんの上司さんから後に大目玉をくらってしまった事は秘密、である。

 

 ◇

 

 「こんにちは」

 

 「ゼロ~、こんにちはー」

 

 来訪を告げるチャイムが家に鳴り響き、モニターを覗いてみればそこにはなのはさんとにっこり嬉しそうに笑っているヴィヴィオさんの姿が。親子よろしく仲良く手を繋いでいた。玄関で待たせる訳にはいかないので、パタパタと短い廊下を速足で歩いて出迎ええる。モニター越しにさっきも挨拶はしたけれど、改めてもう一度。

 

 「ゼロ、髪切ったんだね、似合ってるよ。……フェイトちゃん大丈夫かなぁ……」

 

 ちょ、なのはさん。小声で不安な事を呟かないで下さい。バッチリ聞こえてますし次にフェイトさんに会う時が怖いじゃないですかヤだなぁー。髪を切ったくらいでフェイトさんがどうにかなるだなんて思えないしきっとなのはさんの思い過ごしに違いない。

 

 「おとこの子みたいー!」

 

 ぬぬ、私を男だと勘違いしていたヴィヴィオさんには言われたくない台詞なんだけれど、凄く短くなったから仕方ないかと諦める。あの時の発言をヴィヴィオさんが覚えていない可能性もあるのだし、ここは大人の余裕というものを見せて上げなきゃね。お二人をリビングに通して、なのはさんには珈琲をヴィヴィオさんには紅茶を淹れてお茶請けもちょっとしたものだけれどバッチリ用意。

 

 「いいお家だね、ゼロ」

 

 「ありがとうございます」

 

 小さい家だけれど満足してますよ、不動産屋さんが頑張って探してくれたおかげで良い物件を購入する事が出来たんだもの。

 

 「ゼロ~あっちの部屋に行ってもいい?」

 

 あ、ヴィヴィオさん。そっちの部屋には行っちゃ駄目です。研究室なので危ないモノが一杯あるから立ち入り禁止ですよ。『えー』と言われても駄目なものは駄目なんです。ケ、ケチ……あ、いえケチでも結構です。ヴィヴィオさんが怪我をしたら駄目でしょう。という事でそっちは進入禁止なんです。あ、ヴィヴィオさんが抜け出したっ。ロゼさん、ロゼさーん、やんちゃ極まりないヴィヴィオさんを止めて下さい。

 

 「陛下。そちらは危険ですのでお控えください」

 

 にゅ、と私の影から現れたロゼさんがヴィヴィオさんを止める。もちろん人前に出てるのだから裸族なんかじゃないよ。

 

 「え~。あっちも見に行きたいのにぃ」

 

 「ヴィヴィオ。我儘言っちゃ駄目だよ、それにゼロも言ってたよね? 危ないモノが沢山あるからって」

 

 しゃがみ込んでヴィヴィオさんの目を確り見つめながら諭すなのはさんは、母親らしいよねーってにんまりしながら横で見てた。本当に微笑ましい光景だと思うから、幸せになって欲しいなぁ。あ、それとユーノさん頑張って。無限書庫に無償奉仕勤務をする事になったからその内に会うんだろうけれど、原作通りの人柄なのかな。優しいけれどなのはさんに気持ちを伝えられない人ってイメージが強いんだけれど、どうなんだろう。恋愛相談とか楽しそうだけれど、見た目が子供だから出来ないよねぇ。あんまり踏み込むのも失礼だし。

 

 「え~。なのはママも興味ないの? ゼロが作ってるもの」

 

 「え? そ、それは、うーん」

 

 ちょ、なのはさん。困った顔でこっちを見ないでくださいな。なのはさんも興味があるのか私が作っているものに。女の子なんだから、その辺りの事には興味が無さそうって思ってたんだけれど、デバイスを持っているもんねぇ。機械の事には多少なりとも興味があるみたいで。それなら、後で案内しますよ。危ないモノとか触っちゃ駄目なモノがチラホラあるから、私が居ない時に入るのは絶対に駄目です。これだけは約束して貰わないとね。

 

 「わーやった!」

 

 「はーい」

 

 やっぱり二人は似た者同士なのだと、改めて思う。ほらほら、折角淹れた珈琲と紅茶が冷めてしまいますから、一旦座りましょう。話はそこでも十分に出来るでしょうし。ずずず、と珈琲をすするなのはさんの面持ちは何故か緊張しているような気がするんだけれど。何事だろうと思いつつ決して口には出さずに世間話に花を咲かせる。

 

 「あのね、ゼロ……」

 

 珈琲カップを両手で包み込んだなのはさんが、遠慮がちになにかを言葉にしようとしているけれど迷っているみたいで。さて、どうしたものかなーと静観していると、なのはさんが瞳を一度ゆっくり閉じて再びゆっくりと開く。その瞳には迷いなんてものは存在していなくて。

 

 「ヴィヴィオと養子縁組をしようと思うんだけれど、ゼロはどう思うかな?」

 

 どうもこうも良い事だと思う。自分の事ははるか頭上の棚の上に置いておくとして、子供には親が必要なんだし。真っ直ぐな性格で芯の強いなのはさんならばヴィヴィオさんを不幸にする事なんて絶対にあり得ないし。仮に金銭的に困窮しても、この二人なら笑いながら乗り越えられそうだしね。問題や心配なんてないと思うけれど、なのはさん自身は子育てとかした事ないから不安なんだろうなぁ。ま、私もそうだから人の事なんて言えないけれどね。

 

 「本当?」

 

 ええ、本当に。それにお似合いだと思いますよ。なのはさんとヴィヴィオさんは。

 

 「そっか、うん、そっかぁ……」

 

 少し天井を見つめるなのはさん。

 

 「なにかもんだいでもありましたか?」

 

 「えっとね。ゼロに言っちゃうのはどうなのかなーって思うけれど、正直に言うね。ゼロの事を放っておいてヴィヴィオと一緒になるのはどうなのかなーって考えてて。色々と模索してたんだ。ヴィヴィオと一緒にゼロも引き取るのはどうかなーとかね」

 

 んぁ、そんなに深く考えてくれていたんだ、なのはさんは。うーん、気持ちはありがたいけれど私は誰かの養子に入るつもりは全然ないんですよね。多分私にはずっと"スカリエッティ"の呪縛が付いてくるだろうし。そんなものを養子にと名乗り出てくれた人に背負わせる訳にはいかないんですよ。だから気持ちだけで十分なんです。

 それに保護責任者と後見人の人たちは雲の上の存在みたいな人の構成になっちゃっているし、困る事はないだろうから。だから私に遠慮なくヴィヴィオさんを養子に迎えてあげて下さいな。私も嬉しいですし、ヴィヴィオさんもこの会話をハテナマークを浮かべながら聞いているけれど、きっとなのはさんの子供になる事を望んでいるでしょうしね。

 

 私には異論も反論も全くありません。

 

 「そっか、そっか。後押ししてくれてありがとう、ゼロ」

 

 なにか憑き物が落ちたみたいに張り詰めていたなのはさんの表情が軽いものになる。嗚呼、そっか。私ってヴィヴィオさんの年下になるんだよねぇ。だからかなぁ、私を差し置いてヴィヴィオさんがきちんとした養子に迎え入れることをなのはさんが迷っちゃった理由って。申し訳ない事をしてしまったな、と思いつつ一度決めた事を思いとどまってしまうようななのはさんでもないから一安心。

 

 それじゃぁ、さっき約束した私の研究室に行きますかね。危ないモノがあるので散らかっている物を勝手に触ったら駄目ですよーとヴィヴィオさんに念を押す。こくりと頷いてくれたから大丈夫かな。

 

 「ゼロ~ゼロー。これはなぁに~?」

 

 あ、ほらヴィヴィオさん、約束したでしょう、危ないから勝手に触っちゃ駄目だって。ヴィヴィオさんやなのはさんはリンカーコアを所持してるんだから余計に危険度が上がっちゃうんです。

 

 「あ、それ私も気になるかなぁ。デバイスみたいだけれど、なんだろう? それにこれって質量兵器にならないのかな?」

 

 ヴィヴィオさんとなのはさんが気になると言い始めたモノは"拳銃型魔法射出装置"だった。んーデザインそのものは地球産の拳銃そのものなのだからなのはさんの疑問はご尤も。でも中身は魔法由来の構造なので全然別物ですよ。

 だから質量兵器保持者として捕まったりはしないのですが、家から持ち出して外で乱射なんて事をすれば当然逮捕案件です。一応非殺傷設定の魔法しか撃てない術式にはしているんだけれど悪意を持った人が改竄してしまえば殺傷設定にできるだろうし、その辺りのプロテクト対策も確り行っておかないと。

 

 「でもなんでゼロがこんなモノを作る必要があるのかな? リンカーコアを持ってるし、ちゃんとしたデバイスを作る方が良さそうだけれど」

 

 そうですね、私が使うならデバイスを作った方が効率的な魔法運用が出来るでしょうね。けれどこれは私が使うものじゃなくてコンセプトは魔力を持たない管理局員の人たちの自衛手段もしくは攻撃手段ですし。

 地球に住んでいたなのはさんならイメージしやすいと思うけれど、銃を所持した警察官や軍人を思い浮かべてもらえばいいかな。局員の人たちだから一般の人たちよりは体力があるだろうし、なければないで訓練を受けて鍛えればいいし。組織的に群れを成して戦力を持つ事を目的としてる代物ですよコレは。魔導師の人たちより出来ることやれる事は限定的になってしまうけれど、現場に出て身を守る術を持っていない現状よりは幾分かマシになるんじゃないでしょうか。

 

 「なるほど、ゼロが考えている事は理解したよ。でも、わざわざリンカーコアを持っていない人たちまで危険に晒す事になるけれど、ゼロはそれでいいの?」

 

 それは管理局員という職に就いた時点で公の人になっているのだから、市民の皆様を守るのはその人たちの義務でもあるから多少なりとも覚悟はあるんじゃないのかな。

 もちろん、やりたくないって人はやらなくていいだろうって思うけれど、その辺りを決めるのは管理局の上層部の人たちの考え方次第だろうし。全員に配備命令が下ればそうなるだろうし、一部に試験的に導入するのならそうなるだけだし。

 

 「ゼロはそれを理解して作ってるんだね」

 

 一応は、ですけれど。未来がどうなるのか解らないけれど、今のままの現状で管理局の人たちが魔法を使えないからと言って、魔導師の人たちよりも冷遇されてるのは見ていられないですしね。って、なのはさんたち魔導師さんを否定している訳じゃないんです。もちろん魔導師の人たちにも危険は何時でも付きまとう。けれど何も力を持たないまま現場に出なければいけない職員の安全ってどう確保しますか?

 結局魔導師さん頼りになって、戦力を分散させて倒れてしまうだなんて本末転倒で管理局の存在意義を問われてしまう事になる。なら、どうするべきなのか。その私の答えが目の前のコレになるんだと思います。

 

 「ちゃんと考えているんだね。でも、やっぱり心配かなぁ」

 

 兵器……ですからね。デバイスもですし、人殺しの道具である事に変わりはない。ただ魔法が当たり前に存在して普及している社会だからその意味が薄れている傾向がある気もするし。

 それでもなにか現状を変えられるのなら、やりたくなるのが人情ってモノじゃないかな。余計なお節介になるのかもしれないけれど、その力を持っているのだし使わなきゃ勿体ない。採用されるかどうかも分からないのが現状ですし、難しく考えても仕方ないんだと思いますよ。

 

 「ふふ、そっか。ゼロの気持ちは解ったよ」

 

 それなら全力で応援するね、と言ったなのはさんの笑顔は流石原作主人公で、凄く眩しくて綺麗なものだった。それに試験で教導隊になにかお願いをする事になるかも知れませんし、その時はよろしくお願いしますとなのはさんに頭を下げたんだ。

 

 「ゼロっ! ゼロ! ゲームがあるっ!」

 

 嗚呼、残念ながらそれはゲームじゃないんですよね。なのはさんと私のやり取りに飽きたヴィヴィオさんが凄く嬉しそうに声を掛けてくれるけれど、ソレは試験品どころか発想段階の代物だからそう見えても仕方ないけれど。

 

 「ゲーム機じゃないの?」

 

 ヴィヴィオさんが興味を示したモノを一緒に見て私に問いかけるなのはさん。

 

 「えー……。遊べないの?」

 

 遊べなくはないかなぁ。小さい筐体は全くもって別物だけれど。んー……でも試して貰って意見を聞くのも有りなのかも。なのはさんはその道のプロなんだし、って事でスイッチをぽちっとな。試行錯誤をしている最中で誰にも見せるつもりはなかったんだけれど、いい機会なのかもと割り切り私はヴィヴィオさんとなのはさんに説明を始めたのでした。

 

 




8507字

 誤字報告、感謝です!┏○))ペコ

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