FGO微課金ユーザーが『HUNTER×HUNTER』の世界にいく話 作:あきしょう
後悔はしていない!
もう1,2話ぐらい入れようかなと思っています。
面白ければ励みになるので評価・感想よろしくお願いします!
手短に、俺に起こったことを説明しよう。
1.トラックにはねられたら、いつの間にか知らない場所に立っていた。
2.突然神様を名乗るアヒルが現れ「君は死んだ。でもキャンペーンで記憶も肉体年齢もそのままに、異世界に転生させてあげよう」と言われた。
3.そして今、俺は神様に土下座している。
状況は理解できたね?
最後のだけは意味が分からない?
まあ待ってくれ。俺が神様に土下座している理由ならこの後の会話を見てくれればだれもが納得してくれるはずさ。
「……君、なにしてんの?」
「お願いします!」
神様は突然の俺の奇行に困惑しているが、それでも俺は土下座し続けた。
「いやいやいや、そんなされても僕困るし」
「そこを何とか!」
自分が死んだとか転生とかそんなことはどうでもいい!
俺には使命があり、それをなんとしてでもやらなければならないのだ。それこそ命を失っても!
そしてその使命とは、
「どうか、ガチャを! ガチャを俺にやらせてください!」
そう、ガチャである。
あの、スマホゲームでアイテムやキャラをゲットするときに引くあれだ。
スマホゲームは数あれど、俺は生前FGOというゲームが好きだった。
『Fate/Grand Order』
濃厚な設定に、引き込まれるストーリー、そしてなによりも魅力的でかわいいキャラクターが多く、俺はどうしても欲しいキャラがでてきたりすると、たまに数万円を課金する程度にはそのゲームにはまっていた。いわゆる微課金ユーザーというやつだった。
今回のピックアップもそうだ。
どうしても沖田オルタが欲しかった俺は、先月と今月のおこづかいをつぎ込んで爆死した。そして次はさすがに来るだろうと来月のおこづかいを前借りしたがまた爆死し、もう後戻りできないと何かにつき動かされるように再来月のおこづかいを前借りしてまたまた爆死した。
総額約5万。
バカかと思われるだろうが、あの課金して手に入れた石が湯水のごとく無意味に消えていく焦燥感と、ここまでやったならあとには引けないという使命感は、課金した者ではなければ分かるまい。
そこまで至ってようやく当時の俺も少し冷静になれた。
たぶん破滅回避本能が働いたのだろう。もう少し早く働いて欲しかったと嘆いたが、すぐに仕方がないと切り替えることにした。少しずつ呼符と聖晶石をためていって次のピックアップで引けばいい。その数時間後、死ぬと知らなかった俺はそんな呑気なことを考えていた。
くそ! 死ぬと分かっていれば、お年玉貯金を使ってでも引いたのに。
数時間前の自分をぶん殴ってやりたい。
今の俺の服装は黒の学生服という、死ぬ直前に着ていた格好で、ポケットにはスマホがあった。だが信じられないことにこの謎空間にはネットがつながっていないらしい。スマホを取り出し電源ボタンを付けると圏外の表示が出ていた。
俺はその事実を知った時、自分が死んだと聞いたとき以上の衝撃を受けた。
嘘だろ‼ これじゃガチャができないじゃないか!
俺は異世界なんぞに行くわけにはいかない。生き返ってガチャをしなければならない。なんなら生き返らなくてもいいからガチャだけはさせろ!
俺は!ガチャを!したいのだ!
「神さまあああああああ!!おねがいしますううううううううッ!! もう一度! もう一度ォォォ!! 俺にガチャを引かせてくださいいいいいい!」
自分の使命を思い出した俺は恥も外聞もなく、スライディング土下座をきめながら叫んで懇願した。
ガチャするたびにかぞえきれないほど神に祈ってきた俺ではあるが、今回ばかりは本気で祈った。
「えっと…、君は、そのガチャというものをもう一回やりたいというのが望みなのかい?」
そうだ‼
いや、さっきは勢いでそういったが訂正する。
あと1度ぐらいで沖田オルタがくるわけがないではないか。
何万使えばいいのか分からないが、どうせ死んだ身だ。最終奥義"
「いや…そんな覚悟を決めているところ悪いだけど、天界の規定で君をもとの世界に生き返らせることはできないんだよね。最近上司がうるさくてさ。ごめん」
神様が謝ってくるがそんなの関係ない。
俺は別に死んだことをなかったことにしろとか、特別な機能つきのスマホをもって転生したいとか、無課金で沖田オルタを当てたいとか、そんな無茶苦茶な要求をしているわけではないのだ。
ただ、ガチャをしたいからネットにつながるようにしろといっているだけだ!
まさか神のくせにWi-Fiと契約できないとか言わないよな。どんな神だよ。役に立たねえな。
「ひどい! これがガチャの魔力にとりつかれたものの末路か…。あ! じゃあ、君をそのFGOの世界に転生させるっていうのはどうじゃ? 死ぬはずだったマスターの1人になって世界を救うんだ。そんなに好きならやりがいもあるでしょ」
ふざけんな!
誰があんな季節のイベント感覚で人類が滅ぶ世界にいくか! あれはゲームだから楽しいのであって、現実にやりたいとはまったく思えない。
そもそもFGOの世界にいったら気軽にガチャができないじゃないか!
俺はFGOの世界にいきたいんじゃない、ただFGOのガチャがしたいのだ! なんども同じ事を言わせないでほしい。
「うーむ。そういわれても僕にできるのはどこかの世界に君を転生させることだけだ。転生特典とかこの空間にネットを通すとか無理なんだよね。ほんとにごめんね」
困ったように神様がそう言うが、困っているのは俺の方である。
じゃあ俺は…もう…、ガチャれないのか…?
目の前が真っ暗になる。こんなことならあと1回、あと1回だけでも引いとけば良かった。あれだけ引いても出なかったんだ。なんだか次引けば出るような気がする
そんな風に絶望と後悔の念にうちひがれている俺に神様が優しく語りかけきた。
「『HUNTER×HUNTER』て漫画、知ってるかい?」
知らない。
いや、題名だけならなんか聞いたことはあるような気がするが、内容までは読んだことがないので知らない。たしか結構有名な漫画作品だったと思うが、それがガチャと関係あるのか?
「その漫画は、登場人物が超能力みたいな特殊な力を使って戦うという、まあ言っちゃなんだかよくある話さ。でもこれからいうことが大事なんだけど、なんとなんと!その世界では自分の好きな能力が自由に作れちゃったりするんだ。まあ才能があれば、の話だけどね。」
なるほど。そこまで言われてようやく神様の言わんとすることは分かった。
「つまり、その『HUNTER×HUNTER』とやらの世界に転生すれば、もしかしたらガチャをする能力をつくれるかも知れないということですか?」
「そういうことだね! 話が早い!」
神様は満足げに頷く。
確かにその提案は今の俺にとって非常に魅力的なものであった。
ただ、俺は知っている! 最初に不安感を煽り、あとから都合のいい情報を与える。 これは詐欺師の常套手段である!
もしこの提案にのったらろくでもない結果になることがなんとなく予想することができた。
神様を見る。
一見普通のアヒルの間の抜けた顔にしか見えないが、ニタニタとこちらの反応を楽しんでいることがわかる。
すっごい怪しい。
だが、他にガチャを引く方法がないことも事実である。いや、もしあっても目の前の神様はそれを許さないだろう。要するに、ガチャを引くためには初めから神様の提案を受け入れるしかないわけだ。
俺は数秒考えたあと、神様の提案を受け入れることにした。ガチャしたいし。
どうしてガチャをするためにわざわざ異世界に転生して能力を作るなんて面倒くさいことをしなくてはならないんだ、と俺の中の冷静な部分が訴えているが、俺はその声を無視する。そんな声にいちいち耳を貸していたら数万単位で課金するなんてできやしない。
「よし! 善は急げだね! なーに転生なんて簡単さ。ちょっと目をつぶっているうちに全部が終わっている。 さ、始めるよ!」
俺が了解の意を示すと神様はいそいで転生の準備を始める。
すぐに俺の足元から光の円が現れ、俺の体は足元から白い粒子に分解されていく。
皮肉にもそれはFateの召喚サークルに似ているような気がした。
「最後に1つ。これでもう会うことはないだろうけど、僕は君の活躍を心から祈っているよ」
いや、俺は異世界にいってもガチャをするだけだ。
活躍など祈られても困るわ。
「そうだったね。まあ、どちらにせよ君の先輩たちみたいに転生して早々に死ぬなんてことがないように頑張ってね!」
どういう意味?
そう言おうとしたが、すでに口は粒子となって消え失せていた。そしてそのまま何もすることができないまま俺の視界は真っ白に塗りつぶされていった。
※
「あああああああああああああああああ!!」
見上げるほどに高い木が鬱蒼と生え繁る森の中。まだ昼だというのに、日光は木々によってほとんど遮られ、まるで日が昇るまえのように薄暗い。しかも人の手がまったく入っていないらしく、気軽に歩けるような場所ではなかった。
「なぜだあああああっkさああああ!! ゲホッ!! ゲホッ」
だが、転生して目が覚めて早々に俺はそんな森の中を、可能な限り全速で走っていた。叫んでいるうちにむせてしまったが、それでも走るのをやめようとはしなかった。
それなぜか?
後ろから化け物が迫ってきているからだ。
「やっぱり騙しやがったな、あのアヒルやろう!!」
俺を追いかけているのは猪とか狼とか熊とか、そんなちゃちなもんじゃなかった。
黄色の体色に黄金の特徴的なたてがみ、そして四本足で颯爽と走る姿は前世のライオンを連想させるが、もとの世界では信じられないほどに巨大で、得物を狩るために発達した牙や爪はするどく、長かった。なにより頭が2つあり、それぞれの頭に山羊のような角をつけ、周囲の木々をなぎ倒しながら俺を追いかける光景は、まさに化け物といって差し支えがない。
「死ぬうううううううううううう!!」
ここまでなんとか逃げてきたが、もともと生物として身体能力に圧倒的な開きがある。しかも人が歩くには向かない視界が木でふさがれた森の中だ。すぐに追い詰められた。逃げ場はないし、もう走れない。体力の限界だった。
警戒心が強いのか、それとも遊んでいるだけなのか、化けものはすぐに襲いかかるようなことはなかった。
ここで初めてその姿をじっくりとみたが、なんとなくFGOのエネミーのキメラに似ていることに気づいた。
あれはクラスがバーサーカーで攻撃力も高いから、いい具合にクリティカルを入れられると、一撃でこちらのエースすらやられるから嫌いだった。
まあスケルトンほどではないにせよ、素材集めではお世話になったけどね!
そんなアホなことを考えているうちに、とうとうしびれを切らしたのか、キメラ(仮)が近づいてくる。
脳がアドレナリンを異常に分泌しているのか、その動きはまるでスロー再生をしているかのように非常にゆっくりとしたものだった。
キメラが大口を開けて一歩、また一歩とこちらに近づき二度目の死を迎えようとしているのに、そんなときでも俺はやはりガチャのことを考えていた。
はいはい。死ぬのはもうわかったから、その前にとっととガチャを引かせてくれ。
次は絶対に当たる。そんな気がするんだ!
それに、ここで諦めたらいままでの
ガチャだ! ガチャをさせろ! そのために転生したんだろうが‼
なにもいらない。地位も名誉もチートだって必要ない。ただ俺はエアコンがよくきいた部屋でガチャを引ければそれで満足だ。
だから俺にガチャを引かせろよおおおおおおッ!!
そんな、俺のささやかな願いが通じたのか、それとも死ぬ前に見る都合のいい幻覚か。
キメラがあと一歩というところで、あることに気づいた。
星形八面体の形状をした虹のようにカラフルな色合いの石。
そんな自然界ではまずあり得ない物体が、すぐ目の前に浮かんでいるのが見える。
聖晶石だ。
あの聖晶石、しかも都合がよいことに一回召喚するのに必要な数の3個がそろって、目の前、キメラより少し手前の手を伸ばせばすぐ届く所にあった。
なぜ、などと無粋なことは一切考えなかった。そこに聖晶石があるのだ。ならばやることは1つである。
手を伸ばし、聖晶石を手に取る。
表面の感触は非常に滑らかで、名前の通り石のような硬さがあった。しかし俺の意思に反応したかのようにあっけなく砂のようにくずれ始め、中に封じられていた大量の魔力が解放されていく。そしてこれまで何百回も画面越しにみてきたサークルが形成された。
突如現れたサークルに、間近まで迫っていたキメラは吹き飛ばされていったがそんなことどうでも良い。
サークルには三本の光のラインが現れ、虹色の輝きを放ち始めている。それは、俺がいままで見てきたどんなものよりも美しく、そしてずっと求めてやまなかった光景。すなわち、SSRサーヴァント召喚確定のサインである。
これは……くるか?
あまりにも感情が高ぶっているせいか、いつのまにか目からは涙がこぼれて溢れていた。
こぶしを爪が食い込んで痛みを感じるほど強く握りしめ、涙で視界がボヤけながらもただ呆然と眺めているうちに、いよいよ回転が徐々に止まろうとしている。
沖田、来い!
俺は心の中で叫ぶ。
沖田オルタ沖田オルタ沖田オルタ沖田オルタ沖田オルタ沖田オルタ沖田オキタ沖田オルタ沖田オキタ沖田オルタ沖田オキタ沖田オルタ沖田オルタ沖田オルタ沖田オルタ沖田オルタ沖田オキタ沖田オルタ沖田オキタ沖田オルタ
きてくれええええええええ‼
沖田オルタアアアアアアア!!
光が収束し、人の体へと莫大なエーテルが形作られていく。
そして召喚サークルがあった場所の中心から、俺が望んでいた人物の声が聞こえてきた。
「問いましょう。あなたが私のマスターか?」
どこかで聞いた台詞とともに現れたのはハイカラな和装に身を包んだ、薄い桜色の髪の美少女。
「こふっ!!」
そんな見惚れてしまうほど可憐で凛々しいその顔は、彼女自身の血で真っ赤に染められた。
問いに返事する暇なく倒れたが、名前など聞くまでもない。あのfateお馴染みのアルトリア顔はゲームではかぞえきれないほどみてきたものだ。
あの顔。あの声。彼女の名は俺がさっきから何度も叫んでいた、沖田さんに間違いない。
だが、黒くない‼ オルタじゃない!
召喚サークルから現れたのは桜セイバーこと新撰組一番隊隊長の沖田さんだった。
俺は目の前のあまりの現実にしばし呆然としたあと、顔に手をあてて有らん限りの声で叫んだ。
「くそがアアアアアアアアアアア! ピックアップじゃなかったのかよおおおおおおお! すり抜けやがったアアアアアアア!!」
別に沖田さんが気に入らないわけではない。
むしろ好きだ。大好物である。
だけど今はオルタが欲しいし、そもそももう沖田さんは持っている! しかも宝具レベルも3だったりする。
やっぱり沖田オキタとなんどか間違えたのがいけなかったのかな。だってしょうがないだろう! 言いにくいんだから!
「ちくしょうがあああああああああああああああああああ!!」
心のなかではあらん限りの罵詈雑言を繰り返しながらも、俺の中の冷静な部分は周囲の観察を怠ってはいたわけではない。その証拠に、あのキメラが再び近づいてきていることに気づいた。
1度はサークルに弾かれたが特に怪我をしているわけでもなく、むしろ格下相手に反撃されて気が立っているのかキメラは激しく唸りをあげている。その恐ろしい表情からは絶対に俺を逃がさないという意志が伝わってきた。
それなのに頼みのサーヴァントは血を吐いて寝てやがる。
もちろんもう聖晶石は残っていないからこれ以上ガチャを引くこともできない。
……なるほど、これが現実世界の爆死というわけか。
………くそが!
このとき俺は決意した。
もう2度とガチャなんてやらねえからな!
能力名『
特質系能力
〇能力解説
主人公の命に危機が迫ったのと、ガチャがしたいという強い思いによって開花した能力。
うまくいけば強力なサーヴァントを複数従えることができる可能性を秘めた強力な能力……のように思えるが、実はメモリの都合上、サーヴァント排出確率が本家FGOガチャよりもずっと低く設定されている。どのくらい低いかというと、明言は避けるが、100連でも星3サーヴァントが一体出ればいい方、と言えるぐらい低い。もちろん10連で星3以上のサーヴァント確定などという救済措置はない!
しかもゲームとは違ってサーヴァントたちにもそれぞれ意志があるので、関係性を誤るとうっかりと後ろから刺されかねない危険性を持っている。
……この能力クソ過ぎない?
制約
1.
2.概念礼装は『■■■婆■腐』『まる■■シ■■■』『■■■■■■■』しか出ない
3.無課金
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