FGO微課金ユーザーが『HUNTER×HUNTER』の世界にいく話 作:あきしょう
3話目です。これで最初書きたいと思っていた話は終了となります。
次書くかは……未定ですね。
※追記
皆さんの意見を受けて、沖田が復活するシーンを変更しました。
すみませんm(__)m
あと感想返信できなくてすみません
行先も分からないまま昼も夜も無く100キロ以上ひたすら歩き続けるという、精神的にも肉体的にも過酷な一次試験を乗り越えた151人の受験者とプラス英霊一体。
そんな彼らを待ち構えていたのは二次試験官のメンチとブラハ。彼らが言い渡した試験内容は「寿司を作れ」という予想外のものだった。
作ろうにも「寿司」が分からず受験者の誰もがしばらく右往左往していたが、レオリオが迂闊にも叫んだ「魚」という言葉に反応すると、一斉に受験者たちは川へと駆け出して行った。……ただ一人を除いて。
「……あんた、さっきから何してんの?」
「見て分かんない?」
受験者の一人、胸に400の番号札を付けた少年がメンチの問いにそう答えるが、分からないから聞いている。メンチが今分かっていることと言えば、
なんか、受験者がマーボー食ってる。
ということだけである。
「なんで、受験者のあんたが、私の隣に座って、マーボーを、それも無心で、食ってんのかって、聞いてんのよ!」
「飲まず食わずで何時間も(沖田さんが)走っていたらさすがに小腹が減ってな。ここぐらいしか落ち着いて飯を食べられるようなところがないんだから仕方がないだろ」
確かに、彼の言うことは間違ってはいない。
ここには受験者のために準備した調理器具が大量に設置されており、だれにも邪魔されず食事をとれるところといったらメンチたちがいるところしかなかった。だが、
「そもそも飯食うな! 寿司を作れって言ったでしょ! 失格にするわよ!」
そう、今食事をとる理由が分からない。試験を放っておいて試験官の隣で飯を食べるとか、一体どういう神経してるんだろう。
「大丈夫だ。俺の代わりにちゃんと沖田さんを行かせたから」
「誰よそれ!? あんたが行きなさいよ! 分かってんの? これは試験! 本当に失格にするわよ!!」
「俺、生きてる魚触れないんだよね。特に目がさ、怖いじゃんなんか」
「知らないわよ!! 我慢なさい、それぐらい!!」
あまりに傍若無人な400番の振る舞いに激高して声を上げるメンチ。それをまあまあとなだめるブラハ。そしてそれを気にする様子もなく、黙々と謎の麻婆豆腐を食べるのを再開する400番。
いっそ本当に400番の失格を宣言してやろうとメンチは思ったが、美食ハンターであるメンチはいま400番が一心不乱に食べている、ラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んだ地獄の釜にも匹敵しそうな麻婆豆腐が気になってしまう。あれほど赤い麻婆豆腐はメンチとしても経験がなかった。
しばらくメンチはただその場に立ちながらじっと400番の動きを観察していると、ふいに二人の視線が合う。
「――――――――――」
「――――――――――」
しばらく二人は視線を外すことなく見つめ合っていたが、400番がおずおずと半分以上平らげた麻婆豆腐の皿を差し出してきて、
「食うか――――――?」
「食うか――――――!」
メンチは全力で返答した。
※
「う、うまいわ! 舌を焦がすほどの強烈な辛さの中に隠された複雑で洗練された深い味わい。私がこれまで食べてきたマーボーの中でも5本の指に……いえ、1,2を争うぐらいおいしいわ。悔しいけど」
「うんうん。うまいうまい」
『まるごしシンジ君』に次々と放り込まれていく受験者たちが作った『寿司』という名の生ごみをよそに、メンチとブラハの二人は400番の麻婆豆腐を食べて絶賛していた。
一度はつい全力で断ってしまったものの、やはり美食を追い求めるものとしてあの料理を見るだけでは我慢できなかった。汗をかきながらも二人とも鬼気迫る勢いで真っ赤なマーボーを食べている。特にブハラは大量の汗をかきながらも、何もないところから出したなぜか出来立てほやほやのマーボーを次々と腹に入れていた。
「というかそれって念能力よね? あんたの能力って麻婆豆腐を作る能力なの?」
「ノーコメントだ」
違う、と400番は言いたかった。自分の能力は英霊を召喚する能力だと言いたかった。
しかし彼のガチャで出たもののほぼすべてが『激辛麻婆豆腐』だったので、メンチの言葉があながち違うというわけでもなく、あいまいな答えでお茶を濁す。しかしメンチはそれをどういうふうに受け取ったのか、
「ま、そうよね。他人に簡単に手の打ちをさらす馬鹿はいないわよね。深く聞いたりしないわ」
となんか勝手に納得して話を終わらせてくれた。
そんな会話をしている間にもどんどん審査を受けに来た受験者の列がはけていき(すべてシンジ君行き)、とうとう禿げた忍者の格好をした男、半蔵の順番が回ってきた。
「……寿司食わねえでさっきから何食ってんだよ。あんたら」
「麻婆豆腐だ」
「だからなんで寿司を食わずにマーボ―を食ってるのかって聞いてんだよ! ていうかなんでお前がそこに座ってんの? 作れよ寿司をよぉ!」
「あ、そのやり取りさっきやったしもういいよ。スキップスキップ」
「なんでこいつこんなに偉そうなの!? 殴っていい!?」
「あー、いちいちこいつの言うことにまともに反応してたら身が持たないわよ。ほら、とっととあんたの料理を見せてみなさい」
メンチがそういうと、半蔵が納得いかないといった顔をしつつも手に持っていた料理をメンチの前に差し出す。それは今までと違い、少なくとも見た目だけは『寿司』の体をなしているものであったため、メンチもようやく実食に入ることにした。
「あら、ようやくそれらしいのが来たわね。もう今日のご飯はマーボーだけかと思っていたわ」
そう言って寿司を手に取り口に入れようとするが、ふいにメンチの手が止まり動かなくなる。半蔵たちはその不可解な行動をいぶかしんでいると、メンチは顔を上げ笑い、そして
「ごめん。マーボー食ったらお腹いっぱいになっちゃった! てわけで試験終了ってことで!」
と衝撃的なことを言い放った。
「「「「「「「「「「ふざけんな!!」」」」」」」」」」
※
とまあ、そんな感じでなんやかんやあったが、俺は順調に試験を突破していき、そしてとうとう最終試験までたどり着いた。
最終試験の内容は、小細工なし、受験者同士のガチンコ試合である。
相手に「まいった」と言わせればそれで勝ちという一見簡単そうに思えるルールだが、殺したりすれば逆に自分が失格になり、戦闘技術以外にも高度な心理的駆け引きが求められる。
対戦は、ハンター協会のお偉いさんらしいネテロが面接を元に作った「逆トーナメント」に沿って行い、負けた人間が次の試合に進む。 最後まで負け残った1名だけを不合格者とし、残りの受験者を全員合格とするというものであった。
そして最初の試合でゴンが気絶しながらも勝利をもぎ取るというイベントが起きた以外、番狂わせは起きることはなく、とうとう俺の番が回ってきたので沖田さんとともに試合の場へと進もうとするが……
「ちょっと待てえええええええ!!」
そこに、待ったがかかる。
それは審判ではなく、俺と同じ受験者であるはずの黒サングラスをかけたおっさん、レオリオだった。
「なんだ? レオリオ。また俺のやることにケチでもつける気か?」
「あったり前だろ!? 何また沖田に戦わせて自分は高みの見物決め込もうとしてるんだ! 今まではギリギリ見逃されていたかもしれねえけど、今回だけはさすがにダメだろ!」
「そうなのか?」
「ルールを聞いていなかったのか!? 最終試験は一対一のガチンコ試合! そこに助っ人を連れていくとか誰がどう見ても反則だろうが!!」
「でも審判はそうはいってないようだぞ」
「……へ?」
そう言って審判を指さすが、相変わらず審判は黙ったままである。ルール違反だのなんだの言っているのはレオリオだけだ。それは審判は俺をとがめる気がないことを意味していた。
当然だね。沖田さんは俺の念能力で現界しているんだから。ルール違反など何もしていない。俺と沖田さんは一心同体なのだ!
ただ念能力のことなどなにも知らないらしい受験者たちの中には当然反発するものもおり、
「レオリオに追従するわけではないが、さすがに今回は納得がいかない。今までの試験もそうだったが、彼だけをそこまで優遇するのはなぜだ? 納得のいく説明をしてほしい」
と金髪の美青年、クラピカが受験者を代表してネテロに尋ねた。
「ふむ、別に400番を優遇しているつもりはないぞ」
「では、なぜハンター試験に受験者でもないものの同行を認め、あまつさえ今回の明らかなルール違反をとがめない。このままでは何か不正な取引があったと疑われても仕方がないわけだが」
「そう言われてもの~。彼はこの最終試験の、いや、今までの試験のいかなるルールにも違反していない。だから失格にする理由がないんじゃ」
「「「はあ!?」」」
受験者たちはネテロのその言葉に唖然とする。一対一の試合に助っ人を堂々と連れてきておいて、ルール違反ではないとはまるで意味が分からないのだろう。
「今は分からんでもよい。いずれ分かる。じゃが、これだけは言っておく。君たちが何を言おうと、我々がこの決定を覆すことはない」
ハンター協会の最高責任者にそこまで言い切られては、たかが一介の受験者に言えることは何もない。レオリオもクラピカも納得はしていない顔はしているものの、口を閉じる。
「で、対戦相手であるお前さんも何か言いたいことはあるかのう?」
「ううん、さっさと始めようよ♥ ずっと待たされてもう待ちくたびれちゃった♣️」
そう言って俺の対戦相手であるピエロ、ヒソカ=モロウが立ち上がる。
「ず~とね♦」
こいつは一次試験の時からずっと俺、というか沖田さんを気持ち悪い笑顔で見てきた変態だ。今までは都合よく二人きりになることもなかったが、最後の最後にこうして戦うことになるとは俺も運がない。
お互い対戦場に立ち、この変態の顔を改めてみていたら、ふと、なんかこいつが死んで英霊として召喚されることがあったらアルターエゴっぽいなと思った。ピエロだし。
アルターエゴ、ヒソカ。
……違和感仕事しろ! いやだからな! 俺はこんなの召喚するのは!
アルターエゴならシトナイか沖田ちゃんがいい!!
そんなどうでもいいことを考えていたら、審判が開始の合図を出していた。
※
「……なんじゃこりゃ……」
それは受験者の一人がつぶやいた言葉だったが、この試合を見ている受験者すべての気持ちを代弁している言葉でもあった。
無数のトランプがヒソカの意志が乗り移っているかの如く宙を舞い、四方八方から沖田に襲いかかる(ように非能力者の受験者たちには見える)光景に、だれもが呆然と見ているほかなかった。
「素晴らしいっ♥ これも避けるんだね♣️」
しかし沖田も沖田で、全方向から迫ってくる念で強化されたトランプを刀一本ですべて撃ち落とす光景は異様という意味では負けてはいなかった。
「あなたも素晴らしい技量です。これまで念能力者なる者と何度か戦う機会がありましたが、あなたのそれは彼らをはるかに上回っている。かつてない強敵です」
「ありがとう♦ そんなふうに褒められたのはいつぶりかな? ふふふ♠ 君との戦いはすっごい楽しいねえ♥」
さっきまでの激しい攻防をかわしたすぐ後だというのに、そんな普通の会話を交わす二人の異常ともいえる精神に、周囲は唖然とするしかなかった。
「守ってばかりいないでそっちからもおいでよ。大丈夫。彼には手を出さないから。ルールで殺しちゃいけないことになっているしね」
その言葉に沖田は後ろ、自分のマスターの方を振り返る。そのことに気づいた400番の少年は、いけとばかりに頷いて、
「……わかりました。その期待にお応えしましょう」
ヒソカと、そして自らの主の期待に応えるべく、沖田は刀を構え、駆け出した。
その速さは音すら置き去りにし、ヒソカと沖田の距離などなかったかのように、一瞬で間合いを詰めていく。
沖田の一撃必殺の突きがヒソカを穿つ直前、ヒソカの姿が突然消えた……かのように周りは見えたがそれは違う。
ヒソカは天井にあらかじめ貼り付けておいた『
普通ならそのまま抵抗もできないまま命を刈られるところであるが、
「見えています」
相手は幕末の天才剣士、沖田総司である。彼女には言葉の通りヒソカの行動はすべて見えていた。だからこそ沖田は上から自分を狙って急速に落下してくる死神を逆に好機とばかりに迎撃する構えを見せた。
(知ってるよ♥)
だが、ヒソカも一流の奇術師である。一流の剣士である彼女がこんなつまらない手品に騙されるなどとは欠片も思ってはいなかった。この攻撃の狙いは沖田ではなく、彼女のもつ刀。
(『
ヒソカは沖田が超一流の剣術の持ち主である一方、戦闘中、念のコントロールがほとんどできていないことに気づいていた。ある程度念能力の修練を積んだものならばそれは戦いの中で現れる。だからこそ、ヒソカは沖田が念についてはほぼ素人だと看破していた。
ヒソカは思った通り剣で自分を斬ろうとする沖田の姿を見て笑い、計画通りまずは彼女の刀をゴムで受け止めようと力の限りオーラを練り、
「―――――――――――え?」
沖田さんの一撃のもと、ヒソカは自身が練りに練った渾身のはずの『
※
ヒソカの体はバットで撃ち返されたボールのごとくなすすべもなく吹き飛ばされた。
死んではいない。だが重症だ。右肩から左わきにかけて袈裟斬りされた傷は深く、少なくともさっきまでのようなアクロバティックな動きは不可能だった。
「な……なにがおきたんだい♥」
ヒソカは血を吐き床に伏しながらもそうつぶやく。
自分の『
仮に沖田が何らかの能力を隠していたとしても、対処できるように心構えはしていた。
そして実際に沖田はオーラが碌に込められていない刀でこちらを迎撃しただけである。すべて、自分の思っていた通りに進んでいた。なのに自分はこうして斬られている。
「どういう手品で僕の『
そう、オーラも碌に込められていない刀でどうして自分の渾身の『
「あなたのおっしゃっていることがよくわかりません」
そんなヒソカの疑問に沖田は
「たとえどんなに斬りにくくても、そういうものだと予め分かっていたのなら、斬れぬ道理があるでしょうか?」
とつまらなそうに返した。
「は、ははははははははははは♥ 楽しいなあ♦ これだから戦うのはやめられないんだ♣ もっと君のことを知りたくなっちゃったな♠」
「そうですか。しかしそろそろ終わらせましょう。マスターは戦いが長引くのを嫌がるので。……まいったといってもらえませんか?」
沖田はそう言ながら、ヒソカの首に刀をあてる。
「うーん、どうしようかな♠」
出血はバンジーガムですでに止めたが、激しい動きができるかはまた別だろう。思ったよりも傷が深い。もしかしたら内臓に届いているかもしれない。だが、そんな状況にも関わらず、ヒソカの体、特に下半身は高ぶって高ぶって高ぶって高ぶって仕方がない。もっとこの試合を楽しみたい。この試合を終わらす気など一切なく、どうすればいいかという思考だけがヒソカの頭を占めていた。
沖田のマスターもヒソカの様子に不穏なものを感じたのか、
「油断するな。沖田さん。まだなんか企んでるぞ」
と珍しくまともなアドバイスを沖田に送る。沖田も素直に「分かっています。沖田さんは油断なんかしません。まだまだいけますよ!」と返したが、もしかしたらそれがフラグだったのかもしれない。
ここで、全く試合とは関係ない話をしよう。
型月の世界では、同じサーヴァントを召喚したとしても、マスターの技量などによってステータスは大きく変わる。どうやらその理屈は念能力『
「こふっ!?」
突如、沖田さんが血を吐き体から力が抜けて膝をついた。沖田の持つスキル『病弱A』が間が悪いことに今、発動したのだ。
そしてそんな大きな隙を目の前にいる死神が見逃すはずがなかった。
ヒソカは沖田の突然の吐血に一切動揺することなく、『硬』によって鉄以上の硬さにした指先を、そのまま隙だらけの沖田の左胸に突き刺した。
英霊の中でも耐久のランクがかなり低い沖田の体ではろくに抵抗できず、急所をえぐられそのまま倒れて動かなくなった。
予想外の決着。
ヒソカ自身でさえ、この状況からこんな形で決着がつくとは思わずしばし呆然とする。だが、
「はあ~」
この場の雰囲気を一切無視したような軽いため息で我に返る。
「知っていた。沖田さんがここぞというときにそうなるとは知っていた。だから怒ってない。俺は怒ってないんだ。いつものことじゃないか。うんうん。だから落ち着け俺。このレアプリズムに変えたい欲求を今は我慢するんだ俺。……あとでくすぐり30分の刑だな。今回は結構頑張っていたし、それで勘弁してやろう」
何やら今までずっと戦いに参加していなかった400番が、胸を貫かれて倒れた沖田をみてぶつぶつと独り言を言っていた。
「それで、君はどうするんだい♠」
「いや、やっぱり一時間にしとくか……? ん、何がだ?」
「沖田がいなくなった今も、君はまだ戦いを続けるのかっては・な・し♥」
いつものように軽い調子で言っていたが、実はヒソカは400番の少年を警戒していた。
ヒソカは400番の少年が能力者であると見抜いており、沖田にいろいろと命令していたことから、人を操るタイプの操作系能力者だと睨んでいた。
あれほどの猛者も操作できる能力など危険極まりない。発動条件が分からない以上、迂闊に近寄れば自分も操作対象になると警戒して近づけないでいた。
「どうするかって?」
だが数秒後、ヒソカは自分の推察が完全に外れていることに嫌でも気付かされることになる。
「もちろん、『
そう言いうと、彼はポケットにずっとつっこんでいた手をだし、周囲に見せつけるかのように手の甲を掲げる。
そこには、まるで紋様のような形に浮かび上がる綺麗なアザ。
ヒソカや周囲が何をする気だと彼の一挙一動に警戒するなか、
「すべての令呪をもって命じる」
それを嘲笑うかのようにゆったりと彼は宣言する。
「立て、沖田」
手の甲のアザが消え、その瞬間、沖田の体が謎の光に包まれる。
そして何事もなかったかのように沖田総司は立ち上がった。
※
死んだと思われた人間がよみがえる。しかも胸にぽっかりと空いていた穴はおろか、服の血の跡さえ元通りなって。
そんなありえない光景に、とうとう周囲の観客の頭はパンクを起こす。
その中で、試験官たちを除いて唯一ヒソカだけが状況をすべて正確に理解していた。
「は、ははははははっ♥ すごい♦すごいよ♣️こんな能力見たことがない♠ 君の能力で彼女を操っていると思っていたけど違ったんだ♥ 彼女が君の能力だったんだね♦」
まるで、新しいおもちゃを買ってもらった子供のようにヒソカははしゃいでいた。すでに体を走る激痛も感じていないのか、ギリギリと立ち上がり戦闘態勢に移っている。それをみて、復活したばかりの沖田もまた剣を構えた。
「これほど強くて人間にそっくりな『念獣』は初めて見たよ♣」
それは、ヒソカにとって特になんてことはない言葉だった。
辱めようとか、挑発しようとか、そういった意図は一切なく、ただ思ったことをそのままいっただけのことだった。
沖田自身、特に気にした様子もない。
だが、
「今なんつった?」
他でもない、念獣と言われた沖田のマスターがその言葉を聞いて反応した。
「念獣……? 沖田さんが……念獣だと?」
彼はただでさえ悪く見られがちな目を吊り上げ、とても分かりやすく怒っていた。
試験をずっと共にしていたレオリオやクラピカ、キルアはその様子をみて驚く。
なにせ彼は今まで何が起ころうとも戸惑うということがなく、ガチャに関すること以外は全く興味も示さない冷淡な男だと思っていた。そんな彼が、初めて怒りという感情を見せている姿を初めて見た。
「確かに、俺は自分の能力のことをほとんど知らん。出てきたサーヴァントが本物なのか、それとも俺の知識から生まれただけの存在なのか……俺自身ほとんど分かっていない。俺はガチャがしたいだけで、それ以外のことには興味がなかったしな」
レオリオも、クラピカも、キルアも、他の受験者や試験官たち、そしてヒソカさえも黙って400番の言葉を聞いていた。
「だがな! FGOの世界から来たのではないとしても! 俺の知識から生まれただけの存在だとしても! 運営の回し者でも!」
「俺の沖田さんは、英霊だ!」
「そして俺だけのサーヴァントであり、俺だけが沖田さんを貶す権利をもっている」
「つぎ、俺の沖田さんのことを念獣などとほざいたら殺すぞ! 沖田さんがな!」
とてもダサいセリフを、恥ずかしげもなく大声で叫んでいた。
意味はほとんど分からなかったが、熱量だけは伝わってきた。
「マ、マスター、私のことをそこまで思ってくれていたなんて」
周囲は思った。
騙されるな! なんかいいこといってるふうだけど、結局お前に全部面倒事押し付けてるだけだからな、と。
しかし、肝心の沖田は気づいているのか気づいていないのか泣いて主人の言葉に喜んでいた。
「うーん♥ 僕が言うのも何なんだけど、君たちも君たちで大概だね♦」
そんな様子をみて一旦頭が冷えたのか、ヒソカのさっきまでの狂気が薄れている。
「もっと戦いたいって気持ちもあるけど、君たちには十分楽しませてもらったし♥ 僕もこんな体だし♦ まあいっか♣️」
そう言って彼は審判の方に向き直り
「『まいった♠』」
とあっさり自分の負けを認めた。
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後はまあ、語る必要はないだろう。概ね原作通りである。
まるで運命という大きな流れに流されるように、キルアがルール違反を起こして、他の全員が合格という形でこのハンター試験は幕を閉じることになる。
しかし、この戦いをみたものたちの多くの運命は、今ここから本来のものとは違った道をたどることになるとだけ、今ここで言っておこう。
沖田総司
クラス:セイバー
ステータス
筋力C 耐久E 敏捷A⁺ 魔力E 幸運E 宝具-
主人公がこの世界にやってきたときに初めて召喚したサーヴァント。
最初の出会いがあれだっただけに、主人公からの対応はかなり雑。
幸運が普段よりも低いせいか「こっふ!?」が悪い意味で絶妙なタイミングで起こり、そのたびに主人公に折檻を受けている。
ただ、主人公との相性は悪くなく、なんだかんだ言って二年間それなりに楽しく仲良く過ごしてきた。
運営の回し者ではないらしいが、主人公には信じてもらえていない。
特別版沖田さんボイス
「生前、私は大切な人達と最後までともにあれませんでした」
「病のせい 時流のせい」
「そうできなかった理由はいくつかありましたが、それでも私は最後まであの人たちとありたかった」
「マスター、あなたはいろいろ言いながら、結局なにがあっても私を置いて行ったりしませんでした」
「私があなたに命を懸けて仕えるのに、それ以上の理由がいるでしょうか?」
「これからもよろしくお願いしますね! マスター」
「え? やだ? わーん。そんなこと言わないでくださーい!」