ROM専でしたがこの度、一品出してみることにしました。
拙い代物で有りますが頑張って書きました、褒めてください。嘘です。
自分が読みたい作品を自分と相談しながら吐き出しました。
ちなみにこの作品には主人公が前世でどのように生き、どのように死んで、どのようにヨルムンガンドの世界に生まれたのか。から、ヨルムンガンドの面々と行動を共にし、最終巻の俺たちはこれからだEND迄の大まかなプロットが自分の中には存在します。その上、高橋先生のデストロ246とか、相田先生のガンスリンガー・ガールとか、芝村先生のマージナル・オペレーションとか、銃と子供が出る作品を無節操にクロスオーバーさせる妄想もあります。しかし、どうせ短編で終わると思うので、ヨルムンガンドオンリーで。その上、序盤の一部分だけを切り取ってそこへオリ主をぶち込むだけで原作要素も薄味という浅い作品です。
多分、一切、面白くないと思うのでブラウザバック推奨であります。
夜が明け、輝かしい太陽が窓から遮光カーテンの隙間を縫って暗い部屋の中に一筋の光をもたらす。
その光に当てられ、男は自宅のベッドの上でぼんやりと目を覚ます。
のっそりと起き上がり、無意識に目元をこすって目ヤニを取りながら意識をゆっくりと覚醒させていく。
数分もしない内に、それなりにはっきりした意識でベッド横の小さなテーブルの上の腕時計で時刻を確認すると男の起床に気づいたのであろう少女が男の下着と着替えやタオルを持って慎ましいノックの後、部屋へと現れる。
男は少女から少女からそれらを受け取るとのそのそと階段を降り、バスルームへと向かう。
少女はその姿を見送ると朝食の用意をテキパキと始める。そして、二十、三十分としない内に二人分には少し多いように見える量の朝食を用意し終える。
そのタイミングに合わせるように男がシャワーを浴びてスッキリとした面持ちで朝食が用意されたダイニングへやってくる。
少女は男になみなみとコップに注がれた緑茶を渡し、男はそれを受け取るとゆっくりと飲みながら、朝食の席へと着く。それを見ながら、少女も自分の飲み物を用意すると席に付き、各々食事の挨拶をすると朝食を始める。
朝食の内容は少女の気分でいろいろと変化するが今日は和食の気分だったようでそれなりに体裁の整った形で手の込んだものからある程度簡単に用意できるものを合わせて用意していた。
少女は年相応の量に用意したそれをバランスよく味を確かめるように食べていくのに対し、男は朝食を多く摂る質のようでおよそ二人分にも見える量の朝食を左から右へといった感じで流れ作業のように平らげていく。
食事を終えると二人揃って地下の作業部屋に降り、昨日使った仕事道具の整備を始める。
男と少女は一時間足らずでそれらの整備を終えると、男は作業部屋の隣に用意した射撃部屋へ赴き、整備したばかりの銃で日課と趣味と実益とを兼ね備えた射撃を始める。
3つほど並べられた拳銃の収まったガンケースから最初に手に取ったのは小型で隠匿携行に特に向いている
静かにアイソセレススタンスで吊られたターゲットに向けて照準する。その距離十メートル前後。
狙いをそこそこに男は一発撃つ。.357マグナムにも匹敵しようかという反動が男の両腕を通って身体の全体に伝わり、その撃ち味を男はゆっくりと楽しむ。そして、余韻をそこそこに男は照準をそのまま、
指掛けを兼ねたエクステンション付きの弾倉の容量は11発。それを撃ち切り遊底が後退した位置で止まる。
遊底を後退位置に固定する
ベルトの右腰にヒップホルスターを着け、そこへGLOCK29を納めると反対側にはマガジンポーチを着け、予備の弾倉を挿し込む。そして、ターゲットの数を増やすようにリモコンで操作する。
距離はまばらにターゲットの数を4つに増やすと一呼吸を置く。
男は自分の中のスイッチを切り替えるように瞬きを意識的に一度、目を開いた瞬間、ホルスターに納められた拳銃を抜く。
最初に一番近くに配置されたターゲットの中心線を目安に抜いたばかりの拳銃を腰だめの位置でダブルタップ。
すかさず、胸の前まで腕を持ってきて撃ち込んだばかりのターゲットの頭部に照準を持ってくる。
次の目標は一番遠い位置に配置されたターゲット。ウィーバースタンス気味に狙いをつけ、胴へダブルタップ、反動で照準が上へズレることを利用してそのまま頭にエイム。
今度は反動を完璧に押し殺し、照準を崩さず次のターゲットへ。そこから一番近いシルエットの頭部へエイムをずらし、ダブルタップ。
最後の目標の胴へ視線をやり、その視線の先に銃の3ポイントドットを持ってくるようにエイム、ダブルタップ。そのまま頭部にもエイム、トリガ。そして、ヒット。
一切の猶予を挟まず、空になった弾倉をリリース。それと同時に抜いていた予備の弾倉を叩き込み、遊底留めを親指で操作し、遊底を前進させる。
他の目標の有無を視認、コンバットレディポジションに銃を持ってきて、もう一度、周りを確認をして、右腰のホルスターへ銃を納める。
十秒足らずの事を終え、男は深呼吸を一つ。あらためて、結果を確認する。どれも、照準の通りに弾痕が残っていることを確認するとリリースした空の弾倉を拾い上げ、壊れてないか一応の確認すると、同じことを二度、三度とターゲットの位置や使用する拳銃を変えつつ、繰り返す。
同じように少女も男の隣で射撃を始めるが、一時間もしない内に先日終えた仕事の報告書や経費の算出、新しい弾薬の注文のため、少女は自分の部屋へと戻っていく。
男はその後も部屋に籠もり、三時間近く、拳銃だけでなく、アサルトライフルやライフル、ショットガンと次々と撃ち続けた所で満足したのか軽く整備した後、自分の部屋へと戻っていく。
自分の部屋へと戻った男は動きやすい格好に着替え、GLOCK29をTシャツとズボンで隠れるようにレザー製のインサイドホルスターでアペンディクスキャリーすると外へ走りに出かける。対して少女は、自分の部屋で先程の業務を終え、新しい依頼についてのメールに目を通し始める。
一時間程度で外へ走りに出かけた男は家へ戻り、そのまま汗を流すためにシャワーを浴びる。それに気づいた少女は時間を確認し、早めの昼食のため、レシピを探し始める。
目的のレシピを見つけた少女はそれを頭に入れ、昼食の用意を始める。
少し早い時間ではあるものの用意を終えた昼食を二人で食べ始め、ゆっくりと食事を終える。
食事の後はゆっくりと時間を過ごすのだろうと少女は思いつつ、自分の部屋に戻ろうとする少女へ男は後ろから
「時計を買いに行こう」
と、突然言い出す。
急にそう言われ、少女は混乱した面持ちで男へ振り返る。
突然、予定と思しき事を言われ、艷やかな黒髪と共に可愛らしい顔を小さく傾げながら褐色の肌色を持つ少女は短く問う。しかし、男はそれに満面の笑みで普段つけている腕時計を指差しながら、
「時計を買いに行こう。」
と同じ言葉を繰り返し、そそくさと外出の準備を始める為、動き出す。
少女は男の言動に多少なりと戸惑いの表情を見せたが、なにか面白いことを前にして準備を始める子供のような無邪気な男の表情を前に、何も言わぬまま自分も外出の準備を始める。
自分の部屋に戻った男はまず、ゆったりとした部屋着から外行き用の装いが詰まった衣装棚を開け、黒いスラックスと暗い紺色のシャツを出して着ると同じように衣装棚に吊られたショルダーホルスターを身に着ける。
テーブルの上へ無造作に置かれたガンケースから今朝も撃ったばかりの愛銃を取り出す。
その愛銃は一見、コルト・ガバメントの他社製高級モデルにも見える。しかし、至る所に己の使いやすいように改良、変更された仕様が見受けられた。
特に違うのはコルト・ガバメント特有のグリップセーフティがオミットされた特注のグリップだろう。また、銃口先には
男は自らの愛銃を手に取ると遊底を引いて安全確認をすると、同じくガンケースの中から
取り出した単列弾倉に10mmAUTO弾が七発、かっちりと入っている事を確認すると一つを愛銃のグリップの中へ滑り込ませ、遊底を引いて初弾を薬室に装填すると、親指で安全装置を掛け、ショルダーホルスターに愛銃を差し込む。
次にベルトの左腰辺りにマガジンポーチを付け、愛銃の予備弾倉を二つ挿す。そして、昼頃からアペンディクスポジションですぐに携帯出来るよう、ホルスターに納められたままのGlock29を抜いてスライドを軽く引いて薬室に弾が装填されているかを確認すると、早速それをアペンディクスポジションに携帯する。
最後にそれなりに上等な灰色のジャケットを羽織るとテーブルに置いたままの腕時計を身に着け、ちらりと確認してから部屋を後にする。
その頃、少女は自分の部屋へと戻ると仕事道具を収めた棚から
出かける際にいつも使っているリュックにストックを折り畳んだそれをを収め、同じように装填を終えた予備の弾倉を二本収める。そして、ずっしりと重くなったリュックを背負って部屋を出る。
男は部屋から出てきた少女に準備はできたかと言わんばかりに視線を送ると、こくりと小さくうなずく。
「では、行こう」
男はニヤリと口角を上げながら少女を連れて自宅を後にするのだった。
一時間程も寄り道をしながら街を練り歩き、目的地である免税店に近づこうと行った所だった。
男はその身に着けた物々しい装備に反して一見すればまるで少女を連れて散歩に行くような気軽さで街を歩いている様子だった。
歩調にはまるで踊りださんばかりの軽快さと喜びが溢れるようで少女もこの後、起きるであろう状況を予想しているにも関わらず男との街歩きを楽しんでいた。
後一本、横道を過ぎれば男が言った時計を買える場所に着くかといった所で少女は女の大きな声を聞く。それに伴い、男の雰囲気が一変したことに気づいた少女は素早く体勢を低くしながら物陰に隠れると、リュックからいつでも短機関銃を抜けるように準備する。
男は素早く建物に背を預けながら懐から愛銃を抜いて酷く嬉しそうに凄惨な笑みを浮かべる。
女の声から数秒と経たずに響く数多の銃声に男はますます機嫌を良くする。
男や少女が普段聞き慣れた拳銃弾よりキレ良く軽い絶え間なく続く発砲音、それに比べて大きい
そうした銃声の中に連続する爆発音や弾が盾に当たって響く特徴的な音を耳にした瞬間、男はついに身を預けていた建物から離れ、拳銃を片手で撃ちながら銃撃戦の真っ只中へ自己主張するがごとく身を出す。
「HAHHA!休日の俺の庭でそんな面白そうなことやってんじゃねぇよ!」
男はそう言いながら曖昧な照準のまま、オーケストラと呼ばれる殺し屋の男へ愛銃の10mmAUTO弾を撃ち込む。
軽薄な男の声よりも先に、向けられた殺意を察知して、テンガロンハットをかぶった少女が咄嗟に盾を向ける。
突然聞こえてきた男の声に驚く暇もなく盾が銃弾を弾き、重く鈍い音を響かせる。
「ナニコレ!?スッゴイ重いよ師匠!?」
直接的な被弾を避けることは出来たものの予想より強力な弾薬に盾を押されテンガロンハットの少女は泣き言を漏らす。
師匠と呼ばれた男はこの特徴的な発砲音と発砲の前に突然聞こえた男の言葉が脳裏に過る。
「10mmだ!F○ck‼休暇中なら引っ込んでろよ
反撃とも言わんばかりに男に向けてアサルトライフルの連射が向けられるが既に建物の影へ身を隠された後だったため有効な射撃にはなり得なかった。
そんな中、激昂した少年兵が短機関銃で突撃する。
そんな光景を見た少女は舌打ちを一つ、そして、今まで身を隠していた物陰からいつでも撃てるように準備された短機関銃を三点バーストで連射し、彼を援護する。
二つのSMGによる射撃にオーケストラは怯まず反撃をしようとするが突然、片方の銃声が止まり、少年が引きずられるように物陰に消えていく。
それに合わせ少女も、フルオートにセレクターを切り替えて弾幕を張りつつ、この状況でも愛銃を片手に笑顔を浮かべながらいるであろう男へ向かい、移動する。
それを察知していたように、男の方も迎えに行くが如く、少女の移動を援護するため、オーケストラへ愛銃を撃ち続ける。
二度、三度、四度。銃爪を引き、オーケストラの面々を威圧し続ける。六発目を撃ち、男は空になった弾倉をリリースする。
グリップに納められた空の弾倉が自重で落ち、それに合わせるように新しい弾倉を叩き込む。そのまま、射撃。
同じように威圧するように、反撃の隙を許さない重い一撃をわざわざ、盾に当てていく。そして、少女の移動を終えるのを見たのと同時に物陰へと身を隠し、上機嫌に鼻歌を歌いながらスライドストップした愛銃の10mmAUTO七発を撃ちきった単列弾倉を交換し、スライドを引いて薬室に装弾する。
激しい銃撃に襲われ時間を稼がれたオーケストラの男はイラつきながら配備に付き始めた警察の部隊へアサルトライフルの弾丸を食らわせる。
そんなオーケストラ達に向けて別の角度からサプレッサーによるくぐもった銃声と共に弾が向けられる。
テンガロンハットの少女はそれにすら反応してみせ、盾を向けることで防いでみせるが.45口径の威力に押され、その重さに感想を漏らす。
「シケた音混ぜんじゃねーー!」
盾の後ろで師匠と呼ばれた男がイラつきを爆発させながらアサルトライフルを向け、乱射する。
男はそんな光景を横目に見ながら、1分もしない程短い電話を終えると
「そろそろ動くかな」
上機嫌のまま、男はまた突然、少女にそう言い、愛銃による一発を
少女は休暇を男に振り回されたのにも関わらず、男の左腕に絡みつくように抱きつき、仲睦まじい様子で帰路につくのだった。
その日の夕方、男は一旦帰宅して弾倉と弾を補給すると少女を家に置いて外出する。
だらだらと歩いていると電話がなり、男は電話で10秒程話を聞いて、足を速める。
10分程歩き、街から少し外れ、世間の日陰とも言える環境に着くと男は見つけた少女に
「Hey カウガール!調子はどうだ?」
そんな男の軽薄な口調に殺意を隠しきれない様子でテンガロンハットを失った少女は振り返る。
振り返って男を見た瞬間、チナツと呼ばれていた少女は反射的にSOBホルスターへ手を伸ばし、グリップを握る。そして、少女はあと数センチでホルスターから銃のロックが外れるところで、いつの間にか自分を照準する銃の存在を前にして動きを止める。
そんな様子を見せる少女に対しても軽薄な態度で男は
「気分はどうだい?カウガール」
と、先の質問を繰り返す。
少女はあくまでグリップからは手を離さず、男へ
「アンタもあの武器商人の連中と同じように刻んで、痛めつけて殺してやる。」
と激昂する。
男は激昂する少女の怒気に対して怯むことなく軽薄な笑みのまま
「君には武器商人も無論、僕たちも殺すことは無理だろうよ」
だって本当ならもう死んでるだろ?と男はニヤリと笑いながら暗にそう告げる。
事実、声を掛けられるまで男に気付けなかった少女はニヤリと笑う男へ更に苛立ちを怒りを募らせ、牙を向くように唸る。
「帽子が飛んでもお前さんの視界は狭かったな?」
男のその何気ない一言は少女を更に刺激する。
「そして、そんな視野狭窄なお嬢さんに有り得ないような提案をしよう…」
男はそう告げると浮かべていた笑みを消して
「復讐を諦めろ、今までやって来た全てのお仕事の何もかもを嘘にしろ。それが出来るなら、君を、この業界から君を、無かった事に出来る」
そう、告げる。
少女の返答はまだ来ない。当たり前だ、男の言葉をそのまま受け取るならば、『師匠』の復讐を捨て、『オーケストラ』を捨てれば、自分を銃を取ってしまう以前の世界に戻すと、そう言っているのだから。
少女には意味がわからない、出来る、出来ないの判断が付かないのではない。男の言っている意味が分からないのだ。
キッカケは悲劇から、何か間違った運命の悪戯とはいえ、一度手に取った銃に残りの人生の全てを染め上げられた少女に、男の言葉はもう、届かない。そんな様子を男は少女の表情から読み取る。
自ら生と死の狭間を望み、戦いと血と鉄に身を染めた男は、悲劇の運命によって、生と死の境界が渦巻き、戦いと血と鉄に見初められ、染め上げられた少女を決して憐れまない。
何故ならば、何方にせよ、既にその身は傷付け、命を奪う事に大なり小なり愉悦を、享楽を見出し、味わった者だから。
方や、今宵、恐怖を知り、命を散らせる者で。方や、それらの全てを知りながら見送る者だったとしても。何方も同じ穴の狢だったと。
男はそれを再確認した。そして、己は今、この世界に生きているのだと再認識した。
少女は意味のわからない事をほざいて黙りこくった男を注視する。未だにSOBホルスターの拳銃からは手を離してはいない。
あまりに静かだから男は隙を見せているのではないかと、そう思った。そして、男の目を見る。一体何処を見ているのかと、隙を見せているなら、右手の拳銃でそれはもう、ズタズタのボロボロにして道路に飾ってやるとさえ、そう思っていた。
男の目は黒かった、目を合わせていると自分の全てを見透かされるのではないかと、もしくは、これを見つめていると、何も知らず何も失っていない、今はもう影も形もない、昔の自分を思い出してしまうのではないかと。
それが怖かった。
変わってしまった、変わらざるを得なかった今の自分を、過去の私はどう見るのだろうと、そう考えてしまった。
少女もまた、男がそうするように思考の沼に沈みそうになる。それを男の口が開く事で中断させられる。
「撃たないから、右手を銃から離せ、そしたら、全力で走ると良いよ」
男はまるで死を悼むような表情で少女へ告げる。
男の言葉を信用してもいいか迷った。でも、男を見ていると、なんとなくそうした方が良いように、少女は思った。だから、視線を男から外さないまま、銃を諦め、横目で逃走ルートを確認する。そんな分かりやすい隙を見せても男は何もアクションを見せないから、そのまま、全力で走った。
走り出す際、横目でちらりと男を見た。口元は良く見ることが出来なかったが言葉を紡いでいるようにも思えた。男は何を言ったのだろう?そんな考えを振り切るように少女は走った。
それを男は静かに見送った。きっと、少女には聞こえないだろうと思いながら
「良き旅路を」
男はそう、呟いた。
夜になる。そして、夜が更け、深夜とも言える時間になる。
男は闇夜が空を覆い、地を人の生み出した光が照らす、静かなようで、人の営みが垣間見える、そんな街の何処かで、サプレッサーで抑えられた一発の発砲を聴き取る。
「おやすみ、カウガール。」
男はグラスに注がれたウォッカを空へ掲げ、一口煽る。
飲み慣れた酒の味を舌の上で転がせながら、思想に耽る。
己は、こうなることは知っていたのだ。それで、助けられるならば、助けてやりたいとも思った。しかし、助けて、それからどうなるのかという怖さもあった。
今さらもうひとり、養うことに問題はない。経済的余裕も精神的余裕も持ち合わせてはいた。
だが、原作に手を入れることへの恐怖はあった。今まででも、多少なり、原作に浅くは関わってきた。しかし、これは今までと違う。
いくら、彼女に悲しいバックボーンがあれど、本来なら、死ぬはずの人間をただのわがままでやってもいいことなのかと、ここの原作は関わっていいものなのかと、そう考えた。己の中でいくら考えても答えは出なかった。
だから試した。出来るなら、彼女がそう望むならそうしようと。
結果はこれだった。
彼女は救えなかった。しかし、原作を気にせず手を入れる勇気は手に入れた。男は気づいたのだ。前世の記憶に、原作に、気をかけすぎていたと。
彼女について、紙の一枚二枚から読み取れることだけで何故、こうも自分は憐れんでいたのかと憐れむ傲慢さに気づいた。
例え、どれだけ過去の自分が知る世界に似ていようと、自分が住む世界とそれとを同一視してはいけないのだ。彼がこの世界に生きてきたように、彼女もまた、この世界で生きていたことを再確認したのだ。
故に、男は迷わないことにした。
自分の知る限り起きる未来に合わせ、自分の都合で原作に関わることにした。
男の望みは唯一つ。
戦いを、血と鉄と硝煙と火にまみれ、生と死が混ざり、その境界が捩れる戦場を。
前世で知った、知ってしまった、生と死の間で揺れる、その快楽に浸り続けるために、この丸い地球の形をした火薬庫の総てを歩き渡り、平和の為に武器を売る武器商人の手で平和になってしまうかもしれない、この世界を。
己の命を賭け代にした戦場という名のカジノで
どちらかの未来が訪れる、その瞬間まで戦いを続けようと。
男はそう、決意した。
「Happy birthday to me」
男は一人、己に祝詞を紡ぐ。男はこれから行く先の戦場と、それによって変わってしまう、自分だけが知る、未来の予想図に出会いと別れの祈りを胸に。
グラスに注がれた残りのウォッカを、一息に飲み干すのであった。
お疲れ様です。
とても読みにくかったであろう当作品の読了を終えたあなたは褒められるべき存在足り得るでしょう。
そんな貴方に私は感謝と色々な思いを込めて一言。
「congratulation!」
と言わせて頂きます。
感想、評価はご自由に。まぁ、する程の作品ではないので、早々に口直しをオススメします。
ちなみに、今更ではありますが、多分加筆訂正はすると思います。何故ならば、原作要素激薄でこの作品選んだ意味が無いと思うので