Ideal・Struggle~可能性を信じて~   作:アルバハソロ出来ないマン

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一夏TSさせたいなー、でも声はそのままにしたいなー。
でもなー、ダメだよなー。
じゃぁオリ主生やして声帯貰うかー、中の人で面白そうなキャラ居たっけかなぁ、バナージくんおるやん!

ISってめっちゃ兵器してるけどバナージくんもユニコーンで心の暖かさ伝えてたしISでも似た様な感じでいけるやろ!

と、見切り発車した結果の産物です。

ご注意ください。



感想にてご指摘があったため一部内容を編集し再掲載しております。
また、これにより鈴が一夏に恋心を伝えていないIF展開になっているため(今後も同様に原作と異なる展開があります)オリジナル展開のタグを新たに付け加えることにしました。ご了承ください。


追記:オリ主と一夏ちゃんの容姿を分かりやすくするためにキャラクター作成ツールで作成した個人での利用が許諾されたツールを使用して立ち絵を用意しました。ご査収ください。

また、使用させて頂いたツールは活動報告にリンクを記載してあります。

オリ主

【挿絵表示】



一夏ちゃん

【挿絵表示】



始まり

始まりは、本当に突然だった。突然の事すぎて整理が付かない為、自分の頭を整理する意味合いも兼ねて、最初から遡ろうと思う。

 

両親の仕事の都合で、4歳ながらに居心地の良さを覚えていた家を引き払い引っ越してきた先で織斑一夏という、同い年の少年に出会ったのが全ての始まりだったのだろう。今にしてそう思える。

 

「なまえ、なんていうんだ!おれは、おりむらいちか!よろしくな!」

 

ご近所への挨拶回りの締めくくりに選んだ最後の家から出てきたのは、同い年の活発そうな少年。それと、その前に立つ姉のような人。一見すると少し怖そうに見えるが、少年がその人を押しのけて俺の前までやってくるではないか。何かされるのかと思って、父親の足の影に隠れて少し顔をずらしてみれば、朗らかに子供らしい花が咲いたような笑顔で手を差し出す少年が居た。俺は、一夏と名乗った少年の手をおずおずと取り、力なく握手を交わす。手を取り合った瞬間、一夏は更に笑みを深めて笑った。

思えば、これが初めての、家族以外の人と交わした握手だったかもしれない。

 

「ぼく、さかいばんしょー。よろしくね、いちかくん」

 

心配そうに見ていた、一夏のお姉さん――千冬さんというらしい――が、握手した途端に頬を緩ませるのが見えた。それを見た両親は、千冬さんに色々と声を掛けていたが、幼い頃の俺にはよくわからない話ばかりだった。ただ、両親が何か話す度に千冬さんは強張らせていた顔を崩し、最後には目尻に涙を溜めていたから、きっと何か、心を動かすような事を言ったのだろうと思う。

 

挨拶回りも終わった俺は一夏に連れられ、近所を探検して回った。その日出会ったばかりだと言うのに、俺たちはすぐに仲良くなった。これは、まぁ子供なら誰だって経験はあるだろう。

 

何をするにも一緒の日々。織斑家に両親は居らず、千冬さんが一人で家を守っていたことに両親は不安を覚え、家族ぐるみの付き合いをしていたこともあってか俺と一夏は親友などという括りを遙かに超えた仲になっていた。それを見守る千冬さんも、随分と優しい顔をしていたと思う。そして、俺たちは来る日も来る日も毎日の様に顔を合わせ、むしろ家に何日も泊まり込み、同じ布団で寝る事もあれば、両親と織斑家の総出で旅行に行くこともよくあった。同じ幼稚園に通い、同じ小学校へ進学した。両親が経済的に苦しい千冬さんに気を遣って俺たち二人のランドセルを買ってくれたこともあった。千冬さんは両親に色々と言っていたらしいが、両親はどうやってか千冬さんを丸め込んで納得させていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏が小学校1年の頃、千冬さんに連れられて顔を出した道場で何か触れるものがあったのか剣道を始めるというので、俺も付き添いで見に行ったこともある。着いた剣道場で、俺は防具を付けているとはいえ、人が大声を上げて顔や手、身体を勢いよく叩きつけにいく光景に強い恐怖心を抱き、涙を流した。その時に一夏と千冬さんに、なぜ泣くのかと問い詰められ――俺は、心が痛むから、と返したのを覚えている。

 

決して痛みはないのだろうけど、涙を流すのは失礼なのだろうけど。

 

それでも、なぜか。――――人が人を叩く行為に、心が痛んだ。

 

自分が殴られる時は何とも思わなかったのに、スポーツを愚弄するような涙を流すとは思いもしなかった。千冬さんは、ただ一言。「その心を大切にしなさい」と言ってやさしく頭を撫でてくれた。一夏は「バンショーってやっぱり優しいんだよ、俺は好きだぜ。でも、殴られたら殴り返せよな」と言って、持っていたハンカチで俺の涙を拭ってくれた。

 

同じ道場に居た、当時は名前も知らなかった箒からは「泣くな、女々しい」と言われた。結構ショックだったのを今でも覚えている。

 

 

 

 

 

「男女がリボンなんかしてるぞ!似合わねー!」

 

小学校生活も慣れ始めてきた2年目の頃。そんな会話が聞こえてきて顔を向けると、箒が意地悪なやんちゃ坊主たちに囲まれているのを見た。それに黙っていられず、俺は駆けだして割り込み、強い口調でいじめを行おうとしている男たちに言い放った。

 

「やめろッ!相手は、女の子なんだぞ!」

 

手を広げて、女の子だから、と今思えば余りにもアレな理由で立ちはだかった俺は、いじめっ子たちにバカにされ、結構な勢いでパンチされた。

 

「だっせーんだよ!かっこつけやがって!お前らフーフかよ!きもちわりぃ!」

 

「ぅぐッ!」

 

強く頬を叩かれるが、それでも決して手は出さず、箒の前に立ち続けた。

すぐに一夏が気付いて、止めに来てくれなければもっと殴られていたかもしれない。

 

「バンショー!殴られたら、殴り返してもいいんだぞ!何でやり返さなかったんだよ!」

 

一夏が怒りながら、濡れたハンカチを頬に当てる。少し腫れているせいか、いてて、と情けない声を上げてしまったものだ。その横に居た箒が、おずおずと声を掛けてきた。

 

「......なぜ助けた?私は、助けなどいらなかった」

 

かなり強めの目力を含んでそう言われたので、俺は少し肩を縮めて臆してしまい、それを見た一夏が箒に食ってかかった。

 

「あのな、理由がどーとか、こーとかじゃなくて、まずはありがとうだろ!」

 

「私は助けてほしいなどと言った覚えはない!」

 

「何を!」

 

「なんだ!」

 

当事者の俺を放っておいて、白熱していく会話をなんとか止めようと一夏の肩を叩いて制止させ、箒をしっかりと見て、

 

「話が出来るんだったら、仲良くしたいじゃない」

 

俺が腫れた頬の痛みを堪えて笑いながらそう言うと、箒は変わった奴だ、と呆れた顔をして何処かへ行ってしまった。その直後に一夏からは、やられたらやり返してもいいんだぞ、と念を押された。

 

その時の一件から、箒は何か琴線に触れるものがあったのか、一夏と俺と、何かに付けて行動を共にした。お泊り会をしたり、遠出したり。毎日が楽しかった。動物園に行けば、動物が自然と俺の周りに集まって来たり、ベロベロと手を舐められて3人で泣きかけたり。近所の猛犬を手懐けようと冒険心を働かせてみたこともあった。ずっとこんな日が続けばいいのに、と思っていた。

 

 

 

 

 

そんな願いもむなしく、小学4年生の頃には、終わってしまったが。

 

箒の姉の、束さんが作り上げた発明品が、世界を変えてしまった。

 

俺は束さんが語る空を超えた宇宙の話を聞いて、見た事もない生き物や、月に兎は絶対に居ると信じて、束さんに、その生き物たちとも友達になりたい、なんて夢を語り合った。スケールこそ違ったが、束さんはよく笑って話を聞いてくれた事もあった。俺が興奮気味に、必死に考えた夢を語り明かすと、束さんはそれ以上に大きなスケールの話をして、俺はそれにますます興奮して話をし続けた。俺は将来、束さんの発明で人間が宇宙に行けるのだと信じて疑わなかった。

 

だから、そんな束さんの語っていた宇宙を駆ける夢の運び手が。

 

こんな形で、縛られてほしくはなかった。

 

 

白騎士事件。

 

 

日本を射程距離内とするミサイルの配備された全ての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、日本へ向けて2341発以上のミサイルが飛来されるも、その半数以上のミサイルを白い騎士の装いをしたISが撃墜した前代未聞の大事件。幸いにも死者は皆無であったが、ISは宇宙開発の為のマルチフォーム・スーツではなく、既存の兵器の枠組みを超えた兵器という認識をされてしまった。

 

アラスカ条約、モンド・グロッソ、IS学園。

 

世界は、この事件をきっかけに大きく変動した。

 

箒は重要人物保護プログラムにより住み慣れた土地から引き剥がされ、俺たちは泣く泣くの別れをした。

 

 

 

 

 

 

千冬さんは目に見えて忙しそうにし、家を空ける機会が増え、元々毎日のように預かっていた一夏を俺の家で預かる頻度は日増しに多くなっていた。

 

世間が白騎士事件の興奮が収まらない中、小学5年生になってからは箒と入れ違いになるように、中国からの転校生がやってきた。名前は、凰鈴音。小柄な女の子で、ツインテールと八重歯が特徴のサバサバした子だった。日本語を満足に話す事が出来ずそれをネタにイジられていたが、俺と一夏がそれを止める形で割り込んだ。

 

「やめろよ、イジメなんてダサい真似」

 

「話が出来ないからって、すぐに仲間外れにしちゃダメだ」

 

俺はイジメっ子たちに「見てて」と伝え、鈴音に近付くといきなりキツいパンチを一発、顔面に貰った。痛みに顔を顰め、一夏がそれに動揺して飛び出そうとするもサムズアップをして無事を伝え、少し首を振って痛みを少し和らげた後に、改めて鈴音を見てから左手で自分を指差し、

 

「俺、さかい ばんしょー」

 

と言って、右手を広げて差し出しつつ君の名前は?と視線で問いかける。すると、意図を理解したのか鈴音は小さな声で、自分の名前を口にした。

 

「――ファン。ファン・リンイン」

 

怯える猫のように差し出された右手を掴み、握手をした。

 

「ほら!この子、ファンさんって言うんだって!お前らも、友達になれるよ!」

 

握手できた喜びで、両手で握りしめた鈴音の手をブンブンと上下に振りながらいじめっ子たちの方を見れば、理解できない物を見るような目をした後、逃げて行ってしまった。

 

「あれ?おかしいな」

 

「そりゃ顔面パンチされて、鼻血流しながら握手求める奴なんて軽いホラーだろ」

 

一夏にそう指摘され、左手で自分の鼻を少し触ると僅かに水っぽい粘性の感触を捉え、思わず、あっ、と声を漏らしてしまった。急いで握手していた手を放して、ポケットティッシュを鼻に詰め、手を洗ってから改めて鈴音に握手を求めると、口元をヒクヒクさせながらドン引きした顔で応じてくれた。

 

この一件から、俺と一夏と鈴音の幼馴染関係が始まった。中学に入ってからは新たに五反田弾という赤い髪の少年と親睦を深め、4人で遊び合ったものだ。弾の妹の蘭ちゃんと鈴音は一夏を巡るライバル関係を築き、争い合っていたが当の一夏は素知らぬ顔をしていたのが記憶に新しい。鈴音の実家の中華料理屋と、弾の実家の食堂と、俺の家や一夏の家を日替わりで招き、訪れ、遊び続ける毎日。

 

まぁ、その関係も中学二年の頃に、一夏の身に起きたトラブルと鈴音の両親の離婚が重なり、終わってしまうことになるのだが。こればかりは知る由も無かったことだ。

 

 

 

 

 

 

――そして。

 

 

 

 

「お久しぶりです、千冬さん。少し、窶れましたか?」

 

「......ああ、そうかもしれないな。そういう万掌、お前は随分と身長が伸びたな。声も多少なりとも変わったか?――落ち着いてきたじゃないか」

 

中学二年生の春休み、一夏は生憎第二回モンド・グロッソを観戦を理由に外出しており、帰国するのに手間が掛かっているのかまだ帰っていないこのタイミングで、先に千冬さんが帰ってきてしまったのだ。一夏は千冬さんに会いたがっていたので悲しむだろうな、と思いつつ千冬さんに久方ぶりの挨拶をする。俺が見た千冬さんはかなり焦燥しており、頬が少しこけている様に見えた。疲れが溜まっているだろうし、余り長く引き留めるのも悪いかと思ったが、千冬さんは少し懐かしそうな顔で俺を見上げながら肩を叩いて成長を喜んでくれた。何時の間にか逆転してしまった身長に、時の流れを感じざるを得なかった。

 

「すいません、一夏はまだ、帰ってきてないんですよ」

 

「ああ、いや......その、だな」

 

「――?」

 

ひとまず一夏はまだ帰ってきていない旨を告げ、中でお茶でも、と誘ったが千冬さんにしては珍しく歯切れの悪い、しどろもどろな間が帰ってきた。それに違和感を覚えて振り返ると、千冬さんは顔を横に向け、塀の裏側に居る何かを見ている。

 

「ほら、いつまでそうしている。さっさと出てこい」

 

「ちょ、ちょっと待って!まだ、準備が!心の準備ぃ!出来てないって!」

 

数秒ほど、塀の裏に居る誰かを見ていた千冬さんだが、いい加減出てこない事に痺れを切らしたのか、溜息を零しながら身体を半分ほど塀に隠して、裏に居る人物を引っ張り出す。急な強硬策を取られたからか、千冬さんが連れてきた人物はひどく慌てた甲高い声を張り上げて抗議したが聞き入れられず、いともたやすく俺の目の前に突き出された。

 

「そら、さっさと挨拶をしろ」

 

千冬さんが連れてきた人物は千冬さんと一夏によく似た顔立ちと雰囲気を備えていて、すらっとした出で立ちの美人な、このまま歳を重ねれば目つき以外は千冬さんそっくりになりそうな少女が居た。少女は矢面に立たされ困惑気味に、濡れた鴉の羽根の様に艶らしいショートカットの黒髪の一部を指で弄りながらもじもじと内股気味に脚をすり合わせ、時折俺の顔をチラチラと見つつ、搾りだすような小さな声で、

 

「えぇと、あぅ......えと、その――バンショー、ただいま......」

 

そう言った。

 

ただいま、というからには俺と接点のある人物だろう、と推察するが生憎と千冬さんそっくりの、同い年くらいの女子に心当たりはとんとない。じゃあ、箒か?と思いもするが箒はもっと凛々しく、力の籠った瞳をしていた。あれから一度も会えていないとはいえ、あの顔を忘れるほど短い付き合いではなかった。

 

鈴音でもない。鈴音はここまでスタイルは良くない。そもそも久しぶりではない。

 

「――......?」

 

散々頭を捻ったが、皆目見当もつかない。誰だ、この千冬さん似の美少女は。

 

「えぇと......はじ」

 

はじめまして、と口が開きそうになるが咄嗟に口が勝手に閉じた。原因は、目の前の少女だ。俯き気味だった少女が顔を上げたからだ。俺が初対面の人に取る態度を取って、今にも泣き出しそうな顔――いや、強いショックを受けて、目尻に涙を溜めている。

 

誰だ。誰だ。ここまで、親しい人は......人、は......

 

 

 

 

「――まさか」

 

 

 

 

冗談でしょう?と、油の切れたブリキのような動作で首を少しずつ持ち上げて、少女の奥に佇む重い空気を纏った千冬さんに縋る様な目で、口には出さず問いかける。

 

「まさか、そんな」

 

千冬さんは、俺の言いたい事を理解した上で、苦々しい顔のまま静かに首を縦に振って肯定を示した。

 

「――――」

 

ありえない。

 

「君は......」

 

どうしよう。なんて、声を掛ければいいんだ。

 

ああ、くそ。心が、痛みを上げて、訴えてくる。

 

そうだと理解したから、心が反応してしまっている。

 

勝手に零れ落ちる涙を気にも留めず、震える両手で、目の前の、変わり果てた幼馴染の肩を、割れ物を扱うかの様に静かに掴んだ。

 

「―――――......一夏、なんだな?」

 

冷静に言おうとするがしゃくり上がってしまった声で、女性になってしまった一夏に、確認を求めた。

 

「――......うん」

 

本人からも確認を取る事ができて――俺の心は大きく混乱した。

 

誰が、どうして?どうやって。何の為に。なぜ、何時?どこで。なぜ一夏を?どんな方法で。

 

心が、震えた。

 

何処で、どんな方法で、そんな風になってしまったのか。その一切は分からないし、解れないからこそ――心が、痛みで震えた。どんな声を掛けていいかもわからなかったが、以外にもすんなりと言葉が出た。

 

「春とは言え、夕暮れは冷える。一夏、千冬さんも、とりあえず中へ......どうぞ」

 

自分が落ち着きたくて、真相解明を先延ばしにする言葉だけが、すんなりと出てきたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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