Ideal・Struggle~可能性を信じて~   作:アルバハソロ出来ないマン

13 / 31
鈴もキャラ変わってます()

多分鈴ならこうなんじゃないかなぁ、とイメージしながら書いてました。

箒もセシリアもそうですが、鈴も誰かの為に心を砕ける優しい子だと思ってます。

みんな素直になれないだけで外面さえ剥げてしまえば優しさで溢れてる子だと思うんです。

だからきっと、鈴は怒るにしても今回みたいな方向に怒るんじゃないかなって思って、鈴は本文でそういう扱いのキャラにしました。



台詞ばっかりだけどオリ主の心の声挟むとテンポ悪くなるかなって思ったのでそうしました。




第13話

 

「来たぞ、鈴」

 

購買で買ったパンや牛乳を抱えていた俺を補助するように、箒が俺の前に出て屋上への扉を開けてくれた。それに感謝しつつ、後ろ俺の制服を引っ張りながら付いてくる一夏の方を振り返って目線で問いかける。行くぞ、と。一夏は不安そうな表情をしながらも、しっかりと頷いた。それを確認してから屋上へ足を踏み入れると屋上の中心で鈴音が仁王立ちをして待ち構えていたので、到着を告げる旨を鈴音に伝える。

 

「早速女の子を手玉に取ってるってワケ?相変わらずアンタも人を誑しこむのが巧いわねー。一体誰に似たんだか」

 

「違う。篠ノ之箒、幼馴染だよ。お前と同じ旧知の仲だ」

 

「篠ノ之箒だ。万掌とは小学4年生まで同じ学び舎で勉学を共にしていた」

 

「あー、アンタが一夏と万掌が言ってたファースト幼馴染ってやつね」

 

「ふぁ、ファースト?」

 

「箒がファーストで、鈴がセカンド」

 

何も知らないとはいえ、俺が二人の女子生徒を侍らせながら話をしに来たように見えたのか、鈴音は呆れ顔で人聞きの悪い事を言ってくる。それを短く否定し、最初に箒を紹介して混乱の少ない内に関係性を明確にしておく。箒は簡単な自己紹介をすると、鈴音はそれに対して昔の事を思い出しながら彼方を暫く眺めて、箒の顔を見て納得したようだ。箒はファースト幼馴染という聞き慣れないあだ名を聞かされ俺の方を見てくる。意味を答えるとそういう事かと呑み込めたようで、箒は顔を鈴音の方に向け直した。

 

「で、そっちのショートカットの子は誰よ」

 

「一夏だ」

 

「あ、そう。一夏ね。へー、ふーん............一夏ァァアアア!?」

 

「久しぶり、鈴」

 

「え、あ、うん...久しぶり。――――じゃなくて!なんでアンタが女の子になってんのよ!万掌!説明をしなさい、説明を!」

 

「説明はするが、あまり騒がないでくれよ。この話は政府案件なんだ」

 

鈴音が俺の背後に居る一夏を覗きこむように身体を右にずらしながら訊ねてくるので、それにさも当然と言った様子で一夏の名前を挙げる。すると鈴音は最初こそ平然とした様子で受け止めていたが、呑み込んだ言葉と目の前の人物の異物感に気付いたようで改めて考えなおした所、一夏が女の子になっている事実を今度はしっかりと受け止めたようで叫んだ。それに対し一夏が小さく笑いながら手を振ると鈴音は再会の挨拶を返し、またすぐに状況の説明を求めて俺の服の襟を背伸びしながら掴んで揺すり出す。箒は既に乗り越えた者として苦笑をしながら鈴音と俺の隙間に手を通し、俺が抱えていたパンと牛乳を回収して離れた位置に移動した。一夏と俺はそのまま鈴音に声を抑えるように頼むと、政府案件という言葉でだいたい察した様ですぐに落ち着きを取り戻して真面目な顔になる。代表候補生だけあってか、やはりその辺りの情報の扱い方は心得ているらしい。

 

落ち着いた鈴音を座らせ、その両隣に俺と一夏が座ってから静かに、箒にも話した事のあらましを鈴音にも報告した。言いたかったけど口外禁止であったため話せなかったこと。会いたかったけど会ってしまうと鈴音は気付いてしまうから避けていたこと。俺が一夏を支え続けた事。何もかもを鈴音に話した。あの時期に起こった、鈴音に話せなかった事の全部を吐露した。そして幼馴染でありながら騙し続けていた事を、気付かれなければずっとその嘘を隠し続けようとしていた事を謝罪した。

 

「――――そう。政府に、IS委員会。それなら、しょうがないわね」

 

「......ごめんね、鈴」

 

「いいのよ。アンタが一番大変だったんだから。それに、謝ってくれたし、こうして全部話してくれたしね。だから私は、アンタと万掌を許す」

 

「鈴......」

 

鈴音はその全てを慈愛に満ちた瞳で聴き続け、話の中で思うところがあったのか酷く辛そうな表情をしながら全てを聴き終わると、納得したような表情を作った。一夏は何も言えなかった事を謝り、鈴音はそれを許した。当事者が一番大変だったことを告げながら、謝罪もしたし、説明も果たした事で許すといった。その一言で、一夏がどれほど救われたことだろうか。

 

 

「――――でもね、一夏」

 

「うん......」

 

「私ってアンタの幼馴染よね」

 

「――――うん」

 

「あっちの箒と違って、アンタが女の子になった時に、一緒に居た幼馴染よね」

 

「――――うん」

 

「......――――じゃあ、なんで!私にも相談しないのよ!男の万掌に相談できて、私に相談できなかった事って何よ!私は信用できなかったワケ!?騙されてたことよりも、そっちの方がよっぽどショックよ!」

 

鈴音は、諭すような口調で静かに話し出し、心の奥底に抱えていた怒りを吐き出し始める。

 

「ち、違うの。私も余裕が無くて、それで、万掌は小さい頃からずっと一緒で、とっさに思い付いたのが、万掌だっただけで......」

 

「知るか!私はアンタ達の幼馴染なのよ!政府がどうとかIS委員会とか、そんなことで迷惑をかけるからなんて理由で除け者にされた私の気持ちが分かる!?」

 

「鈴」

 

「黙ってなさい万掌!今私は一夏と話してんの!」

 

「――」

 

何か言う前にそれを鈴によって制止されたので、ここは大人しく下がることにした。これは鈴と一夏の問題なのだと。俺が介入していい話ではないと鈴が言ったからだ。

 

「良い、一夏?よく聞きなさい。私はね、男のアンタが大好きだった。ずっと告白しようと思ってたの」

 

「え......」

 

「でも、出来なくなった。――――今ね、私は凄い虚無感を味わってるわ......こんなに空っぽな心になったのは初めてよ。悲しいって一言で済ませられるものじゃない。でもね、今の私はその空っぽさえ小さく見えるほどに怒ってるの。――――なんでか分かる?」

 

「――......私たちが、鈴に何も言えなかったから......」

 

「そうよ!さっきも言ったけどね、私はアンタ達厄介者二人の幼馴染をやらせてもらってたのよ!今更女の子になっちゃいましたくらいで、――――ちょっとはビビっちゃうかもしれないけど、そんな事で幼馴染辞めるほど軟じゃないのよ!政府が何よ!IS委員会が何よ!少しくらいは迷惑掛けるつもりで、私も頼ってほしかった!」

 

「鈴......」

 

「だから、私は怒ってるの。失恋の痛みなんていう私の問題より、今は私がアンタ達に信頼されてなかった事に怒ってる。――――ねぇ、一夏」

 

「......」

 

「言いたくても、言えなかったのは、よく分かるわ。でも、でもね?それでも少しは、私のことも、頼ってほしかった......」

 

「――――ごめん......鈴......ごめん、なさい......何も、言えなくて、ごめんなさい......」

 

鈴音の頬が涙に濡れ、信用されなかった事の方が辛かったと叫び、一夏は鈴音の言葉に揺れて、泣いた。二人で抱き合いながら、互いに涙を流し、静かに抱き合っていた。俺も、声を押し殺しながらなるべく見られない様に、顔を青すぎる空に向けて泣いた。すまない、鈴音。悪かった。赦してほしい。――――何も言えないことを盾にしてごめんなさい。言える機会は幾らでもあったのに、自分のことで必死になって、言い訳して。言えなくて、ごめんなさい。鈴音がIS学園に来なければ、ずっと隠し続けようとしていた俺たちを、赦してほしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「3人とも、酷い顔をしているぞ。ほら、ハンカチ」

 

一頻り発散しあった一夏と鈴音は少し離れ、鈴は箒からハンカチを借りて涙の溜まった目尻を拭う。俺と一夏も持参していたハンカチで涙の痕を軽く拭いてから鈴音に向き直った。

 

「――うん、これで全部。全部吐き出したから、今度こそ本当に、全部許す」

 

「ありがとう、鈴」

 

「でも、それとこれとは別よ。私がクラス対抗戦で手を抜くなんてこと、しないから。それより一夏!今度街に行きましょ!私の服選んで!」

 

「急に話切り替えるね!?うーん、服かぁ。うん、いいよ。私のも選んでほしいな。箒も一緒に行こ?」

 

「わ、私か......?私は、その」

 

「何遠慮してんのよ、アンタも一緒よ。傷心同盟結成よ」

 

「嫌な同盟だな......しかし、分かった。共に行こう」

 

鈴音は今度こそ全てを許すと言って、本当にすっきりとした顔でチャームポイントの八重歯を見せて笑う。それに釣られるように一夏も微笑みながら感謝を告げる。鈴音はその後すぐに人懐っこい笑顔を獰猛な笑みに変化させ、クラス対抗戦では負けないと言い切り、またすぐに顔を替えて一夏にショッピングの約束を取り付け、箒まで巻き込んで盛り上がっていった。女三人寄れば姦しいとはよく言ったものだ。けれど、その光景は幼馴染が集まっているだけで、変わってしまった絵面だが、何も変わっていない光景だった。

 

「万掌は荷物持ちよ、拒否権はないわ」

 

「俺も連れていってくれるのか?」

 

「当然じゃない。幼馴染なんだから。ハブにはしないわよ、どっかの誰かさんたちと違って、ね!」

 

「......勘弁してくれよ」

 

「あはは、冗談よ!で、行くの?行かないの?」

 

突如として話題を振られ、訊き返せば気持ちの良い返答と意地の悪い返答を混ぜた鈴音に肩を落としながらに口撃を緩めてくれと嘆願すると、それに気を良くしたのか快活に笑う鈴音は八重歯を見せながら聞いてくる。

 

顔を上げて鈴音たちを見れば、一夏も、箒も、鈴音も微笑みを浮かべて、俺の答えを待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――行くよ。俺も、一緒に」

 

「っしゃ!決まりね!今度の日曜、空けておきなさいよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

気心知れあった者たちで囲む食事は、昔のようで。

 

何も変わっていない光景に俺は、鈴音を加えた気を許せる幼馴染3人に囲まれながら昼食を摂った。

 

 

 




短いけどキリが良かったので。

幼馴染同盟結成です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。