Ideal・Struggle~可能性を信じて~   作:アルバハソロ出来ないマン
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このお話は本編に関係はしてるけど読まなくても問題ないです。

というか幕間いうよりは書いてない小話的な話になるかと思います。

あとオリ主のキャラが崩壊してます。イメージ崩れるわハゲって人は読まない方がいいです。


思い付いたら書きます。好評だったらまた2巻の終わりくらいに書きます。


幕間①

 

「どう、バンショー?」

 

「んー......あ、そこ。あ、あ~そこ、そこ、すっげー良い......」

 

「ちょっと大げさじゃない?」

 

「お前くらいにしかこんなことさせないから平気だろ」

 

「もー、そうやってすぐ口説く......ぶー」

 

「これが口説きの内に入るなら、俺は一生お前の事を口説けないな」

 

「えっ.....く、口説いてくれるの?絆されちゃったりする?」

 

「んー?そうだな......んん......お前が俺を望むなら、俺はお前の望む限りそれを与え続けよう」

 

「――――う、ぅ.........あははははは!耳掃除されながら言うことじゃないでしょー!しかもそんなキメキメの声で!ふふ、笑わせないでよね、手元狂っちゃうから!」

 

「悪い悪い」

 

4月中旬の日曜日。一夏と同じ寮部屋になってから早いもので五日が経過していた。箒と仲直りした一夏であったが、俺にしか分からない程度ではあったが顔に影が射していたので息抜きの意味も兼ねて、一夏に耳掃除をお願いしたところ、案外溜まっていた様で、一夏はすっかり俺の耳の中を綺麗にすることに夢中になっていた。こうして何度も耳掃除をお願いし、やってもらっているからか一夏の耳掃除の熟練度は高く、女の子になってからは太ももの感触も素晴らしいと良い事尽くしだった。ストレスもなく、適度に遊び心のある解りあっている関係だからこそジョークも掛け合えて、すっかり女子一色というIS学園の異質さに知らず知らずの内に疲れていた俺はいつもの様に一夏に甘えていた。一夏もそれを理解しているのか、時折俺の髪を撫でながら鼻歌混じりに丁寧に耳掃除をしてくれている。

 

「でもさ、バンショー」

 

「おー......どうした?」

 

「バンショーって、私の事どういう感じで見てるの?」

 

「どういう、か。うーん......幼馴染で、大親友で、守りたい人で、傍に居られるなら居続けたい人、かな」

 

「――ねぇ万掌、それわざと言ってる?」

 

「何が?」

 

「そ、その......傍に居続けたい、とか......守りたい、とか......」

 

「ああ。お前と一緒に居ると、俺も落ち着くし。お前も外に居る時より、テンション高くしなくてもいいから楽だろ。それに俺は大好きだぜ、一夏の事」

 

「――あ、ぅ......

 

「痛ァ!」

 

「あ、ごっごめん、バンショー!大丈夫?」

 

一夏に、俺が一夏をどういう感じで見ているのかと聞かれ、どういう感じって言われてもなぁ、と思い返しつつ頭の中に浮かんでいった言葉を一つずつ口に出していくと、一夏が俺の頬を軽く摘みながらムニムニと動かしてわざと言ってるのかと聞いてくるので、意味が分からず問い返すと先程の言葉がジョークだと思われたのか一夏は疑っている様だった。だから嘘ではなく本心からの言葉だと伝え、2人で居る時が最も落ち着くと真面目に返したら、一夏が耳掃除をしていた手を下げたせいで少し奥まで耳かきが押し込まれ、痛みから抗議の声を上げると一夏は慌てながらも腕は一切揺れずに少しずつ耳かきを引き抜いてから謝罪をした。

 

「大丈夫。続けてくれ」

 

「う、うん」

 

「一夏、揺らさないでくれ。酔う」

 

「む、無理だよぉ......」

 

「あ、そっか。足しびれたか?悪い、気付かなかった」

 

「――そーじゃないけどさー......まぁ、これくらいでいいんじゃない?」

 

「顔赤いぞ、風邪でも引いたか」

 

「ちょ......!ち、近ぁっ!」

 

「体温計無いし仕方ないだろ」

 

痛みもすぐに引いた事から再開してもいいと告げるが、一夏は落ち着かないのかそわそわと上半身と膝を軽く揺らすものだから適度に酔いそうになる。膝を借りてる身で偉そうな事を言うと、我慢できないのか動かし続けるのでもしかしたら足が痺れてしまったのかと思いすぐに頭を上げて一夏の下半身を解放しつつ一夏の顔を見た。一夏は顔を赤くしながらそう言う事じゃないと不満気な顔をしつつ、手団扇で仰ぎながら時計を見てそう言った。あまりに顔、というか頬を朱に染めた一夏の態度に、もしかしたら風邪ではと思いながら体温計を探そうとするが、そもそも体温計なんて物は持ってきていないし、買ってもいない事を思い出したので、探すのを諦め、仕方なく正確性に欠けるが自分の掌で一夏と俺の額の温度を計ることにした。ずい、と距離を詰めると一夏は更に顔を赤くして慌て、後ずさるので壁際に追い詰めてから体温計がない旨を告げて熱を計るが特に熱いワケでもない。

 

「んー......首筋は、どうだ?」

 

「ひ、ぁ......っ」

 

「とりあえず......」

 

「脱ぐの!?ここで!?」

 

「ここで脱がなきゃいつ脱ぐんだよ」

 

「まってまって!?なんか積極的すぎない!?」

 

「風邪引かれたら困るだろ、俺は明日セシリア嬢と対戦だし。それに、お前もだろ。だから、ほら」

 

「ぅわっぷ!」

 

「春の昼間とはいえ、女の子なんだから。あんまり身体、冷やすなよ」

 

「......うん......予想とは違ったけど......――――あったかいね」

 

両手で耳の真下、顎骨の辺りを軽く撫でて熱を計るがこっちにも異常はない。だが一夏は益々顔を赤くするのでよく分からないが、寒いのかもしれないと思って自分が着ていた長袖の上着を一枚脱ぐと、一夏が急に慌て始めるので、春は昼夜の温度差が激しい、予想以上に身体を冷やしてしまったのかもしれない、だから上着を被せて一夏に身体を大事にするようにと言うと、一夏は静かに頷いてから上着をしっかりと着て、暖かいと洩らすものだから、やはりかという顔になる。

 

「やっぱり冷えてたんじゃないか。本当に大丈夫か?辛いならベッドで寝てもいいんだぞ」

 

「あ、違うの......身体じゃなくてね、心があったかいなぁって。私ね、心配してくれる万掌のそういう所、大好きだよ」

 

「――――」

 

「あ、照れてる。ふふ、可愛――わ、ちょっと、きゃっ!あははは、無言で撫でるのやめてよー!」

 

やっぱり寒がってたんじゃないかと軽く叱り、本格的な風邪にならない内に温めて寝てもいいんだぞと言うと、俺の服で身体が温まったワケではなく心が温まったと言った一夏の優し気な微笑みに言葉を失い、つい照れて顔を赤くしてしまうと一夏がそれを指摘して笑ってきたので言い返すよりも先に手が出てしまい、一夏の頭をグシャグシャと思いっきり掻き撫でた。

 

「もー、髪の毛ボサボサ。何処にもいけないね」

 

「行く予定もないし、外出許可証も貰ってないだろ」

 

「そうだけどさー。ボサボサ頭っていうのも案外気にするの。ショートカットなんだから癖はつきにくいけどね」

 

「髪は女の命ってか。悪かったな、一夏」

 

「そんなに気にしてないよ。だから、撫でて直して?」

 

「滅茶苦茶気にしてるじゃないか」

 

「そうです。気にしてます。だから、早く直して?はい、どうぞ!」

 

「――仕方ない奴だな」

 

「んふー......気持ちいいね、万掌の手」

 

「ごつくて不格好だろ」

 

「万掌のがいいの。ごついだけの手じゃイヤだよ」

 

暫く一夏の制止を気にも留めず撫で続けていると、流石に髪がグシャグシャになってしまい外出どころか、食堂に行く事さえ憚られる髪になってしまっていた。口では色々と言ったが流石にやりすぎてしまったと自重し、一夏の要求を素直に飲み込んで手櫛で直していくと、一夏が俺の手を褒めるのでごついだけだろと返すと、俺の手だから良いと言ってくれる。中々にそれが嬉しくて、口元を緩めた俺はしばらく時間を余分にかけて、一夏の髪を撫でて直し続けた。

 

「バンショー、お昼はどうする?」

 

「どうせそろそろ箒が来る。その時に一緒に――そら来た」

 

「相変わらず良い勘してるね。はーい!今行くー!ほら、バンショーも!」

 

「引っ張んなって。慌てなくても飯は逃げたりしないさ」

 

「箒と話す時間が減るでしょ!」

 

「それは確かに一大事だ!」

 

時計を見ると既に11時50分を指しており、そろそろ昼食をどうするかと一夏が訊ねてきたので、もうすぐ箒が来ると理解していた俺はその発言をし、途中でノックが聞こえ箒の声がしたことを短い言葉で伝えると一夏は口元に小さく笑みを作って勘が良いと言ってから、箒の待つドアの向こうへ駆け足気味に走り出し、俺にも急ぐようにわざわざ戻ってきて袖を引っ張りつつ声を掛けてきた。慌てなくても飯は食えるぞと反論すると、一夏は箒と話す時間が減ると返してくる。それは確かに一分一秒を争うと理解し、俺も急いで廊下へ飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またまた4月中旬。セシリア嬢との試合が終わった後の保健室から寮へ戻った万掌。

 

「――ただいま」

 

「おかえりなさい、万掌。ご飯、食べれてないかもって思って、貰っておいたの」

 

「気が利くな、確かに食えてなかった。すぐに食ってもいいか?」

 

「うん、だけど右手は大丈夫?かなり無茶したんじゃない?」

 

寮の自室に戻ると、一夏が傍にやってきてテーブルを指差すので目線で追いかければまだ熱を持っていそうな味噌汁と、焼き鯖の乗った定食が置かれてあった。どうやら一夏は俺が夕飯を摂れていないと予測したようで、その通りだった俺は一夏の心遣いに感謝しながらテーブルの前に座り箸を持とうとして、箸を落としてしまう。

 

「――――......はぁ」

 

「やっぱり。右手、震えてるよ。痛むんでしょ?私が食べさせてあげるから、貸して」

 

「悪いな」

 

「事故なんだから仕方ないよ。じゃあ、まずはこのおひたしからね!はい、あーん!」

 

「......それ言う必要ある?」

 

「アリアリのアリ!」

 

「秒速レスポンスあざーす」

 

「いえーい!」

 

「いえーい」

 

微かに震え、力の籠められない右手を一夏が見るや否や、絨毯の上に落ちた箸を水道で洗い、水気を切ってから持ってきたと思ったら焼き鯖定食を俺の前からずらしておひたしを箸で持ち上げて口に持ってくるので、食べてから抗議をするとあーんの掛け声は一夏的にアリアリのアリらしく、余りの早い反応にいつぞやのノリと同じことをし、一夏は気を遣ってか左手を伸ばしてくるので俺も左手でそれを返す。

 

「じゃあ、次は――漬物!はい、あーん!」

 

「ん」

 

「餌付けしてるみたいで可愛い!」

 

「やっぱ左手で食うから箸返して」

 

「あー!ごめんてー!」

 

一夏がセレクションした順番に飯を食っていると、突如として餌付けしてるみたい、というかされているが、可愛いというのには納得できず左手で食事を摂るから箸を返せと言うと一夏はそれを拒み、それ以降は真面目に食事の介抱をしてくれた。

 

「んー......なんか違う」

 

「バンショー?どうしたの、味噌汁1つでそんな難しい顔して」

 

「いや、結構前に一夏が俺に味噌汁作ってくれたことあっただろ?」

 

「あー、中学校の時」

 

「そう、それ。最近あの味を思い出してな......あの味じゃないとなんか満足出来なくなったんだ」

 

左手で椀を持って味噌汁を啜り、難しい顔をしていると一夏に言われたので素直に一夏の味噌汁より不味いと言った。

 

「――――ねぇ万掌、これ前も聞いたと思うんだけどさ。それわざと言ってる?」

 

「何が?」

 

「だから、その......私の味噌汁、美味しかった?」

 

「あれじゃないと何か足りないと感じるくらいには」

 

「そ、そっか......それ、結構な殺し文句だから、私以外の子には言っちゃダメだよ?」

 

「お前以外に言う奴なんか居ないよ」

 

「もー、そうやってすぐ口説く。うー、バンショーのバカ」

 

「これが口説きに入るなら、俺はお前の事を一生口説けないな」

 

「それも前に聞いたと思うんだけど......ん、んん......で、でも?聞いてあげないこともないけどなー?」

 

「なんだ、口説いてほしいのか」

 

「それ女の子に聞く!?......うん、やってほしいかなぁって.....ダメ?」

 

一夏と前にもしたようなやり取りを繰り返していると、一夏は自分の味噌汁が本当に美味かったかどうかを気にしている様だったので、一夏によって鍛えられた俺の舌を唸らせた一夏の味噌汁以外は何か違うと答えると、それは女性にとって、かなり嬉しい一言だったようで一夏以外に言ってはならないとレクチャーを受けた。だが、その事を覚えた所で一夏以外に使う予定はないと返すと、また似たようなやり取りをしてしまうが、そこから一夏の様子が少し変わった。この間の様にネタにするような雰囲気ではなく、そこそこ真面目に聞いてくるので、一夏は確かに料理に対しては味覚の変化もあってかなり真剣に対応してたことを改めて思い出し、これは俺も真摯に向き合うべき会話なのだと理解した。

 

「ふむ......よし。――なぁ、一夏」

 

「.....ひゃ、はひ!」

 

「――お前の料理じゃないと、満足出来なくなっちまった。だから、俺の為に、毎日味噌汁を作ってくれないか」

 

「――――......はい、作らせてください......」

 

「はいじゃないが」

 

「あいたー!」

 

「何コロっと落ちてるんだよ」

 

「落ちるよ!?幾らでも作っちゃうよ!そんな事言われたらもう私メロメロだよ!?」

 

真面目な顔をして、2人で作りだす空気感の中では指折りのキメ顔で一夏に身体を向けると、一夏は緊張した様子で返事を返した。その一夏に追い打ちを掛けるように、いつもより3、4割キメッキメのトーンで考えた台詞を言うと、一夏は即座に陥落したのでそれに呆れてチョップを打つと元に戻った。それから少し叱ると、一夏はこの台詞に弱いのだと自分から叫ぶように告げた。

 

「そうか?」

 

「もうずっと作っちゃう!飽きたって言われたら泣いちゃうくらいに作ってあげる!」

 

「うーん......まぁ、今はそこまでしてもらわなくても、たまに作ってくれればいいよ」

 

「い、今は!?その先があるの!?」

 

「それはあるさ。お前も誰かに恋をする日が来るかもしれない。そしたらその人の為に作る事になるだろ」

 

「あ、そういう......はぁ......万掌のばか」

 

「――でもさ、お前の味噌汁が飲みたいっていうのは、本当のことなんだ。頼めるか?」

 

「――――......うん、いいよ。たまに作ってあげる。今は、ね」

 

一夏は相当味噌汁作りに関して自信があるらしく、毎日作ってもいいと言い張る。が、流石に毎日はちょっと俺の自信がないので遠慮すると、一夏は今は、ということはその先があるのかとかなり興奮気味に聞いてくるので、人を好きになればその人の為に作る事になるだろうと返すと、一気に熱が冷めたのか溜息を吐きながら俺の事を罵倒してきたので、それに反論するよりも落ち込み始めた一夏のフォローをする為に左手を一夏の肩に乗せながら、上目遣い気味に俺を見上げる一夏に、一夏が作った味噌汁を飲みたいというのは本当のことだと目を見ながら伝えると、一夏は俺の左手を両手で握りながら軽く頬擦りをして、了承を告げた。

 

その次の日から、朝食の味噌汁は一夏が作ることになり食堂のおばちゃんたちにも伝わっているのか俺の定食は常に味噌汁抜きで来るようになり、一夏がその代わりに味噌汁を持ってくるようになる。

 

くっそ美味い。毎日はキツいとか言ってたけど普通にイケるわ。

 

 

 




胃袋掴んだ奴が勝ち確ってそれ一番言われてるから。





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