Ideal・Struggle~可能性を信じて~ 作:アルバハソロ出来ないマン
ギャグ出来ないけど。
やや下ネタに寄せてますけどゆるして。シリアス続きは持たないの。
ラウラってこのあと何したかなーって思って原作見てたらオリ主の地雷を踏み抜くことしかしてなくて枯れた笑いが出ました。
的確に地雷を踏み抜いていくラウラが今の所本作で一番不憫だと思います。ラウラ好きの読者さんごめんやけど友情築くまで辛い思いさせると思います。ほんとすいません。
きっとラウラの中にある凝り固まった物を解せば、ラウラも優しい子だと思うんですよ。一夏への罵倒とビンタは多少歪んでいても千冬さんのことを想っての発言だったと思ってます。誰かを想える人はその在り方を間違えてはいけませんが、そこに正しさという絶対的価値観を敷こうとするのは酷く難しい話になります。
誰かと価値観を共有することは難しく、その価値観に善悪の概念を落とし込み絶対的な線引きをするということは更に難しいです。
おっぱいが好きか、お尻が好きか。大きいのが好きか小ぶりなのが好きか。それだけでも価値観を揃えるのは難しく男は大勢の派閥に分かれて揉めますよね。議論に上がる子たちのは一切揉めないのに。すいませんなんでもないです黙ります。
「堺、問題は起こすなよ」
「確証は出来ません」
「お前の感情で動く癖は直した方が良い。いいな、止めろ」
「善処はします」
「......万掌、頼む。奴は少し特殊なんだ」
「――――......次に。次にまた、人を傷つける様なら」
「その時は、お前に任せる。やりすぎるなよ」
「可能な限り、努力します」
「出来ればそこは確証してほしいところが、まぁいい。もうすぐ昼休みも明ける。いいか、次の授業は日程を変更している。5限目と6限目は二組と合同で模擬戦だ。デュノアを職員室前で待たせている。案内と面倒を頼んだぞ」
「――はい」
一夏を先に帰らせた千冬さんは俺を職員室に残したまま、ボーデヴィッヒとの間で問題を起こすなと咎められた。一夏の事でつい熱くなってしまったとはいえ、仕方のない事だろう。ああ、違う。一夏を理由に正当化してしまう自分が嫌になる。俺が、一夏の事で我慢出来なくなったから今回の結果が生まれたんだ。自分の中にある正しい選択をしたという囁きと、皮の擦り剥けた拳から伝わる痛みが、怒りに呑まれた事が間違いであると囁いてくる。これは、どっちも正しくて、どっちも間違っているのだろう。一夏の心を守る為に暴力を振るったが、ボーデヴィッヒを傷つけた。正しくも間違いである。今もまだボーデヴィッヒへの怒りは収まらないが、少し頭を冷やした事で、殴り続けた拳から伝わる痛みと、殴った時の嫌な感触が今もこの手にへばり付いている様に感じる。俺は、人を殴った手で一夏を抱きしめ、慰めていたんだ。そう思った途端に、自分の事が嫌いになった。一夏の流す涙が、ごめんなさいに含まれるものが、俺も入っていそうで、怖くなった。
千冬さんに問題は起こすなと言われ、確証は出来ないと答えた。実際、そうだった。俺はまた、ボーデヴィッヒの心無い行動を見ればきっと拳を振るってしまうだろう。ボーデヴィッヒが一夏にしたように、話し合う事すらなく暴力を振るい、暴言を吐くのだろう。そう、SHRの時間にボーデヴィッヒを殴った俺は、一夏を叩いたボーデヴィッヒだった。全く同じだったんだ。その行動の裏に含まれる感情に差異はあれど、俺は自分が嫌っていた事を、やってしまった。それがとてもつらかった。殴りつけた両手が、鎖に繋がれている様に重く感じる。この感覚に『罪』という言葉が与えられたのだろう。俺の心は怒りと罪悪感と自己嫌悪に包まれていた。
だからこそ、千冬さんに名前まで呼ばれてお願いされた言葉は、口では納得できない、次があれば同じ様にすると言うが、心境は違った。何が何でも、千冬さんとの約束を守り抜くと決めていた。ボーデヴィッヒが何をしようと、耐え抜いてみせる。千冬さんの名に懸けて誓った。
「失礼しました」
「――あ、あの」
「今朝は、見苦しい所を見せて申し訳なかった。俺は堺万掌、よろしく」
「う、ううん!織斑さん?の為に、あんなに必死になれるのって、すごくカッコいい事だと思うよ。僕、シャルル・デュノアです。よろしくね、バンショー」
職員室から出て、一息吐いた所でデュノアが怯えた様子で話しかけてきた。それもそうだろう、急に殴りだした人物が自分の面倒を見るかとおもうとぞっとする。見苦しい所を見せたと謝罪し、自己紹介をしてから手を差し出し、差し出した所で人を殴った手で握手をしようとした自分が嫌になり、手を引きかけるがそれよりも早くデュノアが手を掴んでから自己紹介をしてきたのでそれに複雑な顔で対応すると、デュノアはその人懐っこそうな顔を不安そうにして聞いてきた。
「あ、あの......もしかして気に障った?」
「ああ、いや。ただ、人を殴った手で誰かと握手をするなんて、最低な奴だなって自己嫌悪してた」
「......バンショーって、もっと怖い人なのかと思ったけど、優しいんだね」
「優しいなら、あんな一方的に殴ったりはしないさ。たとえ、逆鱗に触れられたとしても」
「でもバンショーが今感じてるそれって、全部僕の為を想っての事じゃない?違ったら、かなり恥ずかしいんだけどさ。初対面の僕の前でみっともない所を見せてしまってごめんなさい、人を殴った手で素知らぬ顔して友好の握手をするなんてひどいやつだ。全部、僕の事を気遣ってくれてるから、そう思えると思うんだ」
「――――」
「だからさ、バンショーはそんな暗い顔しないで、普段のバンショーを僕に見せてほしいな。悪い所は見ちゃったから、後は良い所をいっぱい見せてほしい。ダメ、かな?」
デュノアの不安を解す為に自分の中の悪感情を話すと、デュノアは俺を優しいと評した。それが逆に辛くて、自嘲するとデュノアは更に慰めの言葉を、その人懐っこい笑顔で花が咲いた様に笑うものだからへの字に曲げていた口元が、僅かに吊り上がってしまった。
「あ、笑った!ねぇバンショー、今笑ったでしょ!その調子だよ!もっと笑顔にならなきゃ!はい、にー!」
「......はは、なんだそりゃ」
「えへへ、笑うのって楽しいよ。僕ね、バンショーとなら仲良くやれると思うんだ。バンショーはどう思う?」
「――ああ。俺もお前となら、やっていけそうだ」
「じゃあ、改めて握手をしようよ。今度は、笑顔でさ!」
「ああ、そうだな。そうしよう。――よろしく、デュノア!」
「こちらこそ!よろしくね、バンショー!」
デュノアは自分の左右の頬に両手の人差し指を乗せて、ぐにーっと指で引っ張って笑顔を作る。それに小さく笑みを浮かべるとデュノアは満足したのか、満面の笑みで笑う事の楽しさを教えてくれる。それから、俺とならやっていけると言ってくれたことが嬉しくて、心を軽くしてくれたデュノアに内心感謝しつつ、改めて握手を求められたので今度は笑顔で互いの手を取り合った。
「お前の事、シャルルって呼んでもいいか?」
「うん、全然いいよ!むしろ僕だけバンショーって呼んでて、空気読めてないのかなぁって思ってたんだ」
「じゃあシャルル、次の授業だけどな。聞いてるとは思うが模擬戦だ。俺たち男は空いてるアリーナの更衣室で着替える必要がある。実習の度にその移動だから、覚悟しておいてくれ」
「う、うん」
「じゃあ、時間もそこそこに押してるしさっさと行くか。こっちだ、付いて来てくれ」
なるほど、デュノアと話していると同性ということもあってか、非常に気負わずに物を話すことが出来る。それに、きっとデュノアの人懐っこさに充てられたのであろう。この笑顔は、なんというかほっとする。見ていると、何となく笑顔になる。そんな優しい顔をしている。だからだろうか、デュノアと呼んでしまうと壁を作っているような気になってしまい、せっかく親しくなったのに埋めがたい距離を作っているような感じになった。だから俺は、デュノアをシャルルと呼んでもいいか、と訊ねるとデュノアは快諾してくれたので、これからはシャルルと呼ぶことにする。親睦も深まったところで、移動を開始しなければならない旨を伝え急いで移動を開始する。道行く先々で声を掛けられ囲まれたが、その都度短く言葉を交わし、最後には織斑先生の授業だから、と言うと皆すぐに道を開けてくれた。
「すごい人気だね。バンショーって」
「俺はもう見慣れたモンだ。シャルルのが目立ってんのさ」
「え、僕?」
「お前が2人目の男で、転校生だからな。それに日本じゃ珍しいブロンドにエメラルドの瞳だ」
「あー......外国人って奴だね。僕には日本人の黒髪黒目の方が珍しいよ」
「まぁ、そういう物だろうな」
そんなことを話しながら第2アリーナ更衣室に到着した俺たちは、それぞれロッカーの前に立った。
「じゃあ、まだ余裕はあるが時間はいくらあってもいい。ササッと着替えよう」
「う、うん。いいけど、あっち向いててよ?」
「男の裸を見る趣味はねーよ」
「お、女の子の裸は見るの!?」
「なんだシャルル、さっそく下ネタか?」
「そ、そーじゃないけどぉ!」
「ほぉー。まぁ解るぜ。どこまでオープンで、どこまでムッツリでいけばいいのか、すごい悩むよな」
「何の話!?」
「何事もほどほどが一番、てこと」
手早く制服を脱ぎ、シャツを脱いで下に着ていたズボンのベルトを外し、脱ぎ捨てて完全にISスーツだけになる。その後着てる間にずれた部分を修正しながら話をしていると、シャルルが予想以上に下ネタの食いつきがよかった事から、王子様系の顔をしていながらその辺りはしっかり興味があるのか、声を上擦らせて反応した。そういう反応は、先駆者として言わせて貰うが女子に食い物にされる反応だから注意しておいた方が良い。しかし厄介なのがそこで悪ノリすると性欲魔神扱いされるし、乗らないなら乗らないで男に興味があると思われる。どっちに転んでも痛い目を見るなら、最初からある程度の興味があり揶揄われるくらいなのが一番ダメージが少ない。ほどほどが一番である。
「さて、俺は着替え終わったが、シャルルは終わったか?」
「唐突に話切り替えるね......うん、終わったよ」
「なんだ、やっぱり下ネタ好きなのか?あれなら続けるが」
「違うよ!なんで僕をそこまでムッツリキャラにしようとするの!?」
「だって露骨に反応するから......」
「もー!揶揄わないの!」
「分かった分かった。いやーしかし、男子同士での会話は本当に気にする部分が少なくて楽だな」
「多分、分かってもらえてない反応だっていうのがよく分かったよ......んん、そんなに気楽なものなの?」
シャルルも既に着替えを済ませていたようで、そのまま互いに話をしながら第2グラウンドを目指して早歩きをしながら会話を続けていく。シャルルはどんな言葉を投げかけても反応してくれるから中々に面白い。フリスビーを取りに行く犬のような感じがする。どんなに意地の悪い所に投げようと、全力で取りに行く。シャルルからはそんな雰囲気を感じた。シャルルが会話の中で、男同士の会話がそれほどまでに楽な物なのかと質問が上がったので、フランスではそうではないのかと思いつつ訊ねてみることにした。
「女尊男卑の世の中だとな。どうしても女性がどういう反応を好むか見極める必要があるんだ。その点男子は楽だ。気負わず好きな口調で話せる」
「そういうものなの?」
「フランスだと女尊男卑はそんなに酷くないのか?」
「あっ、う、うん。元々ISが登場する前から男女平等って言ってた部分はあったみたいだし。日本くらいじゃないかな?か弱い女性のまま権力だけを強くするっていうのは。欧州じゃ女性もパワフルだよ。日本人みたいにお淑やかな人は少ないね」
「それは羨ましい部分だ」
「その代わりに就職率が悪かったりした時のデモ活動は凄いよ。暴動だからね」
「そういうのは日本じゃ見れないな」
「隣の芝は青いってやつ?」
「そうかもな」
女尊男卑がこれほどひどいのは日本くらいらしく、欧州は元々男女平等の名の下にバイタリティー溢れる女性たちが化粧も何も関係ないといった形相で男と渡り合っていた昔があったからか、ISが登場した今もそこまで変わってはいない様だ。しかしその代わりに、バイタリティ―溢れる人々は政府の政策に不満があると即座に暴動やらなにやらを起こすようだ。それは日本ではなかなか見られない光景だろう。せいぜいがプラカードを掲げて叫ぶ程度だ。羨ましい部分が互いにあって、疎ましい部分も互いにある。隣の芝は青いとシャルルが言った通りだった。
そんなことを話していると第2グラウンドに到着した俺たちは、そこそこに女子生徒が整列し始めている場所に駆け足で近付き、列に並んだ。
「堺君、織斑さん大丈夫だった?」
「ああ。酷く落ち込んでたけど、今は大丈夫だと思う。また、夜にフォローするつもりではある」
「ひどいよね、あのドイツの人」
「堺くんも悪いとは思うけど、ボーデヴィッヒさんもボーデヴィッヒさんだよ。堺くん、謝るべきだとは思うけど譲らないでね」
「――ああ」
「デュノアくん、堺くんは本当はすごい良い人なんだけど、今回は運が悪かったって言うか――」
「大丈夫。バンショーは悪い人じゃないって僕分かってるから。良かったねバンショー。バンショーの事支えてくれる人がこんなに居るよ」
「......ええ子や......ええ子やないですか堺はん......」
「堺くん、口喧嘩では結構怒るけど手を出した事なんてないから。今日が初めてだよね、多分。私たちも出来る事があったら、手伝うからね」
「――ありがとう、皆」
『堺くんがデレたー!』
「......何も言わない方が良かったかな?」
「あはは、冗談だって!」
俺たちより後に来た女子たちが口早にそう言いながら整列していき、シャルルの誤解を解こうとしてくれたり、一夏を心配したり、俺を気遣ったり、謝るべきではあるが譲らない姿勢を見せろと声を掛けてくれる。本当に、良い友人達ではある。話題が合わない時はとことん合わないが、それでもこうして心配してくれて、力を貸してくれるというのはありがたいことだった。
「よし、では本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」
『はい!』
「まずは実演を見てもらう。凰!オルコット!お前達は専用機持ちだったな。それにちょうど射撃と格闘で分かれている。前に出ろ」
「はい!」
「畏まりました」
「お前達の相手だが――」
生徒全員が揃ったところで、千冬さんがやってきて手早く本日の実習内容を最初に通達する。それからすぐに見た方が分かりやすいというのか、セシリアと鈴音を前に出し、ISを装着させた。そして、対戦が鈴音対セシリアになるのか、それとも別の人が相手なのかと言う所で千冬さんがその口を開き――眉間に電撃が走った錯覚を感じ取り、咄嗟に飛び退いた。
「ど、退いて――って退くの早いですね!?」
「勘です」
瞬間的な判断だったが正解だったらしく、空から山田先生が落ちてくるより早く移動することに成功した俺は山田先生がツッコミを入れながら地面に柔らかく着地するのを見て、勘で避けたと伝えた。
「さて、お前達二人の相手だが、山田先生が担当する」
「え?さ、流石に2対1は......」
「少し、気が引けるといいますか」
「なら、山田先生側に堺も追加するか?」
「相手は教師!油断大敵!」
「山田先生の胸を借りるつもりでいかせて頂きますわ!」
「ふん。最初からそう言っていろ。それに、山田先生はこう見えて元代表候補生だ。射撃技術は高いぞ」
「む、昔の話ですよぉ。それに、結局候補生止まりでしたし」
どうやらセシリアと鈴音の相手は山田先生一人のようで、流石にそれはと二人が言い淀んでいると千冬さんが俺を山田先生サイドに追加すると言い出した。千冬さんも人が悪い。セシリアと俺のISの相性は最悪からそこそこ悪い程度に変わったと言えど、それは1対1の状況に限り、俺が防御に集中し、その間に山田先生が射撃に回れば対処は難しいだろう。逆に鈴音は俺がひたすら接近攻撃と、回避軌道を塞ぐ射撃で追い詰めれば山田先生の射撃でやられる。セシリアと鈴音、どちらも1対1なら俺に勝てるだけのポテンシャルを持っているが2対2ともなると初のコンビ戦故か、不安の色が強かったようで即座に前言を撤回し、山田先生を強敵と認めた。そして千冬さんがさらっと言ったが山田先生は元代表候補生であったようで、操縦技術はちょっと不安が残るが射撃がかなり得意そうな感じだ。俺も射撃武器を使う事だし、見て勉強させて貰おう。
「い、行きますよ!」
「――――よし、ではあの戦闘を眺めながら、そうだな......デュノア、山田先生が使っているISについて説明をしろ」
「はい。山田先生の使用されているISはデュノア社製『ラファール・リヴァイヴ』です。第2世代開発最後期の機体ですが、その性能は第3世代初期型にも劣らないもので、安定した性能と高い汎用性、豊富な後付武装が特徴の機体です。現在配備されている量産型ISでは最後発ではありますが世界第3位のシェアを誇り、七か国でライセンス生産、一二か国で正式採用されています。特筆すべきはその操縦の簡易性で、それによって操縦者を選ばないことと、多様性役割切り替えを両立しています。装備によって射撃・格闘・防御といった全タイプに切り替えが可能で、参加サードパーティーが多いことでも知られています」
山田先生の射撃によって、初期位置から左側へ強制移動させられた鈴音はそのまま巨大な刀で山田先生を切りかかりに行くが、セシリアのレーザーを山田先生が誘導したせいで鈴音に掠り、バランスを崩した鈴音の刀がセシリアのビット1基を叩き割った。おそらく、あっ、と声を漏らしたのだろうがこの距離では聞こえず、背後を取られた鈴音は咄嗟に衝撃砲を起動させるが山田先生はセシリア本体を集中的に射撃しながらも∞字を描く様に空中軌道を描き、鈴音の衝撃砲が外れるとセシリアに直撃する位置を確保し続けながらセシリアにビットを使わせずに回避に専念させ、シールドエネルギーを削り続けていく。衝撃砲を撃てないのなら接近すればいいと言わんばかりに鈴音が突っ込んでいくが、それよりもコンマ数秒早く弾丸を撃ち切った山田先生がリロードを開始し、その隙に山田先生の背後を取ったセシリアのビットが鈴音の描いていたラインを妨害し、衝突する。明らかに連携が取れておらず、そのまま実演は進んでいきセシリアの回避先に弾丸を置くように射撃する山田先生の射撃技術は見事な物で、あの複雑な騙しを幾つもいれたセシリアの欺瞞回避軌道も容易く看破し弾丸を直撃させ続ける。そうなるといよいよビットに回す集中力を残していられなくなり、逃げるばかりになったセシリアをフォローする為に鈴音は衝撃砲を連射してヘイトを買おうとするが山田先生はほんの数十センチ動く僅かながらの回避でその衝撃砲の連打をすいすいと避けていってしまう。そして鈴音は衝撃砲を撃つ為にその場に留まった事で回避に集中するセシリアに気付かず、衝突事故を起こし――――二人で団子状態になっているところにグレネードが放り込まれ大爆発を起こし、セシリアと鈴音が落ちてきた。千冬さんはそれを一瞥した後俺たちに向き直る。
「さて、これで職員の実力は把握できただろう。以後、敬意を持って接するように。では実演はこれで終了。これより出席番号順に8人グループとなってISの操縦訓練を開始する。教導者は専用機持ちが行うように。では散開、実習開始!」
千冬さんの一言で山田先生の実力の高さを改めて思い知った女子生徒諸君は、本当に驚いた顔をしていたが、千冬さんの実習開始の声に一斉にそれぞれのグループリーダーへ駆け込み始めた。当然、俺も専用機持ちなので俺の下にも7名の女子が付く。
「なるべく分かりやすくはするつもりだけど、ふざけると織斑先生に怒られるから真面目にやろう」
俺がそう言うと、女子生徒たちは誰一人嫌とは言わずに首を縦に振って実習に臨むのだった。
シャルはなるべくわんこな感じで行きたいと思います。
落ち込んでるときに慰めてくれる系の元気いっぱいわんこです。