次の任務は主人公の親友役ですか?   作:朝が嫌い

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第3話

あれから、何日か経ち、俺らは三人で行動することが多くなった。しかし、四六時中一緒にいるわけではない。故に俺は今絶賛暇を持て余し中だ。獅子堂は、生活容認が足りないといい、買い物に行き七星は、教科書を買いに本屋に行ったらしい。監視対象から離れるのもいかがなものかと思ったが、別段特別な動きが起こっているわけでもないし大丈夫だろう。

 

「さて、外をぶらぶら歩くかな」

 

少しずつ気温も上がり、春の足音が近くなってきた三月の終わり。散歩をするには、ピッタリだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

学生寮から学園まで徒歩十分。そこからさらに、三十分ほど歩くとかなり大きな公園がある。公園に入りシオンが道を歩いていると、ベンチに座っている少女が目に入った。結構小柄な少女で、身長は150cm位だろうか。パーカーにハーフパンツというラフな格好だ。

銀色の髪を短く切れ揃え蒼灰色の瞳が美しい少女だ。首にはヘッドホンをしており、眠っているのだろうか眼をつむっている。

 

 

(あの子の魔力どこかで・・・)

 

シオンが立ち止まり、視線を向けていると不意に少女が目を開けシオンのほうに顔を向けた。必然的に、少女とシオンの視線はかち合った・・・。

 

 

「何か用?」

 

聞き惚れるようなソプラノボイス。いきなり声を掛けられしばらくシオンは固まってしまっているが、すぐに再起動し謝罪する。

 

「ああ、ごめん。知り合いに似てたもので」

 

「何それ?ナンパ?」

 

(強烈な返しだな。しかもほとんど無表情だ)

 

「知らない相手にナンパするほどコミュ力はないよ」

 

「あ、そ。じゃあ、もう用はないでしょ。どっか行ってくれない?」

 

シオンは余りに強烈な返しにほほを引きつらせた。

 

(当たりがきつい・・・。ていうか、怖い。けどな~)

 

シオンは、平然とする少女の瞳に絶望の影があるに気づいた。それは普段のシオンからすれば、どうでもいいことだった。こんな世界で、絶望したことがない人間なんてごくわずかだ。特に珍しくもない。そう思い、スルーしていただろう。だが、この少女だけは何故かスルーする気になれなかった。

 

(他人のパーソナルスペースに入るのは得意じゃないんだけどな・・・)

 

「なあ、ここで会ったのも何かの縁でさ。名前を教えてくれない?見たところ、急ぎの用が控えているわけじゃないんだろ」

 

「やっぱナンパじゃん」

 

少女は呆れながら、わずかに眉をひそめた。

 

「私は、誰ともしゃべる気はない。それに、自分から名乗らないのに人になろらせようとするやつとは話す気にならない」

 

「俺のの名前は、冬空 紫音。先ほどは失礼しました。名前を教えてくれませんか?」

 

シオンの返答に、少女は心底面倒くさそうな顔をした。

 

「雨情 怜奈。これでいいでしょ?もうどっか行ってよ」

 

冷たく言い放つ怜奈に対してシオンは笑みを浮かべて近づいていく。

 

 

「いや~、今日は暇でね。話し相手がほしかったんだ」

 

 

「話聞いてた?私、話す気がないって言ったんだけどさ」

 

「俺には話す気があるんだよ」

 

「ハァ~」

 

怜奈は、首に引っ掛けてあったヘッドホンに手を掛け、自分の耳に当てた。

 

「『ハイパーノイズ』」

 

怜奈がそうつぶやいた瞬間、けたたましい音が公園中に響いた。

 

たまらずシオンは、耳を抑える。

 

(これは魔法か・・・見た限り、音を操作するってところか?マジで鼓膜がヤバいな)

 

そう判断するや否や身体強化魔法をかけ、瞬時にその場から離れるシオン。しばらくして音が収まり、元の場所に戻ってみると怜奈はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー・・・ってどうした?シオン。死にそうな顔してるぞ」

 

「いや、なに。猫にちょっかい掛けたら、引っかかれたというか、超音波を浴びせられたというか・・・」

 

「はあ?」

 

訳が分からないといった表情の獅子堂をスルーして、俺は今日のことを思いだす。公園であんな威力の魔法出すとか・・・手加減はされていたと思うが、一般人の魔法の使用は許可されていない。下手をすれば警察が来ていた。

 

「まったく何を考えているのやら・・・」

 

「まあ、大変だったみたいだな」

 

「まあね、ソナタの方は目当ての物は買えたのか?入学式が近いから、店も混んでたと思うけど」

 

「ああ、買えたよ。それに、予想外の出費だったけど、こんなものも買っちゃった」

 

そう言って取り出したのは、参考書だ。魔法の。

 

「俺さ、最近になって魔法に目覚めたんだよ。だから、みんなよりも遅れてるだろ。少しで追いつかないとって」

 

確かに、獅子堂が魔法に目覚めたのは三か月前だ。日本では、魔法使いに目覚めたものには小学校の時から教育が施される。といっても、大したものではなく魔法が暴走して事故を起こさないために最低限の知識だけだが。

彼の向上心は凄いな。後天的に魔法に目覚めるケースは稀だ。というか、ほぼないといってもいい。偶然魔法に目覚めるなんてあるんだろうか?まあ、彼が目覚めたのは偶然でも何でもないわけなんだが。

 

「俺が教えようか?」

 

「ええ?いいのか?」

 

「今は暇だし、何だったら光にも頼んでみたらどうだ?きっと快く引き受けてくれると思うぞ。一応最初の方は、いろんな意味で簡単なことから教えると思うが魔法に関してはすぐに実践的な訓練をさせられると思うからな」

 

「ありがとう。助かるよ。明日光にも声を掛けてみる」

 

「おう」

 

 

これで入学までの暇は紛らわせられそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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