やはり俺が魔法使いでプリキュアなのはまちがっている。   作:乃木八

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第十三話「爆ぜる想いの火!みらいと八幡、二人の始まり!」Bパート

 

二年生の教室で八幡を見つけられなかったみらい達は大きな声で呼び掛けながら高等部の校舎を探し歩いていた。

 

「おーい八くーん!どこにいるの~!」

「八幡~!いるなら早く出てきなさ~い!」

 

周りの視線も気にせずに八幡の名前を呼び続ける二人。中等部の生徒が高等部にくるだけでも珍しいのに、大きな声を上げて誰かを探し回っているとなれば余計に注目を集める事は必至だ。

 

「あー……そこの君達。ちょっといいかね?」

「え?」

「はい?」

 

後ろから不意に呼び止められた二人が、声の方を振り向くとそこには二十代前半くらいの若い女性が立っていた。

 

「君達は中等部の生徒だろう。高等部の校舎で何をしているんだ?」

「え、あ、えーと……」

「それは……」

 

突然見知らぬ女性に声をかけられた二人は戸惑い、言葉を詰まらせる。別段、悪い事をしているわけではないが、女性の雰囲気に呑まれた二人はすっかり萎縮してしまったらしい。

 

「ああ、すまない。別に君達を責めているわけではないよ。ただ、高等部で中等部の生徒が騒いでいると知らせがあって様子を見に来ただけさ」

 

そんな二人の面持ちに気付いた女性はそう言いながら肩を竦め、表情を和らげた。

 

「私は平塚静、まだ日は浅いがれっきとしたここの教師だよ」

「先生……ですか?」

 

教師だと名乗った目の前の女性にみらいは見覚えがない。まだ一年と少しとはいえ、この学校で過ごしたみらいなら一度くらい見かけてもおかしくはない筈だ。

 

「まあ、私は高等部で現国を教えているから中等部の君達にとっては馴染みがないかもしれんがね」

 

みらいの疑心を晴らすべく簡潔にそう説明した平塚先生は、逸れてしまった話題を戻そうと再び二人に同じ問いを投げ掛ける。

 

「それで君達は高等部に何用かな?」

「えっと……私達、人を探してて……」

 

もう一度投げ掛けられたその問いに対して恐る恐る答えるみらい。説明を受けた今、彼女が教師だという事を疑ってはいないが、まだ少し緊張が抜けないらしい。

 

「……という事は君達の探し人は高等部にいると?」

 

どうやら中学生であるみらい達の探し人が高等部にいるという事に疑問を覚えたようで平塚先生は難しげに眉をひそめる。

 

少し珍しくはあるが、別段中学生が先輩に会いに来るという理由で高等部を訪れることはある話だ。

 

しかし、大抵は放課後の出来事、わざわざ昼休憩に、それも大きな声で呼び掛けながらというのは聞いたことがなかった。

 

「は、はい……その、比企谷八幡っていうんですけど……」

「比企谷……君達は彼の知り合いかね?」

 

リコが八幡の名前を出した瞬間、平塚先生は驚いたような表情でみらい達を見つめ、問い返す。

 

「もしかして八くんの事、知ってるんですか!?」

 

八幡の事を知っている様子の平塚先生に対してみらいは食い気味に詰め寄った。

 

「あ、ああ、私は比企谷の補習を担当していたからな。他の先生よりは彼と関わりがある」

 

詰め寄られ、みらいの勢いに面を食らいながらもそう答えた平塚先生はそれにしても、と言葉を続ける。

 

「八くん……か。随分と砕けた呼び方だが、君達にとっては彼は━━……」

「「友達です!!」」

 

どういう存在か、と問おうとした言葉よりも早く声を揃えて即答したみらいとリコに平塚先生が目を(しばたた)かせた。

 

「……フッ、そうか。友達か」

 

少しの沈黙の後、小さく笑った平塚先生は穏やかな表情を浮かべて〝友達〟という言葉を反芻する。

 

「えっと……先生?」

「どうかしたんですか……?」

 

顔を見合わせ困惑する二人に平塚先生はすまないと謝り、空を見上げながら呟く。

 

「なに、少し思うところがあってね。まあ、それも余計な心配だったわけだが」

 

補習を通して比企谷八幡という生徒に触れ、その捻くれた性分を目の当たりにした平塚先生は、彼の在り方を心配していた。

 

教師という肩書きがある以上、どうしたって同じ目線には立てない。出来る事といえば精々、道を示してその行方を見守る事くらいだ。

 

だからいつか彼と共に歩み、笑いあえる誰かが現れるのを期待するしかなかった。

 

「……良い子達だな」

「「?」」

 

小さな声でそう呟いた平塚先生はきょとんとしているみらい達に向けて優しく笑い掛けながらゆっくりと口を開く。

 

「彼ならいつも職員室の近くにある人気のない木陰で昼食をとっているよ。たぶん今日もそこにいる筈だ」

「職員室の近く……行ってみます!」

「ありがとうございます!」

 

平塚先生から八幡の居場所を聞いたみらいとリコは頭を下げてお礼を言うと踵を返してその場所へ向かおうとする。

 

「━━これからも比企谷と仲良くしてやってくれ」

「はいっ!」

「もちろんです!」

 

最後にそれだけ言うと、平塚先生は駆け出した二人の背を笑顔で見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室から漏れでる談笑も食堂に満ちる活気や廊下ではしゃぐ生徒達の喧騒すらも届かない静かな木陰で八幡は一人、黙々と昼食をとっていた。

 

今朝コンビニに寄って適当に見繕った惣菜パンを咀嚼し、片手に持ったMAXコーヒーでそれを流し込む。

 

平日はほぼ毎日同じような昼食だが、今日はよりいっそう味気がない……というよりほとんど味がしなかった。

 

「ふぅ……」

 

そんな中でも唯一変わらないMAXコーヒーの甘さを口の中いっぱい感じつつ、八幡は思考の渦に意識を沈める。

 

みらいやリコとの関係、事故の事実を切っ掛けにギクシャクしている現状、それらを踏まえて自分がこれからどうするのかを考え整理して答えを模索する。

 

いつまでも考えている猶予はない。こうして二人との接触を避けるように過ごすのにも限界があるし、いつ闇の魔法使いが襲撃してくるとも限らないのだから。

 

「…………」

 

俯き、無言のまま何もない地面をじっと見つめる八幡。正直なところ八幡の中で結論は既に出ていた。

 

そんな難しい話じゃない。ただ二人との関係を解消して全てに目を瞑り、今まで通りの生活を送ればいいだけだ。

 

闇の魔法使いとの戦いだって伝説の魔法使いである二人に任せればいい。八幡一人いなくてもみらい達なら大丈夫。

 

懸念があるとすれば今までの戦いで闇の魔法使いから少なからず恨みを買っている事だが、関わらなければわざわざ八幡個人を狙い撃ちにする事もないだろう。

 

問題は何もないし、合理的考えれば悩む必要なんて微塵もない。にもかかわらずこうして悩み続けているのは八幡の中にある不確かで曖昧で形容し難い何かが邪魔をしているからだ。

 

きっと以前の八幡なら悩まなかった。迷わず二人に全てを任せ、分不相応な役回りを投げ捨てて距離をとり、関係を自然消滅させる。そんな選択肢が取れた筈だ。

 

この変化が良いものなのか、悪いものなのか、八幡にはわからない。けれど現状、そのせいで踏み切れていないのは確かだった。

 

「はぁ……」

 

考えが上手くまとまらず、八幡の口から短く重いため息が漏れる。

 

「━━━あらあら、食事中に考え事なんてあまりお行儀が良いとは言えないわね」

 

まるで何かがぬるりと神経の隙間をぬって入り込んでくるような感覚と共に、悪意に満ちた聞き覚えのある声が八幡の耳を撫でる。

 

「っ……!?」

 

全身に走る悪寒に押されて辺りを見回すと、グラウンドの見える校舎の間から黒いスーツに身を包んだ女性がゆっくりと八幡の方に向かってきているのが目に入った。

 

「フフフッ随分と悩んでいたみたいだけれど、先生が相談に乗ってあげましょうか?」

「マキナ……!」

 

その女性の正体は教師として魔法学校に潜入し、八幡達を欺き苦しめた敵〝マキナ〟ことマンティナだった。

 

「あら?今日は先生と呼んでくれないんですね……残念です」

 

わざとらしく表情を作って泣き崩れる真似をするマキナ。そのふざけた行為の意図はわからないが、それでも異様な不気味さだけは十二分に伝わってくる。

 

「……それで?一体何のようですかね。こっちはまだ昼御飯の途中なんですけど」

 

その場で立ち上がった八幡はマキナの茶番に軽口で応じつつ、じりじりと後退しながら頭の中で状況を整理する。

 

(一対一のこの状況だと下手に逃げる事も出来ない。戦うのは論外、なら……)

 

チラリと目を後ろに向けて退路の方向を確認、内ポケットに入れてある杖に意識を向け、いつでも取り出せるように身構える。

 

「まあまあ、そんなに警戒しなくてもいいじゃないですか。さっきも言った通り八幡君の悩みを聞いてあげようと思っただけですよ」

 

あっさりと泣き真似を止め、肩を竦めるマキナに対して八幡は身構えたまま口の端を歪めて言葉を返す。

 

「……別に悩みなんてないですし、あったとしてもアンタに言う必要はないでしょう?」

 

八幡の煽るような口調と態度にマキナは一瞬、目をぱちくりとさせて固まり、その後すぐにお腹を抱えて笑い始めた。

 

「……何がそんなにおかしいんですか」

 

挑発の意味を込めて言い放った台詞を不可解な笑いで返された八幡は困惑と僅かな苛立ちを言葉に滲ませる。

 

「━━ふぅ……失礼。八幡君があまりにも可笑しい事を言うからつい、ね?」

「何を……」

 

言葉の意味がわからずに眉をひそめる八幡を愉快そうに見つめながらマキナは続ける。

 

「だってそうでしょう?確かに貴方の悩みを私に打ち明ける必要はないわ。けれど八幡君は誰になら悩みを打ち明けられるの?リコさん?……それともみらいさん?」

「っ…………」

 

確信に触れるマキナの言葉に思わず息を呑み、押し黙ってしまう八幡。それに対してマキナはその沈黙こそが引き出したかった答えだと意趣返しのように口の端を大きく歪める。

 

「おやおや、答えられませんか?まあそうですよね……()()()()()()()()()貴方が悩んでいる原因なんですから」

「………………」

 

押し黙ったまま反論も否定もしてこない八幡をさらに追い詰めるようにマキナが続ける。

 

「人と人との繋がりなんて煩わしいだけ……どこまでいっても、どんな関係だとしても突き詰めれば他人は他人。そこに思い悩んで苦しむ価値があるのかしら?」

 

八幡からの返答がないにもかかわらず、マキナは言葉を止めない。

 

「ああ、別に答える必要はありません。聞く意味はないですし、なにより八幡君はもうわかってるんでしょう?」

「…………何をですか」

 

まるで全てを見透かしているようなマキナの物言いに押し黙っていた八幡が反応を示した。

 

「何、何、何、貴方はそればかりですね。どうして自分でわかっている事をわざわざ他人に聞くのですか?」

「……だから何を」

 

苛立ち混じりに再度聞き返す八幡を見てマキナは心底愉しそうに笑い、肩を竦める。

 

「フフッ……本当に往生際が悪いですね。ならはっきりと口にしてあげましょう」

 

薄く笑みを浮かべたままのマキナはまるで小さな子供に言い聞かせるようゆっくりとその先の言葉を口にした。

 

「八幡君、貴方は繋がりなんて目に見えない不確かな物を信じる事が出来ないんですよ。そんな貴方がどれだけ悩もうとそれを断ち切る以外の答えが出る事は決してない……そうでしょう?」

「そ、れは……」

 

内心を見透かされ、自身が出した受け入れ難い結論以外に選択肢がないと突きつけられた八幡は身構えることすら忘れて呆然と立ち尽くす。

 

「可哀想な八幡君。結論は出ているのに意味もなく悩み、苦しむなんて……それもこれもやっぱりあの子達のせいね」

 

憐れみの眼差しを向けながら一歩、また一歩と近付くマキナ。目の前に危機が迫っているのに、早く逃げなければならないのに、八幡の足は動かない。

 

マキナの言葉を口で否定する事は出来る。けれど、表面を取り繕い、いくら否定しても意味がない。なぜなら八幡の心の深い部分がそれを認めてしまっているからだ。

 

「心配しなくても大丈夫……もう貴方は苦しまなくていいんですよ。さあ……」

 

立ち尽くす八幡に近付いたマキナは優しく声を掛けながらゆっくりと手を上げ、指を弾こうとする。

 

 

「はーちゃをいじめちゃダメ~~~!!」

 

 

その瞬間、叫び声と共に猛スピードで飛んできたはーちゃんが八幡を庇うようにマキナの前に立ち塞がった。

 

「おっと」

 

突然現れたはーちゃんにマキナは少し驚いたような反応を見せ、逃れるように空中へ飛び退く。

 

「八くん!」

「八幡!」

 

はーちゃんから少し遅れて、みらいとリコが校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下の方から八幡の方へと走ってきた。

 

「ん~モフッ!」

 

二人が八幡の元にたどり着いたのと同時にみらいの制服のブレザーからモフルンが息苦しそうに顔を出し、そのまま地面に飛び降りる。

 

「あらあら……全員集合ね」

 

空中からみらい達を見下ろしながらマキナが半ば呆れた様子で呟いた。

 

「っマキナ先生!」

「また八幡を狙ってきたの!?」

 

ようやく八幡を見つけたと思った矢先、敵であるマキナと相対し、警戒を強める二人。マキナの造り出すヨクバールが他の闇の魔法使いよりも強力だと知っているだけにその表情は硬い。

 

「狙ってきた、というのは正確じゃありませんね。私はただ面白そうな事になっているなと思って声を掛けただけですよ」

 

リコの問い掛けにマキナはみらいと八幡に視線を向けながら含みを持たせた笑みを浮かべた。

 

「……何を企んでいるのか知らないけど、思い通りにはさせない」

 

マキナの反応から標的がみらいと八幡である事を察したリコは、一歩前に出ると真っ直ぐマキナを見上げる。

 

それはたとえマキナがどんな手段で二人を追い詰めようとしても防いで見せるというリコの意思表示だった。

 

「フフッ、思い通りという点では既に上手くいってませんけどね。わざわざ人払いをしたのに邪魔が入ってしまいましたし……」

 

真っ直ぐ向けられる視線を気にも止めず、マキナは残念そうに肩を竦めると一転、意地の悪い笑みを見せ、リコ達の方へと右手を向けた。

 

「でもまあ、せっかくですから少し遊びましょうか━━魔法、入りました。出でよっヨクバール!」

 

指を弾き、呪文を唱えたマキナの頭上に巨大な魔法陣が現れ、八幡の昼食が入っていたビニール袋と飲みかけのMAXコーヒーを吸い込んでいく。

 

「ヨォックバール……」

 

いつもと違い、静かに魔法陣から現れたのは中心に髑髏の顔、ビニール袋の体に空き缶の手足を持つアンバランスな姿のヨクバールだった。

 

「ふーん、まずまずの出来かしら」

「ヨォクバール?」

 

自らが造り出したヨクバールに対し、そんな感想を漏らしつつ、マキナはゆっくりとリコ達の方に視線を向ける。

 

「さて、それでは始めましょう。ヨクバール!」

「ヨォクバール……」

 

掛けたに呼応したヨクバールが臨戦態勢をとり、リコ達に狙いを定める。

 

「っみらい!」

「え、あ、うん」

 

今にも突撃してきそうなヨクバールに対抗すべく、変身しようとリコが呼び掛けるも、みらいの返事に覇気がない。

 

早く八幡と話をしたいというみらいの気持ちはリコにもわかる。けれど今は目の前のヨクバールをどうにかしないといけない状況だ。

 

このまま変身もせず、ただ立っているわけにはいかない。

 

「しっかりしなさいみらい!話したい気持ちはわかるけど、今は目の前のヨクバールに集中して」

「……うん。ごめんリコ、いこう!」

 

リコの叱咤で前を向いたみらいは気持ちを切り替え、ヨクバールの方へと意識を集中させる。

 

 

「「キュアップ・ラパパ!」」

 

 

手を繋ぎあい、呪文を唱えた二人の背後から放たれた深紅の光が宙を舞いながらモフルンの元に集う。

 

 

「モッフ~!!」

 

「「ルビー!」」

 

 

紅き光は情熱の炎を秘めたリンクルストーン━━ルビーに変わり、モフルンの首元にあるリボンへとセットされた。

 

 

「モフッ♪」

 

 

その身にルビーの炎を宿したモフルンがみらいとリコに向かって飛び込み、三人が手を繋ぎあう。

 

 

「「ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」」

 

 

セットされたルビーの炎はモフルンを通してみらいとリコを包むように伝わり、紅の光が二人の姿を変えていく。

 

 

そして包んでいた光が溢れて弾け、降り注いだ残滓が花弁となって伝説の魔法使いへ為った二人と共に魔法陣から現れる。

 

 

「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」

 

 

「ふたりの魔法!キュアマジカル!」

 

 

「「魔法つかいプリキュア!!」」

 

 

紅き光と爆炎を背に、情熱の炎を身に纏った二人は伝説の魔法使い……プリキュアとして名乗りを上げた。

 

 

 

 

 

みらい達が変身するのと同時に邪魔にならない位置まではーちゃんを連れて移動していた八幡はヨクバールと相対している二人の背中を複雑そうに見つめる。

 

「はーちゃ?」

 

黙ったままの八幡を心配してはーちゃんが声を掛けるもその耳には全く届いていない。

 

「…………」

 

怪物(ヨクバール)に正面から立ち向かう二人と逃げるように退避した自分。

 

その構図は今に始まったわけではないし、いつも逃げているわけでもない。

 

時には囮になったり、敵の行動を阻害したりと出来うる限りのサポートをしてきたつもりだった。

 

けれどもし、八幡のサポートがなかったとしたら?

 

二人はこれまでの戦いを切り抜けられただろうか。

 

答えはわからない。でも、あの二人ならサポートなんてなくても、どうにか出来たように思う。

 

もちろん、たらればの話に意味がないのは分かっている。

 

ここまでやってきた過去が積み重なっての今、そこに〝もしも〟は存在しない。

 

それは分かっている……分かっている筈なのにどうしてもそんな〝もしも〟を想像してしまう。

 

━━居ても居なくても変わらないならこのまま……

 

ぐるぐると頭を巡っていた暗い思考と投げかけられたマキナの言葉が毒のように八幡の心を蝕もうとしていた。

 

 

 

 

 

「ヨォクバール……!」

 

変身した二人に向かって真正面から突撃するヨクバール。その速度はアンバランスな外見からは想像出来ないほど機敏だった。

 

「「ふっ!」」

 

とはいえ、素材にした物の違いか、前回マキナが造り出したヨクバールに比べると速度は遅く、ミラクルとマジカルは左右に飛ぶ事でそれを回避する。

 

「はぁっ!」

「ふっ!」

 

かわした勢いのまま校舎の壁を足場に跳躍した二人は体勢の整っていないヨクバール目掛けて加速した拳を打ち放った。

 

「なっ!?」

「えっ……」

 

勢いを利用し、体勢の崩れたタイミングを狙った筈の渾身の一撃があっさりと受け止められ、二人の表情が驚愕に染まる。

 

マキナの造り出すヨクバールの力を二人は十二分に理解しているつもりだった。

 

しかし、爆発力のあるルビースタイルの一撃をこうも容易く受け止められるとは思わず、動揺を隠しきれない。

 

「ヨォク……バール!」

 

ヨクバールは受け止めた手を引くように体ごと回転、そのまま空き缶の側面で二人にカウンターを叩き込んだ。

 

「きゃっ!」

「っ!?」

 

動揺していたところにヨクバールの強力な反撃を受けた二人は、受け身もろくにとれないまま叩きつけられ、コンクリートの壁を突き破ってそれぞれ校舎の中へと吹き飛ばされてしまう。

 

「ふむ、少し派手にやり過ぎましたね」

「ヨォクバール?」

 

巻き上がる粉塵と土煙を見下ろしながらマキナが顎に手を当て、呟く。

 

「……仕方ありません。野次馬が集まってくると面倒ですし、何より()の主義に反しますからね。もう一度人払いをしておきましょう」

 

煩わしそうに顔をしかめたマキナはそう言って指を弾くと視線をミラクルが吹き飛ばされた方へ向けた。

 

「それに折角の楽しい時間に悲鳴や雑音は無粋……人が絶望して堕ちていく様は静かに眺めるのが風情(ふぜい)というものです」

 

誰かに語りかけるように独り言を並べるマキナの表情が先程までとまるで違う喜色に溢れたものへ変わる。

 

「さあ、貴方はどんな喜劇を見せてくれるのかしら?」

 

未だに晴れない土煙の向こうを見つめ、マキナは意地の悪い笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

強烈な一撃で吹き飛ばされたマジカルが体に覆い被さる瓦礫を退かしながら、ふらふらと立ち上がる。

 

「っ……やっぱり強い……わね」

 

隙を突かれたとはいえ、たった一撃でパワーのあるルビースタイルでも立つのがやっとのダメージを受けてしまった。

 

以前戦った時より場数を踏んで多少なりとも強くなった筈なのにまるで歯が立たない。

 

「けほっ……行か、ないと」

 

気を抜いてしまうと倒れそうになる体をどうにか動かして吹き飛ばされた時にできた穴からマジカルは外に向かう。

 

「あらあら、随分とボロボロね。もうおしまいかしら?」

 

土煙が晴れ、満身創痍のマジカルが出てきた事に気付いたマキナは視線をそちらに向けると挑発めいた言葉を投げ掛けた。

 

「っまだ……まだ負けてないわ!」

 

よろめきそうになるのを気力で耐えながら歯を食い縛り、マジカルは戦う意思を示す。しかし、意思はあれど身体の方がそれに伴わない。

 

もう一度まともに攻撃を受ければ戦闘不能。立ち上がる事すら出来なくなるだろう。

 

「頑張るわねぇ……でももう一人の方はどうかしら?」

 

マキナの言葉にハッとしてミラクルの吹き飛ばされた方向を見るが、未だに立ち上がってくる気配はない。

 

「っミラクル!」

「ヨォクバール……」

 

ミラクルの身を案じて身体に鞭打ち、駆け出そうとするマジカルの進路を塞ぐようにヨクバールが立ちはだかる。

 

「フフッ……彼女の元へ行くと言うのならこのヨクバールを退けてから、ですよ?まあ、貴女にそれが出来ればの話ですけど」

「くっ……」

 

せせら笑うマキナとじりじり迫ってくるヨクバールに圧されてマジカルはその先に踏み出せず、焦りばかりが募る。

 

「さて、それじゃあ行きますよ━━おや?」

 

嗜虐(しぎゃく)的な笑みのままヨクバールに突撃の指示を下そうとしたマキナの手が不意に止まった。

 

「八……幡?」

 

満身創痍のマジカルの真横を通って現れたのは、どこかふらふらと足取りが覚束無い様子の八幡だった。

 

「…………」

「ヨォク?」

 

八幡は無言のままマジカルを庇うよう前に立ち、追撃を加えようとしているヨクバールに向けて杖を構える。その姿はいつもの八幡と違い、何かに突き動かされているような違和感があった。

 

「……そんな事をして何の意味があるのかしら?」

 

表情を一転させ、マキナが不愉快そうに眉根を寄せて八幡へと問いを投げ掛ける。

 

「何、の……」

 

投げ掛けられた問いをただ呆然と呟くその様子は、やはり普段の八幡からは想像出来ない。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()ように見える。

 

「ああ、勘違いしないでほしいのだけれど、貴方に力がないからという意味で聞いたわけではないわ。私が聞きたいのはどうして貴方がその子達のために動くのか、よ」

 

力の有無ではなく助ける理由、それはマキナに問われる以前に八幡自身が思い悩んでいた事だった。

 

頼まれたわけでもないし、見て見ぬふりをして責められるわけでもない。言ってしまえば八幡の自己満足、あるいは自己嫌悪に陥らないための予防線だ。

 

全部が自分のためなら悩み苦しんでまで助けるのはどうしてなのか。

 

考えても問われても依然として答えは出ない。

 

「……これは私の予想でしかないけれど、貴方はこう考えていたのではないかしら━━自分があの子達に関わらなければ問題は解消する、と」

 

黙ったままの八幡を他所にマキナは言葉を続ける。

 

「あまりに滑稽。仲違いの理由は知りませんけど、あれだけ友達が大事だと言っていたのに……やっぱり繋がりなんて脆く儚いものね」

 

冷めた表情で二人を見つめ、言葉を重ねるマキナ。その切れ味は決して鋭いものではないが、八幡達の現状が言葉の威力を無視出来ないものへと押し上げていた。

 

「……そうね。あなたの言う通りかもしれない」

 

そこまで沈黙を貫いていたマジカルが肯定の言葉と共にボロボロの身体を引きずり前へ出る。

 

「へぇ……まさか貴女が肯定するとは思わなかったわ」

 

マキナは薄い笑みを浮かべ、マジカルを見定めるように目を細めた。

 

「人と人との繋がりは脆い……でも……だからこそっ!繋がりが壊れたなら積み直せばいい!絶たれたなら結び直せばいい!人には……私達にはそれが出来るって信じてる!」

 

真っ直ぐマキナを見据えて叫ぶマジカル。その瞳は確かな強い意思を宿し、その言葉は眼前のマキナではなく、自らが信じる二人へと向けられていた。

 

「クッ……フフ、アハッハッハッ……そう、確かに私は脆いと言っただけでその先までは否定していないわ」

 

顔に手を当て、天を仰いだマキナは堪えきれなくなったように大きな声を上げながら心底愉しそうに笑う。

 

それはまるで予想外の答えが飛んできた事を喜んでいるような反応だった。

 

「━━でもね、否定していないだけで人という愚かな生き物に……いえ、貴女達にそんな事が出来るとは到底思えない。もし、仮にそれが出来たとしてもすぐに壊れてしまうのではないかしら?」

 

笑みを納め、どこか試しているような口振りでマキナが言葉を返す。その表情はマジカルがどう切り返してくるのかと期待しているように見えた。

 

「なら何度でもやり直すだけよ!壊れたらそれでおしまいなんて決まりはないんだから!!」

 

底意地の悪い問いかけにマジカルは一歩も退かず、不敵な笑みを浮かべて踏み出した。

 

「……フフッ、やはり貴女は言葉では折れませんか。仕方ありませんね。ヨクバール」

「ヨォクバール……」

 

マジカルの不敵な笑みにマキナは再び薄い笑みを持って返し、言葉ではなく力で心を折らんとしてヨクバールに指示を下す。

 

「……ここは私が抑えるから八幡はミラクルのところに行って」

 

指示を受け、今にも飛び込んできそうなヨクバールを見据えたまま八幡へと声を掛けるマジカル。

 

二人で戦っても圧倒されたヨクバールを一人で抑えるという無茶を通してまで八幡にミラクルの元まで行けという。

 

「ミラクルは……ううん、みらいは今日一日、ずっと八幡を探してた。あなたに伝えたい事があるって」

「俺、は……」

 

〝みらいから伝えたい事がある〟そうマジカルから聞いた八幡は表情を歪める。

 

何かを言われる事が怖いのか、それとも向き合う事そのものを恐れているのか、あるいはその両方か、いずれにせよ今の八幡はみらいと顔を合わせる事に怯えて、動けないでいた。

 

「…………いや、ここは俺が囮になる方がいい……先に合流して二人で……」

 

前に立つマジカルから目を背け、絞り出すように八幡は言葉を紡ぐ。

 

出来る出来ないは置いておいて、戦えない自分が時間を稼いだ方が合理的、ここまで八幡がとってきた行動を考えれば確かに()()()選択だ。

 

けれどその選択は今までと違う。最善、あるいは合理的だからと誤魔化しているだけで、本当のところはそれらを盾にみらいと会う事を避けるための選択だった。

 

「いい加減に……しなさいっ!」

「っ……!?」

 

言葉を言い終えるより前にマジカルが勢いよく振り向き、両手で八幡の顔を掴んで強制的に自分の方へと向かせる。

 

「いつまでそうやって逃げるつもり?みらいからも!自分からも!」

 

ボロボロで立ち上がるのもやっとだった筈のマジカルから八幡へと思わず息を呑む程の気迫で言葉がぶつけられた。

 

「……事故の事も、八幡が何を怖がっているのかも、私にはわからない……でも!ここで逃げたら駄目だって事だけはわかるの!だから……」

「…………別に、逃げるのは悪い事じゃないだろ」

 

マジカルの真っ直ぐな視線と言葉から目を逸らした八幡が逃れるようにぼそりと呟く。

 

八幡自身、これが大分(だいぶ)言い訳めいている事はわかっている。しかし、わかっていてなお、八幡はそう返す他なかった。

 

「っ違う……そうじゃないの!逃げるのが悪いだとか、そういう事を言いたいわけじゃない!私はただ…………ううん、ここから先は私が言う事じゃないわね」

 

首を振り、マジカルは言葉を呑み込んだ。

 

たとえここでマジカルが言葉を重ねて促し、上手くいったとしても、いずれ破綻がきてしまう。

 

どうしたってそこから先は八幡自身が向き合わなければ意味がないのだから。

 

「とにかくここは私が抑える。八幡はさっさとみらいのところに行きなさい」

 

深く息を吸い込み、有無を言わさぬ勢いでそう言い放ったマジカルは八幡の顔から手を離して前へと向き直った。

 

「……は?いやそれは」

「いいからさっさと行く!あんまり時間は稼げないわよ」

 

なおも食い下がろうとする八幡の言葉をぴしゃりと遮り、ヨクバールを見据えて突撃すべくマジカルが構える。

 

「……これだけは覚えておいて。あなたがどう思っていても私にとって八幡は捻くれ者で拗らせていて素直じゃないけど優しい大切な〝友達〟だって事を」

 

マジカルは振り返らずにそれだけ言うと、ヨクバールに向かって勢いよく飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

取り残された八幡は飛び出していったマジカルの背中を苦悶の表情で見つめていた。

 

「っ…………」

 

向かっていったマジカルを止める事はもう出来ない。

 

こうなってしまった以上、八幡の取るべき行動決まっていた。

 

逃げたくても、目を逸らしたくても、ここで八幡がぐずぐずと手をこまねけば、それだけマジカルの負うリスクが高くなる。

 

だから今、八幡に出来る最善は一刻も早くミラクルを起こしてマジカルと合流させる事。そこに好悪を挟む余地はない。

 

「……行くしかないか」

 

誰に聞かせるでもない小さな呟きを漏らした八幡は自分の感情に蓋をし、ミラクルの吹き飛ばされた方向へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

半ば強引に八幡を送り出して飛び出したマジカルは思いっきり地面を蹴って加速すると、一気にヨクバールとの距離を詰める。

 

「はぁぁぁっ!!」

 

加速した勢いを拳に乗せ、裂帛(れっぱく)の気合いと共に全身全霊を込めた一撃をヨクバールへと撃ち放った。

 

「ヨォクバール……!」

 

マジカルの一撃をヨクバールが巨大な缶の手で真正面から受け止めた瞬間、衝撃と轟音が周囲に響く。

 

「っ……はぁぁっ!」

 

拳を起点に身体を捻り、ヨクバールの上を取ったマジカルはそのまま空中で一回転して強烈な追撃を加えた。

 

「ヨォク……」

「くっ……」

 

今度はヨクバールの胴体を正確に捉えた筈のマジカルの拳が、ひらひらしたビニールの体に受け流されてしまう。

 

「っ……!」

 

危険を察知したマジカルは咄嗟(とっさ)に飛び退くと、さっきまでいた場所をヨクバールの缶の手が凄まじい速度で通過した。

 

もし、あのまま留まっていたらヨクバールの反撃をまともに受けてマジカルは立てなくなっていただろう。

 

(やっぱり桁違いに強い。速さだけならなんとかついていけるけど、力は……)

 

最初の一回でわかっていた事だが、やはりルビースタイルの力でも全く敵わない。

 

「━━もうお話はいいのかしら?」

 

ヨクバールとマジカルの間に距離が空き、膠着(こうちゃく)が生まれた瞬間を見計らってマキナがゆっくり口を開く。

 

「……ええ、わざわざ待ってもらったみたいで悪いわね」

 

皮肉を込めて言葉を返し、会話に応じるマジカル。あのヨクバールと戦うわずに時間が稼げるならそれに乗る他ない。

 

「構いませんよ。私としては中々に愉快な茶番が見れましたから」

 

マキナは薄い笑みで皮肉に応え、マジカルと八幡のやり取りを言外にくだらないと切り捨て返す。

 

「そう……でも、その茶番を見逃してくれたおかげで八幡はミラクルの元に向かえたんだからお礼を言うわ」

「フフッ、礼には及びません。貴女でなく八幡君が向かうのなら、むしろ私には好都合です」

 

マジカルがミラクルの元に向かおうとするのを阻止したマキナが、八幡の事は好都合だと言って止めない。

 

おそらくマキナは、八幡にミラクルとの仲を修復する事なんて出来るわけがないと思っているのだろう。

 

「好都合、ね。あなたの目的が何なのか知らないけど、あまり八幡を見くびらない方がいいわよ」

「見くびる?いいえ、私は八幡君を充分警戒してますよ……それより貴女は自分の心配をすべきではないですか?」

 

痛い目を見ると忠告してきたマジカルに対して、マキナは(あざけ)るような笑みでそれを返した。

 

「時間稼ぎのためにこの会話に応じたのでしょうけど、それでもまだ足りない。ここから貴女一人で私のヨクバールを止められるかしら」

 

ヨクバールが突撃の体勢を取り、マジカルはそれを迎え撃つべく足に力を込めて構える。

 

「……やってみないとわからないでしょ!」

 

言葉と共に駆け出したマジカルは、思いっきり地面を踏み込んでヨクバール目掛け飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミラクルを探して瓦礫まみれの校舎へ足を踏み入れた八幡はその惨状を前に、改めて自分達が戦ってきた相手の恐ろしさを実感していた。

 

「……早く探さないと」

 

辺りを見回し、吹き飛ばされたミラクルを探すも中々見つからない。もしかしたら瓦礫の下に埋もれているのかもしれないと注視して見ると、盛り上がった一部分が目に入る。

 

「あそこか……!」

 

そこに急いで駆け寄った八幡が瓦礫を一枚退()かすとその下にミラクルの顔が見えた。

 

「流石に一人で持ち上げるのは無理だな……」

 

慌ててミラクルの上に覆い被さる瓦礫を退けようとするが、八幡一人の力ではびくともしない。

 

いくら伝説の魔法使いであるプリキュアが普通の人より頑強だと言っても、このままだといずれ潰されてしまう。

 

「っ何か……」

 

他に瓦礫を退ける方法がないかと周囲に目を向けるも特に使えそうなものはなく、焦りばかりが(つの)る。

 

「……こうなったら一か八か魔法で」

 

意を決して杖を取り出し構える八幡。以前使った風を起こすような魔法の類いでは(かえ)って被害を拡げかねない。

 

だから今求められるのは必要な瓦礫だけを退ける魔法だ。

 

精密とまではいかないが、下にミラクルがいる以上、慎重に、かつ素早く魔法を使う必要がある。

 

「……キュアップ・ラパパ━━瓦礫よ、宙に浮け!」

 

杖を振るい、呪文を唱えた瞬間、ミラクルに覆い被さっている瓦礫がゆっくりと浮かび始めた。

 

「っ……!!」

 

魔法で瓦礫を浮かばせ、移動させる。一見、やる事が単純でイメージしやすい簡単な魔法に見えるが、人一人の手で動かせない程の重い瓦礫を動かすのはかなりの集中力を要する。

 

まして失敗すればミラクルの上に瓦礫が再び落ちてしまう危険(リスク)あるため、より神経を磨り減らさなければならず、精神的に余裕のない今の八幡には厳しい魔法だった。

 

「後少し……これで……!」

 

額に玉のような汗を浮かべて最後の瓦礫を離れた場所に退けた八幡は息を整える間もなくミラクルに駆け寄る。

 

「おいっ大丈夫か!?」

「うっ……うぅん……」

 

ミラクルの上半身を軽く起こして支え、呼び掛けると僅かに反応を示した。

 

「とりあえず大事には至らなかったみたいだな……」

 

マジカルと同様にあちこち怪我を負っているものの、一先ずミラクルの無事を確認した八幡の口から安堵のため息が漏れる。

 

「ぅん…………はち……く、ん?」

「……目が覚めたか」

 

程なくして目を覚ましたミラクルが定まらない視界の中で八幡を見つけ、呟く。

 

「…………ここは……そうだ……っマジカル!」

 

意識が徐々に覚醒してきたらしく、ミラクルは現状と経緯を思い出し、慌てて立ち上がろうとした。

 

「痛っ……!?」

 

その瞬間、ここまで吹き飛ばされた時に受けたダメージが響き、ミラクルの全身を鈍い痛みが襲う。

 

「……落ち着け。とりあえずあいつは無事だ。今、ヨクバールを相手に時間を稼いでる」

 

八幡は無理に動こうとするミラクルを制して簡潔に状況を説明する。どうやら全く動けないわけではないようだが、それでもヨクバールから受けたダメージは大きく尾を引いているらしい。

 

「そっか……良かった……」

 

マジカルの無事を知って安堵するミラクル。自分の事よりも先にその身を案じる程、ミラクルにとってマジカルは大切なのだろう。

 

「…………だから動けるなら早くあいつのところに行ってやってくれ……俺じゃ何の役にも立てないからな」

 

そう言うと八幡はミラクルから目線を逸らす。

 

ここに来たのはミラクルを起こしてマジカルと合流させるためだ。

 

後はミラクルを送り出せば八幡のやるべき事は終わり……これ以上、話す必要はない。

 

「八くん……でも……」

「あのヨクバールは今までのやつより圧倒的に強かった……時間稼ぎだってそう長くは持たない」

 

何か言おうとしたミラクルを遮り、八幡が(まく)し立てるように言葉を並べる。それはまるでマジカルの事を盾にミラクルとの会話を避けているように見えた。

 

「…………やっぱりまだ行けない。どうしても八くんに聞いてほしい話があるから」

 

首を横に振ってはっきりと意思を示し、ミラクルはぎゅっと小さく拳を握る。

 

「……話なら後でも出来るだろ」

 

ミラクルが何を言いたいのか八幡には予想がついていた。いや、正確にはついてしまったという方が正しいか。

 

「ううん、今じゃないと駄目……だってマジカルはそのために八くんをここに送り出してくれたんでしょ?」

「そ、れは……」

 

何も話していないのにミラクルがマジカルの意図を察していた事に驚き、八幡は言葉に詰まってしまう。

 

「……八くんが私の事を避けてるのは気付いてた。ここで話さないともう後でなんてないかもしれない……だからマジカルの作ってくれたこの時間で全部伝える」

 

ここを逃せば八幡と向き合って話せなくなってしまう、そんな予感に突き動かされたミラクルは意を決したように言葉を紡ぐ。

 

「すぅ……はぁ…………っごめんなさい!!」

「……は?」

 

開口一番、いきなりの謝罪に面を食らい戸惑う八幡。ミラクルが謝ってくるだろうと予想はしていても、こんな唐突にしてくるとは思っていなかった。

 

「昨日は心配をかけてごめんなさい!事故の事を覚えてなくてごめんなさい!助けてもらったのにお礼も言わなくて……八くんの高校生活を台無しにしてしまってごめんなさい!」

 

頭を下げたままミラクルは何度も謝罪の言葉を口にする。過呼吸の事、事故に関する事、そして八幡に迷惑をかけてしまった事、ミラクルは募った謝りたいという気持ちを全て吐き出した。

 

「……それは違うだろ」

「えっ……?」

 

出会い頭の謝罪で戸惑ったものの、ある程度は予想していた以上、すでに八幡の返す言葉は決まっている。ミラクルからの謝罪に対する八幡の返答……それは否定の言葉だった。

 

「事故に関しては居眠り運転をしていた運転手やそこまで追い詰めた会社が悪いし、助ける云々(うんぬん)は俺が勝手にした事だ。その結果の責任を誰かのせいにするつもりはねぇよ」

 

ミラクル……みらいはあくまで被害者、何の落ち度もない。助けたのも勝手にやった八幡の責任でみらいが何かを背負う必要はない筈だ。

 

「でも……」

「それに、だ。たとえ事故がなかったとしても俺の高校生活は変わらずぼっちだったと思うぞ」

 

入院で確かにスタートは遅れたが、八幡の性格上、それに関係なくぼっちになる事は避けられなかったと思う。

 

「……だからお前が事故の事を謝る必要ない。全部俺の勝手なんだからな」

「そんなこと……」

 

ないと続けようとしたミラクルだったが、段々と言葉は尻すぼみになり、ついには俯いてそのまま押し黙ってしまった。

 

(八くんにとって私は……迷惑、なのかな……)

 

責められる覚悟はしてきた。謝っても許されないかもしれない、それでも謝るつもりだった。けれどそれ以前の問題、八幡には受け取ってすらもらえなかった。

 

その事実がみらいの心を揺らし、意思を折ろうと重くのし掛かってくる。

 

「…………」

「…………」

 

八幡もミラクルも互いに言うべき言葉が見つからず、二人の間を取り巻く空気が沈黙と静寂に支配される。

 

 

「━━━━ケンカしちゃダメ~~~!!」

 

 

そんな中、突如として響いたその声が二人を包む静寂を打ち破った。

 

「はーちゃん……?」

 

二人がほぼ同時に声のした方を向くとそこには涙を浮かべたはーちゃんと息を切らしてその後に続くモフルンの姿があった。

 

「ミラクルもはーちゃもケンカはダメだよ!仲直りして!」

 

はーちゃんはミラクルと八幡を交互に見やると仲直りさせるべく二人の手を引っ張る。

 

「え、えっとね、はーちゃん?私達は別に喧嘩をしてるわけじゃないよ」

「そうだな。確かに喧嘩はしてない」

 

ぐいぐいと手を引くはーちゃんに対してミラクルがそう言うと八幡もそれに同意した。

 

「……ならどうしてミラクルもはーちゃもそんなに怖いお顔をしてるの?」

「えっ……?」

「それは……」

 

指摘され、そこで二人は初めて自分達の表情が知らず知らずの内に強張っていた事に気付く。

 

「……モフルンには二人がとっても苦しそうに見えるモフ」

 

はーちゃんに続いてモフルンにもそう言われた八幡とミラクルはそれぞれ考え込むように俯いた。

 

(……事故に関してさっき言った事はただの事実だ。それなのに……それだけの筈なのに……)

 

ただ事実を口にしただけではーちゃんとモフルンに指摘される程、自分の感情が動いて表情に出ていた事に八幡は驚いていた。

 

(苦しそう……?ううん、それは違う。事故の事を忘れて……お礼もまだで……それなのに迷惑かけてばかりの私が苦しいだなんて言えるわけない)

 

唇を浅く噛み、折れかけていた心と意思を繋ぎ止めるためにミラクルは再び拳をぎゅっと握り締める。

 

(そうだよ……苦しいなんて言ってられない。マジカルが必死で作ってくれた時間を無駄にするわけにはいかない……それにこのまま八くんとの関係がなくなるなんて絶対に嫌だ!)

 

心の内で崩れかけていた決意を改めて固め、もう一度覚悟を胸にミラクルが真っ直ぐ顔を上げた。

 

「……八くんは事故の事を謝らなくていいって言ったけど、それでも私は謝りたい。迷惑に思うかもしれない……でも、このまま謝らないでいたら駄目だと思う……」

 

必要かどうかではなく謝りたいから謝る、それは紛れもないミラクルの本心だ。

 

「だから……これは私の我儘(わがまま)。八くんごめんなさい……それからいつも助けてくれてありがとう。これからもいっぱい迷惑かけちゃうと思う。それでも、私は八くんと友達でいたい……こんな……こんな私だけどこの先も友達でいてくれますか……?」

 

ミラクルの……みらいの掛け値ない言葉を受け止めた八幡はしばらくの間、考えるように俯き、やがてぽつり、ぽつりと少しずつ口を開く。

 

「……俺はさっき言った事を間違いだとは思わない。謝られる理由もお礼を言われる筋合いもないからな」

 

事故に関しては言わずもがな、助けた云々(うんぬん)も迷惑も礼を言われるような事はしていない。むしろ八幡の方が迷惑かけてばかりだし、助けられてばかりだ。

 

「……でも、だからこそ助けるのも迷惑かけるのもお互い様だろ……〝友達〟ってそういうもんなんじゃねぇの?……知らんけど」

「……!それって」

 

驚き、目を見開くミラクルに八幡は頭をがしがしとかきながらそっぽを向いて誤魔化すように続ける。

 

「とにかく、今はあのヨクバールをどうにかしないとな。いつまでもあいつ一人に任せておく訳にはいかないだろ」

「うんっ!」

「仲直り~!」

「モフ~!」

 

照れくさいのか、早口でそう言う八幡に対してミラクルは声を弾ませて返し、はーちゃんとモフルンも嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 

「……でもその前に」

「?」

 

ちょっと待ってと八幡の手を握ったミラクルが息を吸い、真っ直ぐ目線を合わせる。

 

「八くんっ!これからもよろしくね!」

「……おう」

 

花の咲くような笑顔のミラクルに八幡が頬を緩めながら返事をしたその瞬間、ポケットの中のリンクルストーンが白い輝きを放った。

 

「っこれは……」

「モフ?」

 

八幡がポケットからリンクルストーンを取り出すとその輝きに呼応するようにモフルンの胸にあるルビーが赤く光り輝く。

 

「はーちゃのリンクルストーンとルビーが呼びあってる……」

「この光……なんだか温かい……」

 

光は互いに共鳴しながら混ざり合い、輝きを増して周囲に伝播していく。

 

「これなら……ミラクル!」

「え、わわっ!?」

 

突如として目の前で起こった現象に八幡は確信を持って自らのリンクルストーンをミラクルに投げ渡した。

 

「これって……八くんのリンクルストーン!?」

 

最初にマキナのヨクバールと戦った時以来、八幡以外は触れる事も出来なかった筈のリンクルストーンを手にした事にミラクルは驚く。

 

「……マジカルの事は頼んだ」

「……わかった!任せて!!」

 

八幡から想いとリンクルストーンを託されたミラクルはそれに応えるべく、ヨクバールと戦っているマジカルの元へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヨクバールを相手に紙一重の攻防を繰り広げていたマジカルにも共鳴の輝きが届いていた。

 

「この光は……?」

 

マジカルが突然の出来事に戸惑い、怪訝な顔をして自身を包み込む光を見つめていると、それを好機と判断したのか、ヨクバールが猛スピードで突進してくる。

 

「ヨォクバールッ!」

「っ……はぁぁぁっ!」

 

反応が一瞬遅れてしまい、回避するのが困難だと判断したマジカルは体勢が整っていないままヨクバールの突進に合わせて拳を繰り出した。

 

「なっ……!?」

「え?」

 

悠然と戦況を眺めていたマキナと戸惑いを含んだマジカルの声が重なる。

 

「ヨォッ!?」

 

マジカルの放った拳はヨクバールの突進を真正面から打ち破り、そのまま強烈なカウンターとしてその巨体を吹き飛ばした。

 

「バカな!私のヨクバールが……っそう……あの光……また()()()()の力か……!」

 

忌々しそうに光を睨み付けたマキナは表情を歪めてそう吐き捨てる。

 

「ヨ、ヨォクバールッ!」

 

吹き飛ばされたヨクバールは缶の手足を地面に突き立てて起き上がると、ビニールの体をゆらゆら揺らしながら再びマジカルに向かって突進を繰り出した。

 

「━━やぁぁぁっ!!」

「ヨォクッ!?」

 

一直線にマジカルへと迫っていたヨクバールの不意をつく形で、校舎の穴から跳んできたミラクルが渾身の一撃をそのまま叩き込んだ。

 

「っ遅れてごめん!」

「……ふふっ、本当、待たせ過ぎよ」

 

派手なミラクルの登場に思わず笑みを溢し、軽口を返すマジカル。こうしてミラクルがここに来たという事は、少なくとも八幡を半ば無理矢理送り出したマジカルの判断は間違いではなかったらしい。

 

「……それで八幡と話は出来たの?」

「うん!マジカルが時間を作ってくれたおかげだよ!ありがとう!」

 

お礼を言いながら抱きついてきたミラクルにマジカルは頬を緩め、少し呆れたように全く世話が焼けるんだからと小さく呟いた。

 

そんな二人を他所に再び吹き飛ばされたヨクバールがよろよろと立ち上がる。その様は二人にとって図らずも最初に吹き飛ばされた時の意趣返しとなっていた。

 

「ヨ、ヨォク……バール……」

「はぁ……上手くいかないものね……仕方ありません。行きなさいヨクバール」

 

顔を覆うように手を当てて、深いため息を吐いたマキナはふらついているヨクバールを一瞥し、ただ冷徹に命令を下した。

 

「ギョ、イ……」

 

命令を受けたヨクバールはそれに従い、ダメージの残る体を無理矢理動かして突撃の体勢を作る。

 

「来るよ、マジカル」

「ええ、わかってる」

 

差し出されたミラクルの手を取ったマジカルはその手の中に何かが握られている事に気付いた。

 

「これは……リンクルストーン?」

「うん、八くんから託されたの……これで決めるよ!」

 

向かってくるヨクバールを見据えてミラクルとマジカルがそれぞれ手を前に突き出す。

 

 

「「リンクルステッキ!」」

 

「モッフ~!」

 

 

二人の声に伝説の杖が応え、校舎の中にいるモフルンから紅の光が勢いよく飛び出した。

 

「「っ……はぁぁぁ!!」」

 

気合いの掛け声とミラクルとマジカルは共に熱き想いを秘めた紅の光を受け止める。

 

 

「「ルビー!」」

 

「「紅の情熱よ!私達の手に!」」

 

 

ルビーの力をステッキに宿した二人は八幡のリンクルストーンを持って繋ぎあった手を高く掲げた。

 

 

「私達の想いの火が……」

 

「重なりあって爆ぜる炎……!」

 

 

八幡のリンクルストーンが白と紅の光を放ち、二人の持つステッキへと集まっていく。

 

 

「「フル……フル……リンクル!!」」

 

 

大きな弧を描きながらステッキを重ねて空高く深紅のハートを撃ち放つと空中に巨大な魔法陣が形成された。

 

 

「「プリキュア……」」

 

 

跳び上がり、魔法陣を足場に降り立った二人は突撃してくるヨクバールを真っ直ぐ見据える。

 

 

「「ルビー・パッショナーレ!!」」

 

 

呪文を唱えると同時に足下の魔法陣が爆ぜ、深紅の炎を纏った二人が弾丸のごとくヨクバール目掛けて撃ち出された。

 

 

「「やぁぁぁっ!!」」

「ヨォクバァァァルッ!!」

 

 

真正面から衝突した両者の力が拮抗し、せめぎ合う中で、ミラクルとマジカルは握りあった手を固く結んで勢いよく前へと突き出す。

 

 

「「━━エクス……プロージョン!!」」

 

 

呪文と共に二人を包む炎が一際燃え上がり、拮抗してせめぎ合っていた筈のヨクバールをあっという間に呑み込んで収束……そして一瞬の静寂から天まで轟く大爆発を引き起こした。

 

 

「ヨォクバー……ル……」

 

 

呑み込まれたヨクバールは抵抗する間もなく浄化され、元の空き缶とビニール袋に別れて落ちていった。

 

 

 

 

 

ヨクバールが浄化されていく様を厳しい表情で見つめていたマキナが重々しく口を開く。

 

「……私の予想よりもあちら側の力強くなっている……これはそろそろ手立てを考える必要がありますね」

 

顎に手を当て、考え込むようにそう呟くとマキナは指を弾いてその場から姿を消した。

 

 

 

その後、壊された校舎もすぐに元通りになり、マキナのかけていた人払いが解けて先生や生徒の声がちらほらと聞こえ始める。

 

「みらい~リコ~」

「モフ~」

 

戦いを終えたみらい達の元に校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下の方から、はーちゃんとモフルンを抱えた八幡がゆっくりと歩いてきた。

 

「無事に終わったみたいだな」

「うん、八くんのおかげだよ。ありがとう」

 

安堵した様子の八幡にみらいは笑顔を浮かべながら礼を言い、持っていたリンクルストーンを手渡した。

 

「……まあ、でも誰かさんが素直だったらもう少し助かったんだけどね」

「……誰の事だろうな」

 

そう言って悪戯っぽく微笑み、覗き込んできたリコに対して八幡はそっぽを向き、(とぼ)けるように言葉を返す。

 

「ふふっ、八くんはとっても素直だったよ。ね~?はーちゃん、モフルン」

「うん、はーちゃはみらいのこと友達って言ってたよ~」

「言ってたモフ~」

 

みらいが尋ねると、はーちゃんとモフルンはそれぞれ同意して頷いた。

 

「へ~八幡がねぇ……」

「……何だよ」

 

どこか含みを持たせた視線を向けてくるリコに八幡はその意味を問う。

 

「別に~……やっぱり八幡はみらいに甘いなって思っただけ」

「甘いって……そんな事はないだろ」

 

八幡は否定するも、リコに胡乱(うろん)な眼差しを向けられ、まるで追い詰められているような気分になった。

 

「あ、そうだ!八くん、今日の放課後空いてる?」

「え、あ、おお……」

 

そんな中、みらいから唐突に予定を尋ねられた八幡はこれ幸いとリコの視線から逃れるべく、何の気なしにそのまま答える。

 

「ならもう一度(うち)においでよ。昨日はあんな事があったから今度はちゃんと八くんを紹介したいなって」

「……わかった」

 

昨日の今日でもう一度誘われるとは思わず、何の気なしに予定を答えた事を後悔する八幡だったが、こうなった以上は仕方ないと覚悟を決めて腹を括った。

 

「…………ところで今ってまだお昼休憩よね?」

「へ?」

「あ?」

 

さっきまで八幡に視線を向けていたリコがそれに気付き、冷や汗を浮かべながら二人に尋ねたその瞬間、お昼休憩の終了を告げる五分前のチャイムが鳴り響く。

 

「……チャイム鳴ったな」

「い、急いで戻るわよ!このままだと午後の始業に遅れちゃう!」

「え~!?まだお昼ご飯も食べてないのに~!」

 

チャイムに急かされたみらい達は校舎の方へバタバタ慌てて駆け出していった。

 

 

━━十四話に続く━━

 

 






次回予告


「ピピロポラーナス、チャカチャカコナール、ピョンカドラール」

「え、今なんて?」

「早口言葉?私も得意!」

「いや、早口言葉だとしたら独創性があり過ぎだろ」

「そうよ。これは星の名前よ」

「星の名前?そのピピョロなんとかっていうのが?」

「かえるぴょこぴょこみぴょぴょぴょ」

「私は魔法界代表なの。完璧に予習しないと」

「生ぐみ生ごめ生ままごっ……よし!」

「二人共多分違うモフ……」

「もう収集がつかねぇな……これ」





次回!魔法つかいプリキュア!やはり俺が魔法使いでプリキュアなのはまちがっている。

「ずっと忘れない……満天の星空とみらいの思い出」





「キュアップ・ラパパ!今日もいい日になーれ!」
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