やはり俺が魔法使いでプリキュアなのはまちがっている。   作:乃木八

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第四話「魔法の授業スタート!13個目の謎!?ふしぎなちょうちょを探せ!」Aパート

 

「いや~すっごく大きい図書館なんだね~」

 

ここは魔法学校から少し離れた森の中、そこに佇む自然の図書館にみらいの元気な声が響き渡る。

 

「おぉっ!花が出た!!」

「モフッ!モフ~ッ!」

 

開くと絵が浮かび上がる本を前にみらいとモフルンは興奮してはしゃいでいた。

 

「すごーい!!不思議~!」

「「図書館では騒がない」の!」

 

はしゃぎ過ぎていた二人をリコと八幡が声を揃えて注意する。他に人がいないとはいえ、図書館では静かにが基本だ。

 

「はい……」

 

自覚があったようで素直に反省するみらいとモフルン。しかし、みらいが八幡にジト目を向けて物申す。

 

「…でも、八くんもここに来た時はしゃいでたよね?」

「…何を言っているのかよくわかりませんね?」

 

みらいの問いに八幡は明後日の方向を見てしらを切った。

 

「モフ、八幡ここに来た時いっぱいの本を見ておっきな声だしてたモフ」

「ぐっ…」

 

実は二人の言うとおり八幡はここに来た瞬間、壁一面の本を見て思わず感嘆の声を上げてしまっていたのだ。

 

「…それは仕方ない、誰だってこの本の数は驚くだろ」

 

ましてや本好きなら尚更だと付け加える。

 

「あ」

「…どした?」

 

話している最中にみらいが何かに気付いたように振り向くとその先には大きな扉があった。

 

「でっかい扉だな…」

「ここは?」

 

なんの扉?とリコに聞こうとした時、別の声がそれを遮る。

 

「そこから先へいってはならん」

 

その声の主は右手に魔法の水晶、左手には本を抱えた校長先生だった。

 

「迷宮のように広くて深い…知識の森と呼ばれる書庫じゃ」

「知識の森?」

 

いまいちピンとこないのか首をかしげるみらいに魔法の水晶が簡単に説明してくれる。

 

「マホウ界の誕生から今に至るまで、全ての本が納められているの…校長でも迷いますわ♪」

「誕生からって…一体どれだけの……」

 

本の量を想像して絶句する八幡。それと同時に見てみたいとも思った。

 

(まあ、それ以前にこの世界の字が読めないと話にもならないけどな)

 

これだけの本があるのにマホウ界の字がわからない八幡は一冊たりとも読むことが出来ない。

 

この時、八幡は本気でこの世界の字を覚えようかなと考えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ」

 

校長が手に持っていた本に息を吹き掛け、被っていた埃を落とすと近くに置いてあった魔法の水晶に掛かって咳き込む。

 

「おっほんっおっほんっ」

「済まぬ、古い本でな」

 

魔法の水晶に一言謝ると校長はその本を開く。すると、開かれたページが虹色に輝いて先程の花と同様に宙に絵が浮かび上がった。

 

「「わあぁ…!」」

「これは…リンクルストーン……なのか?」

「左様、リンクルストーンとはこの世の始まりよりも古き存在といわれる大いなる力の結晶…」

 

浮かび上がったのは様々な輝きを放つ12個のリンクルストーン。ひとつのリンクルストーンを中心にぐるぐると他のリンクルストーンが回っている。

 

「絶大なる力、エメラルド…そしてそれを守りし四つの輝き、更に支えし七つの輝きからなる十二の輝き……伝説にはそう記されていた」

「守りの輝き…支えの輝き…」

「きれいモフ…」

 

輝くリンクルストーンを呆然と見つめる四人。

 

「私達が見つけたのは…」

「うむ、おそらくどちらも守りの輝き…4つの内の2つ、君達はダイヤとルビーを目覚めさせた…」

「………?」

 

校長がみらいから受け取ったダイヤ見つめながら答える横で八幡が怪訝な顔をして浮かび上がったリンクルストーンを見つめ口を開く。

 

「…俺の持っているこれ、この中に無いんですけど……」

「「え?」」

 

八幡の発言にみらいとリコが驚き、リンクルストーンを確認する。

 

「ほんとだ…この中のどれとも形が違う!」

「確かに…でもどうして?」

 

浮かんでいる12個のリンクルストーンの中に八幡が持っている物と同じものはない。

 

「まさか、これはリンクルストーンじゃないとか…」

 

可能性を口にする八幡。もし、リンクルストーンではないとしたら…そう考えたが、教室でモフルンが言ったことを思いだした。

 

「モフ!八幡のそれもリンクルストーンモフ!」

「…そうだったな」

 

リンクルストーンと関わりが深いであろうモフルンのお墨付きであれば、八幡の持っているこれは確実にリンクルストーンなのだろう。

 

「なら…」

「この本に載っていない、新たなリンクルストーンということになる」

 

校長も同じ結論に至ったようで八幡の言わんとしたことを代弁してくれた。

 

「えっと、それってつまり…どういうこと?」

「わ、私に聞かれてもわからないわよ!」

 

みらいに問われ、慌てるリコ。その様子に校長が笑い、八幡がため息をつく。

 

「つまり、これが何のリンクルストーンで、いつ出来たのかも、何で俺が持っていたのかも、なにひとつわからないってことだ」

「左様、わかっているのはそれが間違いなくリンクルストーンであること、そして八幡君にしか触れないということだけじゃ」

 

結局、八幡の持つこれについてはリンクルストーンだという事がわかっただけで他は謎のままだ。

 

「うーん……そうだ!モフルン、何か感じない?」

「モフ?」

 

教室でダイヤが光った時、モフルンはダイヤから伝ってきたと言った、なら八幡のも…と思ったみらいの問いにモフルンが首をかしげる。

 

「…あの時、モフルンもわからないって言ってただろ」

「あ…そうだった…」

 

モフルンはダイヤからは伝ってきたが、八幡のからはよくわからないといっていた、それがどうしてなのか、どのみち今は調べようがない。

 

「…プリキュアもリンクルストーン同様、伝説でのみ語られていた存在、どのような繋がりがあるかはわしにもわからん……」

 

少しの沈黙の後、校長がまた語りだした。

 

「…だが、君達ならば巡り会えるかもしれん、そのリンクルストーンの謎も、そしてその先…エメラルドにも」

「私達が…」

「……」

 

エメラルド、あらゆる魔法使い、または闇の魔法使いが求める伝説、そんなものといつか巡り会うかもしれない、その可能性にみらい達は再び呆然となる。

 

 

 

話を終えた校長が図書館の灯りを落とし、全員が出口に集まった。

 

「今夜はゆっくりと休むのじゃぞ?」

 

そういって預かっていたダイヤをみらいに返す校長。

 

「はい!明日から魔法の授業頑張ります!!」

「補習…だけどね…」

「…それをいうなよ」

 

みらいの元気な返事にリコがボソッと呟き八幡がツッコむ、そんな光景に校長は頷き、微笑みながら四人を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━次の日の朝━

 

「いい?他の生徒にはプリキュアだってこと言っちゃダメよ」

「え?どうして?」

 

補習授業を受けるために教室向かう最中、リコが二人にそう注意してきた。

 

「補習を受けているプリキュアなんて伝説に傷がつくわ」

「へぇ~そういうもんなの?」

「…プリキュアになったことを補習回避の理由にしようとしてたのは誰ですかね……」

 

二人の少し後ろを歩いていた八幡がボソッと呟くとリコはにっこり笑いながら振り返り近付いてくる。

 

「…八幡さん、眼鏡かけた方がいいんじゃない?そのままだとみんなに怖がられるし」

 

肩に手を置いてそう忠告するリコ。顔は笑っているが目が笑っていないので、八幡は素直にその言葉に従い眼鏡をかけた。

 

「よろしい、…私だって反省してるわよ」

 

リコはぽしょりとそれだけ言い、みらいの隣に戻る。

 

「……さいですか」

 

八幡もまた二人の後をゆっくりと歩き出した。

 

 

 

━カチャ…

 

補習が行われる教室の前に着いたみらい達。まず、リコが扉を少し開けて中の様子を伺おうとした瞬間、隣の扉をみらいが勢いよく開けてしまった。

 

「おはようございまーす!!」

「あ…」

「ひぇぇぇぅ!ビックリした~」

 

みらいの大きな声で、中にいた金髪の少女が驚き、涙目で振り向く。

 

「あっごめんなさーい」

 

そう謝るとみらいとリコは一番前の席に座った。

 

「リコも補習なの?」

 

先程、みらいの声に驚いた金髪の少女、エミリーがリコに尋ねる。

 

「勉強は学年で一番でもさ、魔法の実技が駄目じゃ、話になんないよねー」

「むっ」

 

今度は先が跳ねた青髪が特徴的な少女が腕を組んでリコに皮肉をぶつけた。

 

「勉強、学年で一番ってすごいね!!」

 

素直に感心するみらいを青髪の少女が片目で睨む。

 

「アンタ…新入りだね、覚えときな、泣く子も黙るジュンとは…あたいのことだよ!」

 

青髪の少女、ジュンが親指を自分に向けると、橙色の髪をした少女が慌てて教室に入ってきた。

 

「帽子を忘れて取りに帰ったら遅れちゃいました~!ごめんなさいっ!!」

「先生まだだけど…」

 

リコの言葉にえ?と間の抜けた声を出す橙色の髪をした少女ケイ。どうやらこの三人が他の補習のメンバーらしい。

 

「あのっ」

「「「ん?」」」

 

立ち上がって後ろを振り向いたみらいに三人の視線が集まる。

 

「私、朝比奈みらい!ナシマホウ界から来ました!」

「…だと!?」

「「ナシマホウ界!!」」

 

ジュンが目を見開き、ケイとエミリーは声を揃えて驚いた。

 

「春休みの間だけですけど、よろしくね!!」

「モフルンモフ~よろしくモフ!」

「ぬいぐるみが喋ったぁぁ!?」

 

みらいの後にポーチからぴょこんと顔を出したモフルンにエミリーが再び驚く。

 

「あ、それに私だけじゃなくってもう一人…あれ?八くんは?」

「そういえば…さっきまで一緒だったのにいないわね」

 

八幡がいないことに気付いて二人がキョロキョロしているとモフルンが声を上げた。

 

「モフ!八幡ならあそこにいるモフ」

 

モフルンが手を指す方、みらい達が座っている場所から一番遠い隅の席に全員の視線が向く。

 

「…どうも」

 

視線の先にいた八幡が気まずそうに頭を下げるとまずジュンが八幡を睨み付けた。

 

「…アンタ、見ない顔だけど今は女子の補習授業の筈だよ…時間間違えてるんじゃない?」

 

八幡が年上の男ということもあって嘗められないように敵愾心を剥き出しにするジュン。それに対し、八幡はえぇ…という表情になる。

 

「あー…それは…」

「そっそれに、たっ多分学年も、ちっ違いますよっ?」

 

口を開きかけた八幡の言葉をエミリーが遮ってしまった。

 

「いや、だから…」

「あ、もしかして忘れ物を取りに来たとか?私もよく忘れ物しちゃうからわかるよ~」

 

エミリーの次はケイが八幡の言葉を阻む。二度も出鼻を挫かれてどうしようかと思っていた矢先、リコが立ち上がる。

 

「ストーップ!…この人は比企谷八幡、そこにいる彼女と同じくナシマホウ界から来た人で一緒に補習授業を受けることになってるの」

「え、そうなの?」

「ったく…そうならもっと早くいいなよ…」

 

リコの説明で三人は納得したようでホッと安心した八幡は改めて自分で自己紹介をすることにした。

 

「…比企谷八幡だ、その、朝比奈と同じように春休みの間だけよろしく……」

 

してみたは良いものの、特に言うこともないので思ったよりも簡素なものになってしまったが、問題なかったようで三人からよろしくと返ってくる。

 

…なぜかエミリーには怖がられていたが……。

 

「というか、何で八くんはそんな遠くに座ってるの?」

「…隅の席が好きなんだよ……」

 

本当は年下とはいえ女の子5人の中には入りづらいからとは言えなかった。

 

「そっか…でも、せっかくなら一緒に授業受けようよ!!」

「いや、俺は…」

 

遠慮すると言い終える前に、近付いて来たみらいが、ね?いいでしょ?と八幡の袖を引っ張ってくるので渋々従う。

 

とはいえ、さすがに5人固まっているところに座るのは気が引けるので同じ列の一番後ろに座ることにした。

 

「…それにしても先生遅いわね」

 

開始時間を過ぎても現れないので何かあったのだろうかと思いリコが呟く。

 

ポンッ!モクモクモク━━

 

「ひぃぃぃっ!?」

 

突如、音と共に煙が巻き起こり、それに驚いたエミリーが悲鳴をあげた。

 

「けほっけほっけほっ…へっぴしゅんっ!!」

「アイザック先生!?」

 

煙から大きなくしゃみをして現れた先生に戸惑うリコ。さらに続けて煙が巻き起こり、中からもう一人現れた。

 

「けほっ…だから普通に教室に向かいませんか?って言ったじゃないですか…」

「マキナ先生まで!?」

 

リコがアイザック先生と呼んだのは白髪で長い髭が特徴の老人男性、そしてマキナ先生と呼ばれたのは赤い丸眼鏡が目立つ、緑の長い髪をした女性だった。

 

「申し訳ないマキナ先生、それに皆さん、教師生活40年にして初の遅刻…学校が広くて迷いました」

「40年いて迷わない!」

 

にこやかにいうアイザックに的確なツッコミをいれるジュン。

 

「私はまだ1年経ってないのに初の遅刻です…道順は覚えていたのに…」

「せ、先生…」

 

落ち込むマキナにリコは同情の視線を向ける。

 

「ん?」

 

原因であるアイザックは首をかしげるのだった。

 

 

 

 

始まる前にドタバタしたが、いよいよ魔法の補習授業がスタートする。

 

「補習は全部で6回、毎回テストを行い、ひとつでも落とせば留年です」

「厳しいなぁ…」

 

アイザックの説明にケイがそんなことを漏らした。

 

「だから補習は避けたかったのよ…」

 

ケイに続いてリコも肩を落としてぼやく。

 

「ふふっ、そんなに落ち込まなくても大丈夫よ、要は全部合格したらいいのだから……と、こほん、試験官は私とアイザック先生が勤めます」

「合格する度にこの紙にスタンプを押します…こんな感じで」

 

そういうとアイザックは持っていた紙にスタンプをポンッと押し、隣にいたマキナが残っていた紙にも次々スタンプを押し始めた。

 

「ええ!?押しちゃったっ!」

「合格、ですか?」

 

先生二人の思いがけない行動に驚く一同。そしてみらいとリコの言葉にもしかしてなにもせずに終わり?と八幡が心の中で喜ぶ。

 

「そう簡単にはいきませんよ?…ですよね、アイザック先生?」

「ええ、もちろんです。キュアップ・ラパパ!紙よ、飛びなさい」

 

アイザックが杖で円を描くようにして呪文を唱えるとスタンプを押した紙が蝶の形へ変わり、ひらひらと飛び始めた。

 

「おぉぉっ」

「モフ~」

「紙が…」

 

紙を蝶へと変える魔法に感嘆の声をあげるナシマホウ界組の三人。

 

「では、最初の補習です。このちょうちょ達を捕まえて、帰ってきなさい」

「さ、今からスタートです」

「「「「「「えぇ!?」」」」」」

 

開始宣言と共にちょうちょ達は扉の隙間から外に飛んでいってしまう。

 

「ちなみに、極めて局地的に大雨を降らせるザアザア雲が学校に近づいています。紙の蝶だから濡れたらおしまいです。急いだ方がいいですよ?」

「…なんつうタイミングでピンポイントな雲がくるんだよ……」

 

嫌がらせか?と疑いたくなるほどだが、もしかすると近づくタイミングだからこの補習にしたのかもしれない。

 

「アイザック先生、ひとつ伝え忘れていますよ」

「あぁ…そうでした、リコさんとみらいさん、それに八幡君は三人で一枚…協力して補習に臨むようにとのこと、校長先生のご指示です」

 

急いで蝶を捕まえないとと全員が教室を出る中、突然そんなことをいわれて振り返るリコ。

 

「ええ…?あ、ちょっと待ってください」

「リコちゃーん、八くーん、頑張ろー!!」

「モフルンも頑張るモフ~!!」

 

どういうことか尋ねようとした矢先、すでに扉の前にいるみらいとモフルンが手を振りながら二人を呼んでいる。

 

「…まあ出来る限りの事はする」

「え、ええ…」

 

後ろの席にいた八幡がわざわざ遠回りしてリコの肩を叩く。

 

「……大丈夫かしら」

 

ボソッと呟くリコの表情は不安に満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見失ったわ…」

 

あの後、急いで教室を出て蝶を追いかけるも、全員が見事に見失ってしまった。

 

「どこだー出てこーい!」

「いないねー」

「どーしよ…」

「みんなで考えよう?」

 

ジュン、ケイ、エミリー、それにリコの四人は校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下の上で蝶を探している。

 

「ちょうちょさーん」

「そんな大声で呼んだって紙の蝶は返事なんて出来ないだろ…」

 

その渡り廊下の下辺りをみらいと八幡は探していた。

 

「適当に走っても見つからないわよー!」

 

渡り廊下のからみらいに大声で呼び掛けるリコ。声に反応して渡り廊下の方を見上げ、みらいも大声で返す。

 

「でも、考えてるだけじゃ見つからないよー!」

「…学校は広いのよ……?」

 

走っていったみらいを見つめてリコが呟いた。

 

「…あいつらまるで真逆だな」

「えー?八くんなにかいったー?」

 

八幡は二人のやり取りにそんな感想を漏らし、走るみらいの後をついていく。

 

「それにしても…どこに飛んでいったのかな?」

 

辺りをキョロキョロ見渡してみらいがそんなことを口にした。

 

「…案外、普通の蝶がいそうな場所にいるかもな」

「普通のちょうちょ……そうだ!」

 

何気無く呟いた八幡の言葉に閃いたようでみらいが再び走り出す。

 

「また闇雲に走って…そんな行き当たりばったりで見つかるわけ…」

「いたよー!!」

「ええ!?」

 

再度走り出したみらいに呆れていたリコだが、本当に蝶が見つかったことに思わず驚きの声を上げた。

 

 

 

 

「うわぁ…!」

「こんなに早く見つけるなんて!」

「なかなかやるな…」

 

一同はみらいが見つけたちょうちょが群がっている花壇に集まる。

 

「そっか!ちょうちょだからお花が好きなのね」

「え?花?…なるほど!!」

「気付かなかったモフ!」

 

感心するリコだったが、二人の発言に再び呆れたようにみらいを見た。

 

「はちくんがちょうちょのいそうな場所っていったからちょうちょになったつもりで走ってたら偶然」

「偶然なのね……」

 

えへへ~とモフルンと一緒に笑いあうみらいにリコはさらに呆れた表情を浮かべる。

 

「…ま、とりあえずこれで課題クリアだな」

 

思ったよりすんなりと終わりそうな課題に八幡が安心しているとジュンが焦った声を出した。

 

「飛んでいくぞ!?」

 

ジュンの声に全員が花壇の方を見ると花に止まっていたはずの蝶達がふわふわとどこかへ飛んでいくのが目に入る。

 

「えぇ……」

 

八幡が面倒くさそうに呟く横で小さい箒を取り出したリコとジュンがそれを振って元の大きさに戻し、乗った。

 

「あれ?…あれれ?」

 

その隣でケイが制服のポケットを必死で探しているが、見つからない。そうしている間にリコとジュンは飛ぶ体勢に入っていた。

 

「「キュアップ・ラパパ!箒よ飛びな!」さい!」

 

呪文を唱えると二人は勢いよく飛び立って蝶を追う。

 

 

廊下の大窓からそんな生徒達の様子を教頭、アイザック、マキナの先生三人が見守っていた。

 

「なかなか苦労しそうですね」

「でも、みなさん良い子達ですよ?」

「オッホッホッホッ」

 

腰に手を当ててしかめっ面な教頭にマキナのが困ったように眉を寄せ、アイザックが朗らかに笑って生徒達の事を語る。

 

「よっふんっ!」

 

「出席日数不足のジュンさん」

 

 

「あんな高いところ…無理ぃ~!!」

 

「怖がり屋さんで箒の試験が不合格だったエミリーさん」

 

 

「箒は?…どこ~?」

 

「試験当日、杖と箒を忘れたケイさん」

 

 

「あれ?大きくならないんだけど?」

「きゃぁぁ!?」

「はぁ……またか、キュアップ・ラパパ!箒よあそこまで飛べ…って、だ、から、はや…っ!?」

 

ズドォッン━ヒュルル…ドシンッ

 

「「「え、落ちた?」」」

「落ちてないからっ!」

「……これで下敷きになるの何回目だよ…」

 

「勉強は学年で一番ですが…魔法は赤点のリコさんとナシマホウ界から来たみらいさんと八幡君、教師生活45年、ここまで個性的な生徒達は初めてです」

「え?45年…ですか?」

「教師生活、40年…では?」

 

戸惑うマキナと真面目にツッコむ教頭。

 

「まずは行動力を鍛える授業です、どうなりますかね~」

「「…話、聞いてます?」」

 

アイザックのスルーっぷりに教頭とマキナの声が揃うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!どんなもんだ!!」

 

箒で蝶を追っていたジュンが遂に蝶を捕まえて嬉しそうに声を出す。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ…」

 

その下で息を切らしながら走ってたら追いかけるみらい達。

 

「はぁ、はぁ、ふぅ…あ」

 

最後尾を走っていたエミリーが肩で息をして立ち止まると不意に何かの気配を感じて振り向いた。

 

「くも~」

「ひぃええぇぇっ!?」

 

エミリーが振り向くと蜘蛛が目の前に現れる。

 

蜘蛛に驚いたエミリーは悲鳴と共に凄い速さで先頭にいたみらいを抜き去り、なおも走り続けた。

 

「わぁぁぁぁっ!?」

 

走るエミリーの顔、その眼鏡越しにペチッと何かがつかる。

 

「あっ?あぁぁぁっ!?……あ」

 

更に驚き、大きな悲鳴をあげるエミリーだったが落ち着いて顔にぶつかった何かを手に取ってみると、それは探していた紙の蝶だった。

 

「どこ?箒……え?やったー!!」

 

未だに箒を探していたケイが自分の帽子を持ち上げて中を覗いていると、前から紙の蝶がひらひら飛んで来てそのまま帽子の中に入る。

 

謀らずも課題をクリアしたケイは帽子を持ち上げた体勢のまま喜んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「急がないと…」

 

すぐ近くまで来ているザアザア雲を見つめてリコが不安そうに呟く。

 

「ちょうちょ、いないモフ…」

「何か手掛かりでもあれば……?」

 

モフルンが花の生えている草むらを掻き分けて探し、八幡はなにかないかと考えていた。

 

「…そうだ!」

 

そんな中、草むらを見つめていたみらいが何かを思い付いたように声をあげ、先へと走る。

 

「ちょ、ちょっとあなたっ」

「私、向こうを見てくる!」

 

いきなり走り出したみらいに戸惑ったリコは引き止めようとしたが、叶わずに行ってしまった。

 

「もうっなんなの?……っていつの間にか八幡さんもいないし!!」

 

行動の意図が読めずに苛立つリコ。さらには八幡までどこかへ消えてしまう。

 

「ん?みらいはどこモフ?」

 

草むらを探していたモフルンは走っていったみらいに気付かなかったのかキョロキョロ辺りを見回していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━とある洞窟の髑髏の城━

 

その最深部、そこでトカゲ男ヤモーが膝をつき、(こうべ)を垂れていた。

 

「お呼びですか?ドクロクシー様」

 

ヤモーが頭を垂れるその先、大きな髑髏の椅子に腰を掛けるのが、闇の魔法使い達の主ドクロクシー。

 

豪華な服から覗く手は剥き出しの骨そのもの、そして影に覆われている顔の中で闇色の瞳がギラリ光った。

 

「申し訳ありません。伝説の魔法使い、プリキュアに邪魔され、エメラルドはまだ見つけられぬまま…」

 

ヤモーの報告にドクロクシーは骨の手で何かを指差す。

 

「はい、すでに手は打ってあります……戦いに長けた彼ならば、プリキュアを仕留めて参りましょう。…魔法学校に潜入する手引きも抜かりありません」

 

 

次なる闇がプリキュアに迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紙のちょうちょなら本の花が好きかも」

 

走り出したみらいが向かったのは昨晩訪れた自然の図書館だった。花壇でリコでの言葉を思い出して思い付いたのがここだった。

 

「…考えることは同じだったみたいだな」

「あ、八くん!」

 

みらいが花の本を開いていると八幡がゆっくり歩いてくる。

 

「八くんも?」

「ああ…紙ならと思って、あと…」

「?」

 

まるで何かが呼んでいる気がしてと言いかけたが、なんでもないと口をつぐむ。

 

「…それより、なにかわかったか?」

「ううん…本を開いて花を浮かべてみたけど……あ!」

 

みらいがそう答えた時、本棚の影から紙の蝶がひらひらと飛んできた。

 

「きた…!」

「よし…とりあえず慎重に……」

 

いつでも捕まえられるように身構える二人だったが、紙の蝶は本の花をスルーして向こうの方に飛んでいってしまう。

 

「あっ…ちょっとまって!!」

「おい!朝比奈そっちは…」

 

蝶は図書館の奥まで飛んでいくと、校長ですら迷うと言っていた知識の森へと続く扉の中に飛んでいった。

 

「………」

 

扉の前に立ったみらいはそびえ立つ大きなそれを見上げると決意の表情で扉を見据える。

 

「…行くつもりか?」

 

みらいを追いかけてきた八幡が問う。

 

「うん、だってちょうちょを捕まえないと合格できないもん!」

「確かにそうだが…その中は校長先生でさえ迷う作りになってるんだぞ?」

 

それをわかっていて行くのか、と再び問う八幡を真っ直ぐ見つめて、みらいが答えた。

 

「わかってる…でも、合格出来ないとリコちゃんは…」

 

課題をひとつでも落とせば留年になる。つまり、このまま蝶を追わなければ確実にリコが留年してしまうことになる。

 

「はぁ……しょうがない…さっさと見つけて、迷う前に出るぞ」

「…うん!」

 

ため息をついて、頭ガシガシ掻くと八幡はみらいの隣に立つ。そして二人で扉を開けて奥へと進んだ。

 

 

 

 

 

扉の先、そこはまさしく知識の森と呼ばれるにふさわしい場所だった。

 

大小様々な本が本棚に収められ、上下左右の概念がないのか宙に浮いていたりする本棚もある。

 

本棚の大きさは二人の身長を遥かに上回る程、それが木々のようにそびえ立っていた。

 

「これは迷うわけだな…」

 

辺りを見回して八幡が呟く。

 

「ちゃんと来た道を覚えとかないとだね」

 

八幡の呟きにみらいがそう返した直後、地響きと共に二人の後ろで何かが動いた。

 

「うわぁっ!?」

「っなんだ!?」

 

二人が何事かと後ろを振り返ると、通ってきた道が本棚によって塞がっている。

 

「え!?」

「帰り道が……」

 

迷う前に出るという八幡の考えが早くも崩れ去った。そして、追い討ちをかけるように二人の真横にあった本棚が音をたてて迫り来る。

 

「わぁぁっ!?」

「くっ…!?」

 

八幡はとっさの判断でみらいを抱え込むように前に倒れる。

 

「っ痛……」

「いたたた……」

 

それが項をそうしたようで、二人とも本棚に押し潰されずに済んだ。しかし、未だに無数の本棚が唸るように音をたててあちらこちらに移動している。

 

「…………」

「こんなの…どうしろっていうんだよ……」

 

身の丈の数倍はあるいくつもの本棚が重力を無視して動き回るという混沌とした光景に二人はそれを呆然と見上げるしかなかった。

 

 

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