IS~朱月の守護者~   作:Mr.凸凹

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第22話

 

 

 

 

 

 週末の日曜日。天気は快晴。気持ちいい。

 来週から始まる臨海学校の準備も兼ねて今日はラウラちゃんとデートである。

 だがしかし、二人きりではなくてお供が着いてきている。

 僕とラウラちゃんのそれぞれのルームメイトの一夏とシャルロットさんが一緒である。

 

 僕とラウラちゃんは手を恋人繋ぎで繋いでいる。

 それをシャルロットさんは仏頂面というか眼が羨ましそうに眺めている。

 

「僕は夢が砕け散る音を聞いたよ……」

 

 シャルロットさんは暗雲立ちこめる表情をしている。

 

 因みにラウラちゃんの服装は鈴ちゃんと簪ちゃんのコーディネートである、ホットパンツとニーソックスにハーフトップの上に革ジャンを羽織っている。

 その上、ポニーテールで項がはっきりと見えている。

 女の子らしい服装も好みだがこのボーイッシュな格好も好みだ。

 可愛らしいお臍と絶対領域と項が眩しい。

 うん。お持ち帰りしたいほどである。

 

 シャルロットさんは半袖のホワイト・ブラウスとその下にはスカートと同じライトグレーのタンクトップを着ている。

 ふわりとしたティアードスカートはその短さもあって、健康的な脚線美を十二分に演出している。

 

「どうした、シャル? 今日はやっぱり調子が悪いのか?」

「…………」

 

 一夏が顔を覗き込むと、ぐいいっと無言で顔面を押し返している。

 視線は非難囂々をつげていた。

 また一夏がややこしい言い方でシャルロットさんを勘違いさせたに違いない。

 

「シャル、あの……」

「一夏」

「おっ、おう?」

「乙女の純情を弄ぶ男は馬に蹴られて死ぬといいよ」

 

 あっ、やっぱり一夏がヘマ咬ましたのか。

 

「そうだな、そんなやつは死んでしまえばいい」

「鏡見なよ」

 

 だめだこりゃ、全然理解してない。

 相変わらず朴念仁だよね、一夏。

 

「はぁ……どうせ、どうせね……買い物に付き合ってくれ、だと思ったよ。しかもラウラ達のデートにくっついてなんて、一夏デリカシー無さ過ぎ……はあぁ~」

「(いや、僕達はダブルデートのつもりだから気にしなくてもいいよ)」

 

 僕はシャルロットさんの耳元で囁いた。

 

「いや、その、悪い。でもあれだぞ、そんなに無理しなくてもいいぞ? なんだったら帰って休んでもいいから、体の事を第一に考えてくれ」

「…………」

 

 シャルロットさんは無言の圧力を一夏に掛けている。

 

 仕方ない。助け舟を出すか。

 

「一夏……」

「おう……」

「シャルロットさんと手を繋ぎなよ」

「手を? 構わないか、シャル?」

 

 一夏は不思議そうにシャルロットさんに手を出した。

 

「えっ!!? うっ、うん。お願いするね」

 

 一転シャルロットさんは顔を赤くして大人しくなった。

 

「大丈夫か?」

 

 まさか、風邪でも引いたとか思ってるんじゃないだろうな、一夏。

 

「ひゃあっ!? なっ、なっ、なにがっ!?」

「いや、シャルが。やっぱり帰って休むか?」

 

 やっぱり、筋金入りの朴念仁だ。

 

「うっ、ううんっ! いいっ、平気っ、大丈夫っ! いっ、行こうっ!」

 

 急に歩き出したシャルロットさんにつられて、一夏は駅前へと進んでいく。

 

「僕達も行こうか、ラウラちゃん」

「うむ。しかし、一夏の朴念仁はどうにか出来ないものか。見ていてこっちがはらはらしたぞ」

「仕方ないよ。一夏は自分の色恋沙汰になると途端に察しが悪くなるもん」

「そうか。救えん奴だな……置いていかれる前に追うぞ」

 

 ラウラちゃんは表情を一転させて笑顔で走り出した。

 

「そうだね。何やら無粋な人が着いて来ているみたいだし、走るよ」

 

 僕は背後から感じる視線にため息を着きながら駆け出した。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

「えーっと、水着売り場はここだな」

「そうだね。久し振りに来たけど良い品揃えだね」

 

 僕達は駅前のショッピングモール、その二階にやって来た。

 このショッピングモール“レゾナンス”は中学生の頃、一夏と弾と鈴ちゃんと放課後よく繰り出していたな。

 ちょっと懐かしい。

 

「ところでシャルも水着を買うのか?」

「そっ、そうだね……ラウラも買うみたいだし……あの、一夏はさ、その……僕の水着姿、見たい?」

 

 駄目だよ、シャルロットさんそんな言い方じゃ一夏には正しく伝わらないよ。

 

「そうだぁ、折角だし泳ごうぜ。俺も海は久し振りだから、結構楽しみなんだよ」

「そっ、そうなんだ。じゃ、じゃあ、折角だし新しいの買おうかなっ」

 

 このままだと売り場が違うから一旦別れようって言い出すな、一夏は……仕方ない。一肌脱ぎますか。

 

「ラウラちゃん、シャルロットさん、お願いがあるんだけど……」

「何だ、嫁よ」

「なっ、何かな、刀也」

「後で君達の水着を選ぶのを手伝うから先に僕と一夏の水着を一緒に選んで欲しいんだ」

「構わないぞ、刀也に水着を選んでもらうつもりで来ているんだ。先に夫婦として嫁に似合う水着を選んでやろう」

「うん、僕も構わないよ」

 

 僕の提案にラウラちゃんとシャルロットさんは快諾する。

 

「じゃあ、時間も勿体無いし、二手に分かれよう。一夏は任せたよ、シャルロットさん」

 

 僕はウィンクしてシャルロットさんを促した。

 

「うっ、うん。任せて! 行くよ、一夏!」

「おっ、おう!」

 

 シャルロットさんは一夏の手を引いて男性水着売り場に入っていった。

 

「それじゃあ、僕達もいこうか」

「うむ。任せてくれ、嫁に似合う水着を選んでやろう」

 

 ラウラちゃんは意気揚々と僕の手を引き水着を物色し始めた。

 

 

 

 

 一夏は取り合えずシンプルなネイビー色の水着にした様だ。

 僕の方は何故かあった赤褌を勧められて冷や汗を流す羽目になった。

 幾らなんでも品揃え良すぎだろう。

 さすがに恥ずかしいので何とか宥め賺して髪の色と同じのパープルが中心のアロハ柄のサーフパンツにしてもらった。

 

「あの赤褌、似合うと思ったんだがな」

「勘弁してラウラちゃん……さあ、次は女性水着売り場に行こう!」

 

 何だかんだで三十分ぐらい掛ってしまった。

 追っ手は相変わらずお粗末な尾行をしている。

 まあ、見るだけで邪魔しないならいいかな。

 

 

 

 

 

 女性水着売り場にやってきてここでも別行動を取る事にした。

 

「ふむ。刀也が私に似合う水着をどんなのを選んでくれるのか楽しみにしているぞ」

「はいはい、お嬢様。お任せあれ」

 

 僕は色々な水着を物色してはラウラちゃんに宛がってみる。

 

 う~ん。今一ぱっとしないな。

 

 暫く物色していると黒いビキニが眼に映った。

 しかもレースをふんだんにあしらったものでそれは大人の下着(セクシー・ランジェリー)にも見える。

 これを着ているラウラちゃんを想像して思わず顔がにやけた。

 

「ラウラちゃん、これなんかどうかな?」

「うむ。こっ、これか……少しばかり派手ではないか」

 

 ラウラちゃんは頬を染めて恥ずかしがっている。

 

「大丈夫! きっと似合うよ。あっ、序でに髪型はツインテールが似合うと思うな」

 

 ラウラちゃんの背中を押して更衣室まで案内する。

 

 ふむ。あの閉まっている更衣室から一夏とシャルロットさんの気配がする。

 靴も二人が履いていた物があるし、勢い余ってシャルロットさんが一夏連れ込んだかな?

 まあ、面白いから少し様子を見てみるかな。

 

「さあ、ラウラちゃん着替えてきてね」

「うっ、うむ……分かった暫し待ってくれ」

 

 ラウラちゃんはいそいそと試着室へと入っていった。

 

 

 

 

 

「なんだ、来ていたのか刀也」

「こんにちわ、月村くん」

 

 ラウラちゃんの着替えを待ってると千冬さんと山田先生がやってきた。

 

「こんにちわ」

 

 僕が挨拶をするために振りかえると更衣室のドアが開いた。

 中には一夏と水着姿のシャルロットさんがいた。

 

「え?」

「えっ?」

「ええっ?」

 

 三者三様に固まっている一夏とシャルロットさんと山田先生。

 うん、やっぱり面白い展開になったね。

 

「何をしている、馬鹿者が……」

 

 次の瞬間、軽いパニックに陥った山田先生の悲鳴が木霊した。

 

「何事だ!」

 

 隣の更衣室から水着に着替えてツインテールを結ったラウラちゃんが飛び出してきた。

 

「うん、ラウラちゃんやっぱりその水着とっても似合ってるよ。可愛いね」

「そっ、そうか。可愛いか」

 

 ラウラちゃんは指を着き合わせながら照れている。

 

「ところで何で一夏とシャルロットが一緒の更衣室に入っているのだ?」

「さあ、どうしてかな」

 

 僕は楽しげに笑いながら答えをはぐらかした。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「はあ、水着を買いにですか。でも、試着室に二人で入っていたのは感心しませんよ。教育的にも駄目です」

「すっ、すいません」

 

 深々と頭を下げるシャルロットさん。

 ナニもなかったのかその表情は赤みがさしていない。

 残念。エッチいハプニングでもあれば一歩リードだったのにね。

 

「ところで山田先生と千冬ね……織斑先生はどうしてここに?」

 

 一夏が話題を逸らす序でに二人が居る理由を尋ねている。

 

「私達も水着を買いに来たんですよ。あ、それと今は職務中ではないので、無理に先生と呼ばなくてもいいですよ」

 

 それにしても何時まで隠れているつもりだろう。

 

「鈴ちゃん、簪ちゃん、セシリアさん、そろそろ出て来た方がいいんじゃないかな?」

 

 気配が驚いた様に揺れ動いた。

 

「そっ、そろそろ出てこようかなと思ってたのよ」

「うっ、うん。ちょっと出る機会を計ってたの」

「えっ、ええ。タイミングを計っていたのですわ」

 

 はぁ~三人共無粋だね。

 特に鈴ちゃんと簪ちゃんは駄目じゃないか。

 

「あっ、やっぱり見間違いじゃなかたんだな。鈴、簪、セシリア、お前達も買い物か?」

 

 いい性格してるよ、一夏。

 こそこそ三人が着いて来た事知ってるくせにさ。

 思いっきり顔が愉悦で歪んでいるよ。

 

「まっ、まあね! 女子には色々と男子に知られたくない買い物があんの!」

「そっ、そうなの! ちょっと恥ずかしいし……」

「そっ、そうですわ!まったく、一夏さんのデリカシーのなさはいつもながら呆れてしまいましわね」

 

 はぁ~よくもまあ、非難囂々に出来るもんだね。

 僕がため息を吐くと三人共罰の悪い表情を浮かべた。

 

「さっさと買い物を済ませて退散するとしよう」

 

 千冬さんはため息混じりに水着を物色している。

 千冬さんも山田先生と同様に土壇場で水着を新調する様だ。

 

「あ、あー。私ちょっと買い忘れがあったので行って来ます。えーっと、場所が分からないので凰さんと更識さんとオルコットさん、ついて来て下さい。ついでに月村くんとボーデヴィッヒさんとデュノアさんも」

「分かりました。行こうか、ラウラちゃん、シャルロットさん(一夏、姉弟水入らずだ。水着選んであげなよ)」

 

 僕は一夏の耳元で囁いてから水着売り場から立ち去った。

 

 

 

 

 

「さてと、鈴ちゃん、簪ちゃん、大体理由は察しがつくけどこれ以上着いてくるとさすがに軽蔑するよ」

「「ごっ、ごめんなさい……」」

 

 僕がじろりと睨むと二人とも小さくなってしまった。

 

「嫁よ、何もそこまで二人を攻めなくとも……」

 

 ラウラちゃんが上目遣いで二人を擁護してくる。

 僕はラウラちゃんの頭を撫でながら微笑んだ。

 

「ラウラちゃんに免じて今日は許してあげる。二人とも自分のデートの時に邪魔されたくないだろう?」

「「はっ、はい。すいませんでした」」

 

 二人はしゅんとして歩き去っていった。

 

「さてと……ラウラちゃん、シャルロットさん、一夏が来るまで時間潰そうか」

 

 僕は手頃な価格のアクセサリー店に足を向けた。

 

 

 

 

 

 暫くアクセサリーを眺めていると一夏がやって来た。

 

「おっ、ここに居たのか」

「一夏、ちゃんと選べたかい?」

「ああ、まあな……千冬姉にぴったりな物を選べたよ」

 

 一夏の顔は嬉しそうなでも複雑そうな表情をしている。

 ふむ。どうやら選んだ水着のせいで千冬さんにおかしな男が寄ってくると考えているんだろう。

 まったくシスコンもここに極まれりだね。

 

「さてと、ラウラちゃん。何か気にいた物あった? よければ今日の記念にプレゼントするよ」

「ほっ、本当か!? ならば嫁が私に似合う物を選んでくれ」

「承りました、お姫様」

 

 僕は跪いてラウラちゃんの手の甲にキスをした。

 ちょっと、キザだったかな。

 

「シャルも良かったら今日のお礼に何かプレゼントするぞ」

「本当、一夏! なら一夏が僕に似合うと思うのを選んで」

 

 結局僕はラウラちゃんに三日月を模ったペンダントを、一夏はシャルロットさんにブレスレットを、それぞれプレゼントした。

 そんなに高い出費ではなかったが二人ともとても喜んでくれた。

 

 

 

 

 

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