IS~朱月の守護者~   作:Mr.凸凹

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第05話

 

 

 

 

 

 僕達がISを動かせる事が判明してから半年が経ちました。

 今日も今日とて千冬さんにみっちりと鍛えられています。

 剣術の修行である程度身体作りが出来ている僕と一夏でも血反吐を吐くくらい大変な鍛錬です。

 それは軍で鍛えている筈のラウラちゃんも変わりない様で一緒にへたり込んでいます。

 

「インタバール終了!! 次、始めるぞ!!」

 

 竹刀を持った千冬さんの掛け声で僕達は立ち上がり訓練を再開した。

 

 

 

 

 

「よし、今日の訓練はここまでとする!!」

「「「おっ、お疲れ様でした……」」」

 

 僕達は地面に倒れこんで暫く身動きが取れなかった。

 

「大丈夫? 一夏、ラウラちゃん……」

「ああ、なんとか……」

「私は平気だ……嫁こそ大丈夫か?」

「だからラウラちゃん。僕の事、嫁って呼ばないでってば……好意は嬉しいけどね」

 

 ラウラちゃんは遺伝子強化試験体として生み出された試験管ベビーで、しかも夜の一族の遺伝子と高機能性遺伝子障害者(HGS)の遺伝子が組み込まれている。

 高機能性遺伝子障害者(HGS)の能力は強力で制御が難しく、ラウラちゃんは忌み嫌っている様だ。

 その上、ISとの適合性向上のために行われた越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)の不適合により左目が金色に変色し、能力を制御しきれず以降の訓練では全て基準以下の成績となってしまい、軍で出来損ない扱いされて存在意義を見失っていたラウラちゃんを時に励まし、時に叱責しながら一緒に千冬さんの訓練を受けて今やラウラちゃんは部隊最強の座に再度上り詰めた。

 その挙句、一週間前に僕も夜の一族と分かって以来何かと懐かれてしまい済し崩し的に嫁認定されてしまった。

 クラリッサさんの影響で間違った日本(オタク)知識を得たラウラちゃんは気に入った相手を嫁と呼ぶ事が常識だと勘違いしている様だ。

 

「しかし、嫁を嫁と呼ばずしてなんとする!! それとも私の事が嫌いなのか?」

 

 ラウラちゃんは力強く力説したかと思えば、しゅんと項垂れてしまった。

 

「別に嫌いじゃないよ」

 

 僕は苦笑しながらラウラちゃんの頭を撫でた。

 

「本当か? ならば良い」

 

 一転してラウラちゃんは嬉しそうに微笑んだ。

 

「お前達、俺の事忘れて惚気てるんじゃないよ」

 

 一夏は呆れた様に肩を竦めて首を振っている。

 

「なんだ、一夏。やきもちか? 幾ら刀也の一番の親友とはいえ、私達夫婦の絆には勝てまい」

 

 ラウラちゃんは勝ち誇った様に一夏を見下ろしている。

 

「はい、はい……馬に蹴られる前にお邪魔虫は退散しますよ」

 

 一夏は含み笑いをしながら歩き去っていった。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 夜。寄宿舎の自室で鈴ちゃんとメールのやり取りをしている。

 鈴ちゃんは今中国に帰り、代表候補生目指して頑張っているそうだ。

 

 簪ちゃんともメールのやり取りをしている。

 簪ちゃんも日本の代表候補生を目指して頑張っているみたいだ。

 

 二人とも来年IS学園で再会しようと約束している。

 急にドイツに来る事になって以来逢っていないので楽しみだ。

 

 

「さてと、そろそろ寝ようかな」

 

 僕は鍵をしっかりと確認してから電気を消して眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 目覚ましが鳴る5分程前に眼が覚める。

 

 ふに。ふにふに。

 

 何か柔らかく温かいものがベッドの中に存在した。

 またか。僕はため息を吐きながら布団を跳ね上げた。

 そこには一糸纏わぬラウラちゃんが眠っていた。

 この一週間ラウラちゃんは僕の布団に潜り込んで来る。

 しかも、夫婦とは包み隠さないものだと吹き込まれているらしく何時も全裸だ。

 僕も思春期真っ只中の男の子だから止めて欲しいものだ。

 

「ほら、起きてラウラちゃん。朝だよ」

 

 僕は成る丈ラウラちゃんを見ない様に心掛けて声を掛ける。

 

「うみゅ……お早う、刀也。では目覚めのキスを……」

「馬鹿な事言ってないで自分の部屋に帰ってよ」

 

 眼を瞑り顔を近づけてくるラウラちゃんの額を押さえてため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 今日の訓練はお休みなのでラウラちゃんのパジャマを買いに行く約束をしている。

 僕のプレゼントなら喜んで着てくれると思うのでこれで裸では居ない筈だ。

 後はどうにか説得してベッドに潜り込んでくるのを止めさせよう。

 無理なら最終手段として千冬さんにお願いしよう。

 ラウラちゃんは千冬さんを妄信しているので効果抜群だろう。

 

 一夏も一緒にとショッピングに誘ったのだが断られたしまった。

 何でもデートの邪魔はしたくないとの事だ。

 僕とラウラちゃんは付き合っていないから遠慮しなくて良いのにな。

 友達甲斐のない奴だよね。

 

「待たせたな、刀也」

 

 基地の玄関ホールで待っていると待ち合わせ時間の十分前にラウラちゃんが現れた。

 何時もの軍服姿とは違い、ゴスロリファッションを見事に着こなしていた。

 ラウラちゃんは頬を朱に染めてもじもじと俯いている。

 

「よく似合ってるよ、ラウラちゃん。うん、可愛いね」

「そっ、そうか……可愛いか!! クラリッサが用意してくれたんだが、気にいってくれた様でなによりだ」

 

 ラウラちゃんははにかみながらうんうんと頷いている。

 

「さあ、行こうか」

 

 僕はラウラちゃんの手を握って歩き出した。

 

 

 

 

 

 ラウラちゃんと一緒にブティックのパジャマコーナーを物色する。

 なかなかラウラちゃんに似合うパジャマが見当たらない。

 どれも大人っぽいものばかりで困ってしまう。

 

 ふと眼に留まったのは黒い猫の着ぐるみのパジャマだった。

 こう見えて僕は猫フリークなので琴線に直撃した。

 

「ラウラちゃん!! これなんてどうかな!!」

 

 僕は鼻息荒くラウラちゃんに黒い猫の着ぐるみパジャマを勧めた。

 

「どれ……ふむ、嫁はこれが好みなのか。しかし、子供っぽくないか?」

「全然!! このパジャマはラウラちゃんに絶対に似合うよ!!」

「そっ、そうか……ならば試着してみるかな」

 

 ラウラちゃんは力説する僕の勢いに押されて試着室へと歩いていった。

 

 

 

 

 

「どうだ……似合っているか?」

 

 試着室のカーテンが開いて恥ずかしそうな黒い子猫姿のラウラちゃんが現れた。

 

「うん、ばっちり似合ってるよ。ねえ、ちょっとニャ~ンって言ってみて!!」

「えっ!!?」

「ほら、早く!!」

 

 僕の勢いに押されてラウラちゃんは後ずさりをしている。

 だが僕の勢いに負けてか細い声で鳴き真似をしてくれた。

 

「ニャッ、ニャ~ン……」

「可愛い!! 可愛いよ、ラウラちゃん!!」

 

 僕は堪らずラウラちゃんを抱きしめて頬ずりをしていた。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 本日、倉持技研と月村重工が共同開発した僕と一夏の専用機が日本から届けられた。

 まあ、厳密には一夏の専用機は欠陥機として放置していた機体を篠ノ之博士が調整したものを、更に一夏専用に再調整したものらしい。

 僕の専用機の名前は“朱月”という第三世代型のISだ。

 装備は御神流を基にした小太刀二本と飛針や鋼糸である。

 一応接近戦から中距離戦に特化した機体である。

 イメージ・インターフェイスを用いた特殊兵器の搭載は神速をサポートする機能が備わっている。

 因みに待機状態は朱色の勾玉の首飾り(ネックレス)となっている。

 

 

 

 

 

「さて専用機も届いた事だ。今日は一夏と刀也の模擬戦で締めよう」

 

 千冬さんはにんまりと微笑みながら僕達を促す様に言い放った。

 

「分かったよ」

「了解しました」

 

 僕と一夏はISを展開して対峙した。

 

「では始め!!」

「うぉおぉ~!!」

「でぇりゃぁ~!!」

 

 僕と一夏はお互いの機体を駆って肉薄する。

 剣技をぶつけ合い互いの隙を狙って次々と打ち合う。

 僕は貫を使って一夏の防御を潜り抜けて徐々にシールドエネルギーを削っていく。

 しかし、気を抜くと白式の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)の零落白夜で一気に逆転されてしまう。

 一夏は零落白夜の弱点を理解しているらしく、雪片は通常状態で凌いでいる。

 

 僕は一旦距離を取って一番得意とする薙旋(なぎつむじ)の構えを取る。

 一夏は警戒してか距離を保ったまま悠然と構えている。

 僕は深呼吸して意識を集中させて神速を使用する。

 瞬間的に自らの知覚力を爆発的に高めることによりあたかも周囲が止まっているかの様に感じられるが、朱月のサポートを受けて生身で使用するより負担が少なく更にスムーズに素早く動けた。

 

 一夏と僕の距離が肉薄するとお互いに必殺の剣を解き放った。

 白式の雪片は光り輝き零落白夜を発動させ、朱月の小太刀は黒い閃光となった。

 

 お互い渾身の必殺技が炸裂し、二人のシールドエネルギーは同時に零となった。

 

 二人の機体は高度を維持出来なくなり地面へと落ちていった。

 

「それまで!! 両者引き分け!!」

 

 千冬さんの宣言を聞きながら僕と一夏はお互いに笑いが堪えられない様に震えている。

 

「今日初めての展開でそこまで動けるとは……二人とも良い機体を得られたな」

「ああ……白式は俺の最高のパートナーだ」

「ええ……朱月は僕の動きを妨げる事無く反応してくれました」

 

 僕と一夏はハイタッチをしてお互いを称えあった。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 来月のIS学園の入学を控えて日本へと戻ってきた。

 一通り手続きも終えてのんびりと弾を交えて遊んでいる。

 

「良いよな、お前達……IS学園って言えば女子高みたいなものじゃないか。ああ、羨ましいね」

「あのな弾……千冬姉が教師として赴任するのに羽を伸ばせる訳ないじゃないか。それに男は俺と刀也だけって、何それなんて拷問?」

「そうだよね。家も姉二人であの状態だったから……周りが全部女の子なんて想像しただけでも震えが止まらないよ」

 

 僕と一夏が青い顔をしているのを眺めて弾は引きつった様な笑みを浮かべている。

 

「まっ、まさか……お前達おホモだちって事か?」

「「ちっ、違う!!」」

 

 僕と一夏は顔を真っ赤にして否定した。

 

「何気に揃って否定してるけど息ぴったりじゃん」

 

 弾はやれやれと肩を竦めながら首を振っている。

 

 

「弾……小便は済ませたかい? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK?」

 

 僕は小太刀を抜いて弾の首元に突きつけながら微笑んだ。

 

「すっ、すいませんでした!!」

 

 弾は綺麗な土下座をして謝った。

 

 そんなこんなで男三人同士で楽しく遊んで旧交を温めて過ごした一日はとても楽しかった。

 

 

 

 

 

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