IS~朱月の守護者~   作:Mr.凸凹

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第07話

 

 

 

 

 昼休み。僕と一夏は揃って学食へと向かおうとする。

 

「あっ、悪い刀也。箒、誘っていいか?」

「例の幼馴染の子? 構わないよ」

「お~い、箒。昼飯一緒に食おうぜ」

「別に構わん」

 

 一夏が声を掛けると彼女はぶっきらぼうに答えながらも表情は嬉しそうだった。

 

「初めまして、僕は月村 刀也です。刀也って呼んでね」

「ああ、始めまして篠ノ之 箒だ。私も箒で良い」

 

 僕達はしっかりと握手を交わした。

 

「ふむ……一夏もしっかりと鍛えてる様だったが、刀也もしっかりと鍛えてるんだな。確か古流剣術だったか」

「そうだよ。小さい流派だけどね。そう言う箒さんもしっかりと鍛えてるんだね」

 

 僕達は戦闘狂(バトルジャンキー)な笑みを浮かべながらお互いに称えあった。

 

 

 

 

 

 

「刀也! 一夏! お昼一緒しない?」

「つっきー私とかんちゃんも良い~?」

「お願いします」

 

 食堂に向かう途中、鈴ちゃんと本音ちゃんと簪ちゃんが合流してきた。

 

「構わないよ。良いよね、二人とも?」

「ああ、良いぜ」

「……良いぞ」

 

 最初は渋った顔の箒さんだったがお互いに自己紹介をして、三人が一夏狙いじゃないと分かると直ぐに打ち解けていった。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 放課後。僕と一夏、それに箒さんは剣道場へと足を運んだ。

 ぞろぞろと学生達がついて来てギャラリーを作っている。

 剣道場の一角を借りて、先ずは一夏と箒さんが実戦稽古を開始する。

 

「どれだけ腕を上げたか楽しみだ」

「期待してくれよ」

「じゃあ、僭越ながら僕が見届け人になるね……それでは始め!!」

 

 僕の掛け声で二人は剣をぶつけ合う。

 その姿は丸で舞を踊っている様な優雅さも感じられるが力強さがある。

 ギャラリーからは感嘆のため息が漏れている。

 

 

 

 

 

 

「そこまで!!」

 

 一夏と箒さんは自然と離れて礼をとる。

 ギャラリーから拍手が響き渡った。

 

「凄いじゃないか、一夏。全国優勝した私が押し負けるなんて……」

「まあ、千冬姉と刀也に鍛えられてるからな」

 

 箒さんの言葉に一夏は嬉しそうに微笑んでいる。

 

「次は刀也。お願いして良いか?」

「勿論お相手させてもらうよ。因みに僕の流派は永全不動八門一派・御神真刀流、小太刀二刀術だよ」

「ほう、聞いたことがある。楽しみだ」

「なら俺が見届け人だな……二人とも準備はいいか? それでは始め!!」

 

 一夏の掛け声と共に僕は一気に間合いを詰めて箒さんに肉薄する。

 

「なっ!!? はっ、早い!!」

 

 箒さんは驚愕の表情を浮かべて防戦に回る。

 だが御神流相手にはそれは悪手だ。

 貫を使用して箒さんの防御を潜り抜ける。

 更に徹を込めて防具をすり抜けて直接身体にダメージを与えた。

 

 

 

 

 

 

「そこまで!!」

 

 僕達は離れて礼をとった。

 ギャラリーからは割れんばかりの歓声が上がった。

 

「凄いな、刀也は……手も足も出なかった」

「初見殺しもいい所だったからね。次は勝てるか分からないよ」

 

 肩を落とし落ち込む箒さんに淡々と事実を告げる。

 それほど彼女と僕の差はない。

 むしろ僕が防戦になると剣術のみでは負けてしまう可能性が高い。

 

「ああ、次こそは勝たせてもらおう」

「うん……でも僕は負けるつもりはないよ」

 

 僕と箒さんは握手を交わしながら再戦の約束をした。

 

 

 

 

 最後に僕と一夏の実戦稽古を行う。

 開始の合図もなくお互いに肉薄する。

 僕は剣術だけでなく体術も駆使していく。

 一夏はそれでも果敢に攻めてきて防戦に回らないようにしている。

 

「さすがだね、一夏!!」

「そう何度も負けてられないからな!!」

 

 一夏は獰猛でいてそれで楽しそうな笑みを浮かべている。

 多分僕も一緒だろう。

 

 先ほどからギャラリーは水を打ったように静まり返っている。

 どうやら僕と一夏の戦う姿に見惚れている様だ。

 

 

 

 

 

 結局勝敗はつかず、僕と一夏はお互いに拳を合わせて健闘を称えあった。

 

「凄かったねぇ~!!」

「うん、なんていうか。これぞ、男の戦いって感じだった!!」

 

 ギャラリーからは熱い視線と言葉が投げ掛けられている。

 箒さんも一夏の強さを改めて認識して、頬を染めて一夏の顔を眺めていた。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

「一夏、ベッドどっち使う?」

「そうだな……俺は手前側を使わしてもらうよ」

 

 僕達の部屋は女子高宛らの寮の一角に用意されていた。

 ちゃんと個室トイレも完備されている。

 交代でシャワーを浴びて一息吐いた。

 

「一夏、インスタントだけど珈琲飲むかい?」

「おう、飲む」

 

 僕達は日中の疲れを癒すためにゆっくりと寛いでいる。

 

《コンコンコン》

 

「誰だ?」

「は~い、今開けます」

 

 僕が扉を開けると見慣れた女性が二人立っていた。

 思わず扉を閉めて深呼吸した。

 

「ちょっと、人の顔見て引っ込むなんて酷いじゃない」

「お姉ちゃんにそんな態度とっていいのかな?」

 

 扉越しに抗議の声と詰問する声が聞こえてきた。

 

 僕はため息混じりに再び扉を開いた。

 

「いらっしゃい。紫乃姉、かた……じゃなかった、楯無さん」

「「お邪魔します~♪」」

 

 二人はラフな格好で微笑みながら男の部屋へと無防備に入ってくる。

 まあ、二人に襲い掛っても返り討ちが関の山だ。

 でも紫乃姉なら逆セクハラしてくる可能性があるんだよね。

 

「いらっしゃい、紫乃さん。それに刀奈さん」

「一夏くん。私の事は楯無って呼んでね」

「ああ、そうでしたね。すいません、楯無さん」

「それで何の用なの?」

 

 僕は二人にインスタント珈琲を手渡しながら尋ねた。

 

「えっとね……二人とももう入部する部活決めたかな?」

 

 楯無さんは覗き込む様に見詰めながら訊ねてきた。

 

「ええ、俺は剣道部に入部届けを出しました」

「僕はまだだけど……もしかして……」

 

 

 僕は嫌な予感がして顔を引きつらせてしまった。

 

「良かった~♪ お姉ちゃん命令で刀也を生徒会庶務に任命します」

 

 紫乃姉はにこにこと微笑みながら庶務の腕章を差し出した。

 

「一応聞くけど、拒否権はあるのかな?」

「「ないわよ♪」」

 

 二人とも眩しいほどの笑顔で拒否してくれた。

 

「とほほ……分かりました。謹んでお引き受けします」

 

 僕はがっくりと項垂れながら腕章を受け取った。

 

「じゃあ、早速明日の放課後からお願いするわね……お邪魔しました」

「それじゃお休み……チュ♪」

 

 紫乃姉は僕の頬にキスをして去っていった。

 僕は頬を押さえて呆然と立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 朝、日課のジョギングを一夏と共に行った。 

 途中で同じくジョギングをしていた紫乃姉と出会い、朝食を一緒に食べる約束をした。

 部屋に戻り一夏と交代でシャワーを浴びてから食堂へと向かった。

 

 

 

 

 

 一夏は姉弟水入らずを邪魔するのは気が引けると箒さんと離れた席で食べている。

 鈴ちゃんと簪ちゃんは僕と同席したがっていたが、紫乃姉がやんわりと断っていた。

 仕方なく二人は本音ちゃんを伴って一夏達と同じ席で食べている。

 

 そして甘い地獄の一時が始まった。

 

「はい、あ~ん♪」

「ちょっ!!? 紫乃姉!! 自分で食べれるから……」

 

 紫乃姉は嬉しそうに僕の世話を焼いてくる。

 僕は結局折れて紫乃姉に食べさせてもらった。

 

 久し振りに逢った分紫乃姉のブラコン度が増しに増している。

 

「あ、ご飯粒が口元に付いてるよ。ペロリ♪」

「ほぇっ!!?」

 

 紫乃姉は僕の口元を舐め取り嬉しそうに微笑んでいる。

 僕は顔を真っ赤にして固まってしまった。

 

《ガシャ~ン!!》

 

 鈴ちゃんと簪ちゃんの席から食器を落とした音が聞こえてきた。

 そちらを見ると鈴ちゃんが一夏に羽交い絞めされていて、簪ちゃんは本音ちゃんに慰められていた。

 

「はっ、放しなさい、一夏ぁ~!!」

「おっ、落ち着け鈴!! あれは姉弟のスキンシップだから!!」

「かんちゃん、ファイト~」

「……あの二人は姉弟。そう姉弟だよね。だからノーカンだよね?」

 

 見られた!!

 見られてしまった!!

 ここはもうお婿にいけないって呆けるところかな?

 

 僕は現実逃避をするしかなかった。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 放課後。授業を終えて荷物を整理していると本音ちゃんが声を掛けてきた。

 

「やっほぉ~つっきー一緒に生徒会室行こう~」

「良いけど……もしかして本音ちゃんも役員になったの?」

「うん~書記になったよ~」

 

 僕達は連れ立って生徒会室を目指した。

 

 

 

 

「こんにちわ……」

「こにゃにゃちわ~」

「あら、今日の新聞の一面を飾った片割れがやっと来たわね♪」

 

 楯無さんが『愉快痛快』と書かれた扇子で口元を隠しながら含み笑いをしている。

 

「何の事ですか?」

 

 僕は嫌な予感がして一歩後ずさった。

 

「はい、捕まえた♪」

 

 そこには気配を消していた紫乃姉が居て抱きしめられた。

 

「はい、これ……良く撮れてるわね」

 

 紫乃姉が後ろから広げた学校新聞には『スクープ!! 生徒会副会長とその弟の禁断の恋!!』と書かれた記事が掲載してあった。

 しかもばっちり口元を舐められているシーンの写真がでかでかと載っていた。

 

「まったく生徒の模範となるべき生徒会副会長が何をしているんですか」

 

 虚さんは額を押さえながらため息を吐いている。

 

「何って姉弟のスキンシップだよ、虚ちゃん。これで刀也に寄って来る女狐を牽制出来るしね」

 

 紫乃姉は悪びれた様子も無く僕に抱きついている。

 

「あら、簪ちゃんも女狐って事かしら?」

「簪ちゃんは確かに良い子だけど、今のままじゃ刀也のお嫁さんには相応しくないかな」

 

 楯無さんと紫乃姉は静かに、だが力強い眼で見詰め合っていた。

 

 

 

 

 

「そう言えば刀也くんと一夏くん、イギリスの代表候補生と決闘するんですよね」

 

 虚さんが話を変える様に尋ねてきた。

 

「相手は第3世代兵器のBT兵器搭載型の射撃を主体とした機体だけど勝算はあるの? 刀也のISって私のと同型機で接近戦から中距離戦用の機体よね」

 

 紫乃姉が僕に抱きついたまま耳元に囁く様に尋ねてきた。

 

「まあ、大丈夫だよ……でも楯無さん、よろしければ僕と一夏がアリーナーを優先的に使える様に配慮をお願いします」

「分かったわ。その辺は融通しましょう。今度刀也くんのシュークリームをご馳走してね」

 

 楯無さんはウィンクをしながら交換条件を言ってきた。

 

「僕の拙いシュークーリームでよければ喜んで」

 

 僕は苦笑しながら答えた。

 

 

 

 

 

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