BLACK★ROCK SHOOTER -Wishing on a STAR-   作:アカ狐

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革命戦争

民衆が引き起こし、現在の革命政府が政権を握るきっかけとなった戦争
これにより国王の死から10年続いた王国軍による軍事政権が倒れることとなる。
その戦争を勝利に導いたとされる12人の人間を政府の人間はゾティアックと呼んでいる



ゾディアック

革命戦争で最も戦果を上げた12人の総称
通り名として幻獣の名前を冠している。
キングキルの命令を直接受ける革命軍の最高戦力であり、
一人だけでも並外れた強さを持っている。








三章 ~Under Water Wanderer~ 4

 

 

 

 

首都グランドセントラルの誰にも知らない場所で、二人の男が話をしている。

一人は王城内で10の席に座っていたあの老人だ。もう一人はその彼よりずっと若い。

老人は男に問いかける。

 

「それで?どこまで情報は掴んでいるんだ?」

 

「はい。ギュスターヴと接触しまして、そこでなにやら奇妙なことが起こりまして」

 

「奇妙…?」

 

「えぇ、“彼”の言葉でギュスターヴが一瞬ですが、行動を停止してしまったようで…あの娘に頭部半分を潰されてしまいました」

 

男の言葉を聞いて老人は耳を疑った。

右手に握られた杖に力が入ったのを見て、男は金縁のメガネを掛けなおす。

 

「ですが、ギュスターヴの追跡からは逃げられません。必ずや捕まえてみせます」

 

「ククク、頼むぞ……」

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

アレス達が浄水施設に着くころには見張りが付き、付近の立ち入りを完全に禁止されてしまっていた。

道路には浄水施設から溢れた水が流れ出ていてまるで川のようだとハンドルを握るアンドレは思った。

 

ユナは先ほど急発進した際に思い切り頭をぶつけたらしく、不機嫌そうに運転席の背もたれに足を乗せている。

アレスが車内から様子を見ている中、口を開いたのはユナだった。

 

「で?これからどうするんだ?こんなところにあの子達がいるとも思えないけど?」

 

不機嫌そうな口ぶりだが、もっともな発言だとアレスは思った。

近づいて確認することもままならない以上、トト達の安否を確認することは不可能なのはアレスも分かっているが、

 

いつまでも彼と合流できずにこのままと言うわけにもいかない。

手に持っていたままのトトが落とした拳銃を懐にしまい、車のドアを開けた。

 

「君達まで捕まる訳には行かないしな。ここからは私一人で行こう。色々と世話になった」

 

「お、おいおい…!」

 

そう言ってさっさと降りてしまうアレスをアンドレは止めようとするが、

アレスはそれを聞かずにドアを閉め、フードを深く被り直すとさっさと雨の中を走り去っていった。

 

「…なんだよわけわかんねぇな、どうすンだよオッサン」

 

「…このままは流石に締まりが悪いよな?」

 

「お、おいまさか付き合うつもりか?」

 

「お前だってあの少年が無事かどうかくらいは見たいだろ?」

 

アンドレの問いかけにユナは言葉を詰まらせた。

事実ユナ自身も二人の事が心配だったからだ。

 

「……あの子達の無事を確認しに行くだけだからな」

 

「あいよ」

 

アンドレはユナの言葉にそう答え、車を発進させた。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 

トトは道が分からないが、止まるわけにもいかず道なりにしばらく歩いていると、通路に設けられた電灯ではない別の光を見つけた。

何だろうと思い近づいてみると、そこから雨水が流れ込んできているのだ。

トトはそれが道路の雨水をこの地下水路に流している雨水口だと気づいた。

 

(ここから出られるかも)

 

そう思ったトトだったが、出てきたところを見つかっては元も子も無くなると考え直した。

考え込む彼の背中を見てステラが口を開いた。

 

「トト、出ないの?」

 

「えっ?あ、えっと…、出ようとしてるところを見つかったらって思うと……」

 

「???、私がいるから問題は無いと考える」

 

「え、えぇっと…そうじゃなくて……ステラを信用してないわけじゃないんだけど…」

 

トトはなるべく先ほどのような建物を壊すような大きな事にするのを避けたいのだが、

それをステラにどう説明をしたら良いのか思いつかず、言葉に詰まってしまった。

 

その時だった。

雨水口の向こう側、地上で銃声が響いた。

トトは咄嗟に身をかがめ、ステラはトトの前に立ち地上の様子に耳を澄ませる。

 

「黒服は27番通りに逃げ込んだぞ!挟み撃ちにして捕まえろ!」

 

「アイツは擲弾筒を持っているぞ!狙撃兵は先回りをして奴を狙い撃て!」

 

ブーツの足音と会話の内容を聞いた二人は真上は民兵隊が居て、雨水口からの脱出を無理だと判断し、先に進むことにした。

先に進むうち、トトはあることに気が付き足を止める。

 

それはステラも同じで足を止め、通路の向こう側を見つめた。

トトは耳を澄ませ、水流の音の他に混ざる“音”を探すために聴覚を研ぎ澄ませる。

 

“コツ、コツ”

 

水流に混ざって水路を歩く足音が響いている。

一人や二人ではない、明らかに複数人で歩いている音だ。

二人は壁に背中を張り付け、身を屈める。

 

「先発隊から報告があったというのは、この区画か?」

 

「間違いない。ここを通ればあの吹っ飛んだ浄水場に繋がるはずだからな」

 

(まずい)トトは思った。

民兵隊の捜索がここまで来ていて、自分たちが向かっている先から彼らは向かってくるのだ。

この状況を打開できる方法をトトは考える

 

「トト」

 

「な…何…?」

 

ステラに耳元で囁かれ、こんな状況なのは承知のはずなのにトトは思わずどきりとした。

すぐに首を横に振って平静を取り戻すも、やはりステラとの距離感に戸惑いはなくなりそうもない。

 

「考えがある、このまま聞いてほしい」

 

「う、うん……」

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

“ザブン”

 

通路を歩く足音が一斉に止まる。

 

「おい!音がしたぞ!」

 

「ライトを照らせ!!」

 

何かが飛び込む水の音を聞いた兵士たちは手持ちのライトで道を照らした。

そうして音のした方向へ走っていくうち、うずくまる人影を見つけて立ち止まる。

 

「おい!ここで何をしている!手を挙げてゆっくりと立て!」

 

先頭を走っていた一人が突撃銃を向ける。

トトはゆっくりと手を挙げて立ち上がった。

 

次の瞬間、水の中に隠れていたステラが大砲を撃ち、やってきた数人を一発で吹き飛ばす。

兵士達は爆風で水の中に落ちる者やその場に倒れこんでそのまま動かなくなった。

 

「…ごめんなさい、捕まるわけにいかないんです……」

 

トトは兵士たちに向けてそう呟いた。

ステラは水から上がって彼の手を握る。

トトは一度目を閉じて、空いている手で小さく十字を切ってからステラを見た。

 

「行こう」

 

「うん」

 

彼女の言葉にトトは一度頷いて、再び歩き始めた。

通路の突き当たりに出ると、【⇐点検用出入口】と書かれた案内表示板に見つけた。

 

「やった、ここからどうにか外に出られるかも」

 

「外に出たら、まずはどうする?」

 

「えっと…とりあえずアレスさんと合流しないとね」

 

ステラの問いにトトは答える。

その声にはようやく外に出られるという安堵があった。

しかし水流の音に混ざる水音に違和感を感じたステラは、迷わず進もうとするトトの肩を掴んで歩みを止めさせた。

 

「わっ!、何!?」

 

「しっ」

 

トトは振り返るが、すぐにステラに制される。

左目に炎が灯ったのを見たトトは彼女が何かに気が付いたのだと思ったのと同時に、

その “何か” を目で見てしまった。

 

水路の向こう側に赤い光を見たのだ。

トトはすぐに先ほど出会ったあの怪物を思い出した。

 

「ステラ!走って!!」

 

トトは一目散に出口を求めて走り出す。

通路の途中に出口と思しき扉を見つけたトトはドアノブに手をかけ回すが、

押しても引いても扉が動かない。

 

「!?なんで!!」

 

「トト、離れて!」

 

ステラに言われトトは扉から離れる。

彼女は大砲を出すと、扉に向けて一発撃ちだした。

 

「急いで!」

 

ステラに言われるがまま、周りの壁ごと吹き飛ばされた扉の先へトトは進む。

さらに梯子を登ってすぐに扉にぶつかり、その扉を迷うことなく開くと外に出られた。

外ではやはり雨が降り、黒い雲のせいで余計暗く感じた。

 

誰も居ない通りに不気味さを感じると同時に安心した。

懐中時計に目をやると午後の5時を回っている。

トトは自分が思っているよりも長い時間をあの水路の中で過ごしていたのだと思った。

 

「トト、まずは何処へ向かおうか?」

 

ステラの言葉にハッとしてトトはどうしようかと考える。

自分自身まず此処が工業都市の何処であるかさえ把握をしていないのだ。

トトは周囲を見渡す。何か現在位置が分かる目印を探してみるが、いまいちハッキリとするものが見当たらない。

 

「こっちにも黒服がいたぞ!!」

 

トトの後ろの通りから声が聞こえ、振り返る。

民兵隊だ。見つかったとトトは思った。

 

「トト、こっち」

 

「え、うわっ!?」

 

ステラに手を掴まれ、勢いよく引っ張られたかと思うと、そのまま抱きかかえられてステラは高く飛び上がった。

そのまま屋根まで飛び、屋根伝いに大きくジャンプしていく。

高く飛ぶ感覚にトトは目を回すが、首を振って気を持ち直す。

 

しかし彼の目に不穏な白い影が映った。

見間違いかもしれない、まさかと思ったトトはその場所をもう一度見る。

 

「ステラ!!」

 

トトの叫びにステラは大砲を抜くが、一歩及ばず弾丸を弾くだけに終わった。

弾かれた紫色の光弾は高い煙突に直撃し、大きな穴を開けた。

ステラの目に炎が灯る。その視線の先には、

 

ケルベロスに跨る。狙撃銃の少女がいた。

 

「……ブラックロックシューター。次は、仕留める」

 

 

 

 

 

(続く)

 

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