BLACK★ROCK SHOOTER -Wishing on a STAR- 作:アカ狐
装甲列車
民兵隊が保有する鉄道兵器
文字通り装甲で覆われた列車で、前面のラッセルが最大の特徴
機関銃などで武装されている。
重量増加によるエンジンの負担の関係で3輌編成にとどめられている。
スレイプニルによって列車から投げ飛ばされたステラは宙を舞ったが、
地面に落下する刹那、左手で大砲を抜いて地面に撃ち込み、その反動と爆風で飛び上がった。
しかし、バイク部隊の四人がそれに気がつき、車体をターンさせると槍を構えて彼女目掛けて投擲する。
ステラは右手で剣を抜き、飛んできた槍を弾き飛ばす。
バイクはステラが着地してきたところを狙って四人の騎兵たちが槍を持って突撃を開始した。
スレイプニルの騎兵部隊 “ スタング ” の突撃戦法だ。
迫りくるバイクの轟音と車体に大抵の者は恐れおののき、逃げ惑うしかなくなる。
体勢を低くし、ステラに狙いを定めた彼らの槍の切先がステラの体を貫こうとした瞬間、
ステラは剣と大砲で巧みに全ての槍を受け流しきってみせた。
そして、大砲を大きく振って、三人のバイクを破壊する。
「ぐぁあああ!?」
カウルと前輪とフォークを破壊されたことと、その反動で三人は吹き飛ばされて、その場に倒れこんだ。
「わぁあああ!?!?」
そのうちの一人が頭上へ落下するバイクに悲鳴をあげた。
それを見たステラは咄嗟に砲撃でそれを吹き飛ばす。
最初の攻撃をかわした一人は彼女のその行動に驚き、動揺した。
「何故だ!?何故アイツを助けた!?今まさにお前を殺そうとしてたんだぞ!?」
「……」
騎兵はステラに疑問を投げかける。
ステラは答えた。
「トトが嫌がると思ったから」
「舐めるなよ…!」
眉一つ動かさない彼女にそう言って、
騎兵の男はフルスロットルで跳ね馬のようにバイクをウィリーさせると、
槍を構えなおしてステラに向かって突撃を開始した。
確実に心臓を突き刺して殺すことに男は全ての神経を注いだ。
眼球に血液が集まって膨れ上がるような感覚を覚えながらバイクのアクセルは一ミリも緩めることなく、ステラに突撃し槍を突き出した。
“ ガキィイインッ!!! ”
しかし男の槍は叩き切られ、その反動で男は宙を舞い、そのまま地面に転がった。
バイクは乗り手を失い、横に倒れてけたたましい音が響く
男は打ち所が悪かったらしく、立ち上がれずにその場で激しく咳き込んだ。
「…ぅっ、げほっげほっ!…ごほっ!」
ステラはほぼ無傷で横倒しになったバイクを起こして跨る。
「な、…ま、待て!」
男の言葉にステラは一瞥して男の目を見た。
「ユイト・サーズデイ…!俺の名だ!次は負けんぞ!ブラックロックシューター!!」
「……。」
ステラはその言葉に答えることなくバイクを発進させた。
引き離された列車に追いつくために。
そしてユイトと名乗ったその男の目の前を、三両編成の列車が通り過ぎた。
ステラは線路を沿うようにバイクを走らせ、列車に追いつきはじめたときであった。
後ろから追い上げてくるもう一つの列車に気が付いて振り返る。
彼女の目に映った列車の姿は異形であった。
先頭車両には黒く塗られた鋼鉄のラッセルがまるで船の船首を思わせた。
全ての車輛が鉄板で覆われ、砲塔に取り付けられた機関銃の銃口は彼女に向けられていた。
「見つけたぞ!黒服!!」
列車に取り付けられたスピーカーから声が響く。
それは民兵隊が保有する装甲列車だった。
工業都市からステラ達を追跡するために猛スピードで追い上げてここまでやってきたのだ。
「ガキの前にまずはお前からだ!!」
列車の屋根から民兵隊がライフルで発砲してくる。
ステラはさせまいと大砲で列車の破壊を試みる。
しかし、
“ ガンッ!! ”
「弾いた…!?」
「無駄だ!たとえ17ポンドの砲弾でもこの装甲は貫けん!!」
砲弾はラッセルに弾かれ、遠くの方で爆発した。
後ろの車輛に取り付けられた機関銃がステラの乗るバイクに狙いを定めた。
けたたましい銃撃音と弾丸の雨霰が彼女に襲い掛かる。
ステラはバイクを線路の上に乗り上げさせて銃撃から逃れる。
しかし列車は更に加速して、彼女ごとバイクを轢き潰そうとする。
ステラはバイクの上で立ち上がりそのまま高く飛び上がった。
バイクがラッセルに弾き飛ばされ、破壊されてしまう中、ステラは空中で自らの足先に魔法陣を展開した。
「浮揚術式、展開」
ステラはそう言うとそのままその魔法陣を足場にして蹴り上げると、列車に向かって一直線に飛んでいった。
装甲列車に乗った兵士達は、一連の動作の速さに呆然とした。
「隊長、今のは…!?」
「あのガキ…魔術も使えるのか…これは面白い。列車を加速させろ!あの貨物列車は破壊しても構わないと通達が来ているからな!」
「は、破壊…ですか?」
一人の民兵が狼狽えた様子で部隊長に言った。
部隊長は彼のその態度に苛立ちを見せた。
「聞こえなかったのか!早くしろ!!」
「しかし」
“ ズドンッ!! ”
車内に響いた銃声。
部隊長に思いとどまらせようとした民兵は、
頭から血を流し、その場に倒れてピクリとも動かなくなった。
兵士達は怯えた。
部隊長が自分の部下の頭目掛けて鉛弾を叩き込んだのだ。
怯えるなという方が、無理な話だ。
「早くしろ!!」
「は、…はっ!!」
(続く)