BLACK★ROCK SHOOTER -Wishing on a STAR-   作:アカ狐

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一章 ~STARTING DESTINY~ 2

町を出た二人は道なりにバイクを走らせていた。辺りには何もなく、浅く雪が降り積もった原風景と、電信柱と、一本道があるばかりであった。

風は冷たく吹き付け、手袋をしていてもハンドルを握る手がかじかむ。地図は持っていたが、首都までの道なんてトトには見当もつかず、

「これからどうしよう」

という気持ちをただただ誤魔化すために、目の前の道を走っていた。そうしてしばらくバイクで走っていると一件のガソリンスタンドが見えた。

トトはガソリンの残量が少ないことに気づき、一旦そこで休むことにした。

スタンドに入ると、無人らしく、中の売店に小さいテーブルが二つと椅子が二つずつあるのが見えた。バイクを停めて降りたところでステラに声をかけられる。

 

「トト、どうかした?」

 

「ガソリンがもう無いんだ、給油しないと」

 

「がそりん...?きゅうゆ...?」

 

ステラは不思議そうに首をかしげる。

 

「燃料のことだよ、エンジンを動かすための」

 

「ねんりょう?...えんじん...???」

 

ステラが顎に手を添えて首を捻る。

 

「え、えっとね...このバイクはガソリンっていう燃料で動いてるんだ。だから定期的にこういうところに来て燃料を補給しないといけないんだよ。」

 

「...?......そう...。」

 

「す、すぐ済むから少し待ってね...」

 

「分かった。」

 

トトは給油機に銀貨を入れて燃料タンクの蓋を開け、給油ノズルを差し込み、ガソリンを入れる。

5分ほどで燃料タンクは満たされ、トトは蓋をする。

 

「ちょっと中で休まない?少し考えを整理したいんだ。」

 

トトの問いかけに、ステラは小さくうなずいた。売店に入ると、中に置かれたガスストーブのおかげでかなり暖かい。

レジカウンターに置かれたラジオからは音楽が流れている。妙なことに店員の姿はなかったのだが、トトはそれ以上に部屋の暖かさに安堵していた。

 

「はぁぁぁ...寒かったぁ......」

 

トトはそう言いながらストーブの前にしゃがみこんで、暖を取りはじめる。

 

「...?トト。」

 

ステラに声をかけられ、トトは彼女に聞きたいことが山積みなことを思い出す。

 

「あ、その...ステラ、ずっと聞きたかったんだけど...その...」

 

「何?」

 

「君はいったい何者なの?」

 

トトの質問にステラは口を開く。

 

「私は、試作量産型人造バイオロイド、ブラックロックシューター。10年後、つまり現在の貴方を守るようプログラムされている。」

 

「だ、誰がそんなことを...?それに、僕が民兵に狙われる理由だってわからないし...」

 

「......それは私も詳しくは分からない。プログラム以外のことは分からない。」

 

「...でもそれじゃ僕は君のこと信じられないよ...。もっとこう...」

 

「信じて。」

 

ステラのその真っ直ぐな瞳と言葉に、トトは思わず答えに詰まる。

そうして参った、と言いたげに頭を掻いて

 

「分かった、信じる。」

 

と言ったのだった。

 

「とはいえ、こういう形でしか貴方を助ける事しか出来なかったことや、説明が不十分なことに関しては申し訳ないと思っている。」

 

「そ、そんなこと...、...?」

 

「...トト?」

 

トトはそんなことはないと気を遣おうとしたが、ようやくこの部屋の違和感に気がついた。

部屋にはステラと自身だけ。

それ以外の音はストーブの火とラジオの音楽だけ。

 

「...お店の人、どこ?」

 

そう、ここには二人以外誰も居ないのだ。

そう思った矢先、キィとドアが音をたてて少し開いた。

その隙間から荒い息遣いと、唸り声が微かに聞こえてきて、ステラの目付きが変わる。

 

「...トト、下がって。奥に“何か”がいる。」

 

「な、何って」

 

トトが口を開いた次の瞬間だった。

勢いよく戸が跳ね開けられ、その音に驚いたトトの前に“何か”が現れた。

赤い目を光らせレジカウンターを飛び越えたそれは体を捻って向きを変え、獅子の如くトトに飛びかかる。

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「ギャウッ!?」

 

ステラは大砲を出し“何か”がトトにその爪と牙を立てる前に撃ち抜いて吹き飛ばす。

何かはガラスを突き破って地面に転がり、仰向けに倒れて動かなくなった。その体からは撃ち出された岩石の炎が燃え移って揺らめいている。

そしてその正体がはっきりと分かったとき、トトは戦慄した。

“何か”は全身を毛で覆われていて顔はよく分からなかったが開かれた口から覗く歯には血がベットリとついていて、骨格は肉食獣のそれに近い。奇妙なことにそれは人間の服を着ていて、胸元には今二人がいるスタンドの名前がかかれた名札を付けていた。

 

「ひ、...人......?」

 

「私にも何かは分からない。でも、人間だったのは確か。」

 

ステラは静かに答える。

どちらにしろトトはこんなところにもう居たいと思えるわけがなく、慌てて店を出ようとして、一度立ち止まる。

 

「...トト?」

 

「...」

 

トトはガスストーブを止め、売店の棚から飲み物とチョコレートを取って、カウンターに銀貨二枚を置いた。

そしてそれを鞄にしまい、ステラを見る。

 

「行こう。」

 

ステラは頷く。

二人は店を出てバイクに跨がり、トトはエンジンをかけ走らせ始める。

誰も居なくなったスタンドの割れた窓から風が吹き込み、カウンターに置いてあった新聞がめくれる。大きい一面の見出しにはこう書かれていた。

 

“各地でクリーチャーが出現!原因不明、現在調査中”

 

 

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