BLACK★ROCK SHOOTER -Wishing on a STAR- 作:アカ狐
ストレングス
ゾディアックの六番位。
小柄な見た目の寡黙な少女。
戦争や軍人を憎んでおり、逃げ延びた軍の残党や反乱分子、
敵対の意思を持つ者達には容赦がない。
専用の可変式鋼鉄剛拳“Orga Arm”を武器に力任せの破壊に近い戦いをする。
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役所のいくつもある窓口では、職員が様々な要件の応対を行っていた。
ステラは長椅子に腰掛けながら、遠くの椅子に座っている子供を見ていた。
歳は10歳くらいだろうか。乳母車の中で眠る赤子と、窓口に居るであろう母を交互に見ていた。
少しして、母親が子供のもとに戻って、何やら話をしていた。
ステラはその家族の会話に耳を向ける。
「メアル、いい子にしてた?」
「うん!リリエラも泣かなかったよ!」
「ふふふ、偉いわね」
そう言って我が子の頭を撫でる母親の姿をステラは見つめていた。
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「すみません、ご本人の委任状が無い場合はそのような申し出は受け付けはご遠慮させていただいておりまして…」
役所の窓口でトトはまたも出鼻をくじかれてしまっていた。
しかし無理もない。いきなりやってきてトリュー・ゲオルクの戸籍を見せて欲しいなどと言う申し出は断られるのは目に見えていた。
しかし来た以上、すぐには引けずに無理を承知で食い下がる。
「すみません、どうにかならないでしょうか?どうしても何処に行ったかを知る必要があるんです…!」
「申し訳ございません、規則ですので…」
窓口で頭を下げる気弱そうな女性の気まずそうな言葉にトトは諦めて踵を返した。
ステラは良いの?と問いかけるが、トトはいいよ。とだけ言った。
そうして役所を後にしようと扉に手を掛けたときだった。
「ねえ、貴方…先生を探しているの?」
「え?」
急に声を掛けられ振り向くと、二人の男女がそこに居た。
歳はトトよりも五つ程上だろうか。
しっかりしてそうな女性の隣で、髪に寝ぐせがついたままの男性があくびをしている。
女性は「ちょっと!」と男性を小突いてからトトに向き直る。
「いきなりごめんなさい。私も先生のことを探そうと思ってここに来たの。良かったら協力してあげる」
「え、えぇっと…」
いきなりの申し出にトトは困惑した。
しかし渡りに船だとも思った。このチャンスを逃す手はない。
「お、お願いします!」
「決まり!じゃあちょっと着いてきて!」
女性はそう言って軽快に歩き出し、トトは慌てて着いていく。
男性が「えぇ?まだ名前も聞いてないのに…」と言う言葉に「そんなの後後!」と女性が答えるのを後ろから見ながら歩くトトの肩をステラが叩いた。
「トト、信用して大丈夫?」
「この人たちを今は頼ろう。もしものことがあったらまたお願いすると思うけど…」
ステラは「…うん、わかった」と頷いてトトの隣を歩いた。
手がかりを掴むため、トトの足取りは先ほどよりしっかりとしたものだった。
そうして二人の後ろをトトが歩いていたときだった。
「オイそこのお前!止まれ!!」
後ろから声を掛けられ、トトは振り返る。
民兵だ。「そうだ、お前だ。持っているものを見せろ」と言いながらトトを指さして近づいてくる。
持っているものと言うのはトトが、肩にかけている猟銃のことだろう。怪しまれることを避けるため、トトは布に包んで隠していたのだが、気休めでしかなかったかとトトは焦った。
「ちょっと待ってください!」
しかしステラよりも先に前を歩いていた二人がトトを庇うように前に出た。
民兵隊はその二人に銃を容赦なく向けて言った。
「邪魔をするな!妨害行為で逮捕するぞ!」
「この人は人を探していて、私達が手を貸しているんです!何の罪もありません!」
「貴様らも仲間か!全員膝をつけ!」
女性の言葉に耳を貸さない民兵は銃を下ろさずに言った。
トトや男性は女性を制止させるが、負けじと引く様子を見せない。
このままではまずいと思ったトトだったが、その様子を見てステラが動いた。
「彼らに罪はない。私達も何もしてない。貴方達に何も疑われることはしていない」
三人を庇うように手を広げて真っ直ぐな瞳を向けるステラに、兵士たちは狼狽えた。
そのまま睨み続けるステラの様子に兵士は「もういい、行け!」と言って去って行った。
面倒くさがったのか、
あるいは怯えたのか、
答えはトトにはわからなかったが、とりあえずの安心に息をついた。
その後ろから女性がステラに声をかける。
「なんだかよくわからないけど…ありがとう!えっと…」
「…?」
女性が名前を聞いていなかったことに言葉を詰まらせたのを見て、ステラは首をかしげたのを見て、慌ててトトは助け船をだした。
「あ、この子はステラって言います。僕はトトです」
「ステラちゃん凄いじゃない!カッコいいよ!私マイっていうの!トトくんもよろしくね!」
「…ナミマ」
二人からそう言われトトは帽子をとって一礼した。
ふと視線に気づいたトトが目をやるとステラがジーーっと見つめている。
「……ステラ?」
トトが首を傾げるとステラは言った。
「トト、私もやれば出来る」
「え?うん…」
「私、えらい?」
「あ…」
ここでトトはステラがどうして欲しいのかが分かって、
「うん。ステラはえらいよ。ありがとう」
と言ったのだった。しかしステラはトトの手を掴み、自分の頭に乗せてから
「トト、もう一回」
ステラにそう言われ、トトは恥ずかしいなと思いながらももう一回。
「ステラ、ありがとう」
と彼女の頭を撫でながら言った。
ステラは満足げに目を閉じる。
自分の胸の奥に暖かくなる何かをステラは感じた。
「さあ、行くよ!学校はもうすぐそこだから!」
「はい!」
マイの言葉にトトは頷いた。
そうしてホーリー・ウッド大学校に着いたトトは二人に案内され、トリューの研究室の前に来た。
しかしドアノブを捻り、マイが頭を抱えた。
「あちゃー…先生やっぱり鍵掛けていったみたい。ここまで来たのにごめんなさい」
謝るマイにトトは慌てたが、ナミマがドアの前に立ちガチャリと鍵を開けた。
それを見てマイは驚いた表情でナミマを見た。
「え!?なんでナミマが鍵持ってるのよ!?」
「教授から合鍵を借りてたんだ。提出物をいつでも出せるようにって」
そう言ってナミマは研究室の扉を開けた。
そして部屋に入った彼らが見たのはトリューが使っている机に腰掛け、分厚い書物を読みふける一人の少女。
白いセーターに、ピンクのスカート、花の髪飾りに、大きな白のキャスケット帽、
整った容姿に赤縁のメガネと赤い瞳が印象的な少女だった。
少女はトト達を待っていたように彼らに視線を映し、口を開いた。
「あら、随分遅かったわね?」
トトは少女の顔を見て驚き、ステラを見て、もう一度少女を見た。
思わずぽつりと呟いた。
「…ステラに…似てる……?」
似ていたのだ。
目の前の少女は、髪や瞳の色が違うが、その容姿がステラに瓜二つだったのだ。
(続く)