BLACK★ROCK SHOOTER -Wishing on a STAR- 作:アカ狐
「渡さない??」
“ガギイィ!”
金属の摩擦音を鈍く響かせ、デッドマスターは鎌を振り抜き、互いに距離を取り向かい合う。
表情一つ変えないステラに対し、デッドマスターもまた笑みを崩すことは無い。
「私以外にもう一人来てるのよ?ストレングス!」
彼女の言葉に応えるように二人の頭上を通過する一人の影、
その少女の体躯に不釣り合いな程巨大な鋼鉄の腕が目を引いた。
ステラは大砲を抜きその背中を狙う。が、
「あら?余所見?」
その行動を対峙している彼女が見逃すはずも無く、手に握られた大鎌に襲われて阻まれてしまう。
ストレングスを見送ったデッドマスターは、ステラに向き直り口を開く。
「さあ、続けましょうか。」
再び鎌と剣がぶつかり合い、火花が散る。
ステラはトトの言葉を思い出す。
それはストレングスの銃撃が止んだとき、
ステラはトトに言った。
「トト。私が時間を稼ぐから、トトは逃げて」
「…わかった。でも、絶対に無茶しないでね。かならず後で合流しよう」
「うん。絶対に戻ってくる」
ステラはトトと交わしたその言葉を反芻するように口にする。
「私は、絶対に、トトのもとへ戻る」
彼と交わした小さな約束は、力が湧いてくるのをステラは感じていた。
その力はそのまま彼女の剣撃にもあらわれてくる。
刃が交差する度に力強くなる太刀筋にデッドマスターの表情が曇る。
(なんなの……!この前とは何かが違う!)
何故かとステラを睨みつけ、気づく。
彼女の瞳に宿った青い炎に、少し紫がかっていることに。
その力の理由に思考を巡らせ、一つの答えが頭をよぎる。
「…まさか、インセイン化をしたの?」
デッドマスターの言葉に、ステラは表情こそ変えなかったが答える。
「…ジャンヌも同じことを言った。それは何?」
「あら?知らないの?おめでたい子」
クスリと笑うデッドマスターにステラの眼光が鋭くなる。
刃が交差し、火花が散る。
しかしその火花に、微かにだが紫の色が混ざる。
「何も知らない貴女の為に教えてあげる。インセイン化はね、あなたの負の感情によって発露するのよ。負の感情を溜めれば溜めるほど進行し、やがて元に戻れなくなるわ。」
「負の、感情…?」
デッドマスターはフフと笑い、
「化物になった貴女の手をあの子は握ってくれるかしら?」
「……ッ!!」
ステラは彼女の言葉を否定するように剣を振り、デッドマスターに追撃を仕掛ける。
デッドマスターは彼女の剣を抑えるものの、力負けをしているのか、後ろに大きくのけ反る。
ステラはその隙を逃さず一閃を放つが、刹那割り込んできた一人に攻撃を阻まれる。
大きな鋸と、ステラとも、ジャンヌとも違う真紅の炎を右目に宿す女性。
ゾディアックの四番位 “ ブラック・ゴールド・ソー ” がそこには居た。
「まどろっこしいのよ。こんなヤツ私がさっさと刻んでやるわ」
ゴールドソーはステラを押し飛ばし、鋸を振るい剣と激しくぶつからせる。
ステラの青紫の炎がさらに強くなる。
「退屈させないでよね、ブラックロックシューター」