蒼き薔薇と幽霊となった少年   作:遅筆戦士ハルトマン

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お久し振りです。バンドリキャラとのほほんとした話を書こうと思って書き始めた筈でしたがそんな気配が全くしません。


第1話

 

 

幼い頃、いつもの様に僕と姉、そして彼女の三人で外で遊んでいる時だった。躓いて転んだ僕に慌てて駆け寄る二人。泣き虫だった僕を励まして手を差し伸べる姉と彼女。転んだ僕は涙を堪えつつも左手を伸ばし・・・

 

次の瞬間、チャンネルを変えたように場面が変わり、僕は病院のベッドの上だった。突然襲いかかる全身の痛みに苦しみながら周りを確認すると、泣いている姉と母、落ち込んだ表情の父、そして呆然とこちらを見ている彼女と彼女の両親。唯一痛みを感じない左腕を伸ばそうとしたが、左腕は肘からその先が無くなっていた。それを認識した時、僕の意識は遠退いて・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・ラ・・・・・・・キラ・・・・アキラ!?」

 

姉の声で僕の意識は覚醒する。最初に眼に移ったのは見慣れた自分の部屋と、心配そうにこちらを見る姉だった。

 

「大丈夫アキラ!?うなされてたし、凄い汗だよ!?」

 

「ごめん、姉さん・・・あの時の事を夢に見て・・・」

 

心配をかけてしまった姉に謝りつつ、理由を話す。それを聞いた姉は悲しそうな顔をしていた。

 

「そっか・・・・辛いよね・・・・アキラ・・・」

 

あの時の事を思い出して落ち込む姉。左腕を失った当初の僕はショックで不安定だった。何よりも・・・彼女の力になれない事が、隣に立てない事が辛くてずっと泣いていた。当然、家族に心配ばかり掛けていたし、特に姉がそんな僕を見ていたから余計に心配させてしまったみたいだ。

 

「ごめん、時々思い出したりするけれど、僕はもう大丈夫だ。心配掛けてごめん、姉さん。」

 

僕は安心させる為に笑って見せる。意識して笑っているとは言え、無理に笑ってる様には見えないだろう。

 

「アキラ・・・」

 

「さて、心配させた僕が言うのも何だけど、そろそろ着替えて準備するから先に食べてて姉さん。」

 

「うん・・・・ねぇアキラ?」

 

姉は部屋を出る直前、僕の名を呼ぶ。

 

「もし何かあったら・・・私に相談してね。」

 

「わかった。頼らせて貰うよ、姉さん。」

 

そう言って微笑すると、姉は少し安心した表情を浮かべ、部屋を出ていった。

 

「駄目だな僕は・・・・」

 

一人になった後、僕は自分を責める。怪我だけじゃなく、高校受験の時にも散々迷惑をかけてしまった。家族には・・・・・姉にはこれ以上迷惑をかけたくない。

 

「しっかりしなきゃな・・・・・・」

 

僕は小さく、けれども強い意思を持って呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も友希那さんのバンドメンバー探しをしているが未だ加入者は居ない。けど情報は手に入ったので友希那さんとの帰り道で話していた。

 

「氷川紗夜・・・ね。」

 

ギターが上手く、色んなバンドを渡り歩いているという人物、氷川紗夜と言う人の話を友希那さんに伝えた。

 

「明日のライブで友希那さんよりも先に出るみたいだね。」

 

「そう・・・ならその時に聴いてみるわ。」

 

「うん。そしてバンドを組んでくれるか聞いてみよう。」

 

「ええ。」

 

そんな話をしている内に家の前にたどり着いた。

 

「それじゃあ友希那さん、お休みなさい。」

 

「ええ、お休みなさい。」

 

彼女が家に入るのを確認してから僕は深く息を吐く。

事故の後、ギターを持てなくなった僕は、彼女が"Further World Fes"に出場する為のサポートをする事に決めた。まずはメンバーを集めようとしていたが、なかなか集まらない。もしここで氷川紗夜に断られたら、今年の参加は厳しくなるだろう。

 

「加入してくれると良いんだが・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の不安は杞憂に終わってくれた様で、結果として彼女、氷川紗夜はバンドを組んでくれた。理由は友希那さんの歌声を聞いて本気なのが伝わったから。と言う事らしい。

 

「良かった・・・」

 

僕はホッと息を吐き、前で話している友希那さんと紗夜さんを見る。彼女が入ってくれたのは大きな進歩だ。そう考えていると、友希那さんと紗夜さんは今後の予定を話し合っており、後一人居れば参加できるが、ベース、ドラムのリズム隊とキーボードが欲しい。との事。

 

「なら僕はメンバー探しを続けるよ。」

 

明日から練習もしたいと言う二人に僕はそう提案した。残りの期間の事を考えると少しでも練習時間を増やせる様にしたい。

 

「そうね・・・お願いするわ、アキラ。」

 

「よろしくお願いします。」

 

二人から了承を貰い、明日からまずは情報収集をしようと決めた時に、こちらに向かってくる二人組の女の子がいた。

 

「あのっ。あの・・・・さっきの話って・・・・本当ですかっ?友希那・・・さん、バンド組むんですか?」

 

「そうね、その予定よ。」

 

少女の問いかけに答える友希那さん。すると少女は嬉しそうな顔をした後、こう提案してきた。

 

「・・・!・・・バンド・・・!!あ、あこっ、ずっと友希那さんのファンでした・・・っ!・・・だ・・・だからお願いっあこも入れてっ!」

 

少女のお願いに驚く僕達。いきなり加入希望者が居るとは思わなかった。

 

「あこ、世界で二番目に上手いドラマーですっ!一番はおねーちゃんなんですけど!だから・・・もし、もし・・・一緒に組めたら・・・!」

 

ドラムと言うのも問題ない。ただ、少女のこの発言が不味かった。

 

「ちょっとあなた、私達は本気でバンドを・・・」

 

「遊びはよそでやって。私は二番である事を自慢するような人とは組まない。」

 

紗夜さんの言葉を遮り、友希那さんがバッサリと切り捨てた。断られた少女はショックを受けている。

 

「行くわよ。」

 

そう言って立ち去ろうとする友希那さん達。少女の事を気にしつつも、歩いてく友希那さん達に付いていこうとしたその時、

 

「ま、待ってくださいっ!?お願いしますっ!!」

 

僕の右腕を掴み、尚も訴えかける少女。振りほどく事も出来るが、初対面の少女にそんな事をする気はないので友希那さん達に先に帰る様にお願いした。

 

「友希那さん、僕が対応するので、先に帰っていてください。」

 

「・・・・わかった。お願いするわアキラ。」

 

「すみません、お願いしますアキラさん。」

 

友希那さんと紗夜さんが帰っていくのを確認した後、涙目になりながら僕を離そうとしない少女と、困惑している付き添いの女性、そして僕だけとなった。

 

「・・・とりあえず、色々と聞きたいんだけど良いかな?僕は友希那さんのバンドメンバー探しをしている今井アキラ。」

 

僕はそう言って少女と女性の二人に自己紹介をした。

 

 

 

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