異世界から来るソルジャー   作:ライダーGX

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第16話 冒険と新人達の試練 前編

ゴブリンロードの襲撃を防ぎ、外側の脅威を排除したソルジャー達、その数日後、ソルジャー達は妖精弓手の報酬である冒険へと出向いていた。

 

とある森で、妖精弓手が大きな木の枝を飛び移りながら進み、後ろにいるソルジャー達の方に向かって叫ぶ。

 

「こっから進めそうよ~!登ってきて!」

 

「分かった」

 

そう言ってソルジャーはフックが付いたワイヤーを取り出し、それを木の根元に向けて投げる。

フックが木の根元に引っかかり、それにソルジャーは最初に登って、次の人の為に上で待つ。

 

最初に女武闘家がワイヤーを登っていく、やはり武闘派なのか楽々と登っていく様子にソルジャーは「当然か」と思う。

 

次に女魔術師がちょっとばかし苦労する場面も見られたが、難なく登ってくられた。

 

最後に女神官が苦しそうながらもワイヤーを登って行き、後ちょっとの所まで来た所で手を滑らせてしまう。

 

「あ!」

 

しかし咄嗟にソルジャーが女神官の腕を掴んで、落下を防ぎ、なんとか助かった。

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい…ありがとうございます。でもやっぱりちょっと鍛えたほうがいいんでしょうか?」

 

女神官は自分の体力の無さと筋力不足の事を呟く、それにはソルジャーは頭を傾げながら言う。

 

「うーん…無理に筋力は付けなくてもいいぞ? お前の場合は筋力をつけると逆に動きづらくなる可能性もあるからな」

 

「そうかしら?この子は逆に付けたほうが良いんじゃない? ドワーフの様な無骨な風になれとは言わないけど」

 

っとその言葉に鉱人道士はイラっと来て、妖精弓手と再び口喧嘩を始める。

その事に女武闘家がなんとかお責め様として、女魔術師は呆れてしまう。

 

「ほ~?これはなんと…」

 

「ん?」

 

蜥蜴僧侶の言葉にソルジャー達は振り向くと、そこには古く滅びた遺跡が立ち並び、その光景にソルジャーも思わず口笛を吹く。

 

「♪~、すげぇえ。こんな感じの遺跡は今まで見たことないな」

 

「でしょう!これがロマンよ!感動よ!冒険よ~!!」

 

妖精弓手は興奮しながらあちこち回っていく。しかしソルジャーは気になっていたことがある。

 

「だがなんでこの遺跡を選んだんだ? もっと凄い遺跡もあるだろうに?」

 

「それはだなかみきり丸、耳長はお主の為にゴブリンがおる遺跡を探したんじゃと」

 

「はっ?」

 

その言葉にソルジャーは思わず振り向き、妖精弓手に問いかける。

 

「おい、なんで俺が何時も何時もゴブリンばかり狩ってると思うんだ?」

 

「だ、だってそうでしょう! あんた何時もゴブリンゴブリンばっか言うじゃない!」

 

「アホか!俺はゴブリン以外の依頼はちゃんとしてるわ!おちょくってるのか!」

 

「イタタタタた!!おちょくってなんかいないわよ~!離しなさ~い!」

 

っとソルジャーは妖精弓手の両頬を引っ張って怒鳴り、それに妖精弓手は涙目になりながら暴れまわる、その光景に女神官はなんとか収めようとする。

 

そんな時に一体のゴブリンが草むらから出てきて飛びかかってきた。

 

「GRRRRRB!!!」

 

女武闘家達が咄嗟に構えようとした時に、ソルジャーが妖精弓手の両頬を離し、ブロードソードを抜いて、ゴブリンに向けて一閃する。

一瞬で斬られたゴブリンはその場で倒れこむ。

 

ゴブリンが出たことにソルジャーは目を細める。

 

「ん~…すでに俺達が来たことには気付いていたか…。消臭スプレーをかけていないからか、仕方ない…やるか」

 

っとソルジャーはブロードソードを左手に持ち、バスタードソードを右手に持ちながら進む。

妖精弓手も弓を構えてソルジャーの後に続き、女神官達もその後に続くのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして辺境の街、その地下水道では白磁の新人、新米戦士が見習聖女と共にジャイアントラットを討伐していた。

 

「はぁあ!!」

 

新米戦士が剣をジャイアントラットに向けて突き刺し、それにジャイアントラットは死んでいく。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…、や、やったか?」

 

「その様ね、さあ、証拠を持って帰りましょう」

 

「ああ、よっと…あれ?」

 

新米戦士は突き刺した剣が抜けない事に気づき、必死に剣を抜こうとしていた。

それに見習聖女が気づく。

 

「ちょっと、何してるのよ?」

 

「いや、ちょっと…剣が抜けなくなった」

 

「はぁ!?」

 

それに驚く見習聖女、必死に剣を抜こうとする新米戦士に何かが迫ってきて、それに気づく新米戦士。

 

「ん?何かが…」

 

新米戦士はそれに振り向くと、そこにはジャイアントラットとは別の魔物、ジャイアントローチがやってきた。

 

「「ギャアアアアアアアアアア!!!」」

 

ジャイアントローチの出現により新米戦士と見習聖女は思わずその場から逃げて行き、ジャイアントローチから去っていった。

その後、ジャイアントローチはジャイアントラットの死骸を食べて、その仲間達もやって来てその死骸を食べるのだった。

 

そのジャイアントラットの体には剣が残っていたのは言うまでもなかった。

 

 

 

そして辺境の街のギルドでは、報告に来た新米戦士と見習聖女が受付嬢に今回の事を話し、それには受付嬢は鼻を抑えたまま言う。

 

「今回の依頼はちゃんと証拠がないと達成しないので、それは達成出来ません、ですので報酬は…すいません」

 

「「はい…」」

 

「それと…、後で体を洗った方が良いですよ?」

 

「「はい…」」

 

二人は落ち込みながらその場を後にして、なんとかしようと考える。

 

「どうする…?」

 

「どうするもこうも…、武器がなくちゃ冒険出来ないし…」

 

「ああ~やめてよ?借金なんかするの…」

 

見習聖女は借金の事になると頭を抱える、だがそれを新米戦士はすぐに否定する。

 

「ちげぇよ!誰かに武器を借りられないかなって…て言うかなんで借金なんかするって思うんだよ?」

 

「お金無いでしょう?私達、それにこの前ソルジャーさんが出してくれた依頼の報酬は全部使ったじゃない」

 

「まあなあ…、それで良い防具が変えたんだけど…」

 

「それで、誰に借りるのよ…?」

 

「それな…」

 

新米戦士が考えてると、扉からソルジャー達が遺跡から帰ってきた。

 

「ああ~もう、結局遺跡の調査が出来なかったわ!本当に!」

 

「いや、元々お前が選んだ依頼だろう…」

 

「ゴブリンを選んだ耳長じゃからな」

 

「うっさい!!」

 

妖精弓手はぶつぶつ文句言いながらも受付嬢の元に行き、依頼の報告をする。

 

その際にソルジャーは「やれやれ」と呟き、鉱人道士は呆れながらも持っている酒を飲む。

 

そしてソルジャーは何やら考えている新米戦士と見習聖女の方に気付き、その様子を見て歩み寄る。

 

「ようお前ら、何してるんだ」

 

「あ、ソルジャーさん」

 

「どうも、実は…」

 

ソルジャーは新米戦士と見習聖女が困っていることを聞いていた。

勿論そこに女神官達もやって来る。

 

新米戦士の剣が依頼の討伐の際に地下水道に置いてきたまま戻ってきてしまった事を聞いて、ソルジャーは頼んだエールを飲みながら言う。

 

「ふ~ん…お前、多分ラットの骨に突き刺したな」

 

「え?骨に??」

 

「ああ、骨に刺してしまった剣はなかなか抜けないんだ。大抵の新人はそれで剣を無くしている、それで借金をする冒険者も居る」

 

「そ、そんなにですか?」

 

見習聖女はその事を聞いて唖然とし、新米戦士は何とも言えない表情をしていた。

そんな中でソルジャーはある事を問う。

 

「それよりもお前ら…、金なら俺が出した報酬が有るはずだろう? なぜ使わないんだ?」

 

「あ、いや、その…良い防具に使って」

 

っとソルジャーは新米戦士の言葉を聞いて、新米戦士の格好を見る、確かに良い鎧を身につけてはいたが、白磁の新人がそれを着るのにはちょっと早すぎる感じがした。

思わずため息を吐きながらガックシとなる。

 

「お前な…、まさか全部使ったのか?」

 

「はい…使いました」

 

「贅沢しすぎだろう!」

 

その事に思わず新米戦士は引いてしまう。無理もない、報酬を一気に使ってしまう冒険者はどこにもいない。

 

「全く…仕方ない、今回だけは俺のブロードソードを貸してやる」

 

「え!本当ですか!」

 

「ただし、今後報酬を無駄使いしないと約束出来たらな」

 

「あ、はい…。約束します」

 

「よし」

 

そう言ってソルジャーは自分の持つブロードソードを渡し、それを受け取る新米戦士。

 

「ありがとうございます!必ず返しますので! よーし!今度こそ行くぞ!」

 

「ああ!待ってよう!」

 

そう言って新米戦士と見習聖女はギルドを出ていき、またしてもソルジャーはため息を吐く。

女神官達はそれには苦笑いで見ていて、そこに槍使いと魔女が来る。

 

「なんだ?あいつ剣を無くしたのかよ?」

 

「ああ、今俺のブロードソードを貸してやった所だ」

 

「ああ~、そう言う事か。たくぅ新人ってのは大変だぜ」

 

「全くだ。だが…育てる価値はある」

 

ソルジャーは女神官達の方を見ながらそう言い、それに女神官達は少々照れ笑いする。

 

その様子を妖精弓手は少々見つめている事にソルジャーは気づきはしなかった。

 

 

 

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