ジャイアントラットで剣を無くしてしまい、ソルジャーからブロードソードを借りた新米戦士達は剣を取り戻す為に地下水道にもう一度向かった。
だが、一度来た所に行ってもラットどころか、ローチの姿も見当たらなかった。
仕方なく一度ギルドに戻って、誰かに相談してみた。
誰かと言うと勿論ソルジャーとその場にいた槍使いに魔女であった。
「剣が見当たらない? そりゃいつまでもそこにある訳ないだろう」
「やっぱりそうですよね…、でもどこから探せばいいか…」
困っている新米戦士に魔女は救いの手を差し伸べる。
「なら。良い物。あげる。わ」
魔女は胸の谷間からある物を取り出す、その様子を新米戦士は「うおっ!!」と興奮し、見習聖女は「ちょっと!!」と注意する。
彼女が取り出したのは一本のろうそくだった。
そのろうそくを新米戦士はジッと見つめる。
「なんですかこれ?」
「これはね…。探し物に。近づくと。暖かくなるのよ。ね」
「ほぅ、サーチキャンドルか…」
「なんでもこいつの自信作らしいぜ」
槍使いはそう言いながら魔女の方に指を指し、それに納得するソルジャー。
「あ、ありがとうございます!」
「いいの。よ。ちょっとした。手助け。ね。あと。体。洗って。ね?」
っとその事に二人は思わず体を見て臭う、先ほどの臭いが徐々に強烈になっていき、それに思わず鼻を押さえる二人。
「まあ、今回はおしまいにして、明日出直しだなお前ら。今日のところはそのブロードソードも貸しておいてやるから」
「は、はあ。ありがとうございます」
その言葉に甘える形に、明日再び出直す新米戦士と見習聖女だった。
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そして翌日、新米戦士と見習聖女は準備を整えて、剣の回収の出向いた。
「よし!今度こそ俺の剣を取り戻すぞ!」
「その為にも頑張らないとね! それと無傷で返さないとダメよ?」
「分かってるよ! もし壊したりしたら何されるか分かったもんじゃないよ」
もしブロードソードを壊したりしたらソルジャーの恐ろしいお仕置きを考えるとゾッとする。
「うう~! さ、さ!行こうぜ!」
「ええ、そうね(本当に壊してしまったどうなっちゃうんだろう…)」
心の中でそう思いながら二人は地下水道へと向かった。
そしてその頃、ソルジャー達はギルドに居て、女武闘家と女魔術師は新米戦士達の事を考えていた。
「はぁ、今頃何してるのかな~?」
「今下水道にいるんでしょうね、自分の剣を取りに行ったって言ってるから」
「へぇ~?そうなんだ」
っとそこには二人だけじゃなく、重戦士達の少年斥候と圃人族である『少女巫術師』がいた。
「あいつ剣を無くしたのかよ? だっせ~」
「あら、あなただってこの間ジャイアントスラッグに短剣溶かされちゃったじゃないの」
「うっ…」
少女巫術師の言葉に思わず少年斥候は言葉を無くす。
その様子を女魔術師が呆れる。
「情けないわね、男ならもっと根気よく持ちなさいよ」
「そ、そんな事言うなよ。結構へこむんだから」
「もう、甘えないの」
っと少女巫術師がそう言い、それに少年斥候がまたしてもへこむ。
そして女武闘家はある方を見ていた。
「それにしても…凄いね…あの二人は」
その言葉に女魔術師達はその言葉を聞いて、女武闘家の目線の先を見る。
「はっ!!!」
「おりゃあああ!!!」
そこにはソルジャーと重戦士がバスタードソードとグレートソードをぶつけ合いながらの剣の稽古をしていた。
彼らの近くには妖精弓手と女騎士が居て、その様子を見ていた。
「凄いな~ソルジャーさんは、うちの大将と互角の実力者だもんな~」
「そうですよね~。なんせ銀等級ですから」
そう言う少年斥候と少女巫術師はソルジャーの実力と階級の事を話し始め、その事に女武闘家と女魔術師は心の中で喜びを感じる。
そしてソルジャーが重戦士のグレートソードを受け止め、更にそれを流しながら重戦士の体制を崩す。
体制を崩された重戦士はすぐに構えようとした時、バスタードソードの剣先が重戦士の首元に止まり、ソルジャーが重戦士に言い放つ。
「チェックメイト」
「チッ、まいったよ」
両手を上げながら降参する重戦士、それにソルジャーはバスタードソードを下ろす。
その様子を妖精弓手は思わずガッツポーズをし、女騎士は不満な表情をする。
「全く、相変わらず良い腕をしてやがる」
「日々の鍛錬は欠かさずにしているからな…ん?」
ソルジャーはそう言いながらバスタードソードをしまおうとした時にバスタードソードの刃を見る。
バスタードソードの刃に少しヒビが入っていて、それにソルジャーは思わず頭を抱え込む。
「おいおいマジかよ…、こいつまだ購入して一ヶ月も立っていないぞ? もしかしてゴブリンロードとの一戦で結構なダメージがあったのか?こりゃあまた鍛え直して貰わないとな『ピポポポ!!』ん?」
するとソルジャーのマルチツールタブレットに何やら音が鳴り、それにソルジャーは見る。
その様子を重戦士は問う。
「どうした?」
「いや、ちょっとな」
そう言ってソルジャーはマルチツールタブレットを見て確認する。
《物資項目に鍛冶アイテムが追加されました、鍛冶系統に武器の合成が追加されました》
っとその項目には沢山の鍛冶方法や武器の合成方法が載っていて、それにはソルジャーは思わずめを大きく開く。
「(おいおい…マジか? これって今まで無かったぞ?! でもこれよく見ると壊れた武器の合成も可能って書いてある! これなら壊れたロングソードやガントレットの合成も出来るかも知れない!今度試してみよう!)」
そう思いながら合成するのが楽しみにするソルジャー、その様子を訳が分からない重戦士、妖精弓手と女騎士はソルジャーの様子を見て頭を傾げる。
「一体何があった? ソルジャーの様子がおかしいぞ」
「オルクボルグの考えなんて分からないわよ。(でも何があったのかしら、後でちょっと聞いてみようっと)」
妖精弓手はそう思いながらソルジャーの方を見るのであった。
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そして新米戦士と見習聖女は地下水道の道を進み、マジックアイテム、サーチキャンドルを使って自分の剣を探していた。
「どうだ?」
「う~ん…確かに暖かいけど…、そんなには『ボッ!!!』アッツ!!!」
いきなりサーチキャンドルの火が強くなって、熱くなった器が見習聖女に猛烈な熱さを伝わらせる。
「どうした!?」
「急に熱くなった!徐々に熱くなっていく…!」
「て事は…」
ガサガサガサガサ!
新米戦士と見習聖女の後ろで何やら物音がして、それに二人は振り向くと、通常よりも大きいジャイアントローチが二人の目の前に迫っていた。
「「う!うわあああああああああああああああああああああ!!!!」」
思わず二人は走り出して逃げ出し、ジャイアントローチは二人の後を追いかけていた。
その間にもサーチキャンドルはより熱い火を出し続けていた。
「熱い!!さっきよりもすっごく熱い!!」
「熱いってまさか俺の剣は…“あの中”かよ!!!」
新米戦士は剣がジャイアントローチの体内にある事に驚く。
追われながらどうするかを見習聖女が問いかけてくる。
「ねえどうするの!!」
「どうするって!こう追いかけられてちゃ…!ああもうこうなったら腹くくるしかない!借りるぞ!!」
っと新米戦士は見習聖女の腰についているランタンを取る。
しかしその時にスカート部が破れてしまう。
「きゃああ!!何すんのよ!!!」
見習聖女は破れたスカートを抑えつつ、新米戦士はランタンを投げつける。
「喰らえ!!!」
投げつけたランタンを避けるかの様に、ジャイアントローチは飛ぶ、その光景に見習聖女は思わず失禁してしまう。
「今だ!やれ!!」
新米戦士が叫んだのを聞いて、見習聖女はすぐさま奇跡を唱える。
「ホーリースマイト!!」
見習聖女の
「うおおおおおおおおおお!!」
ズバン!ズバン!ズバン!ズバン!ズバン!ズバン!ズバン!
「この!この!この!この!この!!この!!!」
新米戦士は何度も何度もジャイアントローチに突き刺して、ジャイアントローチはそれにより死んでいった。
「はぁ…はぁ…はぁ…、だ、大丈夫か?」
「ええ…、終わったの?」
「ああ、あっ」
すると新米戦士は見習聖女の姿を見て目線をそらし、それに見習聖女は気づく。
「な、なによ…」
「別に、と、とりあえず…取り出すか、腹…だよな?」
新米戦士はナイフを取り出し、ジャイアントローチの腹に向けてナイフを入れる。
グチャ!メギャ!ギュルギャチャ!
「うえ~…」
「この音いや~…」
二人はジャイアントローチの嫌な音を聴きながらも、新人戦士は腹を開かせて体内の剣を取り出すのであった。
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そしてギルドに戻ってきた新米戦士と見習聖女、二人はソルジャーの元に行き、ソルジャーにブロードソードを返す。
「はい、どうぞ、汚れはちゃんと落としておきました」
「おう、臭いは少し残っているが、それはこっちで落としておく。それよりも剣、取り戻したようだな」
ソルジャーは新人戦士の剣を見て言い、それに新米戦士はうなづきながら言う。
「はい…ただ、今回の件でもまだまだ未熟だって言う事がよく伝わりました」
「そんなもんだ。新米ってのは失敗が多いから手間がかかる、俺も失敗はあった。だがそれを経験して積み重ねて強くなっていくんだ。これからもずっと」
その言葉を聞いた二人は顔を上げて、顔を見合ったあとにうなづく。
「「はい!」
「よし、今日はお前ら頑張ったから晩飯は俺が奢ってやる!なんでも好きなもん頼め!」
「良いんですか!おっしゃ!今日はとことん食べるぜ!」
「もう!調子に載らない!」
新米戦士は奢ってもらう事に大いに喜び、見習聖女は注意しながらも自分の好きなものを頼み、夕飯を楽しむ。
そしてソルジャーは二人にある事を提案する。
「そうだ、お前ら、もし良かったら俺等のパーティーに入って来ないか?」
「え?ソルジャーさんのパーティーに?」
「ああ、まだまだ未熟なお前らを鍛えさせてやるのに丁度良いかも知らない。今のアイツ等はまだまだな感じはあるが十分な感じにはなってる。手も空いてきたからお前らも鍛えてやる」
「お、俺が…ソルジャーさんのパーティーに?」
その事に新米戦士は考えるも、見習聖女はそれを頭を横に振る。
「いえ、私達は別の道で進んでいきます。それに鍛えるって言うなら彼をよろしくお願いします、すぐに調子にのるから」
「そうか…。分かった、お前らの道を思う存分突き進め」
それに二人は頷き、注文して来た料理が来て、新米戦士と見習聖女は沢山食べて、次の冒険の為の栄養と体力を蓄えるのであった。