男女逆転してる変な世界ですがデュエルで戦っていきます 作:火壁
もうちょいシリアス続きます。シリアス苦手な方ももうちょっと耐えてください。
『勝者は世界初の男性デュエリスト『遊崎明日葉』だああああああああ!!!』
WCS決勝が終了し、明日葉が本戦出場が決定した。しかし『オレイカルコスの結界』の中で敗北した加賀良紗月が倒れたまま起き上がらなった為に救急班が出動。そのごたごたで表彰式が行われなかった。そのことを残念がっていた3人だが今はそれどころではないと思いを新たに次の本戦に向けてデッキ調整に取り掛かる。そんな時彩佳にメールが届いた。差出人は克巳だった。
『話すことがあるから明日葉君と悠香ちゃんを連れて協会に来なさい』
たったこれだけ。しかし今の彩佳にはそれの重要性がひしひしと伝わってきた。
「だから明日葉君と協会に行ってきます」
「いや説明しろよ」
現実はかくかくしかじかで説明できないぞ。
男性保護協会本部
「お、やっと来たねお嬢。なんか久しぶりに見た気がするけど仕事してるかい?」
「部長、おはようございます。仕事はしてますから大丈夫ですよ。というか報告書まとめてるんですから仕事してるの分かってるじゃないですか……それはそうと今日母がこちらに来ているはずなんですけど……」
「ああ、克巳さんなら会議室に通したよ。明日葉君に話したいことがあるらしいね。まあそこは人払いしとくから安心しておくれよ」
「ありがとうございます。明日葉君、こっちです」
「おっとそうだ。明日葉君、WCS本戦出場おめでとう。活躍はテレビで見てたよ」
「ありがとうございます。これからも頑張って行くんで応援よろしく頼みますね」
「ああ、男性の皆も熱中しちまって自分もデュエルしたいなんて言い出す始末さ。いつか教えてもらうことになるかもねえ」
「ははは……まあ教えられるように頑張りますよ」
「ありがとうね。さあ、克巳さんを待たせないで。さっさと行った行った」
「ここが会議室です。ここにお母さんがいるとありましたが……」
明日葉たちは通された会議室についた。しかしその扉は会議室には似つかわしくないいかついつくりであった。
「……これ実はラスボスの部屋に続いてるとかないよね?」
「いやないだろ……ないよな?」
実は彩佳や悠香は協会の会議室に来たことがなかったので知らなかったのだが会議室の扉は何処も同じ仕様で何でも男性の情報を取り扱う為に防音と威嚇のためにいかついつくりになっているのだという。
「と、取り敢えず入りましょうか……」
「そ、そうだな」
中に何がいるか分からなくなってしまった明日葉たちだが意を決して扉を開けた。
「……来たわね」
克巳はただそれだけ口にして、明日葉たちに部屋に入るように顎で催促する。のんびりとした雰囲気をまとった克巳しか知らなかった明日葉としては重々しい雰囲気の克巳を前にして緊張が走ってしまう。
「さて……何から話したものか」
「お母さん、その話ってもしかして」
「ええ、先の明日葉君のデュエル。そこで使われたカード『オレイカルコスの結界』の事よ」
「「「!!!」」」
「な、なんでそのカードのことを……!」
自分を苦しめたカードを自分の警護官の親が知っている。それは明日葉が警戒心を持たせるには十分であった。
「まあ疑われるのも仕方ないよね。事が事だし、彩佳にも話さないといけない時が来たって事なのでしょうね」
そう言って克巳はプロジェクターを用意した。そこに昔の文献が映し出される。
「それは?」
「代々伝わる古文書ってところかしら。過去に起こった戦いでの記録が記されているの」
「あ、彩佳は知ってたのか?」
「いえ、私も初耳です……」
「まあ言ってなかったしね。さて、ここからが本題。この中には先人たちのやってきた事が記されている。今までどんな敵と戦って来たかもね。そしてこれは一番古いもので紀元前まであるの。それである戦いが目にとまったのよ」
「そ、それに……」
「そう。オレイカルコスの紋章が記されていたの。文献によるとその時確かにデュエルモンスターズの神々によって倒されたからオレイカルコスの伝承は途絶えたはずなんだけどね」
「ならなんでオレイカルコスの結界が……」
「誰かが復活させた……でしょうね」
「そんな……そんなことして一体何がしたいんですか?」
「それを私に聞かれても分からないわ。本人に直接聴くしかないでしょうね」
克巳はそう言いながら参ったように両手を上げてため息をついた。
「だけどそれを考えてる暇は無いわ。でも奴らの
「目的?……それは一体何なんですか?」
彩佳が恐る恐る克巳に聞く。それは先に見た『闇のデュエル』の真意、そして歴史の闇に葬られた『ドーマの一族』と先祖が重ねた戦いを知る事になる。
「聞かれなくても言うつもりよ。ドーマの一族の目的それは
神の降臨」
「神の……」
「降臨……?」
聞いた皆が皆それぞれの反応を示した。
悠香は神という存在に顔を呆けさせ
彩佳はこれから起こる戦いに戦慄し
明日葉はドーマの一族に怒りを向けていた
「……明日葉君、どうしたの?」
「……いえ、許せねえなって」
「?」
「加賀良は、友人がいなくなって腫れ物扱いされていたところをダーツって奴に救われたって言ってたんです。でもそれがダーツの目的の為に利用されていただけだって言うなら、俺はダーツを許さない。人の『辛い』って心をそんな風に利用する奴は絶対に許さない!」
「明日葉君……」
「明日葉……」
「なるほどね……明日葉君、男性にこう言うのは非常識だけどお願い。ダーツを、ドーマの一族を倒してほしいの」
「「!!」」
「お母さん!それは明日葉君にまた闇のデュエルをやれって言ってるんですか!?」
「そうです!明日葉にこれ以上闇のデュエルをさせる訳にはいきませんよ!」
「でもWCSが続くなら必ずドーマの一族とぶつかることになるわ。それとも明日葉君にデュエルを止めろと?」
「!……そ、それは」
「……」
「こうなってしまった以上どうしようもないの。本当は私だってこんな事言いたくないけどこれしか手がないもの事実なの。それに今回のWCSの優勝者に送られる景品も考えるとますます四の五の言っていられなくなるわ」
「そういえば景品あるのか……その景品って何ですか?」
「あれは眉唾物だと思ってたのだけどね……デュエリストなら一度は聞いたことがある伝説
『神のカード』よ」
「神のカード!!?」
「神のカードって……一時期話題になってましたけど」
「たしかあの時は結局偽物ってオチだったはず……ですよね?」
「あれはただの目立ちたがりが流したデマ。最近エジプトの葬祭殿で神の描かれた石版が発見されたの。それを基にしてカードが作られたんだけど3枚を残して全てが消えてしまったの。それである仮設が立てられたわ、昔流れてた噂で今でも都市伝説として語られている話『デュエルモンスターズには魂が宿る』。それが現実味を帯びてきているの」
「デュエルモンスターズに、魂が……?」
「そう。科学者たちも一笑に伏していた話だけどこれで世界中の科学者が震撼したわ。何せ何もないところがいきなり発光するなんて誰も予想だにしない事態だもの。その場にいた科学者全員が泡喰ってたわ。今は神のカードの解析を急いでる所ね」
「でもそれならなんで神のカードを景品に?」
「一度科学者の一人が神のカードを持ち逃げしようとしていたのよ。それでデュエリストの中から神のカードに選ばれた人に託そうって科学者全員の総意でWCSの景品になったの」
「でも、ドーマの一族みたいな連中に渡ってしまう可能性もあるんじゃ……」
「それはある種の賭けね。それにデュエルモンスターズに魂が宿っているのならきっとドーマの一族のような連中に渡らないと信じてるわ」
「科学が進化した文明人が言う台詞じゃないですよね」
「でも信じるしかないわ。今までの科学が通用せずドーマの一族が迫っている以上、オカルトだろうと頼るしかないわ。因みにこの話はレイカにもしてあるから改めて話す必要はないわよ」
最後にと克巳が明日葉に向かって付け加える。
「明日葉君、君に重い責任を押し付けてしまう形で本当に申し訳ないわ。でもこの世界を守る為、先祖の戦いの歴史に一つの終止符を打つために力を貸してちょうだい」
そう言って克巳は明日葉に頭を下げた。
「……俺がデュエルをする理由は、デュエルに救われてデュエルにその恩を返したいからです。そんなデュエルを自分の目的の為に人を悲しませる道具として使うような奴を許す訳にはいきません!ドーマの一族も、ダーツも、俺が倒してみせます!」
「そう……ありがとうね。私達も全力でサポートするから、困ったら言ってね?」
「はい、ありがとうございます」
城之内グループ社長オフィス
「どうでした?久しぶりの明日葉様は」
「ええ、やっぱり格好いいわね。早く彩佳とくっついてくれないかしら」
協会からオフィスに帰ってきた克巳は鏡華と今回明日葉たちに話していた会話を伝えていた。
「そうでしたか。しかし男性を戦いに巻き込むのはやはり納得出来ません。せめてもっとこちらからもメンバーを送ってもよろしいかと」
「そうしたら向こうに嗅ぎつけられちゃうわ。人数は最小限にとどめて情報を揃える。私達に出来るのはそれだけよ」
鏡華の意見に克巳が自嘲気味に答える。自分たちの出来ることが余りにも少ないことに無力感を覚えていたのだ。
「どちらにせよ明日葉君への負担が重くなってしまうのは仕方ないわ。私達に出来るのはその負担を少しでも減らすことだけ。それはあなたもわかるでしょう」
「……目的のためなら男性への負担は仕方ないとおっしゃるのですか?」
「そうね、そう思われても仕方ないわ。何せ『前科』があるのだからね」
「でも信じてるのよ。彼はきっと思いもしない奇跡を起こしてくれるって」
「……因みに全てが終わった後、どうするおつもりで?」
「明日葉君に全て話すつもりよ。私達の『罪』も含めてね……だからそれまで死なないし、明日葉君も死なせないわ」
「ならそもそもデュエルをさせるはずありませんよね?それはあなたのエゴでは?」
「そうよ。そもそも人間はエゴの塊よ。許してもらうつもりも必要もないわ」
「ここまでくると清々しいですね。まあ全ては彼ら次第、負けてしまえば全て無くなるのですから同じことですよね」
「……あなた最近よく毒吐くわよね?」
「気のせいですよ」
(明日葉君……彩佳……どうかこれから起こる戦いに負けないで。自分の大切な人を、どうか信じて……)
克巳は自らの過ちが我が子とその大切な人に降りかからないことを切に祈った。