男女逆転してる変な世界ですがデュエルで戦っていきます 作:火壁
では前回のデュエルの続きからどうぞ。
「『
明日葉
LP8000→5000
「うあああああ!!」
「エンドフェイズに裁きの龍の効果でデッキから四枚を墓地へ送ってターンエンド。さあ、私は本気を見せたよ。次は君の番だ!」
明日葉の『
オデット
LP4100
モンスター:裁きの龍
魔法、罠:無し
手札:無し
『あのまま勝負を決めると思われていた明日葉君にオデットの全体破壊が突き刺さる! 更に3000の大ダメージを受けて一気に形成が逆転されたぞおおお!!』
「確かに良い攻撃ですね……裁きの龍、それを召喚する為のタクティクス。今までのデュエリストでも上位のレベルかも」
「そ、そうか? いや、明日葉君に褒められるとは思わn「だから聞きたいんです」……え?」
「あなたは……どうしてデュエルを始めたんですか?」
「……デュエルを始めた
オデットは明日葉の言葉に困惑する。いきなり始まった質問の意味を理解出来ずにいるオデットを余所に明日葉は言葉を続ける。
「俺自身昔からデュエル楽しいって性分な訳じゃなかったんです。勝ちを急いだり、負けが込んだ時は苛立ったりもあって。それを慰めて、励ましてくれたのは俺の父親でした」
「明日葉君の……父親……」
「父さんは凄い人だった。デュエルでも、家でも、これぞ『父親』っていうような人だった。強くて、優しくて、俺の憧れだった。父さんみたいになりたいってずっと思ってたんです。そうなりたくてもがいて、なりふり構わず突っ走って、そんな時父さんが言ってくれたんです『俺みたいになるくらいなら超えるような男になれ』って。そこから俺のデュエルする理由は『父さんを超えるデュエリストになる』なんです。相手も、観客も、勿論自分を湧かす。だから俺はデュエルをするし、研鑽も積むんです」
この世界の女性にとって明日葉の言葉の意味を真に理解できるものはたとえWCSという大舞台にも数えるほどしかいないだろう。現に会場の観客は普段からのイメージや話による想像上の男性を思い浮かべるが明日葉の言う男性像を持つ者はいなかった。
「すいません、なんか語っちゃって……俺が言いたかったのはどんな気持ちでデュエルしてるのかなって話です。昔の俺もだけど、デュエルって結構自分勝手になっちゃうケース多いですから。プロってどんな思いでデュエルしてるのか気になって」
「私の、デュエルする理由……そんなの決まっている
私のデュエルが世の男性の希望になるためだ」
「男の……希望?」
「世の男性はいつも笑顔を浮かべない。浮かべられないといった方が正しいが、その理由の大半が私達女性という事を理解している。理性を抑えようとも私達が無意識に向ける視線だけで怖がらせてしまう。だから私は、デュエルで男性の希望になりたい。それが私の抱いてきた『正義』で、ずっとそう考えていたけど……いつの間にかそんな事も忘れていたのかもしれない」
オデットの独白は明日葉にある意味で衝撃を与えるものだった。この世界で見てきた女性はデュエルで自分の貞操を狙ってきたり、ディスクに細工しその上で勝った際の条件を提示し、挙句の果てには世界を滅ぼさんとするカードで魂を抜かれかけるといったそれは恐ろしい印象がこびりついている。
その為かこの世界の女性に対しマイナスイメージの先入観を抱くのは致し方無いがその考えは改める必要があると明日葉は喜色の表情を浮かべた。
「ありがとうございます。それを聞くことが出来て良かった」
「それは良かった。良ければこの後デュエルについて互いの意見を交わす意味で食事でも「それはまた後にお答えします」そ、そうか……」
「それはそれとして、語っちゃったしいきますか。俺のターン! 俺は『
『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』を特殊召喚!」
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ☆10 ドラゴン族
ATK2800/2400
「れ、レッドアイズ! あれって……まさか!」
明日葉のフィールドに現れたドラゴンに悠香が驚き彩佳に目を向ける。彩佳は自身のモンスターに声援を送る。
「ダークネスメタル……明日葉君に力を貸して!」
ダークネスメタルは咆哮をあげ敵を睨みつける。それに応えるように裁きの龍も唸り声を上げた。
「裁きの龍が……呼応しているのか?」
「ドラゴン同士通ずるものがあるんですかね……まあとりあえずダークネスメタルの効果! 手札、墓地ドラゴン族モンスターを特殊召喚出来るから墓地の『
「また来たかオルタナティブ……!」
「オルタナティブの効果! 攻撃権を放棄して相手モンスターを破壊する。裁きの龍を破壊だ!」
オルタナティブが放った裂弾は裁きの龍を容易く消し飛ばす。オデットのフィールドは再びがら空きとなった。
「バトル! ダークネスメタルで攻撃【ダークネスフルフレイム】!!」
オデット
LP4100→1300
ダークネスメタルの黒炎がオデットを襲い、焼いていく。
「きゃああああああああああああ!」
「……きゃあ?」
「……ッハ! な、中々やるな! でもデュエルは最後まで何が起こるか分からないぞ!」
「は、はあ……俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP5000
モンスター:青眼の亜白龍、レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
魔法、罠:無し
手札:1枚
「私のターン……ドロー! ……カードを一枚場に伏せて、ターンエンド」
オデット
LP1300
モンスター:無し
魔法、罠:1枚
手札:無し
『ここでオデット、一枚伏せただけ! 流石にもう打つ手無しだああああああ!!』
解説はオデットの敗北を叫ぶが明日葉はそのカードを警戒した。
「これは……あれがキーカードにならねえか?」
明日葉は過去に敗北した経験で、あの伏せカードは自分の盤面をひっくり返す可能性を孕んでいると踏んでいた。
「嫌だなぁ……攻撃したくねえ……でも」
攻撃しない限り勝利はない。それがたとえ罠だと分かっていても
「それを超えてこそデュエリストだ! バトル! オルタナティブで攻撃!」
「分かっていて攻撃するとはやるな!
罠『聖なるバリアーミラーフォース-』発動!」
「ぐああやっぱりかああああああああああ!!」
哀れ、明日葉のモンスターは全てオデットの前に展開された全てを反射するバリアの輝きで消し飛ばされた。
「畜生……昔のトラウマが……俺はターンエンド」
明日葉
LP5000
モンスター:無し
魔法、罠:無し
手札:1枚
「それは……すまない。でもデュエルはデュエル。私のターン! 私は『ライトロード・メイデン ミネルバ』を召喚。召喚時の効果で墓地の『ライトロード』の種類と同じレベルの光属性ドラゴン族を手札へ加える。墓地の『ライトロード』は六種類。デッキから『ライトロード・ドラゴン グラゴニアス』を手札に加えるよ。バトル! ミネルバでダイレクトアタック!!」
明日葉
LP5000→4200
「くうぅ……」
「エンドフェイズにデッキから二枚墓地へ送って私はターンエンド。次でグラゴニアスが召喚出来る。さあどうする?」
オデット
LP1300
モンスター:ライトロード・メイデン ミネルバ
魔法、罠:無し
手札:1枚
「俺の、ターン!! ……
リンクリボー LINK1
ATK/300
「そのままエンドフェイズ。太古の白石の効果でデッキから『ブルーアイズ』モンスター、青眼の白龍を特殊召喚して、ターンエンド」
明日葉
LP4200
モンスター:リンクリボー、青眼の白龍
魔法、罠:無し
手札:1枚
「ブルーアイズが途切れない……私のターン! ミネルバをリリースして『ライトロード・ドラゴン グラゴニアス』をアドバンス召喚!」
ライトロード・ドラゴン グラゴニアス
ATK2200/DEF1600
「グラゴニアス……効果で自身の攻撃力を上げるカード……」
「そう! グラゴニアスは墓地の『ライトロード』の種類一つにつき300攻撃力を上げる。墓地の『ライトロード』はミネルバが加わって七種類だから」
グラゴニアス
ATK2200→4300
「攻撃力4300……」
いきなり青眼の白龍を超えた攻撃力を持ったモンスターの出現に会場は歓喜の声を上げる。しかし明日葉は冷静に、しかし笑顔を絶やさなかった。
「この状況でも笑っていられるなんてね。でも実際はピンチだから作り笑いかな?」
「さぁね。でも一つ言えるのはまだこれじゃあ決着はつかないって事かな?」
「そうかい。バトル!グラゴニアスでリンクリボーに攻撃!」
「リンクリボーの効果! 自身をリリースして相手の攻撃モンスターの攻撃力をエンドフェイズまで0にする!!」
グラゴニアスのブレスがリンクリボーを捉えるが、リンクリボーはサーキットに逃げ込み、尻尾のリンクマーカーがグラゴニアスに刺さる。そのマーカーは徐々にグラゴニアスの力を奪っていった。
「なんだと! 低い攻撃力のリンクリボーがフィールドにいるのはこのためだったのか……」
「流石に何も手のないまま低い攻撃力のモンスターを棒立ちさせませんて。で、どうします? ブルーアイズに攻撃しますか?」
「冗談。カードを一枚伏せてターンエンド。エンドフェイズにグラゴニアスの効果でデッキから三枚墓地に送るよ」
オデット
LP1300
モンスター:ライトロード・ドラゴン グラゴニアス
魔法、罠:1枚
手札:無し
「俺のターン! カードを一枚伏せて墓地の太古の白石の効果、自身を除外して墓地の『ブルーアイズ』モンスターを手札に加える。青眼の白龍を手札に加えてターンエンド」
明日葉
LP4200
モンスター:青眼の白龍
魔法、罠:伏せ1枚
手札:2枚
「良いカードは来なかったか。ならこっちは動かさせてもらうよ! 私のターン! このままバトル! グラゴニアスでブルーアイズを攻撃!」
「俺はここで伏せていたこのカードを発動する! 罠『スキルドレイン』! その効果は俺のライフを1000払うことで発揮する! フィールドのモンスター効果は全て無効になる!!」
「なんだって! てことは私のグラゴニアスは」
「そう! 攻撃力が元に戻って2200でブルーアイズとバトルする! 迎え撃て、ブルーアイズ!!」
グラゴニアスは力を無くしてもブルーアイズに突撃した。それをブルーアイズの疾風弾が直撃する。グラゴニアスはフィールドに沈み、光となって消滅した。
オデット
LP1300→500
「くううう!! もう少しだったのに! 私はカードを一枚伏せてターンエンド!」
オデット
LP500
モンスター:無し
魔法、罠:2枚
手札:無し
「俺のターン! バトル! ブルーアイズでダイレクトアタック!!」
「この瞬間、罠『閃光のイリュージョン』を発動! 戻れ、グラゴニアス!」
ブルーアイズの攻撃が発射される直前に、魔法陣から白と金の竜が姿を現す。ブルーアイズの攻撃は中断され再び対峙した。
「ならグラゴニアスごと破壊する! スキルドレインでグラゴニアスの攻撃力は変わらない! これで」
「更に伏せていた罠『ライトロード・バリア』を発動! 自分の『ライトロード』が攻撃対象に選択された時、デッキから二枚を墓地へ送って攻撃を無効にする!」
「くっ……俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP3200
モンスター:青眼の白龍
魔法、罠:スキルドレイン
手札:2枚
「あ、危なかった……私のターン! よし、裁きの龍を特殊召喚!」
「またか! こんな時に……!」
「裁きの龍でブルーアイズに攻撃! 【正義の裁き】!!」
裁きの龍のブレスとブルーアイズの疾風弾が衝突する。その衝撃波は二体を巻き込み対消滅した。
「ブルーアイズ……」
「まだグラゴニアスがいるよ! ダイレクトアタック!!」
明日葉
LP3200→1000
「がっ……かはぁ……!」
「エンドフェイズに閃光のイリュージョンの効果でデッキから二枚墓地へ送る。これでターンエンド」
オデット
LP500
モンスター:ライトロード・ドラゴン グラゴニアス
魔法、罠:閃光のイリュージョン、ライトロード・バリア
手札:無し
「俺の……ターン! 魔法『死者蘇生』を発動! 甦れ『
「ここでまた来たか! でもライトロード・バリアで」
「残念ながら発動出来ない。デッキの枚数の関係でね」
「なんだと? こ、これは!」
オデットは自分のデッキを確認する。デッキには確かにカードは存在した
一枚だけ。
「あなたのデッキは残り一枚! ライトロード・バリアのコスト二枚は捨てられないですよ!」
「そ、そんな……」
「バトル! オルタナティブで攻撃! 【滅びのバーンストリーム】!!」
「く……ここまでか……」
オデット
LP500→0
『決着ううううううううう!! WCS第一回戦初戦、勝利を飾ったのは
男性初のデュエリスト「遊崎明日葉」様だあああああああああああああああああああああああ!!!』
「やっぱりなんかこれは馴染めない……」
「ははは! いやー負けてしまった! あのまま粘ればいけると思ったんだけどね」
「いや実際ドローでなんとかする感じになっちゃったんでこっちとしてはデッキを改造しないとなって思いました。やっぱり低レベルを回すデッキには弱いんですよねこのデッキ」
「相性が悪いのに勝ててしまうのか……敵わないな。君には」
「でもオデットさんも強かったですよ。またデュエルしましょう」
「ひょえ! あ、ああそうだな! じゃあ早速今から「今は大会中ですよ」そ、そうだな……」
明日葉の勝利に彩佳たちも安堵の声を漏らす。その中でレイカは自分に言い聞かせた。
「次はわたしよ。明日葉さんと戦うまで、負けるわけにはいかない!」
明日葉とレイカは簡単に言うと「決勝で会おうぜ!」的なポジションにいます。
次回はいつ出来るやろか……大学の課題多くてやる暇ないん……。