手違いで死んで神様転生したら更に手違いで問題児な娘の背後霊になったので一夏と全力でくっつけます 作:ACS
(U ▲ U)
眠そうな目で爆弾発言する系と言えば良いのか……例えが浮かばないのですみません。
この娘は人間の三大欲求が全て食欲に集約されてんじゃねぇのってくらい鬼の様に食べる。
だから巻き上げたチンピラの金なんてものは昼飯食ったらあっさりなくなった、俺がどれだけ止めても物理的な干渉が出来ないから金の浪費が止めらんねぇんだよ。
(お前はアホか!! せめて毛布買う金くらい残しとけって散々言っただろ!? なのに有り金全部出店に使っちまうなんて何考えてんだ!!)
「……違う、食べ物以外にも買った」
(えっ? マジで? 寝袋か着替えでも買ったのか、そりゃ悪か––––)
「……買ったのは十字架」
(ギャァァァア!! 身体が焼けるぅぅう!? おまっ、おまっ、お前!! 何つー外道しやがる!? 強制的に俺を昇天させる気か!? 転生先で天に帰されるとか意味わかんねーよ!?)
ド畜生!! 念仏だけじゃなく十字架も霊体に効くのかよ!? クソ神様が、ふざけんじゃねーぞ!? リアル除霊とかシャレになんねーよ!!
そんな文句をぶつぶつ言ってたら、日系の飲食店なのか盛り塩がしてある店の前に差し掛かった。
飯も食って無一文になった後だから特に注意を払ってなかった俺は、名無しちゃんがふらふらその店に吸い寄せられて行く事に気がつくのが遅れてしまう。
(おい待て名無し!! お前金も無いのにんな高そうな店に入って何しよう––––ってイッテェ!? えっ、何コレ結界? 見えない壁があるんですけど!?)
「……? どこにもない」
(いやいや、絶対あるからコレ!! 俺その盛り塩の部分から先に入れねぇもん!? 熱した鉄板みたいな壁がべんって出来てんだよ!!)
「……私はへいき」
盛り塩ォォォオ!! ファッション盛り塩の癖になんでスピリチュアルなパワー発揮してんだよ!? 中から聴こえてくる店員の声もカタコトだしぜってぇ意味理解して置いたもんじゃねぇだろ!! おいおいマジかよ、最終的に俺ファブリーズでも除霊されるんじゃねぇか?
てかどうすんだよ、文字通り一文無しなんだぞ? 食い逃げやるだけの行動力は無いとは思うが、小汚ねぇ格好で入れそうな店でもねぇし早く帰って来いよなぁ。
ふよふよと店の前で横になって浮きながらそんな風に嘆いてた俺だったが、不意にエラく猛スピードの車が目の前を走り去って行くのが見えた。
何だありゃと思って幽霊パワーでちょっと追いかけて見たら、まさかの一夏が誘拐されて黒服達と楽しくドライブ中だった、てことは丁度ここドイツだったのか。
いやぁやっぱコイツ中々人生ハードモードだよなぁとかなんとか思いながら、俺は助手席の男の身体をすり抜けながら気絶してる一夏を眺めてたんだけど、ふと良い金策を思い付いた。
一夏が拐われる→ドイツの手助けで千冬が助けに来る、これが原作の出来事で、しかもこの事件の所為で千冬は第2回モンド・グロッソの決勝戦を棄権するしかなかった訳じゃん?
でも裏を返せば一夏誘拐が発覚するまでの間にしれっとコイツが会場に帰ってれば何の問題も無いって事だろ?
ならあの名無しちゃんに一夏を助けさせる→一夏が勝手に恩を感じる→ついでにブラコン千冬も恩を感じる→お助け料としてモンド・グロッソの優勝賞金全額請求→性格的にポンと渡してくれるだろうし素寒貧脱出!! あれっ? 完璧じゃね?
そうと分かれば善は急げ、全力で名無しちゃんの所まで戻った俺はご飯の為に一夏を助けに行く事を提案したんだけど、それが多分マズかった。
俺が行った時、この娘は誰が見ても落ち込んでた、案の定門前払い食らったんだと思う。
そんな腹ペコ魔人に飯の話振ったらどうなるのか? 答えは簡単、––––暴走します。
俺の言葉を聞いた名無しちゃんは目の色を変え、信号待ちで止まっていたバイクを運転手を蹴り倒して強奪すると、俺から聞いた車のナンバーを追って突っ走り始めた。
距離的に見失ってる筈なんだけど、元々裏組織出身の娘だからかある程度誘拐犯の行く場所が想定出来てるらしい。
(いやぁしかし流石名無しだなぁ、バイクまで乗れるなんて、よっ世界一!! なんて言うと思ってんのか馬鹿野郎!! 白昼堂々とバイクぶんどるとか何考えてんだ!! 警察沙汰になったら撒くのが面倒なんだぞ!!)
「……大丈夫、私ならなんとかなる」
(食欲に負けて全財産食事に詰め込むお馬鹿さんが何言ってんですかねぇ!? つかお前マジで何時バイクの乗り方知ってんだよ!? 少なくとも俺が取り憑いてからは乗ってるの見た事無いぞ!?)
「……コレがクラッチとアクセル、変速はこう」
俺の質問に対する答えなんだろうか? バイクの操作を説明してくれたんだけど、どうにも加速してばかりで減速を一切していない、というか説明はさっきの短い奴だけで他に何も無い。
カーブも減速せずにスピンスレスレの無理矢理なドリフトして曲がったり、信号無視したりして目的地までノンストップなんだが……ブレーキは?
(なぁ名無しちゃん? ブレーキの仕方って知ってる?)
「……覚えてない、加速方法さえ知ってればいい」
(アホかァァァア!! そんなんだったらどうやって停車するんだよ!?)
「……こうやる」
そう言って名無しちゃんは誘拐犯の車が止まってる倉庫を見つけたのか、加速したバイクの上から跳んで街灯の上に着地し、その高さから一夏が縛られて転がされてるのを確認しながらバイクの自爆特攻に続いてブチ開けられた倉庫前へ着地した。
「……正義のすーぱー美少女、推参」
(棒読み・無表情・抑揚無し、無い無い三段活用ですね分かりますってか!? 目元にピースサインプラスしてもアホヅラには変わりねぇっての!!)
「……十字架?」
(サーセンっしたぁぁぁあ!!)
この娘フリーダムすぎる、誰か助けて……。