手違いで死んで神様転生したら更に手違いで問題児な娘の背後霊になったので一夏と全力でくっつけます   作:ACS

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次回かその次に原作行きます。


五話

織斑家に居候して暫くが経ったんだが、フィアのだらけっぷりが半端じゃない。

 

戸籍やら国籍やらの問題がまだ片付いてないから学校にも行けてないんだが、一夏が居たら一夏に世話してもらい、一夏が学校に行ってる日中は帰ってくるまで部屋で爆睡、もうこれじゃただのニートじゃねぇか。

今も朝飯食ったらそのままベッドに直行して爆睡してるし、下手するとニートよりも一日の活動時間が短いだろこれ。

 

 

(起きろフィア!! 起きろってば!! 今日ばっかりは起きて貰うぞ!!)

 

「……うるさい、なに?」

 

(ドス効かせなくてもいいだろ!? ったく、偶には居候先に貢献しようとは思わねぇのかよ)

 

「……動くとお腹減る、お昼食べると冷蔵庫が空っぽ、一夏君が困る、それはヤ」

 

(お前いつの間にチョロイン化したんだよ……やっぱアイツ女に作用する特殊な物質でも分泌してんじゃねーの?)

 

「……用事それだけ? なら寝る」

 

(食い溜めして冬眠してる熊かテメェは!! 良いから今日は俺の指示通り動け、いいな!! じゃねぇと一夏に嫌われるぞ!?)

 

「……わかった、一夏君に嫌われたくない」

 

 

俺の言葉に渋々と言った風に従ったフィアは、ベッドから億劫そうに這い出ると俺の方をチラッと見てから寝巻きからジャージに着替え始めた。

 

一瞬恥じらいでも覚えたのかと思ったが、反応から察するに叱られるだろうから一応着替えたって感じだな、せめて女の子なら最低限の身嗜みに気を使えっての……。

 

 

(おい、髪の毛はねてんぞ?)

 

「……死ぬ訳じゃないから別にいい」

 

(はぁ〜あ、まぁいいやとにかく外行くぞ外)

 

「……らじゃー」

 

 

一旦起きてしまえば切り替えはフィアの素早く、やる気の無い返事を返してくれるのだが、こっからの舵取りがほんと疲れるんだよなぁ。

 

まず本人が長期間のサバイバルとホームレス生活で浮世離れしてる事や、悪食のレベルがカンストしてるから胃に入って消化できる物体は食べ物っていう考えなもんだから、飛んでる蝶々や蜻蛉とかを見て食おうとしたり、花壇の花毟って食おうとしたり、止めるのが疲れる。

 

 

(はぁ、そろそろその悪食直せよ)

 

「…………死んでる貴方には分からない」

 

(あん? 何の話だ?)

 

「……内側から広がって行く飢えと、唾液の一滴すら出なくなる渇き、両方知らないでしょ?」

 

(……悪かった、けどせめて一夏の前じゃやめろよ?)

 

「……わかった」

 

 

普段から何も考えず食欲に忠実な理由が少しだけ分かったが、自分の思っている以上にこの娘の背景はヤバそうなのでこの手の話は二度としない、俺のキャパシティオーバーだ。

 

 

(おっ、見えてきたぜ? 虫とか花よりゃ美味いもんが食えるとこがよ)

 

「……飲食店? お金無いよ?」

 

(看板見てみ?)

 

「……特盛肉々スペシャル丼三キロ、120分以内に完食できたら無料&金一封?」

 

(そそ、フードファイトって奴だ、昨日銭湯の女湯覗きに行った帰りに見つけたんだよ、これならお前も腹一杯食えて一夏にささやかなプレゼントも買えるだろ?)

 

「……やる」

 

 

ぐっと握り拳を作ったフィア、コイツの胃袋はブラックホールに繋がってるから三キロくらいなら余裕だろうし、無一文で行ってもへーきへーき。

 

「へいらっしゃい!! ご注文は?」

 

「……特盛り肉々スペシャル丼」

 

「嬢ちゃん、アレは嬢ちゃんには量が多いからやめときな」

 

「……特盛り肉々スペシャル丼」

 

「だからな嬢ちゃん」

 

「……特盛り肉々スペシャル丼」

 

「あー、嬢ちゃん? 食えなかったら罰金付きだよ? それでも––––」

 

「……特盛り肉々スペシャル丼、美少女は完食できる」

 

 

淡々と同じ注文を繰り返す威圧行為に負けたのか、店主らしき人がため息と共に肉を捌き始めた。

 

常連客っぽい人達も口々にフィアの心配をしたり、面白半分で食って地獄見ろ的な事を話したりしてるけど、聞こえてるはずのフィアは既に貰った賞金で何を買うかを考えてるらしく、そわそわと考え事に耽っている。

 

その様子を挑戦と受け取ったのか、暫くしてからラーメン丼の上に様々な種類のカツやステーキが山盛りになった見るからに胸焼けしそうな丼が現れた。

 

誘っといてなんだが、これ食えるのか?

 

「……いただきます」

 

(お、おい? 今更だけどいけんのか?)

 

「……ん? 毒はない、でも一夏の料理の方が好き」

 

(店の中で言うなよ……一夏が好きな理由ってもしかしてメシ?)

 

「……うん」

 

(なんつー理由だよ……)

 

 

それっきり黙り込んだフィアはペースを一切落とす事無く丼を食い続けて制限時間を60分以上残してあっさり完食。

 

小さな身体のどこに入るのかとけろっとした顔で金一封を受け取ったフィアは、封筒の口を切って中身を確認する。

 

 

(ひのふのみ、三万円か。だったら結構グレード高いプレゼント買えるな)

 

「……何を買ったらいい?」

 

(そら一夏が喜ぶもんだろ)

 

「……千冬ちゃん?」

 

(せめてさん付けしろよ……)

 

 

千冬ちゃんて……世界最強の女になんて呼び方してんだよ。

 

つかそもそも一夏の欲しい物を買うって話だったのになんで千冬の名前が出てくるんだよ? 人身売買にしても三万で買える訳ねーだろ!?

 

やだこの娘発想が斜め上すぎるよ……。

 

 

「……そっか、一夏に聞けばいい」

 

(ま、まぁ、それでもいいけどよ……なんで一夏が好きなんだ? 美味い飯なら他の人だって作れるだろ?)

 

「……一夏は王子様だから」

 

(おーけーそれ以上は聞かない、むず痒くなりそうだ)

 

「……今から逢いに行ってもいいけど、学校知らないから帰って寝る」

 

(なんつー不摂生、その内ぶくぶく太るぞ?)

 

「………………平気、背も胸も成長しないから」

 

 

悩ましげにぺたぺたと起伏のきの字も無い平坦な胸を触りながら深いため息を吐くフィア、妙な部分だけ女の子なのな。

 

(まぁ成長期でこのスタイルって事は? 一生望みがねぇ訳だ、AAカップなんて下手したら小学生以下だからある意味貴重だぞ?)

 

「……成仏しろ悪霊」

 

(十字架はやめろォ!! 割とマジで意識飛ぶんだからな!?)

 

 

このガキ容赦無く俺を昇天させに来やがった、つか俺のこの霊体が貧弱すぎんのか? 宗教関連のもんがほぼほぼアウトだからなぁ。

 

念仏は意識が飛ぶだろ? 祈りの言葉は身体が浄化されるだろ? 盛り塩は侵入禁止で入れないし、塩撒かれたら身体が焼ける。

 

全部フィアがやりやがったから身を持って知ってる、この娘マジで容赦ねぇからな。

 

その後宣言通り部屋に帰ったフィアは部屋の四隅に盛り塩してから寝やがった、あのクソガキが!!

 

結局一夏が来るまで俺は部屋から締め出し状態となり、ロクにフィアと会話が出来なかったんだが、代わりに風呂に入ってる時にあること吹き込んでおいた。

 

それはIS学園への入学を目指すと言う事、本人はあまり乗り気では無かったようだけど、やる事がないのといつまでも居候してられないと薄々考えてたのか、一応は前向きに考える様になったようだ。

 

 

……参考書流し読みしてそれっきりだけどな。

 

 

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