続き、どうぞ
(あとがきはお休みです)
16話
爆裂拳───
コマンド『ひっさつわざ』にて←→←Aの順番でコマンドを入力することで発動する技『ばくれつけん』。
敵単体に防御力無視の必中攻撃を行え、
序盤から活躍する技のひとつである。
「なっ…くっ…」
美鈴は、先程までとは明らかに違う速度で自分へと襲いかかる拳の嵐をなんとか捌き続けていた。
先程まであった余裕はとうに消え去っていた。
(まだこんな手を隠していたなんて…)
そして、
「オオオオオオオオオオオオッ!」
マッシュが叫ぶと同時にさらに拳の速度が加速する。
(不味い…捌ききれない…っ!)
ついに美鈴へ一撃が入る。
ドガッ、という鈍い音と共に、その拳が美鈴に突き刺さった。
「がふっ…」
(なんて…重い一撃…)
だが、そこで攻撃が止むことはなかった。
次から次へと、彼女へと容赦ない攻撃が入り続ける。
「ハァァァァァッ!」
ドッッ…!!
最後の一撃で、美鈴を吹き飛ばし返した。
そのまま、門へと勢いよく激突する。
ドゴオッッッ!
「がはっ…!!」
その一撃は、レンガ造りの門に彼女の
身体がめり込むほどの威力だった。
「しまった…!やり過ぎたか…?」
熱中するあまり力加減が上手くいかなかったのか、マッシュが焦っている。
「大丈夫か!?」
マッシュが慌てて駆け寄ろうとしたが、
「大丈夫です…よ…っ!」
その前に美鈴が答えた。
自力で体を下ろし、構え直した。
ふらつきは残っているようだが、
その瞳にはまだ闘争心が漲っていた。
再度、お互いが向き合う。
(あれだけの拳撃を叩き込んだのに、まるで倒れる気配がない…
一筋縄じゃあ行かないって訳か。)
ばくれつけん以外にも必殺技はあるのだが、
この状況では恐らく1つを除いて
決定打にはなりえないだろう。
そのひとつも、
「やっぱりただもんじゃねぇな、あんた」
「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ」
軽口を叩き合う2人。
しばし睨み合った後、
「次で最後にしましょうか…!」
「そうだな…!」
そう言って、
2人は最後の大技に向けて力を全開にする。
「「ハァァァァ…!」」
互いが異なる力をを纏った。
そのまま2人が目にも止まらぬ速度で駆け出す。
「行くぞォォッ!『タイガー…」
マッシュが脚に宿すは、猛虎の気魄。
「行きますッッ!気符『地龍…」
対する美鈴が脚に纏うは、龍神の気魄。
その人間離れした脚力をもって、美鈴が飛ぶ。
美鈴が上で、マッシュが下。
天高くから急降下する美鈴を、マッシュが迎え撃つ。
そして──
「ブレイク』ッッッ!!」
「天龍脚』!!」
一閃。
交錯。
二人が地面に降り立った。
静寂が辺りを包み込む…。
「……お見事、です」
そう言ってバタリとその場に倒れ込んだのは、
美鈴だった。
「ハァ…ハァ…紙一重…だったぜ…ぐっ」
マッシュの方も無事…とはいえなかったようで、
その場に膝をつく。
『タイガーファング』が出るほどピンチだったようだ。
「大丈夫?」
今まで空気を読んで手出しをしなかった幻佑がマッシュの元へ向かった。
「ああ…大丈夫だ。
俺よりも美鈴…さんの方は大丈夫か?」
自分のことよりさっきまで殺し合いに近い戦闘をしていた相手のことを気にかけるマッシュ。
確かにすぐ起き上がって来ないのは
少し心配である。
「さぁ…とにかく行ってみよう」
2人は、美鈴の様子を見に彼女へ駆け寄った。
「うぅん…あと5分…」
「…大丈夫そうだね」
「そうだな…」
「この後のことなんだけど…どうしよっか」
「そうだなぁ…美鈴さん寝たままここに放置っていうのも」
「それじゃあ、気をつけて行ってこいよ」
「うん、十分気をつける。」
そう言って、幻佑は紅魔館の中へと入っていった……