東方究幻伝   作:OKSK

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おのれコロナ…ゆ゛る゛さ゛ん゛っ゛!
…事情はあとがきで。
それでは本編、どうぞ



18話   時

 

飛び上がった直後、幻佑はその判断を後悔した。

(しまった!弾幕戦闘中に空中戦は不味い…!)

地上なら地面があるので反射する弾や地中を透過するような弾がない限り基本的に相手の後ろや地中に弾幕を張ることは不可能だが、

空中なら話は別である。

ましてや自分が地上にいるなら尚更好都合。

焦る幻佑の様子を見て、

咲夜がニヤリと笑った気がした。

次の瞬間、幻佑の四方八方をナイフと弾幕が囲う。

「チェックメイト、ですわ」

全方位からナイフと弾幕が迫る。

「畜生っ…!」

幻佑はやむ無く、ナイフを増殖して投擲し、迎え撃つ。

が、それだけでは焼け石に水。

抜けてきたナイフに対応出来ず、何本か被弾してしまう。

「くっ……」

そのまま墜落してしまった。

相当な痛みを覚悟した幻佑だが、

「っ…痛…くない…?」

訪れるであろう痛みは、起きなかった。

その代わり、ナイフが刺さった場所に妙な違和感を感じる。

幻佑はこの現象に心当たりがあった。

それは博麗神社で魔理沙と戦った時、マスタースパークの直撃に遭った足が動かなくなった時のことだ。

当時は魔理沙に手加減されてたのかなと思ったのだけれど、

今考えてみたらあれは生身の人間に直撃したら火傷じゃ済まなさそうだった。

気になってHPを確認してみたら、ほんの少し削れていた。

(つまり…一定の負傷はHPが肩代わりしてくれるって事?

しかも回復手段もあるし…)

だとしたら、HPアップが生命線になりそうだ。

更に、“あの”ナイフを使えば…

幻佑は立ち上がり、ナイフを引き抜く。

血は──流れない。

刺さっていた場所に出来た刺し跡も、徐々に塞がっていく。

その光景を見て、咲夜が驚愕する。

「貴方…!?」

幻佑は咲夜の方を向いて、

「そういう能力体質みたいです」

と苦笑した。

 

 

 

「それと、あなたの能力について、多分見当がつきました」

幻佑は追い討ちをかけるように言う。

「今それを言いますか…」

先程の衝撃的光景が忘れられないのだろうか、

咲夜が苦い表情で返す。

「一応聞かせて頂きましょうか」

「…あくまで上からなんですね」

そして幻佑は咲夜の方を見据え、言い放つ。

 

 

「あなたの能力は…『時間を操る程度の能力』ですね?」

 

 

 

「…………

驚きました…

まさか能力名を丸ごと当てられるとは…

貴方、本当に何者ですか?」

口元に手を当てて驚く咲夜。

「普通の人間じゃないことだけは確かです…

それと、能力名は予想でしか無かったんですけどね」

苦笑いする幻佑。

「というか、わかったところで対策はほぼ無いんですけどね」

そうなのである。

実際問題、普通に時間停止に対抗する手段は、止められる前にヤる、くらいしかないのだ。

もちろん、そんなこともほぼ不可能に近いわけで…

 

「わかったとか大見得切ったのはいいんですけど、何も現状の打破にはなってないんですよね…」

 

「………………」

「………………」

 

二人の間に沈黙が流れる。

 

 

 

無言で咲夜がナイフを構えた。

「……変化型『エターナルミーク』」

そして宣言する。

今度は弾幕のみが飛んできた。

先程までのナイフ弾幕よりはいくらか速度が落としてあるようだ。

(?   これだけならいくらでも避けられ…)

とか思っていたら、途中で弾の半分がナイフへと変化した。

「うわわっ」

しかもナイフと弾幕のスピードが異なるので、避けにくいことこの上ない。

(うひぃ…これは厄介だ)

それでも幻佑は掠りながらも回避し続ける。

掠るたびに何か得点が貰えてる気がするのは気のせいだろうか。

「遠くから投擲したナイフじゃ致命傷を与えるのは厳しいわね…」

そう言って、咲夜が新たなスペルカードを使用せんとする。

(不味い…また止められる!)

幻佑は全速力で駆け出そうとした──

「これで終わりにしましょう。

『咲夜の世界』」

幻佑の判断も虚しく、幻佑の体が咲夜の5m手前で静止する。

止まった時の中で、咲夜が動き出す。

「いくら負傷を無視できたとしても──

致命傷となる攻撃を与えれば動きは止められるはず…!」

咲夜が呟き、幻佑の周囲、

とりわけ人間にとって致命傷となりうる場所を狙える位置を特に重点的ににナイフを展開する。

「そして時は──」

再び時間を動かそうとしたその時─

「ああああああああぁぁッ!」

「なっ……!?」

幻佑が突然叫び出したかと思うと、

周りに浮いていたナイフを吹き飛ばした。

「え…?」

咲夜は呆然として、

そのまま時間停止を解除してしまった。

「ハァ…ハァ…動けた…」

余程消耗したのか、肩で息をする幻佑。

「貴方…何を?」

咲夜が問う。

「『ストップ防御』と…『ヘイスト』の…応用です…ふぅ…」

そう。幻佑が咲夜の時間停止を打ち破ったのに利用したのは、状態異常防御のアビリティ『ストップ防御』と、白魔法『ヘイスト』である。

幻佑は当初『クイック』と同系統の時間停止にはストップ防御やヘイストによる上書き効果は効果を為さないと思って忘れ去っていたが、

土壇場のダメ元で両方使ってみたら一瞬ながら抵抗することができた。

「停止した時間に干渉するために集中をしすぎてしまって、ものすごく疲れましたけどね…」

 

 

「さて、そろそろこの戦いも終わらせましょう」

「終わらせる…?

時間停止に対する対策は思いついてないのに、どうしようというのです?」

咲夜が疑わしいというように言って来たので、

幻佑は、

「誰にでもできる対策なんて大層なものじゃぁありませんけどね」

と言って、持っていたナイフとはまた別の、刀身の青いナイフを生み出した。「ナイフ拾っといて良かった」

そして…

「ふぅぅぅぅ────フンッ!」

ザシュッ!

自分の腹に突き刺した。

「は……え…?」

咲夜が呆気にとられた表情になる。

「っっっ───はぁ…ふぅ。

痛みが軽減されてても…結構堪えるなぁ…これ…」

顔を顰める幻佑だったが、咲夜の方を見て、

「これは時間停止対策とは関係ないんですが───

このナイフの性能を、できるだけ引き出すために必要な行動でした」

幻佑がこのような行為に及んだ理由は、

いま幻佑が用いているナイフが、

あの『バリアントナイフ』だからである。

その特性は、「HPが減少するほど攻撃力が上昇する」というもの。

そのため、敵の攻撃を受けるよりはある程度安全にダメージを稼ぐためにわざわざ自傷行為に及んだのであった。

「ただ、このナイフの性能を見誤ってましたね…

おかげでHPが残り2割ですよ」

さすが悪名高いモグタ…もとい、バリアントナイフ。

一刺ししただけでHPが瀕死ラインである。

幻佑が防具を装備していなかったというのもあるが、そもそも防具の防御力はほぼ無視されるので意味はなかったか。

「本命は…これです!」

そしてその一手を発動させる。

「『タイムトリップ』」

 

 

 

 

──咲夜は自分の体に異変が起きたことを感じ取った。

「な…?体の動きが鈍く…?」

体を動かそうとするのだが、ピクリとも動かない。

「いや、違う…動きが鈍いのではない…

動けない…ですって?」

その事実が咲夜の動揺を誘う。

幻佑が、咲夜へ歩み寄る。

「僕が時を止めました」

「……!!」

咲夜は動けない。

「『タイムトリップ』は10秒だけ時を止めることが出来るアビリティ。

その時の止め方は少々特殊でして、

たとえ相手が停止耐性を持っていたとしても動きを止めることができます。

たった10秒。されど10秒です。」

幻佑はナイフを構え、

「この状況でなら…

貴方を行動不能にするには10秒で十分です!」

声高らかに宣言する。

「『ミラージュダイブ:連』!」

その技は、マッシュの仲間のロックの瀕死必殺技。

『たたかう』を選択した時、HPが一定値以下の場合に低確率で出る技で、某ひたすら楽したい人はボス戦でこれが出るまでリセットしたとか。

 

幻影のごとき剣閃が、咲夜を襲う。

「…!!」

だが、それが咲夜を直接傷つけることはない。

その代わり、咲夜の周囲に斬撃の軌跡が重なってゆく。

「残り…3秒!」

幻佑は息を切らしながら、次々と攻撃を繰り出す。

咲夜は時が動き出した時の対処を全力で考えるも、四方八方を斬撃に囲まれ、抜け出す穴を見つけることが出来ない。

そして、

「ハァ…ハァ…10秒経過!時よ、再始動せよ!」

ついに、時は動き出した──

 

 

 

─と同時に、咲夜によって再び時が止められた。

「っっっ───ハァ…ハァ…」

咲夜はその場に崩れ落ちたい衝動に駆られたが、

少し動いただけでも斬撃が触れそうな位置まで迫っていた。

「諦めるしかないわね──」

そう言って、咲夜は時間停止を解除した。

途端に、止まっていた斬撃が動きだし、咲夜を切り刻む──

 

「回避『テレポスワップ』」

 

直前に、その場から咲夜の姿が消え、数メートル先に現れた。

斬撃が何も無い空間で炸裂する。

「……え?」

何が起こったのか分からず、困惑する咲夜。

幻佑は、腕を下ろし、

「相手を殺すのは…ルール違反なので…」

そう言ってその場に倒れ込んだ。

「流石に…疲労が…限界…」

仰向けのまま、胸を上下させて息をする幻佑。

「この勝負…僕の勝ちで、いいですか?」

咲夜は逡巡する表情を見せたものの、

「……ええ、認めるわ」と言ってくれた。

「良かった…のかな?…よいしょ。

それで、僕について何か分かりましたか?」

幻佑は呼吸を整えて起き上がりつつ、咲夜に訊ねる。

咲夜は一瞬キョトンとした顔になったが、

「…貴方が面白い人間だってことは分かりましたわ」

そう言って、微笑んだ。

 

 

 

「それでは、お嬢様のところへご案内致し──」

咲夜がそこまで言ったところで───

 

ドッカァァァン……

 

どこか遠くから、爆発音が聞こえてきた。

 

「な、何事ですか!?」

慌てる幻佑だったが、

次の瞬間咲夜の方を見て絶句した。

「……あ  の  サ  ボ  り  魔  ッ  ッ  ッ……!!」

咲夜は満面の笑みを浮かべているように見えて、完全に目が笑ってない。

(怒りが頂点を通り越した時の笑みになっちゃってる…)

「大変申し訳ございません。

少〜々用事ができてしまいましたので、

しばらくの間ここでお待ち頂いてよろしいでしょうか?」

その笑顔を向けてこちらへ問いかけてきた。

「えっと、はい」

凄まれたような気分になり、

思わずそう答えてしまう幻佑。

「分かりました。すぐ戻りますので」

そしてそのまま一瞬でどこかへ行ってしまった。

数秒惚けていた幻佑だったが

「…流れで待つって言っちゃったけど、

やっぱり心配になってきた」

幻佑はどうしようかそのまま数秒思案した。

結果、

「よし、行ってみよう」

そう言って幻佑も、音が聞こえた方角へ走り出

「おっと、迷子になりそうで怖いな…」したと共に急ブレーキをかけた。

確かにエントランスだけでテニスできそうな位広いので、他の通路や各部屋もかなりの広さになるだろう。

「館内の見取り図みたいなのがあればいいんだけど」

当たりを見回してみても、そんな感じのものは見当たらない。

「咲夜さんが全部案内してくれるから必要ない、ってことかな…」

仕方なく、幻佑は闇雲に探そうかと考えたところで…

「うん…?…見取り図…地図…あ!」

突如閃いた。

「『魔法の白地図』があるじゃん」

魔法の白地図とは───

DS版FF4で追加された、いわゆるオートマッピング機能である。

各フロアを歩いていくと、白い部分が埋まっていき、到達率が100%になるとアイテムが貰える、といった代物だ。

手に入るアイテムはトレジャーハントを除けば全て消費アイテムだが、ゲーム内において戦闘を行わずにラストエリクサーを手に入れられる唯一の手段だったりする。

 

「どんな仕様になってるかわかんないのが不安だけど、物は試しだ」

早速幻佑は、魔法の白地図を作り出してみた。

すると、

「おっ、きたきた」

自分の立っている場所を中心に、だいたい円形の赤が現れた。

「流石に%表示は…ないよね」

むしろ貰えたらどうしようかと不安になっていたところだ。

「ん…これは?」

何やら矢印マークが地図の右上の方向にあり、地図の外を指していた。

「これは…Xのイベント矢印?

もしかして、色んな地図のハイブリット仕様だったりするのか…?」

ワールドマップの利便性が一気に増しそうである。

「とにかく向かってみよう」

幻佑は矢印の方向へ向かって歩き出した。




冒頭キレてるのはコロナのせいで2週間オンラインに突入しそうだったからです
その分編集は捗るかも?
…そもそも書き溜めだからいつでも出せるってのは内緒なんですけどね
ストックがないと不安になる性分なので
家にいる間にぱぱぱっと書く予定です。
ではまた。
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