管理局内のとある一室にて、クロノを含めフェイト、シグナム、ヴィータの作戦参加組とはやての5人がある待っていた。
「今回集まってもらったのは、この映像の解析結果とユーノに頼んでいた依頼の報告がきているからだ。」
クロノはそう言って中央に問題となっている映像を映し出した。
その映像には数時間前に逮捕し、護送中のイオリの姿が映し出されていた。
「まずこの映像に移っている人物だが、今までと違い
そう言ってクロノは中央の拘束台に拘束されている人物を拡大した。
「うん。バルディッシュたちに残っているデータも同じ映像だったよ。」
フェイトはクロノの言葉をさらに捕捉し、件の映像の人物が常に一定の姿であることを肯定した。
「……そうだ。だからこの映像を見た解析班は最初、この人物はイオリではないのではないかと仮定していた。」
それを聞いたメンバーは全員頷き、そう判断したのも頷けると考えた。
今までのイオリに関する映像データは、おそらくは
「せやけど、過去形っちゅことはイオリ本人やったてことでええんか?それと消えた理由はなんやったんや?」
はやてはこの場にいるメンバーの疑問を代表してクロノに質問した。
映像は先ほどの拘束されている場面から進み、イオリの体が徐々にその輪郭を失い消えるように消失している場面に移っていた。
「それに関してはユーノから説明を頼む。」
クロノがそう言って回線を繋ぐと無限書庫内の映像が映し出された。
『やあみんな。久しぶり。』
そこにユーノ・スクライアが映ると、室内にいる馴染みのメンバーに軽く挨拶を済ませた。
『今回クロノから依頼された調査だけど、現状わかっていることを伝えるね。』
ユーノはそう言って手元に集めてきた資料からいくつかのデータを室内にいる5人に送った。
そこには今までイオリが関与したと思われる盗掘事件や、20年ほど前に管理局にとって潰された違法研究の資料が乗っていた。
『盗掘に関してだけど今みんなの手元にあるデータがイオリが行ったと考えられる遺跡と
全員はその膨大な量のデータに驚愕と呆れの表情を浮かべていた。
「今まで話題にならなかったのが不思議なくらいだな。」
クロノは苦虫を噛み潰したように苦い顔をしていった。
『そうだね。……あまり言いたくないけど管理局内でも彼に加担していた人間は少なくないと思うよ。彼によって多くの
同じ遺跡を調査し探索する研究者として思うところがあるのか、ユーノは悲しそうな顔をしてそう言った。
「ユーノ。」
このままでは話が脱線しそうな空気を感じ、クロノが先を促した。
『そうだね、本題に入るね。今みんなに送った、
そういってユーノが映像の向こうで何か操作すると、今まで表示されていた、
「基本的には同じもんはいらんゆうことやな。……なるほど、それで
はやては新たに表示されたそのデータから、イオリが
イオリは基本的に同じものは複数持たない主義(例外な、
「でもこれって……」
はやてと同じ結論に達したフェイトだが、表示されたデータを見て眉をひそめた。
この場に揃った全員が何かに気がついたようで、違いはあるが全員が納得できないという表情をしている。
「そうだ。
クロノは縛りだすようにそう言った。
それが意味するところは管理局の中で、かなりの地位にいる
だが繋がっていることはわかっていても、いったい誰が繋がっているのか、また何人いるのかもわからない状態では手の打ちようはない。
「……この件に関しては、今は頭の片隅入れておくだけでいい。ユーノ次のデータを。」
クロノはそれだけ言って次の資料を映し出した。
全員今はどうにもできないことを理解し、複雑な思いを抱きながらもその思いをそっち胸の内にしまった。
『うん。こっちは20年ぐらい前に合った違法研究のデータだよ。』
「人造魔導師計画……コードプロジェクトM?」
資料を見たフェイトが誰よりも先に反応した。
それはフェイトにとってかつての事件を思い出させるには十分すぎるタイトルだった。
事情を知っている全員は目を見開き、クロノとユーノに視線を送った。
「……皆の知っている
『簡単にいうならプロジェクトFの
「それじゃあイオリ……」
フェイトはイオリも自分と同じ存在なのかと考えたが、
「違う!」
クロノが声を大きくし、それを否定した。
『うん。違うんだ。プロジェクトMとプロジェクトFはデータが使用されたこと以外は完全に別物だよ。』
ユーノもフェイトの考えを否定し、プロジェクトMについて説明し始めた。
『
ユーノがそう言ってまた別のデータを表示すると、培養槽の中に漂う胎児とサンプルとなった少年少女の姿が映し出された。
「あ!」
そのなかの一人に先ほどの映像よりもずっと幼いが、イオリの面影を持った少年の姿があった。
「10-Ⅱ?これは……」
映し出された画像には首に何らかの装置をつけられ、そこに10-Ⅱと刻まれているのが見えた。それが何を意味しているのかは、この場にいる全員が予想がつき重い空気が満ちていた。
「……彼も何らかの理由でここに連れてこられて、いろいろな実験を受けたんだと思う。だが
クロノが重い空気を振り切るように、強い意志の籠った目で全員を見渡す。それにこたえるように全員頷き返した。
『それでこの施設のデータから彼の能力について断片的だけど分かったんだ。まず彼の特異な能力は魔力の超精密制御、これは本来デバイスで行う魔力運用をデバイスなしで出来るんだ。』
ユーノの説明を受け全員が首を傾げた。
「デバイスがあんのに自分でやる意味があんのか?」
疑問に思ったヴィータが尋ねると、ユーノはどう説明しようかとなやんだ。
『う~ん、ここからは推測になるけどいいかな?』
ユーノが自信なさげに聞くと、全員首を縦に振った。
『フェイトたちとの戦闘データを見るに、彼の魔法はオリジナルか未発見の魔法なんだと思うよ。魔法陣も詠唱もないから、それを行うのに既存のデバイスでは無理があるんだと思う。』
フェイトやシグナム、そしてヴィータはイオリが戦闘で見せた魔法を思い出した。たしかにイオリは戦闘で一度も魔法陣も詠唱も見せることなく、予備動作なしで魔法を発動させていた。
『それと艦から消えたのだけど、こっちはレアスキルによるものだと思うよ。能力名【ドッペルゲンガー】。発動条件なんかはデータが消失していて分からないけど、ようするに容姿も思考も能力も全部オリジナルと同じ分身を生み出す能力みたいなんだ。』
それを聞いた全員は驚きのあまり目を見開いた。
「なんやそれ!?せやったらイオリはたくさんおるっちゅことか!?」
本来はいろいろな制限が存在するが、現在でそれを知っているのはイオリ本人だけで、制限を知らない人間からすればどうやって捕まえればいいのかわからない能力だ。
仮にまた捕まえたとしても全てが同じ分身など、本物かどうかなどわかるわけがない。
「映像を見る限りではそうだが、おそらく分身は消滅が確定しているはずだ。そうじゃなければ
はやての困惑をクロノはそう言って訂正した。
「ただ現状ではもう足取りを掴むことも、網を張ることもできない。全員これからは情報収集を主体で行ってほしい。……みんな頼んだ。」
そしてクロノたちの会議は終了を迎えた。
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そのころ対策を考えられていたイオリ本人はというと、
「ギャー!?なんだこれ!?地面に引きずり込まれた!??え?どーなってんだこれ!?」
指定されたスカリエッティのアジトを訪れたイオリは、突然地面に引きずり込まれ下半身が地面に埋まってしまった。
「成功!あたしだよー!」
突然のことに混乱していると、水面から顔を出すようにナンバーズの一人が地面から顔を出した。
「たしか……お前はセインだったか。何してんだよ。」
イオリが問いただすが、セインは悪戯を成功させた子供のように満面の笑みを浮かべながら再び地面に潜ってしまった。
その後悪戯に気がついたウーノによってセインが連れて来られるまで1時間ほど、イオリは地面から生えるという奇妙な体験をしていた。
書いててシリアスな会議みたいになったので落ちをつけてみました。
なぜか落ち担当が主人公のイオリになってしまいましたが……ま、いいか。
たまに思うけどセインのISで壁に全身引きずり込まれたらどうなるんでしょう。
考えるだけで恐ろしい((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル