作者は最近チラチラと日間ランキングにランクインできて、テンションが上がってきました!
_|\○_ヒャッ ε=\_○ノ ホーウ!!
これでまだまだ頑張れます!
「ったく、ひどい目にあった」
ようやく地面から出られたイオリは、正座させられてウーノに叱られているセインに目をやった。
「で? あいつは何がしたかったんだ?」
「フフッ。セインはISの最終調整がさっき終わったところでね。使ってみたかったんだろう」
スカリエッティは愉快そうに笑うと、セインの悪戯の動機についてそう説明した。
「そういうことは身内でやってくれ」
俺はは呆れた顔をしながらそう吐き捨てた。
実際なんの前触れもなく地面に引きずり込まれるなど、ただのホラーでしかない。
「申し訳ありませんでした。私の監督不備です」
セインへのお説教が終わったのか、いつの間にかスカリエッティの後ろにウーノが立っていた。
ウーノはそう言って俺に対して謝罪してきた。ただ笑って済ませるどこぞの変態とは段違いだと思った。
「ああ、もういいよ。ただ驚いただけだから。セインも、もうやんなよ!」
ウーノの謝罪を受けた俺はセインにそう言ってこの話を終わらせた。
セインも分かったと叫ぶとどこかへと行ってしまった。
「君は相変わらず
スカリエッティは何がおかしいのか、笑いを噛み殺しながらこちらを見てきた。
「ふん。俺にとっては親戚みたいなもんだからな」
俺はそっぽを向いた。
「そうだね。プロジェクトMの遺児である君にとってはそうなるだろうね」
かつて俺がいた施設は多くの魔導師やレアスキル保有者が集められ、それらのデータをもとに最高の魔導師を作り上げようとしていた。
ただ全くの別人から集めた遺伝子情報とリンカーコアでは拒絶反応が大きく、最高の魔導師など夢のまた夢だった。
「そこで目をつけたのが系統樹。拒絶反応が少ないデータから少しずつ能力を合わせた子供を作り調整し、さらにその子供からデータを取り能力を合わせた子供を作る。すると最終的にはすべての能力を合わせた一人が生まれる。全く気の長い話だね。結局実験は管理局に見つかり頓挫、残ったのは僅かな実験体だけ」
スカリエッティは呆れを含ませた声で俺が作られた実験についてを語った。
同意するのは癪だが、スカリエッティの言うように、あの実験はあまりにも気が長すぎると俺も思う。だがその実験は研究者たちが慎重だったためもあり、長い間管理局の目からも逃れていた。そしてその膨大な実験データは様々な形で役に立っていた。
「そうは言うが俺で10代目の
プロジェクトMは完成を間近に見た段階で管理局に見つかり、研究者は捕まる前に研究データを外部へ流出させ施設もろとも自爆した。
「そうだね。ただわからないのはなぜ同じ
「ん~……。まあたしかに変だが、俺にとっては全員が兄妹みたいなもんだったからな。兄妹が無駄死にっていうのは何とも複雑だ。だからとりあえずは完成だけは目指してみただけさ」
俺のアジトは当時施設の設備と同じで、そこに一つの培養槽がある。
その中には俺たち実験体のデータの結晶とでもいうべき存在がある。あとはその人造リンカーコア【M】に適合する素体があれば、プロジェクトMは一つの完成を迎えるだろう。
「ふむ。私には些か理解できないが、君の研究には私も興味がある。協力するのはやぶさかではないよ」
スカリエッティがそう言ってウーノに目を向けると、ウーノもそれが何を意味しているかを悟り奥へと消えていった。
「まあいい。それよりこれが依頼の物だ」
スカリエッティが何を考えているか考えたところでわかるわけもないので、俺は商談に移ることにした。
「ふむ……確かに本物のようだね」
スカリエッティはじっくりと俺が盗ってきた制御用ユニットを確認すると、満足そうに笑った。
「ところで、君はこれが何かわかるかい?」
まるで俺を試すかのように手に持った
俺はスケリエッティの意図が分からずどうしようかと迷っていた。あれが何らかの特殊な制御コアであることはわかるが、本来こういった依頼で詮索はご法度だ。だからこそ俺はあの
なのに目の前のスカリエッティはわざわざこれがなんであるかを俺に聞いてきている。
「何かの制御コアだろ。……それで、一体何がいいたい?」
俺の勘が面倒事が起こると注げているが、はぐらかしたところで結果は変わらないだろう。
俺は渋々と自分の見立てを話した。
スカリエッティは俺の見立てに対し「正解」と一言だけ言うと楽しそうに笑い、こちらを見てきた。
「君に少し頼みたいことがあるのさ。……ちなみに報酬の方はもう用意してあるよ」
そう言って後ろに視線を向けた。
俺もその視線に釣られてスカリエッティの後ろを見ると、そこには先ほど奥へと消えていったウーノがいた。ただ先ほどとは違い、ウーノの横には手を引かれた少女が一緒にいた。
「……で? それは?」
俺は考えるのも面倒になり、目の前の人物に一言だけで問いかけた。
「彼女が君への報酬さ! 彼女なら君の研究に必要な最後のピースになるはずさ」
スカリエッティの言葉を聞きながら、俺は少女に目を向けた。
おそらくはスカリエッティが生み出した人造魔導師だろう。
解析してみたがウーノ達のように体内に機械があるわけでもなく、リンカーコアも正常に機能しているのが
「おいおいこいつは? ……何を元にしたらこんなのが生まれるんだ?」
別段世間一般の倫理観など語るつもりはない。
俺の研究に必要ならば、俺とてクローンを作ったりする。だがスカリエッティが連れてきた少女は、明らかに異常だ。
少女の魔力量は絶対値が途方もなく大きいのに対して魔力の生成量があまりにも少ない。
例えるならダムをコップでいっぱいにしようとしているようで、はっきり言って無駄な努力だ。
そして魔力光は指紋のようなもので、魔力を持っているなら必ずあるはずなのに、少女からはその魔力光が確認できない。
「魔力があるのに魔力光がない? おいおい、矛盾してるぞ」
俺は訳も分からず見たままの分析結果を口にした。
「相変わらずその
スカリエッティは興味深そうに俺の左目に注目するが、俺にとってはそんなことどうでもよかった。
「いいから答えろ」
俺はスカリエッティを睨みつけた。
スカリエッティはわざとらしく肩を竦めて見せて説明を始めた。
「彼女はある人物のクローンを作る途中で生まれた失敗作さ。彼女は要は空っぽなのさ。元の器は大きくとも、そこに収まるべきものを何も持たずにできてしまってね。……ただここまで見事に空っぽな器なら、君の持っている【M】を入れるのにちょうどいいとは思わないかい?」
確かに少女の器なら、もしかしたら可能かもしれない。
なにを元にしたのかは知らないが、元となった人物は相当な資質を持っていたのだろう。だが少女はそれらすべてを持っていない。
本来【M】はあまりに多機能で膨大な魔力生成量を誇るため、少しでも移植者に合わないと壮絶な拒絶反応が出る。そのためにプロジェクトMは何代も代を重ね、少しずつ適応させていった。だがここまで空っぽならば、【M】を移植したところで拒絶反応は起きない可能性が高いはずだ。
「……はぁ~。分かったよ! 協力すればいいんだろ?」
俺がそう言って了承すると、スカリエッティは口に笑みを浮かべた。
そしてウーノに少女を俺に渡すように指示すると、本題を口にし始めた。
「契約成立だね。なに、頼みたいのは探し物。いつもと同じさ」
「何を探せばいい」
俺は隣に来た少女の姿を改めて観察しながらスカリエッティに訊いた。
少女は色が抜け落ちたかのような白い髪に、白い肌をしていた。そして瞳は、本人の性質を表しているかのように何の感情の色もない虚ろな瞳だ。
「……
ただ左右で色の違う瞳だけが印象的だった。
どうやら俺はとんでもないことに足を突っ込んでしまったようだ。
ようやくヒロイン?らしきものを出しました。
原作を見ていて思ったのですが、いくらスカリエッティでも狙った能力を持ったクローン、ようはヴィヴィオを一回で作り上げたとは思えないのは作者だけでしょうか?
設定を見てもセインなんかは同じクローンから生まれているのに、突然変異ということになっています。
ならヴィヴィオの前に失敗作や突然変異の聖王のクローンがいてもおかしくないはず!
と作者の思い込みで完全にオリ設定のオリキャラをぶち込んでしまいました。
ですが、基本的に原作は守ります。
作者には原作ブレイクする勇気はありません。|д゚)チラッ