一龍妖魔學園紀   作:影鴉

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御待たせしました、クラス対抗戦スタートです。
今回、ルカによって鈴音が若干の強化がなされておりますのでご了承ください。


サブタイトル元
『哀believe』 歌手:青柳 涼子


 哀believe

人は生きねばならぬ。

生きるためには戦はねばならぬ。

名は掲げねばならぬ。

”金”はまうけねばならぬ。

命がけの勝負はしなければならぬ。

 

───徳富蘆花「思出の記」

 

 

____________________________________________

 

 

 

4月21日 学年別クラス対抗戦当日

 

『IS学園(ISがくえん)』 第2アリーナ

 

 

 遂に来た学年別クラス対抗戦当日。

 話題の男性操縦者や専用機持ちが出場する事もあり、1年生のクラス対抗戦を行う第2アリーナの観客席は全席満員となっていた。運悪く、アリーナ入りできなかった生徒達は外のモニターで観戦することになっているのだが、アリーナ外の席も満員御礼となっていた。

 

 1年生のクラス代表は以下の4人、

 

1組:葉佩 一龍

 

2組:鳳 鈴音

 

3組:熊田 陽介

 

4組:更識 簪

 

 お目当てだった男性操縦者が2人しか出場しない事に一部では不満の声があったが、それでも専用機持ちである事に鈴と簪は注目を受けていた。

 

 そして行われる対戦の組み合わせは…

 

第1試合 1組:葉佩 一龍 VS 2組:鳳 鈴音

 

第2試合 3組:熊田 陽介 VS 4組:更識 簪

 

 以上の対戦カードが組まれた。果たして優勝はどのクラスか……

 

 

:::::

 

 

第1ピット

 

 

「さて、と」

 

 

 自身の愛機、一龍(イーロン)の最終チェックを終えた一龍。後は試合開始の時間迄待つだけとなったのだが…

 

 

「一龍、顔色が余り優れていない様だが…」

 

 

 調整のサポートとして呼んでいた箒が心配そうに声を掛ける。

 

 

「【困】うん、大丈夫だ……とは言えないな」

「……鈴の事が気になるのか?」

「ああ、結局あの日から鈴と話す機会が無かったからな」

 

 

 鈴を振って叩かれたあの日以降、一龍は彼女と会う機会に恵まれなかった。いや、一度だけ鈴の方から来た。

 昼食時、彼女は一龍の前に現れ、一言発して去って行った。

 

 

「クラス対抗戦で決着を着けるから」

 

 

 どうやら、ルカから出場権を譲って貰えたらしい。そして、鈴にとっては単なる勝負と一龍への想いにけりを付ける意味が含まれている事を今の言葉から理解した。

 

 

「鈴はしっかり向き合おうとしている。なら俺もその気持ちに応えないとな…」

「もう立ち直ろうとしているのか、彼女は強いな」

「あの頃は結構怒りっぽい性格だったからな」

 

 

 話をしている内に試合開始前の予鈴が鳴り響いた。

 

 

「じゃあいってくる」

「一龍」

 

 

 箒は一龍の傍に寄ると頬にキスをし、そのまま離れた。

 

 

「頑張って!」

「ああ!」

【Get Ready Standby】

 

 

 一龍は一龍(イーロン)を展開するとカタパルトに乗った。

 

 

「葉佩 一龍、一龍(イーロン)。行くぜ!!」

 

 

:::::

 

 

第2ピット

 

 

「よぅし!!」

 

 

 一方の鈴も準備を整え終わり、両頬を叩いて気合いを入れていた。

 

 

「リン、準備は良い?」

「バッチリよ♪ 早く暴れたくて堪らないわ!」

 

 

 そんな彼女の元にルカが現れる。鈴に出場権を譲り、今日まで彼女をサポートしていた為、最後の確認に来たのだ。

 

 

「一龍の機体については教えれるだけ教えたけど、まだ分からない機能が多くあるみたいだから気をつけてね?」

「うん、ルカのお陰で色々準備出来たんだもん。絶対に負けないから!」

「その調子なら大丈夫だね。じゃあ、頑張って!!」

 

 

 やがて試合開始前の予鈴が鳴り、鈴は甲龍を展開してカタパルトに乗る。

 

 

「任せといて! あ、ルカ…」

「何?」

「あのね……、私が勝ったら…」

「? リンが勝ったら?」

「………私と…その……ゴニョゴニョ…」

「?」

「……私が勝つから応援しててね!」

「あ、リン!? …いっちゃった…」

 

 

 何か言いたげだった鈴は言葉を変えると、其のままカタパルトからアリーナへ射出され、ピットから去って行った。

 

 

「…リン、頑張ってね」

 

 

 鈴を見送ったルカはアリーナの観客席へと戻って行った。

 

 

::::::::

:::::

::

 

 

「よう、待ってたぜ?」

「お待たせ。ボコボコにされる準備は出来てる?」

「【燃】そう簡単にやられる気は無いぜ?」

「上等♪」

 

 

 互いに軽い会話をした後、試合開始のブザーが鳴り響いた。

 

 

「いくぞ(わよ)!!」

 

 

鈴が双天牙月を、一龍が戦斧を展開してぶつかり合う。

 

 

「先手必勝!!」

「いくぜ、おらぁ!!」

 

 

 何合もの打ち合いが続くが、鈴が双天牙月を2本の青竜刀へ分離させ、一龍へ技を繰り出す。

 

 

「喰らいなさい、虎牙破斬(コガハザン)!!」

「うぉっと」

 

 

 鈴の斬り上げから斬り下ろしに繋がる連続斬撃を一龍は難無く受け止める。そこへ鈴はニヤリと笑い、

 

 

「掛かったわね!? 吹き飛びなさい!!」

「ぐぉ!?」

 

 

 すかさず龍咆の射出口を一龍の胸元に向けて放ち、吹き飛ばす。

 

 

「成る程な、今のが衝撃砲か」

「……やっぱり一龍も知っているのね」

「まぁな、中〜近距離対応のバランスタイプで試験武装を搭載。そして中国の兵器開発部門が現在研究中である兵器が収縮させた空気を射出する携帯砲台とくりゃ、推理出来るだろ?」

「…開発部門の人達は情報を公開しないって言ってたのに、別の所で分かってしまうだなんて情報統制ガバガバじゃない」

「同情はするぜ? そして対策もとっくに用意している!」

 

 

そう言って一龍はHGを鈴へ投げつける。鈴はそれを衝撃砲で吹き飛ばそうと狙うが、空気弾を放つ前にHGは爆発。白色のスモークを周囲に撒き散らした。

 

 

「スモーク……、衝撃砲対策ね?」

「御名答。これで射線も丸分かりだ!」

 

 

 一龍は後退し、武装を戦斧からM134へと切り替えると鈴に向かって弾幕を張る。更に小型戦闘機を展開した。

 

 

「近距離は辛いからな、ならば遠くから攻める!」

「…あれが1組のクラス代表を決める試合の時にも使ってたと云う小型戦闘機ね」

「いけ!」

 

 

 一龍の号令の下、小型戦闘機2機が鈴へ襲い掛かる。しかし、鈴に焦った様子は無かった。

 一龍から放たれる弾幕を回避しながら鈴は小型戦闘機の動きを伺う。すると、小型戦闘機の1機が鈴の背後から射ってきた。

 

 

「龍咆、一点集中射撃!」

 

 

 背後から放たれた小型戦闘機の弾丸を鈴は龍咆で迎え撃つ。放たれた弾丸の通過点に向けて2門の衝撃砲が空気弾を射出する。2つの空気弾がぶつかり合って激しい空気の乱流が発生した箇所へ小型戦闘機の弾丸が突っ込み、乱流に揉まれた弾丸は明後日の方向へ弾き出された。

 

 

「【驚】小型戦闘機の攻撃を防ぐか…」

「舐めないでちょうだい。数日間だけどルカとバッチリ特訓をしたんだから!!」

「成る程、ルカの差し金か…」

 

 

 鈴は両手の青竜刀を1つに繋げると、一龍へ勢い良く投げ付ける。当然、一龍は避けてみせるが…

 

 

「避けるのは分かっていたわ!」

「何? まさか!?」

 

 

 一龍が避けて過ぎて行く双天牙月は一龍の背後を旋回していた小型戦闘機に激突する。完全破壊まではいかなかったが、小型戦闘機の片翼が砕け、墜落していった。双天牙月はそのままブーメランの様に鈴の手に戻って行った。

 

 

「【悔】狙いは小型戦闘機だったか……」

「ふふっ、一龍の対策は万全よ! 大人しく倒されなさい!!」

「【燃】そうはいかないぜ!!」

 

 

:::::

 

 

1組応援席

 

 

「そんな、一龍さんの小型戦闘機が!?」

「ルカから色々と聞き出しているな、アイツ」

「わぁー、はばっち危ない!」

「イチロー、頑張るクマー!」

 

 

 1組の観客席ではセシリア達が一龍達の戦いを見守っていた。

 

 

「ところで、熊田さん?」

「セシリアちゃん、どうしたクマ?」

「どうしたも何も何故3組の貴方が此処におりますの?」

「何故ってクマはイチローを応援する為に来ているクマよ?」

 

 

 セシリアからの問いに首を傾げる陽介。彼は本音を自分の膝の上に乗せ、横にいるティナ・ハミルトンと一緒にポップコーンやらクッキーをパクついて観戦している。

 

 

「ですから、何故他のクラスの方が1組の応援席に来ているのですか?」

「何か問題があるクマか?」

「今日はクラス対抗戦でしてよ? 少なくとも貴方とは争う関係。それに貴方は3組のクラス代表ですのに、そう悠長にしていて宜しいですの?」

「クマの試合はイチロー達の試合が終わって30分後に始まるクマ。準備は万全だし、後はピットに向かうだけクマ~」

「だからクマさんと一緒にいるんだよ~」

「そうそう」

「そうそうって…何故ティナさんまで同意しておりますの!?」

「だって本音とクマさんとはお菓子パーティ仲間だし」

「お、お菓子パーティ…」

 

 

 1組の名物女子となりつつある本音が3組の男性操縦者とそんな繋がりがあった事に驚くセシリア。そこへ、箒がピットから戻って来た。

 

 

「済まない、遅くなった。戦況はどうだ?」

「一龍さんの小型戦闘機が抑えられましたわ」

「ルカが色々教えた様だな。セシリアとの試合を良く見ていた様だ」

「彼が?」

「ルカは鈴音ちゃんと同じ2組だし、助言して当然クマ」

「でもはばっち、せっしーと戦った時使った武器をまだ全部使っていないよ~?」

「授業の時に初めて見せた武装もまだ使っておりませんわ」

「どちらにせよまだ一龍は本気を出して無ぇみたいだな」

 

 

 一龍のM134による弾幕によって鈴は中々近づけず、アリーナでは膠着状態が続いていた。

 

 

::::::::

:::::

::

 

 

「はあぁ!」

「甘いぜ!!」

 

 

 弾幕を懸命に避けながら鈴は一龍に斬り込むが、一龍は直ぐ様M134から戦斧に切り替えて迎え撃つ。斬撃を受け止めればまたその瞬間に龍咆との連携で攻撃してくると警戒した一龍は、鈴の斬撃を受け流し、横から激しい連突をお見舞いする。

 

 

「くぅ…この!!」

 

 

 すかさず龍咆を放つが一龍は飛び退いて回避し、再び遠くから弾幕を張り始めた。

 

 

「ああ、もう! ビット兵器がいなくなったのは良いけど、弾幕が厄介過ぎ!!」

 

 

 先程小型戦闘機の1機を撃墜された一龍は、まだ健在なもう1機を引っ込めた。古代の遺産である黄金ジェットと科学技術の結晶であるマイクロチップを組み合わせる事で出来る小型戦闘機は、その特徴から量産など出来る訳が無く、故障した時の修復も難しい。予備が無い上、鈴なら残りの1機も墜とすだろうと考えた一龍は小型戦闘機を戻し、弾幕攻撃に専念する事にした。

 

 

(それにしても、上手く避ける)

 

 

 M134から放たれる7.62NATO弾の雨を鈴は弾幕が薄い箇所へ移動し、双天牙月で被弾する分の弾丸を弾きながら凌いでいた。

 

 

(残弾は少ないな。さて、どうするか…)

「はぁあああ!!」

 

 

 弾幕の合間を潜り抜け、双天牙月を振り回しながら鈴が流れる様な連撃を叩き込む。

 

 

「くっ、強くなったな鈴!」

「当然よ! 1年間、血の滲む思いで頑張って来たんだから!!」

 

 

 互いの武器がぶつかり合い、激しく火花が飛び散る。

 

 

「そっちこそ何時の間に武器の扱いが上手くなっているのよ!」

「俺も約1年間、世界のあちこちを巡って鍛えたからな!」

 

 

 一龍は双天牙月を弾き、片手に砲介十式を展開して発砲し、鈴は飛んでくる弾丸を左右に避けながら再び斬り掛かった。

 

 

「小型戦闘機の対処はルカからか?」

「そうよ! この5日間、一龍への取れるだけの対策と戦い方を叩き込んだわ!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 あの日からルカはアタシの為に一龍の機体について知っている事を教えてくれたり、放課後の特訓に付き合ってくれた。

 

 

「リン、一龍の戦い方は覚えたね?」

「うん。でも驚いたわ、一龍があんなに強いなんて…」

 

 

 ルカがアタシにクラス対抗戦の出場権を譲ってくれた日の夜、1組で行われたクラス代表を決める試合の内容を見せてくれた。一龍の相手はお昼に会ったセシリアで、イギリスの国家代表候補生らしい。他の国の国家代表候補生に興味が無かったアタシは自己紹介し合うその時迄知らなかったけど、そう言ったらルカが呆れた顔をしていた。

 

 

「リンの甲龍のデータを見せて貰ったけど、武装は双天牙月と衝撃砲しか無いんだね」

「そうね、近~中距離対応の武装になっているわ」

「これだと遠距離から撃たれ続けたらキツイなぁ…」

「ええと、M134だっけ? あんなの撃たれ続けられたら流石に持たないわ」

「う~ん、これだと相手の弾が尽きるまで持ちこたえるしか無い。となると回避行動に重点を置く事が重要になるかな?」

「それはそうだけど、どうするの?」

「うん、アリーナ設備で練習用のバーチャルドロイドが使えるから、それで回避練習をしよう」

「分かったわ」

 

 

 それからアタシはバーチャルドロイドを使った銃撃に対する回避練習を重点的に行った。時には一龍が使うと云う小型戦闘機対策で3機相手に回避練習を行い、少しずつながらも被弾数が減っていった。

 

 

「そう言えばリンは何か剣術とか習っていた?」

 

 

 ルカと練習を始めて3日目、休憩中にルカがアタシに尋ねてきた。

 

 

「ううん。軍で剣の使い方とか攻撃の捌き方とかは教わったけど、特に流派とかは無かったわ(街中で出会ったあやしい関西弁を操る人に武術を教わったけど、気を引き出せなかったから使いこなせないのよね……)」

「そうなんだ。なら鈴に使えそうな剣術があるんだけど、使ってみる?」

「本当? 教えて!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「アタシの専門は接近戦。だからルカはアタシに教えられるだけの技を教えてくれた!!」

 

 

 鈴は双天牙月を2本に分離させると、スラスターを噴射して勢いを付けながら斬り掛かる。

 

 

「やぁああああああああ!!!」

「ぐぅっ(激しさが増した上にスラスターの噴射によって飛び退く事が出来無い!? )」

「まだまだぁ! 虎牙連斬(コガレンザン)!!」

「うおっ!?」

 

 

 斬撃を捌き続ける一龍を斬り上げ、直ぐ様回転切りを叩き込む。そして渾身の斬り下ろしで戦斧を大きく弾いた事によって一龍に一瞬の隙が出来る。

 

 

「しまっ!!?」

「貰ったわよ! 奥義、空破絶風撃(クウハゼップウゲキ)!!!」

「ぐおぁあ!?」

 

 

 すかさず一龍の機体に一太刀入れ、仰け反ったところに衝撃砲の空気弾を纏わせた強烈な突きを放つ。一龍はくの字の体勢で壁まで吹き飛ばされた。

 

 

:::::

 

 

第2アリーナ制御室

 

 

「ああっ、葉佩君が!?」

 

 

 鈴の奥義によってアリーナの壁まで吹き飛ばされた一龍の姿を見て真耶が悲痛な声を上げる。

 

 

「山田君、落ち着きたまえ。葉佩はあの程度ではやられんだろう?」

「そ、そうですね。オルコットさんに圧勝した葉佩君が簡単にやられる筈が無いですよね?」

「あいつを信じてやれ。しかし、鳳の奴も中々強い。まさかあの様な剣術を使えるとは…」

「葉佩君の弾幕に臆さずに斬り込むなんて中々出来ないですよ」

 

 

 千冬と真耶は鈴の実力を評価する。

 

 

「だが、葉佩の奴は碌に武装を使っていない。出し惜しみをする様な奴では無いから何か策があるのだと思うが…」

「そういえば授業で色々な武器を見せてくれましたね。特殊な武器があるから簡単には見せられないと言ってましたが使ってくれるでしょうか?」

「分からん。使うとしたら葉佩が追い詰められたらだろうが、果たしてあいつが追い詰められる状況に陥るか」

 

 

 アリーナでは体勢を整えた一龍が戦斧を構え直し、鈴へ激しい突きを仕掛けていた。

 

 

「……お前の実力はそんなものでは無いのだろう、葉佩…」

 

 

 真耶に聞かれない様、千冬は小さな声でそう呟くのだった。

 

 

:::::

 

 

4組応援席

 

 

「………凄い」

 

 

 一龍と鈴が繰り広げる戦いを観戦しながら、簪は感嘆の声を上げた。様々な武装を操り、オールレンジで自身の有利な状況に誘導する一龍に対し、弾幕を避けながら接近戦に持ち込もうとする鈴。

 自機の武装がオールレンジに対応したラインナップである為、一龍の戦い方はとても参考になるし、一龍の遠距離攻撃を回避、防御して近接攻撃を当てていく鈴も目を見張るものがある。簪は一龍達の戦いを一瞬も見逃すかと、食い入る様に眺めていた。

 

 

「ほぅ、相手の戦略を学ぼうとする見事な心掛けだと感心するがどこもおかしくないな」

「そ、そうかな?」

 

 

 簪の隣で観戦しているブロントは簪の姿勢に感心し、彼女は少し恥ずかしそうに頬を染めた。

 

 

「うん、どっちも強い…」

「ほむ…。だが、一浪はまだ全ての武器を使ってにぃ。それにエネルギー残量も一論が有利だべ」

「このまま葉佩君が勝つのかな?」

「勝負の行方は最後まで分からないべ。この先どう転ぶか……」

 

 

 簪達の視線の先には尚も激しい撃ち合いが繰り広げられていた。

 

 

:::::

 

 

「【喜】本当に強くなったな鈴! 流石、1年間で国家代表候補生に上り詰めたもんだ♪」

「一龍に言われても嬉しく無いんだけど!? ルカもそうだったけど、何でその国家代表候補生の猛攻を平然と捌いているのよ!」

「世界中を巡っていたら強くもなるさ!」

「世界で何してたのよ!?」

 

 

 互いの武器を弾き、距離を取る。一龍のシールドエネルギーの残量が5分の3に対し、鈴は半分を切っていた。

 

 

(燃費が良いのが甲龍の長所だけど、このままじゃ先にエネルギーが尽きるのはアタシの方。さっきみたいに奥義をぶつけて一気に削らないと…)

(鈴の実力は確かだ。侮っていた訳じゃ無いが、あの接近戦と衝撃砲の連携は厄介だ……。まだ公開したく無かったが、アレを使うか…?)

 

 

 拮抗状態となった2人は一定の距離を保ちながら互いに様子を窺う。次に動き出した時、決着を即ける勝負が始まるだろう。

 

 

その時、

 

 

【警告、アリーナ上空より高エネルギー反応。危険!】

「!? 退がれ、鈴!!」

「へ? 何!?」

 

 

 H.A.N.T.からの警告を聞き、一龍は鈴の腕を掴んでアリーナの隅へ飛ぶ。瞬間、閃光がアリーナ中央に降り注ぎ、轟音がアリーナを埋め尽くした。

 

 

「な、何が起きたの?」

「……これは」

 

 

 アリーナ中央からもくもくと立ち上がる煙の中に黒い影が2つ。

 やがて、煙が薄くなりその姿が露わになる。

 

 

「何あれ…、ISなの!?」

「………」

 

 

 煙から現れたのは 全身装甲(フルスキン)の黒いISが2機。

 顔を驚愕に染める鈴に対し、一龍は表情を歪める。相手が何者か、何の目的で現れたか解ったからだ。こんな状況でテロ紛いの事を仕出かせる狂った人間はたった1人しかいない。

 

 

(篠ノ之………、束…)

 

 

 そんな彼等を学園から遥か遠く離れた場所にある研究室のモニターからニヤニヤしながら眺める者が1人。一龍達の様子を愉快そうに、されど禍々しい笑みを浮かべ、一龍達には聞こえないのに1人呟いた。

 

 

「ハロー、いっくんとイレギュラー諸君。お手並み拝見させて貰うよ♪」

 

 

TO BE CONTINUE




ルカの指導によって鈴はスパーダの剣技が使える様になりました。
後、鈴が街中で出会って武術を教えて貰った人の名前が分かった人はスゴイと思う。


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