一龍妖魔學園紀   作:影鴉

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何という事でしょう、すらすらと書けてしまったので連日投稿です。
こっちを主体にするつもりは無いのになぁ…


サブタイトル元
『モザイクカケラ』 歌手:SunSet Swish


 モザイクカケラ

「朽ちることのない”宝”を

 天に積み上げなさい。そこには、

 盗人も近寄らず、

 しみもいためることがありません。

 あなたがたの宝のあるところに、

 あなたがたの心もあるからです。」

 

───ルカの福音書12章33~34節

 

 

____________________________________________

 

 

1限目後の休み時間

 

『IS学園(ISがくえん)』1年1組教室

 

 

「ちょっといいか?」

 

 

 私は一夏である筈の彼、葉佩 一龍に声を掛けた。

 

 姉のせいで家族をバラバラにされた私は幼馴染である一夏とも引き離された。そんな彼がこの学園に男性操縦者として入学して来るとは夢にも思っていなかった。まさか世界中で見つかった7人の男性操縦者の一人目であったなんて…

 久しぶりに会えた彼は逞しく、ワイルドな雰囲気を出しており、嘗てのやんちゃ坊主の様な面影は無かった。彼を目が合った時に思わず声を上げそうになってしまったが「静かに」という仕草を見て何とか声を出さずに済んだ。しかも、その後微笑みを向けて来るのだから思わず顔が真っ赤になってしまった。あの笑みは反則だ……

 嘗ての一夏とは違う彼、何もかも変わってしまったのではないかという不安を胸に抱いてしまい、確認すべく声を掛けたのだった。

 

 

「どうしたの篠ノ之さん?」

「俺に用だな箒?」

「ああ、」

「え!? 一龍君、篠ノ之さんと知り合いなの?」

「小学生の時の幼馴染でね」

「幼馴染だとぅ!?」

「いいなぁ、」

「じゃあ、用があるようだから質問はまた今度な」

 

 

 そう言って彼は席から立ち上がる。幼馴染と言ってくれた事から本当に一夏なのだと安心する。

 

 

「屋上で話そう」

「わ、分かった」

 

 

 女子生徒達の羨ましがる声を背に受け、私は彼と共に教室を出て行った。

 

 

「ねぇ、あれって…」

「男性操縦者の一人でしょ? 何組かな?」

「格好良いなぁ」

「頬の傷がワイルド~」

「一緒に歩いている娘は誰だろ?」

「もしかして彼女!?」

「ええっ!? 学校初日なのに早過ぎでしょ!」

 

 

 早足で歩いていく私達の事を生徒達がひそひそ声で話している。

 

 

「前もって、言っておく事がある」

 

 

 共に廊下を歩きながら彼は早口で話してきた。

 

 

「此処では俺の事は一龍と呼んでくれ」

「なっ!? 何故だ?」

「俺は織斑の名前は今捨てている。訳は後で話す、いいな?」

「あ、ああ、分かった」

 

 

 名前を捨てたと言う彼に不安を抱きながら私は彼、一龍の後をついていった。

 

 

::::::::

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::

 

 

1限目後の休み時間

 

『IS学園(ISがくえん)』屋上

 

 

 約15分程の休み時間だからか屋上には誰もいなかった。

 

 

「【喜】久しぶりだな、箒」

「ああ、約7年ぶりだ」

 

 

 屋上のフェンスに腕をのせながら一龍は笑顔で声を掛けてきた。

 その笑顔は懐かしく、そして眩しかった。

 

 

「そうか、もう7年も経つのか…、あの頃が懐かしいな」

「そうだな、ってそれより!」

 

 

 私は気になっていた事を尋ねる事にした。

 

 

「一夏、なんで違う名前なんだ? 1年間何処にいたんだ? 何でISを起動したんだ? どうして此処にいるんだ?」

「【困】いきなり質問の連続かよ…」

 

 

 一龍は困ったような顔をしていた。

 

 

「まず言うべき事があるだろ?」

「な、何だ?」

「【喜】元気そうで良かった」

「!?」

 

 

 そう言って一龍はホッとした様な笑顔を向けてきた。

 顔が熱い、また赤くなっていないだろうか?

 

 

「連絡出来なかったから心配だったんだぞ?」

「そ、そうか…、有難う…」

「じゃあさっきの質問だが、まず名前だな。これに関しては名前を今捨てているとしか言えない」

「何故だ!?」

「とある理由で千冬姉を信じられなくなったからだ、千冬姉から真意を聞かない事には俺は織斑の名前に戻るつもりは無い」

「千冬さんを? 理由は…教えてはくれないのか?」

「悪いが俺達、姉弟の問題だ。何時かは話したいが今は勘弁な?」

「…分かった」

 

 

 千冬さんとの間に何があったのだろうか? 名前を捨てたという事はよっぽどの事情なのだろう…

 

 

「次に何処にいたかだが、世界中だな」

「自己紹介で言っていた父の仕事でか?」

「ああ、養父さんは世界中を仕事場にしているからな」

「でも一龍には父親はいないだろう?」

「養父さ、俺を養子にしてくれた上で一緒に連れて行って貰ったんだ。御蔭で世界中の言葉に詳しくなったぞ」

「そ、そうか」

「それに関しても後で話すよ。最後の二つは纏めて答えさせて貰うぞ。何でISなんかを起動出来たかなんて俺は知らん、他の男性操縦者達も同じ意見だろうがな。そして起動したせいでIS学園に入学する事になってしまった、それが此処にいる理由だIS学園が超法的区域だって知っているだろ?」

「ああ、」

「俺達男性操縦者は貴重な研究サンプルになるからな、強大な組織に保護されないと何処かの馬鹿が解剖とかする為に誘拐しに来かねない」

「成程…」

 

 

 一龍からの返答を貰い、納得する。

 

 

「【喜】そういえば全国中学生剣道の大会で優勝してたな、遅くなったけどおめでとう」

「!? な、何で知っているんだ?」

「新聞で読んだからな、後テレビでもやっていたか」

「何で新聞なんて読んでいるんだ?」

「情報は生活に大事なモノだぞ? 海外にいる時も取り寄せていた程だ」

「そ、そうか?」

「箒は読まないのか?」

「最近忙しかったから…」

「そっか、大事な幼馴染の事が書かれていたんだし気付かない訳も無いしな」

「私の事を本当に覚えていてくれたのか!?」

 

 

 思わず変な声で尋ねてしまった。

 それに対して一龍は…

 

 

「【寒】箒…お前、俺が箒の事を忘れていたとでも思っていたのか?」

「へ!? いや、そういう訳じゃ…」

「【悲】酷いな、あの時大泣きしながら離れたくないって言ってたのは箒だろ?」

「あうう…」

 

 

 自分の事を忘れてしまっているのではないかと疑ってしまった自分が恥ずかしい。でも一龍が覚えてくれた事にとても嬉しく思った。

 

 

「忘れて無かったんだな」

「当たり前だろ?」

「うん、嬉しい」

「ははっ」

 

 

 そう言って一龍は私の頭を撫でてきた。

 

 

「な、何をする!?」

 

 

 思わずその手を払ってしまい、その事を後悔した。

 

 

「おっと、悪い。嫌だったか?」

「いや、嫌という訳では…、その、何で撫でてきたのかなって…」

「あ? ああ、箒の嬉しそうな顔が可愛かったからつい、な」

「か、可愛い!?」

「可愛いだろ? そう言われるのは嫌か?」

「嫌じゃ無い、………嬉しいぞ」

「撫でられるのは?」

「それも………嫌じゃ無い」

「【愛】なら良いだろ?」

 

 

 そう言って一龍は再び私の頭を撫でてきた。

 優しく、暖かった。

 

 

「そろそろチャイムが鳴るな、遅れたら千冬姉に何を言われるか分からないから急ぐぞ」

「そうだな」

 

 

 暫く一龍の撫でを堪能した後、私達は屋上を出ようとしたが一龍が何かに気付いたようで声を掛けてきた。

 

 

「そういや、その髪留め良いな、似合っているぞ」

「そ、そうか?」

「何処で買ったんだ?」

「買ったものじゃなくてな、ある人に貰ったんだ」

 

 

 今私が着けている髪飾り、中学3年生の夏頃に匿名で送られてきた物だ。

 家に帰ると机の上に小さな箱が置いてあった。いつもなら政府の人が宅配物は全て開けて確認する筈なのにその箱は開けられた形跡が無かったのだ。

 開けてみるとその琥珀色の綺麗な髪留めと手紙が入っており、手紙には短く、こう書かれていた。

 

 

『私は君を忘れない。君は孤独じゃないから元気を出して寂しさに負けないで』

 

 

 一体、誰が書いたのであろうか、会う事の出来ない両親? 姉? 嘗ての友人?

 宛て名は無く、誰なのかは判らず仕舞いであったが、その文を読むと元気が出てきた。以降、辛くなった時はこの髪留めと手紙を読んで元気になっていた。

 

 

「プレゼントなのか?」

「ああ、誰が何の為に送って来たのかは判らないのだがな…」

「そうなのか、」

「これは私に沢山の元気をくれたんだ、だから大事に使っている」

 

 

 そう言って私は先に階段を降りて行った。

 だから一龍が後ろで言った言葉が聞こえなかった。

 

 

「……気に入って貰えて良かったよ」

 

 

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 

 

1限目後の休み時間

 

『IS学園(ISがくえん)』1年1組教室

 

 

(どうしてこうなった?)

 

 

 俺はそう思わずにはいられなかった。男である俺がよりにもよってISなんてくだらねぇモノを起動してしまってIS学園なんて女しか碌にいねぇ場所に放り込まれる事になったのか、悪夢としか思えねぇ。

 そして今、1限目が終わって休み時間になったがクラスの女共から質問攻めになっている。もう一人の奴(一龍とか言ったか?)は一人の女生徒を連れて何処か行きやがったせいで俺の所に更に集まりやがった。

 

 

「荒垣君は何処から来たの?」

「『月光館(げっこうかん)学園』からだ」

「月光館学園って、××県の港区にある『桐条グループ』が出資しているっていうあの学園!? 」

「あの小、中、高って揃ってる綺麗な学校?」

「あそこも人気だよね~」

「中等部から来たの?」

「………高等部だ」

「………え?」

 

 

 周りが固まる。

 そりゃそうだろ、本来此処にいるのは15、16歳の中学校を卒業した奴だけの筈だ。

 

 

「…荒垣君って幾つなの?」

「本来なら卒業して仕事に就いてた筈だったんだがな…」

「もしかして…、18歳!?」

「ああ、そうだ」

「「「ええ───────────────っ!?」」」

「じゅ、18……」

「見た目から同い年じゃあ無いと思ってたけど…」

「私達より3歳年上…」

「今年中に合法的に結婚出来る……良し!!」

 

 

 ちょっと待て、驚きの声の中に変な言葉が聞こえたぞ!? 誰だ!?

 

 

「荒垣さんって呼んだ方が良いかな?」

「…好きに呼べ」

「荒垣君の趣味は何?」

「…料理だな」

「どんなの作るの?」

「特に縛りは無ぇ、作りたいモノを作る」

「じゃあ、お菓子とかも大丈夫?」

「ああ、問題無いが…」

「今度何か作ってー!」

「……今度な…」

「「「「やったぁ!!」」」」

 

 

 周りが歓声で騒ぎ出す、女って奴は本当に喧しいな…

 

 

「ねぇねぇ、」

 

 

 正面から声を掛けられて、見ると机の前にダボッとした制服を着た、のほほんとした雰囲気の女の子が顔を出していた。

 

 

「何だ?」

「”しんにー”って呼んで良い?」

 

 

 ………もうどうにでもなれ。

 

 

「……好きにしろ」

「わ~い♪」

「もういいだろ、残りの時間ぐらいゆっくりさせてくれ…」

「そうだね、有難う荒垣君♪」

「お菓子楽しみにしてるねー!」

「またね~、しんにー♪」

「ああ、またな」

 

 

 囲んでいた女子達が散らばっていき、漸く一息吐けるようになった。

 まったくもって奇怪な運命である。死んだ筈なのに再び生まれて新たな人生を歩む事になってしまったのだから……

 

 

 彼、『荒垣 真次郎』は前世の記憶を持っている転生者である。とある理由で寿命が縮まりながらも寿命を全うし、死んだ筈だったのだが、この世界で再び荒垣 真次郎として産まれ直したのだ。

 

 

(転生か、本当にあるんだな…)

 

 

 転生して物心付く頃、真次郎は前世の記憶が蘇った。当時は大きく慌てたが、次第に慣れ、普通に暮らしていった。月光館学園や桐条グループがこの世界にもあるのには驚いたが他に気にする事は無く、そのまま月光館学園に入学した。

 

 

(俺だけじゃ無かったのが幸いと言うべきか…)

 

 

 転生後のこの世界でも真次郎は嘗ての仲間に出会えた。知り合い全員という訳では無かったが懐かしい顔に喜び、それが真次郎の心の支えになった。

 

 

「ちょっと宜しくて?」

「ああ?」

 

 

 漸く平穏が来たと思ったらまた誰か呼び掛けてきやがった。

 不機嫌な顔を隠す事無く、俺は声の方を向く。

 そこには、金髪ロングを縦ロールにしたいかにもお嬢様風な少女が立っていた。

 

 

「訊いていますの?」

「俺に何の用だ?」

「まぁ! 何て気品の無い返事ですの!?」

「テメェから話しかけてきたんだろうが」

「失礼な返事しか出来ませんのね、わたくしに話しかけられただけでも光栄な事なのにそれ相応の態度があるのではありませんの?」

 

 

 わたくしなんて言ってきやがった、髪の色やら髪型もそうだがまるで漫画に登場するお嬢様キャラだな。美鶴とは天と地程の差があるが………まぁ、あいつはお嬢様じゃなくて女王様だけどな、

 

 

「テメェなんざ知るか」

「知らない!? このわたくしを? このセシリア・オルコットを知らないと? イギリスの国家代表候補で主席入学のこのわたくしを?」

「自慢をしたいなら他の奴にでもしな、テメェに興味なんざ無ぇよ」

「先程から本当に失礼な方ですわね?」

「用があるならさっさと言ったらどうだ?」

「くっ、一々揚げ足を…」

 

 

 セシリアとか言った女が言葉を言い切らない内に2限目の開始を告げるチャイムが鳴った。それと同時に一龍の奴達が教室に駆け込んで来ていた。

 

 

「チャイムが鳴ったぞ、さっさと席に戻りな」

「ふんっ! 覚えておきなさい!!」

 

 

(嫌なこった、ったく)

 

 

 そう思いながらも次の休み時間にはまた来るのだろうと思うと憂鬱になってきた。まったく、本当にどうしてこうなった?

 

 

TO BE CONTINUE




一龍がいなかったので案の定、セシリアはガキさんに絡んできました。
ガキさんの口調はこれで大丈夫でしょうか?
次章が終わるまでセシリアが噛ませキャラっぽくなりそうで怖い…


感想コメント及び質問等お待ちしております。
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