【挿絵表示】
体格はもう少し華奢です。あと、左眼に赤くて大きめな傷がありますがアプリの性能上、それは表現出来ませんでした。アプリの性能上です。僕は悪くないです。ほんとですよ?
追)寒そうだったので服を着せてあげました。
夕方、六來は参に屋上へと呼び出されていた。
参がここに来たのはただの偶然ではないと分かっていた。そしてなにか起こるに違いないと思っていた。
夕方の廊下には隣の教室から響く笑い声に自分の杖の音。
六來の顔は少し寂しそうな笑みを浮かべたいつもの顔とは違って冷たい。そして屋上の扉を開いた。
開けた扉を吹き抜ける暖かい風に眼を瞑った。屋上の奥に参はいた。開いた扉の音を聞いた参は直ぐにこちらを見た。
「兄さん!来たんだね!」
五月蝿い参を鼻であしらう。先程とは打って変わって寒い風が吹いたような気がする。
「用は?」
「冷たいなぁ。久しぶりに会えたのならもう少し優しくてもいいんじゃない?」
六來は冷たく見つめて言う。
「七條さんの命令?」
「ううん。実は僕がここに来た件にパパは関係していない。ただ僕が兄さんに会いたかったから」
聞きなれたセリフにうんざりする。しかもこの相手の場合は本心だということに更にうんざりとじた。
「そんな顔しないでよ。僕にはパパみたいに戻ってこいと言う気もない。僕は兄さんが好きだから一緒に居たいけどそれ以上に僕は兄さんの幸せを望むし。きっと今の場所が兄さんにとって最高の場所なんだろうなとおもう」
じゃあ何故来たのだと睨む。背中まで伸びた白い髪が風に揺れた。
「僕が兄さんのところに来たのは2つ理由がある」
「なに?」
「一つはさっき言ったこと。兄さんにずっと会いたかったから。あの日からずっと会いたかったから。もう一つは兄さんに頼み事が有ったから。兄さんにしか出来ないことを頼みたかったから」
「お願いします。兄さん。パパを止めてください。方法は分かりません。けど僕にやれることはなんでもやります。あれを止めて下さい。きっと貴方ではないと出来ないんです」
そう言って参は腕や脚を制服を捲って見せた。
そこにあるのは腫れた後など。きっと参も苦労したに違いない。ある意味自分は幸せなのかも知れない。取り返しのつく幼少期に捨てられたこと、無数の傷を負って、片眼を失ってでも全国トップを独占できる才能を手に入れられる施設に入れられたこと。そして中野家に行けたこと。
六來は大きく溜め息を吐いた。しかし警戒心は無くさない。
「頼まれなくてもそうする気だよ。ただ言ったからには手伝ってもらう」
六來は感謝して頭を下げる参を尻目に屋上を去る。そしてポケットから携帯電話を取り出して電話を掛ける。掛けたのは休憩時間に入っているであろう父親だ。
「もしもし。こんばんは。お父様、、、」
電話をする六來は不敵な笑みを浮かべた。